土地区画整理法では、最初に施行者、時期、対象となる権利や行為を確認します。組合員、建築行為等の許可、仮換地、換地処分、保留地は、それぞれ誰にどの効果が生じるかが異なるからです。この記事では平成4年問27を中心に、本試験で選択肢を切る判断順序を整理します。
土地区画整理事業は、都市計画区域内で公共施設の整備改善と宅地利用の増進を図るため、土地の区画形質の変更などを行う事業です。 宅建では制度の細かな事業手続を網羅するより、誰が・いつ・誰の許可を受け・いつ権利が移るかを正確に区別することが得点につながります。平成4年問27も、この主体と時期の入れ替えを中心にした問題です。
問題文を読んだら最初に何を見るか
土地区画整理法では、最初に誰が施行する事業なのか、現在どの時点なのか、何の権利・行為が問題なのかを確認します。組合施行か行政庁施行かで登場する者が変わり、換地処分の公告前後でも登記や権利関係の扱いが変わるからです。この章では問題文で最初に拾う語句と判断順序を整理します。
次に、選択肢が組合員、建築行為等の制限、登記、保留地のどの論点かを分類します。平成4年問27では四肢すべてが異なる論点なので、一つのルールだけで全部を処理することはできません。各肢の決定語句を見つけてから対応する制度へ進んでください。
最後に、設立認可の公告、換地処分の公告、公告の翌日など時点を正確に確認します。土地区画整理法では同じ土地でも時期によって建築制限や登記、権利取得の効果が変わるため、「公告前」「公告後」「公告の翌日」の一語が正誤を決めます。数字より時点の入れ替えが重要なテーマです。
問題文では次の語句へ先に線を引きます。この表を見る目的は、制度名を全文暗記するのではなく、正誤を分ける決定語句を見つけることです。特に「組合」「借地権」「知事」「換地処分の公告」「保留地」を確認してください。
| 問題文の語句 | 判断ポイント |
|---|---|
| 組合施行 | 組合員・設立認可公告を確認 |
| 所有権 | 組合員となる権利か確認 |
| 借地権 | 組合員・申告の要否を確認 |
| 未登記の借地権 | 施行者への申告を確認 |
| 土地の形質変更 | 76条の許可を確認 |
| 建築物の新築・改築・増築 | 76条の許可対象を確認 |
| 土地区画整理組合の許可 | 許可権者の入れ替えを疑う |
| 都道府県知事 | 76条の許可権者を確認 |
| 換地処分の公告前 | 売買・登記が禁止されると即断しない |
| 換地処分の公告後 | 登記制限の時期を確認 |
| 保留地 | 誰が取得するか確認 |
| 公告日の翌日 | 保留地取得の時期を確認 |
| 施行者 | 保留地の取得者を確認 |
| 各組合員 | 保留地取得者との入れ替え注意 |
この表では、同じ「組合」という語句でも組合員、施行者、許可権者を区別する必要があります。組合が事業を施行していても、76条の建築行為等について許可する者まで組合になるわけではありません。施行者と許可権者を同一視しないことが重要です。
本試験では次の順番で処理します。最初に施行者と時期を確定し、その後に対象となる権利・行為・効果へ進むと、似た制度を混同しにくくなります。平成4年問27ではこの順番だけで各肢の論点を切り分けられます。
・①土地区画整理法の問題か確認する
・②誰が施行する事業か確認する
・③組合施行なら組合員の範囲を確認する
・④現在が設立認可公告前後のどこか確認する
・⑤建築・形質変更なら76条の許可を確認する
・⑥許可権者が誰か確認する
・⑦換地処分公告前か公告後か確認する
・⑧登記制限の時期を確認する
・⑨保留地なら取得者を確認する
・⑩保留地取得の時期を確認する
この順番なら、肢1は③、肢2は④から⑥、肢3は⑦・⑧、肢4は⑨・⑩だけで処理できます。各肢に必要な知識を限定すれば、土地区画整理法全体を再現する必要はありません。施行者→時期→対象→効果を基本形にしてください。
宅建試験ではここが狙われやすい
土地区画整理法では、施行者と権限者を入れ替える誤肢が非常に作りやすくなります。組合施行の事業だから建築行為等も組合の許可を受けると考えやすいものの、76条の許可権者は都道府県知事なので、誰が事業を行うかと誰が行政上の許可を出すかを分離してください。平成4年問27の肢2が典型です。
さらに、公告前・公告後・公告翌日の時点を一つずらすひっかけにも注意します。換地処分公告前の売買・登記、公告後の登記制限、公告翌日の保留地取得はそれぞれ違うため、「換地処分」という語句だけで結論を出せません。何の公告の、前か後か翌日かまで読むことが正解を安定させます。
