【宅建】農地法第5条許可とは? |頻出ポイント・ひっかけ問題・過去問攻略・一問一答

農地法第5条では、農地などを転用する目的で権利を設定・移転する場合を確認します。転用だけなら4条、農地のまま権利を動かすなら3条となるため、売買や賃貸借という契約名だけでは条文を決められません。この記事では平成6年問27を中心に、5条許可、無許可の効力、一時転用、農地の範囲、国等の特例を整理します。

第5条を解くときは、最初に転用と権利移動が両方あるかを確認します。住宅敷地、駐車場、資材置場、砂利採取場などへ変える目的で土地を買う・借りる場合が典型的な5条問題です。市街化区域内では許可ではなく届出となる特例もあるため、最後に区域を確認します。

目次

問題文を読んだら最初に何を見るか

農地法第5条では、最初に農地等を農地等以外へ転用する目的があるかを確認します。次に売買・賃貸借などによる権利移動・設定があるかを見れば、4条ではなく5条かどうかを判断できるからです。この章では、問題文で確認する語句と本試験での処理順を整理します。

次に確認するのは、その土地が農地または採草放牧地に該当するかという対象土地です。山林原野をこれから造成して農地にする場合は、現在の土地が農地ではないため農地の転用ではありません。平成6年問27の肢2では、この対象土地の判定が正誤を分けています。

最後に、市街化区域か、市街化区域外か、国や都道府県等が主体となる特殊な取引かを確認します。市街化区域内の5条転用では農業委員会への届出が基本となり、国又は都道府県等については許可不要や協議のみなし許可が問題になる場合があります。現行制度でも5条には許可・届出・協議という複数の処理方法が存在します。

問題文で注目する語句を次の表で整理します。この表を見る目的は、5条へ進む条件と5条から外れる条件を同時に確認することです。特に「転用目的」「売買」「借り受ける」「一時的」「市街化区域」へ線を引いてください。

問題文の語句判断ポイント
農地5条の対象土地を確認
採草放牧地5条の対象になり得る
山林原野現在農地でなければ農地転用ではない
宅地にする転用目的を確認
駐車場にする転用目的を確認
資材置場一時利用でも転用を確認
砂利採取場一時転用でも5条になり得る
売買所有権移転を確認
賃貸借権利設定を確認
使用貸借転用目的なら5条を確認
自己転用権利移動がなければ4条
市街化区域5条の届出特例を確認
市街化区域外原則として5条許可を確認
無許可権利移転の効力を確認
一時的転用から除外しない
国・都道府県等許可不要・協議の特例を確認
指定市町村「市町村一般」と区別する

この表では、転用目的+権利移動の二つを見つけることが中心です。売買だけなら3条の可能性があり、転用だけなら4条ですが、二つがそろえば5条へ進みます。土地の用途変更と契約関係を別々に確認してください。

本試験では次の順番で5条問題を処理します。土地が対象かを確認してから転用と権利移動を組み合わせ、その後に区域と例外へ進むと安定します。許可か届出かを最初に考えないことがポイントです。

・①現在の土地が農地・採草放牧地か確認する
・②農地等以外へ利用する目的があるか確認する
・③所有権移転・賃借権設定などがあるか確認する
・④転用なし+権利移動なら3条を確認する
・⑤転用あり+権利移動なしなら4条を確認する
・⑥転用あり+権利移動ありなら5条を確認する
・⑦市街化区域内か確認する
・⑧許可・届出・協議・許可不要のどれかを確認する
・⑨無許可の場合は権利移転の効力を確認する
・⑩国・都道府県等の特例なら主体と目的を正確に確認する

この順番なら、平成6年問27の肢1は無許可の効力、肢2は土地の種類、肢3は一時転用、肢4は公共主体の特例として分けられます。四肢すべてを許可要件の詳細から検討する必要はなく、決定語句を探せば短時間で正誤を切れます。対象土地→転用→権利移動→区域・例外という順番を固定してください。