土地区画整理法の基本判断|施行者と換地の流れ
土地区画整理法では、施行者が土地を買い集めて全面的に再分配するのではなく、換地を中心に権利関係を整理する点を押さえます。宅建では事業の技術的仕組みより、従前の宅地、仮換地、換地、保留地がいつ誰に帰属するかが問われるからです。この章では過去問を解くために必要な事業の流れだけを整理します。
現行法上、土地区画整理事業は都市計画区域内で公共施設の整備改善と宅地利用の増進を図る事業です。 道路や公園などを整備しながら土地の区画を整理するため、従前の土地と整理後の土地の対応関係を換地計画によって調整します。宅建では「いつ権利が切り替わるか」を中心に見てください。
事業の途中では仮換地が指定される場合があり、最終的には換地処分によって換地計画の内容が具体化します。保留地は通常の権利者へ換地として割り当てる土地とは異なり、一定の目的のため換地計画で定められる土地です。平成4年問27の肢4では、その保留地を誰が取得するかが問われています。
土地区画整理法の主要段階を比較します。この表を見る目的は、各用語を時系列に並べて誤った時点の入れ替えを防ぐことです。細かな手続名より前後関係を優先してください。
| 段階 | 主な論点 | 本試験で見る点 |
| 組合設立 | 組合員 | 誰が組合員か |
| 事業施行中 | 建築行為等の制限 | 誰の許可か |
| 仮換地指定 | 使用収益 | 従前地との関係 |
| 換地計画 | 換地・保留地 | 誰に何を定めるか |
| 換地処分 | 権利関係の切替え | 公告前後を確認 |
| 公告後 | 登記・保留地 | 時期と取得者を確認 |
この表では、換地処分だけを単独暗記しないことが重要です。設立認可から換地処分公告までの間に建築行為等の制限があり、換地処分後には権利・登記関係が大きく切り替わります。時系列を使えば複数論点を一つの流れで整理できます。
例題1
土地区画整理事業では、事業開始と同時に従前の土地の所有権がすべて施行者へ移転する。
解答・判断ポイント
正解:×
土地区画整理事業は、従前の権利関係を換地制度によって調整する仕組みです。事業開始時に所有権が一律に施行者へ移るとする点が誤りです。
誤肢分析
誤っている語句
「事業開始と同時にすべて施行者へ移転する」
正しい修正
「換地・仮換地などにより権利関係を調整する」
この誤肢は土地区画整理を用地買収型の事業と混同させています。換地制度を中心に考えてください。
宅建試験ではここが狙われやすい
基本構造では、仮換地と換地、換地と保留地の役割を交換する誤肢に注意します。名称が似ていますが、仮換地は事業途中の使用収益関係、換地は最終的な権利関係、保留地は換地として権利者へ交付する土地とは異なる制度なので、同じ「整理後の土地」としてまとめないことが必要です。
また、土地区画整理法では時点を一つずらすだけで効果が変わります。組合設立認可の公告、仮換地指定、換地処分、換地処分公告という語句が出たら、その時点で何が変わるのかを確認してから選択肢を判断してください。時系列の理解がそのまま誤肢分析になります。
組合施行|所有者・借地権者は組合員になる
組合施行の土地区画整理事業では、施行地区内の宅地について所有権又は借地権を有する者が組合員となります。組合への加入を希望した者だけが組合員になる任意加入制度ではなく、法定された権利を有する者が対象だからです。この章では平成4年問27の正解肢1を中心に組合員の範囲を整理します。
所有者だけではなく借地権者も組合員
平成4年問27の資料では、組合施行の施行地区内に宅地の所有権又は借地権を有する者はすべて組合員になるとされています。 「所有者だけが組合員」とする選択肢なら、借地権者を除外している点を確認してください。組合員資格と登記の有無は別問題です。
未登記の借地権を有する者については、施行者への申告が問題になります。資料では、申告がなければ施行者はその借地権等がないものとみなして換地処分を行うことができると整理されています。 「未登記だから借地権者ではない」と単純化しないでください。
組合員と権利の関係を比較します。この表を見る目的は、組合員資格と借地権の申告を同じ制度として混同しないことです。誰が組合員かを判断した後に、未登記なら申告を確認します。
| 権利・状況 | 組合員判断 | 追加確認 |
| 宅地所有者 | 組合員 | 原則そのまま確認 |
| 借地権者 | 組合員 | 登記・申告を確認 |
| 未登記借地権者 | 組合員となり得る | 施行者への申告 |
| 権利を持たない者 | 原則対象外 | 別の権利関係を確認 |
この表では、未登記という事情を権利そのものの不存在と混同しないことが重要です。一方で申告がない場合には換地処分上その借地権等がないものと扱われる可能性があるため、登記・申告の有無も無視できません。資格と手続を二段階で判断してください。
例題2
組合施行の土地区画整理事業では、施行地区内の宅地所有者だけが組合員となり、借地権者は組合員にならない。
解答・判断ポイント
正解:×
宅地について借地権を有する者も組合員になります。所有者だけに限定している点が誤りです。
誤肢分析
誤っている語句
「宅地所有者だけ」
正しい修正
「宅地について所有権又は借地権を有する者」
この誤肢は対象者の一部を削除しています。法令上の制限では対象者の範囲変更に注意してください。
例題3
施行地区内に未登記の借地権を有する者は、登記がないため当然に組合員となる余地がない。
解答・判断ポイント
正解:×
未登記借地権では施行者への申告が問題になります。登記がないことだけで権利関係を一律に否定する文章は疑ってください。
誤肢分析
誤っている語句
「当然に組合員となる余地がない」
正しい修正
「未登記借地権については施行者への申告を確認する」
この誤肢は登記と組合員資格を同じ論点にしています。権利と申告手続を分けてください。
宅建試験ではここが狙われやすい
組合員問題では、所有者と借地権者を入れ替えたり、一方を除外したりする方法が狙われます。「所有者は組合員」という部分だけ見れば正しくても、「借地権者はならない」と続けば肢全体は誤りなので、対象者を最後まで確認してください。平成4年問27の肢1では両者を含むため正しい内容です。
また、未登記借地権では「登記がない=権利なし」と短縮させるひっかけがあります。資料では未登記借地権者には施行者への申告が要求され、申告がない場合の換地処分上の扱いまで定められているため、登記の有無と申告の有無を別に確認することが必要です。
76条の建築行為等の制限|許可するのは知事
土地区画整理事業の施行中には、一定の土地の形質変更や建築行為等について都道府県知事の許可が必要になる場合があります。組合施行の事業でも、組合自身の許可を受ける制度ではない点が正誤判断の中心です。この章では平成4年問27の肢2に直結する76条の判断を整理します。
設立認可公告後から換地処分公告まで
組合施行の場合、資料では組合設立認可の公告があった日後から換地処分の公告がある日まで、事業の障害となるおそれがある一定の行為に許可が必要とされています。 期間を「組合設立前」や「換地処分公告後」へ入れ替えた文章には注意してください。時点と対象行為をセットで確認します。
対象となるのは、土地の形質変更、建築物その他の工作物の新築・改築・増築、一定の物件の設置・堆積などです。すべての土地利用が一律禁止される制度ではなく、事業施行の障害となるおそれがある対象行為について行政上の許可を受ける仕組みです。国土交通省も土地区画整理法上の重要な制限として「施行地区内の建築行為等の制限」を挙げています。
組合ではなく都道府県知事の許可
平成4年問27の肢2では、組合施行なので土地区画整理組合の許可を受けるとする点が誤りです。提供資料は、76条の許可権者は都道府県知事であり、土地区画整理組合ではないと明確に整理しています。 施行者と許可権者を区別してください。
76条の判断を表で整理します。この表を見る目的は、「いつ・何を・誰の許可」という三点を一組にすることです。どれか一つだけ覚えないでください。
| 確認項目 | 組合施行での判断 |
| 開始時点 | 設立認可公告後 |
| 終了時点 | 換地処分公告まで |
| 対象 | 一定の形質変更・建築等 |
| 手続 | 許可 |
| 許可権者 | 都道府県知事 |
| 組合 | 施行者だが許可権者ではない |
この表では、施行者が組合だから許可権者も組合という連想を切ることが重要です。法令上の制限では「誰が事業をするか」と「誰が行政上の許可をするか」が別になる制度が少なくありません。主語を一つずつ確認してください。
例題4
組合施行の土地区画整理事業で、施行地区内に建築物を新築する場合の76条の許可は、土地区画整理組合から受ける。
解答・判断ポイント
正解:×
許可権者は都道府県知事です。施行者である組合と許可権者を入れ替えています。