宅建試験ではここが狙われやすい

第5条では、出題者が売買だから3条、転用だから4条という一条件だけの判断を狙います。実際には転用目的の売買・賃貸借なら5条となるため、契約と利用目的のどちらか一方だけを見てはいけません。5条では二つの条件が同時に存在するかを必ず確認します。

さらに、一時的だから転用ではない、山林を農地へ変える行為も転用である、市町村ならすべて特例対象という範囲変更にも注意します。対象土地、期間、行政主体という周辺条件を一語変更するだけで、自然な誤肢を作ることができます。何を転用するのか、誰が権利を取得するのか、誰が主体なのかを一つずつ確認してください。

農地法第5条許可の基本判断

農地法第5条は、農地等を転用する目的で権利を設定・移転する行為を規制します。現行法も、農地を農地以外にするため又は採草放牧地を別用途へ変えるために権利を設定・移転する場合、原則として当事者が都道府県知事等の許可を受ける仕組みです。 この章では、5条の対象行為を3条・4条と比較して整理します。

転用と権利移動がそろえば5条

A所有の農地をBが買い、Bが住宅を建てる場合は第5条の典型です。農地を宅地へ変えるという転用があり、さらにAからBへの所有権移転があるため、二つの条件がそろっています。この場合は3条と4条を別々に適用するのではなく5条を確認します。

同様に、Bが農地を借りて駐車場や資材置場として利用する場合も5条です。所有権が移らなくても、賃借権や使用貸借による権利設定を伴って転用するなら5条の対象になり得ます。売買だけでなく貸借も5条になることを確認してください。

3条・4条・5条を比較します。この表を見る目的は、5条を単なる「売買による転用」と狭く覚えないことです。転用と権利移動という二軸で処理してください。

条文転用権利移動・設定典型例
3条なしあり農地のまま売買・貸借
4条ありなし自己所有農地を自分で転用
5条ありあり転用目的の売買・貸借

この表では、売買・賃貸借という契約名だけでは3条と5条を区別できません。取得後も耕作するなら3条、宅地・駐車場などへ変えるなら5条なので、取得後の利用目的を先に確認します。自己転用なら権利移動がないため4条です。

採草放牧地も5条の対象になる

第4条は農地だけを対象としますが、第5条は農地だけでなく採草放牧地も対象とします。農林水産省の現行資料でも、5条は権利の設定・移転を伴う転用であり、4条とは異なり採草放牧地も対象と整理されています。 この違いは4条との比較問題で使われます。

例えば採草放牧地を他人が取得し、資材置場へ変更する場合は5条の対象を確認します。一方、採草放牧地の所有者本人が自己転用するだけなら4条の規定をそのまま適用することはできません。対象土地の違いまで条文とセットにしてください。

例題1

農地を買い受け、取得後も農地として耕作を続ける場合は農地法5条を確認する。

解答・判断ポイント

正解:×

転用がないため5条ではなく3条を確認します。所有権移転だけを見て5条と判断してはいけません。

誤肢分析

誤っている語句

「農地法5条」

正しい修正

「農地のまま利用する権利移動なので3条を確認する」

この誤肢は権利移動だけを強調しています。転用目的がなければ5条には進みません。

例題2

自己所有の農地を自分で駐車場へ変更する場合は、転用なので農地法5条を確認する。

解答・判断ポイント

正解:×

転用はありますが権利移動がありません。自己転用なので4条を確認します。

誤肢分析

誤っている語句

「農地法5条」

正しい修正

「転用あり・権利移動なしなので4条」

この誤肢は転用という一条件だけで5条を選ばせています。5条には権利移動・設定も必要です。

宅建試験ではここが狙われやすい

第5条の基本では、3条・4条の条件を一つずつ取り出して誤った条文へ誘導する問題が中心です。農地の売買だから3条、農地の転用だから4条という文章は、それぞれ一部だけを見れば正しく感じますが、転用目的の権利移動なら5条です。

また、第4条は農地だけ、第5条は農地と採草放牧地という対象土地の違いも狙われます。条文番号だけではなく、対象土地・転用・権利移動の三点セットで判断すると、4条と5条の比較問題を安定して処理できます。