誤肢分析
誤っている語句
「土地区画整理組合から許可」
正しい修正
「都道府県知事の許可」
この誤肢は主体の入れ替えだけなので、本試験でも作りやすい形です。平成4年問27の肢2と同じ判断になります。
例題5
組合設立認可の公告後から換地処分の公告までの一定期間、事業の障害となるおそれのある土地の形質変更には知事の許可が問題となる。
解答・判断ポイント
正解:○
対象期間と許可権者を正しく組み合わせています。期間の始点と終点まで確認してください。
宅建試験ではここが狙われやすい
76条では、組合と都道府県知事の入れ替えが最重要のひっかけです。組合施行という前提が強調されると、受験生は組合が建築行為も管理すると考えやすいものの、法律上の許可は知事から受けるため、施行者という情報に引っ張られないことが必要です。
さらに、許可期間の始点・終点も交換されます。設立認可公告後から換地処分公告までという基本を、換地処分公告後まで延ばしたり、設立認可前から必要としたりする肢に注意し、時期→対象行為→許可権者の順番で処理してください。
換地処分の公告前後|売買・登記の時期を区別する
換地処分に関する登記では、公告前と公告後を明確に分けることが必要です。換地処分公告前だから売買や登記が全面的に禁止されるわけではなく、公告後に事業による変動登記がされるまで一定の登記制限が生じるからです。この章では平成4年問27の肢3を中心に整理します。
換地処分公告前でも売買はできる
提供資料では、換地処分の公告がある日までの間について、売買も登記も可能と整理されています。 「土地区画整理事業中だから土地を一切売れない」という理解は誤りです。建築行為等の許可制と権利処分の可否を混同しないでください。
76条による建築行為等の制限があるため、施行地区内の土地には強い制約がある印象を受けます。しかしそのことから売買や登記まで当然に禁止されるわけではなく、何について制限されているのかを個別に確認する必要があります。建築制限と権利処分制限を分けることが重要です。
公告後は事業による登記が終わるまで他の登記を制限
資料では、換地処分公告後、施行地区内の土地・建物について事業による変動に係る登記がされるまでは、原則として他の登記ができないと整理されています。 この「公告後」という時点が肢3の正誤を分けています。公告前へ前倒ししてはいけません。
登記の時期を比較します。この表を見る目的は、換地処分という一語だけで「登記不可」と判断しないことです。公告の前後を最初に確認してください。
| 時期 | 売買・登記の基本判断 |
| 換地処分公告前 | 売買可能・登記可能 |
| 換地処分公告後 | 事業による登記を確認 |
| 事業による変動登記前 | 原則として他の登記を制限 |
| 事業による変動登記後 | 通常の登記関係へ進む |
この表では、公告前から登記制限が始まるとする誤肢に注意します。土地区画整理事業が施行中であることと、107条の登記制限が発生していることは同じではありません。時期を必ず限定してください。
例題6
換地処分の公告がある日までの間は、施行地区内の宅地を売買することも所有権移転登記をすることもできない。
解答・判断ポイント
正解:×
公告前の売買・登記が一律に禁止されるわけではありません。平成4年問27の肢3と同じひっかけです。
誤肢分析
誤っている語句
「公告がある日まで売買も登記もできない」
正しい修正
「公告前は売買・登記が可能で、公告後の登記制限を別に確認する」
この誤肢は登記制限の発生時期を前倒ししています。公告前後を区切ってください。
例題7
換地処分公告後は、事業による変動に係る登記がされるまで、原則として他の登記が制限される。
解答・判断ポイント
正解:○
公告後の登記制限を正しい時期に適用しています。公告前との比較が判断ポイントです。
宅建試験ではここが狙われやすい
換地処分と登記では、公告後の制限を公告前へ移動するひっかけが中心です。「土地区画整理事業中は登記できない」という大まかな理解では肢3を誤るため、換地処分公告があったかどうかを必ず確認してください。平成4年問27では時期一語で正誤が決まります。
また、売買できるかと登記できるかを別々に入れ替える問題にも注意します。権利処分ができるか、第三者対抗要件として登記できるか、事業による変動登記が済んでいるかは別の確認事項なので、公告時点→売買→登記の順に判断してください。
保留地|取得するのは施行者
換地計画で定められた保留地は、換地処分の公告があった日の翌日に施行者が取得します。組合施行だから各組合員が共有的に取得するわけではなく、保留地の帰属主体は施行者だからです。この章では平成4年問27の肢4を中心に、取得者と時期を整理します。
各組合員が取得する土地ではない
提供資料では、換地計画で定められた保留地は換地処分公告日の翌日に施行者が取得するとされています。 組合施行の場合の施行者は土地区画整理組合なので、保留地は組合が取得します。各組合員がそれぞれ取得するわけではありません。
「組合の財産だから組合員全員の共有物になる」といった一般的なイメージで判断しないことが必要です。土地区画整理法が誰を取得者としているかをそのまま確認し、組合員資格の論点と保留地帰属の論点を分離します。肢1の「組合員」と肢4の「施行者」を混同しないでください。
取得時期は公告日の翌日
保留地の取得時期もひっかけになります。資料では換地処分の公告があった日の翌日に施行者が取得するとされているため、公告日そのものや換地計画決定時に取得するとする肢は時期が誤っています。 誰が取得するかと、いつ取得するかをセットにしてください。
保留地と通常の換地を比較します。この表を見る目的は、土地の行き先を混同しないことです。特に組合員と施行者の違いを確認してください。
| 土地 | 主な帰属・役割 | 判断ポイント |
| 換地 | 従前の権利者との対応 | 権利関係を調整 |
| 仮換地 | 事業途中の使用収益 | 最終換地と区別 |
| 保留地 | 施行者が取得 | 組合員ではない |
| 保留地の取得時期 | 換地処分公告日の翌日 | 公告日と交換注意 |
この表では、「換地計画に定められる土地=すべて組合員へ配られる」と考えないことが重要です。保留地は通常の換地とは性格が異なるため、名称が出た瞬間に施行者と公告翌日を確認してください。対象者と時点の二つで切れます。
例題8
組合施行の土地区画整理事業では、換地計画に定められた保留地を換地処分公告日の翌日に各組合員が取得する。
解答・判断ポイント
正解:×
取得するのは各組合員ではなく施行者である土地区画整理組合です。平成4年問27の肢4と同じひっかけです。
誤肢分析
誤っている語句
「各組合員が取得する」
正しい修正
「施行者である組合が取得する」
この誤肢は組合員と施行者を交換しています。取得時期が正しくても主体が違えば肢全体は誤りです。
例題9
保留地は、換地計画に定められた時点で直ちに施行者が取得する。
解答・判断ポイント
正解:×
取得時期は換地処分の公告があった日の翌日です。計画決定時と権利取得時を混同しています。
誤肢分析
誤っている語句
「換地計画に定められた時点で直ちに」
正しい修正
「換地処分公告日の翌日に」
この誤肢は制度内容ではなく時点を変更しています。宅建では時期の一語まで確認してください。
宅建試験ではここが狙われやすい
保留地では、施行者と組合員の入れ替え、公告日と公告翌日の入れ替えが典型的なひっかけです。組合施行では施行者も組合員も同じ問題文に出てくるため、名称が似ているわけではなくても関係者として混同しやすくなります。土地を取得する主体を明確にしてください。
さらに、換地計画に保留地を定めた時点で所有権が発生するとする時期の前倒しにも注意します。計画に定める時点と権利を取得する時点は別なので、「定められた」「公告された」「翌日」の動詞と時点をセットで読むことが必要です。
過去問分析
平成4年問27は、組合員・76条の許可・換地処分前後の登記・保留地を一問で比較する問題です。正解1は、組合施行の施行地区内で宅地の所有権又は借地権を有する者が組合員になるという基本を正しく示しています。 この章では各肢の正誤を分ける語句だけを簡潔に整理します。
最初に確認する語句
問題文では、所有権又は借地権、組合員、土地区画整理組合の許可、都道府県知事、換地処分公告まで、登記、保留地、各組合員を確認します。肢1は対象者、肢2は許可権者、肢3は登記の時点、肢4は取得主体として分類します。四肢の論点が違うため、決定語句を先に分けてください。
平成4年(1992年)問27
土地区画整理組合が施行する土地区画整理事業(以下この問において「組合施行事業」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 組合施行事業にあっては、施行地区内の宅地について所有権又は借地権を有する者は、すべてその土地区画整理組合の組合員とされるが、未登記の借地権については、申告又は届出が必要である。
- 組合施行事業の施行地区内において、当該事業の施行の障害となるおそれのある建築物の新築を行おうとする者は、土地区画整理組合の許可を受けなければ、行うことができない。
- 組合施行事業の施行地区内の宅地については、換地処分の公告のある日までの間、売買をすることができるが、その登記をすることはできない。
- 組合施行事業における保留地は、換地処分の公告のあった日の翌日に、各組合員が、従前の宅地に係る権利の価額に応じて取得する。
正解:1
解説
肢1は、組合施行の土地区画整理事業で施行地区内の宅地について所有権又は借地権を有する者が組合員になるという内容です。資料では未登記借地権について施行者への申告が必要となる点も補足されています。 正解を選ぶだけなら「所有者+借地権者」を確認すれば足ります。
各肢の正誤理由
肢1 正しい
組合施行の施行地区内で、宅地の所有権又は借地権を有する者は組合員となります。未登記借地権については施行者への申告も確認します。
肢2 誤り
一定の土地の形質変更や建築物の新築等について必要なのは、土地区画整理組合の許可ではなく都道府県知事の許可です。施行者と許可権者を入れ替えています。
肢3 誤り
換地処分公告前の期間は、売買も登記も可能です。公告後、事業による変動登記がされるまでの原則的な登記制限を公告前へ移している点が誤りです。
肢4 誤り
保留地は換地処分公告日の翌日に施行者が取得します。組合施行の場合でも、各組合員が取得するわけではありません。
問題作成者のひっかけポイント
この問題では、主体と時期の入れ替えが三つの誤肢に使われています。肢2では組合と知事、肢3では公告前と公告後、肢4では組合員と施行者が入れ替えられています。条文知識を大量に覚えるより、誰・いつを確認する方が正解へ近づけます。
肢1では「所有者だけ」とせず、借地権者まで正しく含めていることがポイントです。四肢を通して見ると、対象者を狭める、権限者を変更する、時期を前倒しする、取得者を変更するという異なる誤肢作成方法が使われています。どこを一語変えたかを探すことが有効です。
受験生が迷う理由
土地区画整理法では、組合、組合員、施行者、都道府県知事など多くの主体が一つの事業に関係します。そのため「組合施行だから何でも組合が決める」と整理すると、76条許可や保留地の問題で誤ります。主体ごとの役割を分けなければなりません。
さらに、換地処分の公告は権利関係の大きな転換点なので、「その前から土地を動かせないのではないか」と考えやすくなります。しかし資料では公告前の売買・登記は可能と整理されているため、事業中という状態と個別の制限発生時点を混同しないことが必要です。
正しい判断手順
平成4年問27では、各肢に登場する主体と時点を最初に囲みます。次に「組合員」「76条許可」「登記」「保留地」という四つの論点へ分類し、それぞれの基本ルールを当てます。一肢で一つの決定箇所を見つければ十分です。
・①組合施行か確認する
・②所有権者・借地権者か確認する
・③未登記借地権なら申告を確認する
・④建築・形質変更なら76条を確認する
・⑤76条の許可権者は知事と確認する
・⑥換地処分公告前か後か確認する
・⑦公告前の売買・登記を一律禁止しない
・⑧保留地なら取得主体を確認する
・⑨施行者と組合員を区別する
・⑩公告日と公告翌日を区別する
この順番なら、肢1は②、肢2は④・⑤、肢3は⑥・⑦、肢4は⑧から⑩で切れます。各肢を長く検討するより、正誤を決める一語を見つけることを優先してください。主体→時期→法律効果という順番が本問では有効です。
類似問題で使える知識
肢1で「借地権者」を削れば、組合員の範囲を狭めた誤肢を作れます。肢2で「土地区画整理組合」を「都道府県知事」へ直せば正しい方向になり、肢3で「公告まで」を「公告後」へ変えれば登記制限の論点へ近づきます。誤肢を修正する練習が有効です。
肢4では「各組合員」を「施行者」に変更し、さらに取得時期を公告日の翌日と確認すれば正しい文章になります。このように土地区画整理法は、制度の大枠より主体か時期を一語修正する問題が多いため、正しい文章へ直す学習が類似問題にもつながります。
宅建試験ではここが狙われやすい
平成4年問27では、正しい制度名を残したまま対象者・許可権者・時点・取得者だけを交換する方法が使われています。組合施行という前提が肢2と肢4で受験生を誘導しますが、76条では知事、保留地では施行者という別の主体を当てる必要があります。問題文の主語を先に確認してください。
また、換地処分公告前後の時期は登記以外の論点でも重要です。「事業中だから制限される」とまとめず、設立認可公告後、換地処分公告前、公告後、公告翌日という時点を分け、何の法律効果がその時点で発生するかまで固定することが過去問攻略につながります。
一問一答|過去問の肢レベルで確認
ここでは、組合員、未登記借地権、76条許可、換地処分、登記、保留地を本試験レベルで確認します。単純な定義だけでなく、平成4年問27で使われた対象者・権限者・時期の入れ替えを中心にしています。誤りの場合はどこを直せば正しい文章になるかまで確認してください。
問題1
組合施行の土地区画整理事業では、施行地区内の宅地について所有権を有する者だけが組合員となり、借地権者は組合員にならない。
正解:×
借地権者も組合員となります。
誤っている語句
「所有権を有する者だけ」
正しい修正
「所有権又は借地権を有する者」
問題2
施行地区内の宅地について所有権又は借地権を有する者は、組合施行の場合には組合員となる。
正解:○
平成4年問27の正解肢と同じ基本判断です。
問題3
未登記の借地権は登記がないため、土地区画整理事業では一切考慮されない。
正解:×
未登記借地権については施行者への申告を確認します。
誤っている語句
「一切考慮されない」
正しい修正
「未登記借地権については申告を確認する」
問題4
組合施行の施行地区内で76条の対象となる建築物の新築を行う場合、土地区画整理組合の許可を受ける。
正解:×
許可権者は都道府県知事です。
誤っている語句
「土地区画整理組合の許可」
正しい修正
「都道府県知事の許可」
問題5
組合設立認可公告後から換地処分公告までの一定期間、事業の障害となるおそれのある土地の形質変更には知事の許可が問題となる。
正解:○
期間と許可権者をセットで判断します。
問題6
換地処分の公告がある日までの間は、施行地区内の宅地を売買することができない。
正解:×
公告前の売買が一律禁止されるわけではありません。
誤っている語句
「売買することができない」
正しい修正
「公告前でも売買は可能」
問題7
換地処分公告前は、施行地区内の土地について所有権移転登記を一切することができない。
正解:×
公告前の登記は可能です。
誤っている語句
「公告前は一切登記できない」
正しい修正
「公告後の登記制限を確認する」
問題8
換地処分公告後、事業による変動に係る登記がされるまでは、原則として他の登記が制限される。
正解:○
公告後という時期が判断ポイントです。
問題9
組合施行の事業で換地計画に保留地が定められた場合、その保留地は各組合員が取得する。
正解:×
取得するのは施行者です。
誤っている語句
「各組合員が取得する」
正しい修正
「施行者が取得する」
問題10
保留地は換地計画に定めた時点で直ちに施行者が取得する。
正解:×
取得時期は換地処分公告日の翌日です。
誤っている語句
「換地計画に定めた時点」
正しい修正
「換地処分公告日の翌日」
問題11
組合施行では組合が施行者であるため、76条の許可権者も当然に組合となる。
正解:×
施行者と許可権者は別です。
誤っている語句
「許可権者も当然に組合」
正しい修正
「76条の許可権者は都道府県知事」
問題12
土地区画整理事業中であるという理由だけで、施行地区内の宅地の売買・登記が常に禁止されるわけではない。
正解:○
何の制限がどの時期に発生するかを個別に確認します。
宅建試験ではここが狙われやすい
一問一答で確認したように、土地区画整理法では組合・組合員・施行者・都道府県知事の役割交換が典型的な誤肢になります。組合員資格では所有者と借地権者、76条では知事、保留地では施行者というように、同じ事業でも論点ごとに主役が異なります。人物関係を一括して覚えないでください。
時期では、換地処分公告前・公告後・公告翌日を交換する問題が中心です。公告前の売買・登記、公告後の登記制限、公告翌日の保留地取得を並べると整理しやすいため、主体と時期を二軸で整理することが過去問レベルのひっかけ対策になります。
FAQ
土地区画整理法では、未登記借地権、施行中の売買、建築許可、保留地など複数制度が重なると判断しにくくなります。ここでは本文の単純な言い換えではなく、受験生が迷いやすい境界事例を整理します。判断に迷ったら施行者→時期→対象行為→権限者の順番へ戻ってください。
Q1.借地権が登記されていなければ、組合施行では絶対に組合員になれませんか?
登記がないことだけで判断せず、未登記借地権について施行者への申告を確認します。申告がない場合の換地処分上の扱いと、借地権者という地位を分けて考えてください。
Q2.組合施行なら、施行地区内の建築行為はすべて組合へ申請しますか?
そのようには判断しません。76条の対象となる一定の建築行為等については、組合ではなく都道府県知事の許可を確認します。
Q3.76条の許可が必要なら、施行地区内の土地を売買する場合にも知事の許可が必要ですか?
76条の対象となる土地の形質変更や建築等と、土地売買は同じ行為ではありません。事業中だからすべての権利処分へ同じ許可制が及ぶとは判断しないでください。
Q4.換地処分公告前なら所有権移転登記はできませんか?
資料では公告前の売買・登記は可能と整理されています。公告後に事業による変動登記がされるまでの登記制限と混同しないことが必要です。
Q5.保留地は組合員が出し合った土地なので、組合員全員が取得するのですか?
取得主体は各組合員ではなく施行者です。組合施行の場合は土地区画整理組合が施行者なので、組合が取得する方向で判断します。
Q6.換地処分の公告があった瞬間に保留地を施行者が取得しますか?
資料では取得時期は公告日の翌日と整理されています。公告日と公告日の翌日は宅建で入れ替えられやすいため、時点まで正確に確認してください。
宅建試験ではここが狙われやすい
FAQのような境界事例では、一つの規制を事業全体へ広げるひっかけに注意します。76条の建築制限があるから土地売買も禁止、事業施行中だから登記も禁止、組合施行だからすべての許可権者も組合という推論は、それぞれ規制範囲を広げすぎています。何についての規制かを限定してください。
また、登記・換地・保留地では時期が重要です。「換地処分」という共通語だけで判断せず、公告の前・後・翌日を区別し、いつ誰にどの法律効果が生じるかを確認することで、暗記量を増やさず境界問題へ対応できます。
まとめ
土地区画整理法では、最初に誰が施行する事業か、どの時点か、何の権利・行為が問われているかを確認します。組合施行では宅地の所有者と借地権者が組合員となり、76条の対象となる建築行為等では組合ではなく都道府県知事の許可を確認します。平成4年問27では、この主体の違いだけでも肢1と肢2を処理できます。
換地処分では公告前後を分け、公告前の売買・登記を一律に禁止しないことがポイントです。保留地は各組合員ではなく施行者が換地処分公告日の翌日に取得するため、ひっかけでは組合員と施行者、公告日と公告翌日の入れ替えに注意します。過去問では「施行者→時期→対象→権限者・取得者」という問題文を見る順番を固定してください。
宅建試験ではここが狙われやすい
試験直前には、所有者・借地権者=組合員、76条許可=都道府県知事、公告前=売買・登記可能、保留地=施行者が公告翌日に取得という対応を確認します。平成4年問27の誤肢は、ほぼすべて主体又は時点を一つ入れ替えることで作られているため、文章全体を丸暗記するより「誰」と「いつ」を囲む方が正確です。最終的には施行者→権利者→制限行為→許可権者→換地処分の時期→法律効果という順番を固定することが、土地区画整理法の過去問攻略につながります。