市街化区域内の5条転用は農業委員会への届出

市街化区域内の農地等について5条転用を行う場合は、通常の許可ではなく農業委員会への届出を確認します。農地転用制度では、市街化区域外の4条・5条は原則として許可、市街化区域内は届出という区分が採られているためです。農林水産省の現行資料でもこの区分が示されています。

市街化区域内でも5条であることは変わらない

市街化区域内で農地を買い、住宅を建てる場合は転用目的の所有権移転なので5条です。市街化区域という条件は5条を4条へ変えるものではなく、5条の手続を許可から届出へ変更する条件になります。条文→区域→手続の順番で考えてください。

同様に、市街化区域内の農地を借りて駐車場にする場合も5条の届出を確認します。自己転用なら4条届出ですが、貸借という権利設定があるため5条届出となります。市街化区域という一語だけで4条・5条を判断しないことが必要です。

市街化区域内外を比較します。この表を見る目的は、条文選択と手続選択を別々に判断することです。最初に5条かどうかを決め、その後に許可か届出かを確認します。

区域転用目的の権利移動手続の基本
市街化区域内5条農業委員会への届出
市街化区域外5条原則として許可
市街化区域内の自己転用4条農業委員会への届出
市街化区域外の自己転用4条原則として許可

この表では「市街化区域なら許可不要」という短縮表現だけを覚えないことが重要です。5条の対象行為であることは変わらず、通常の許可に代えて届出で処理する特例です。許可不要と農地法適用外を混同しないでください。

例題3

市街化区域内の農地を住宅建築目的で購入する場合は、農地法5条とは無関係である。

解答・判断ポイント

正解:×

転用目的の所有権移転なので5条の対象です。市街化区域内では5条許可ではなく届出を確認します。

誤肢分析

誤っている語句

「農地法5条とは無関係」

正しい修正

「5条の対象だが、市街化区域内では届出特例を確認する」

この誤肢は許可不要を制度適用外へ広げています。条文と手続を分けてください。

宅建試験ではここが狙われやすい

市街化区域では、許可不要=5条そのものが適用されないとする誤肢に注意します。市街化区域内でも転用目的の権利移動は5条の問題であり、違うのは許可から農業委員会への届出へ手続が変わる点です。

また、市街化区域内の自己転用を5条届出、権利移動付き転用を4条届出と入れ替える問題も作れます。区域ではなく権利移動の有無で条文を選び、5条と確定した後で市街化区域なら届出と処理してください。

無許可の5条売買は所有権移転の効力が生じない

第5条の許可が必要な売買について無許可で行った場合は、所有権移転の効力が生じません。農地法の許可は単なる行政上の義務ではなく、転用目的の権利移動の効力に関係するためです。平成6年問27の正解肢1は、この法律効果を正面から問っています。

当事者の合意だけでは所有権は移らない

通常の不動産売買では当事者の意思表示による所有権移転を考えますが、農地法5条の許可が必要な場面では農地法の規制を先に確認します。必要な5条許可を欠けば、売買契約を締結したという事実だけで転用目的の所有権移転を有効にすることはできません。平成6年問27では、この点を正しい肢として選ばせています。

この効力は3条許可が必要な権利移動でも同様に問題になります。農地のまま売買する3条と、転用目的で売買する5条では適用条文は違いますが、必要な許可を受けない権利移動の効力を確認する点では共通します。契約の目的を確認してから条文を決めてください。

3条と5条の無許可を比較します。この表を見る目的は、適用条文を誤っても無許可の法律効果だけを丸暗記しないことです。先に3条か5条かを判断してください。

行為条文必要な許可を欠く場合
農地のまま売買3条権利移転の効力を確認
転用目的の売買5条権利移転の効力を確認
自己転用4条権利移転ではなく違反転用を確認

この表では、4条だけは自己転用なので所有権移転の効力という問題自体が中心になりません。3条・5条には権利移動があるため、無許可の場合にその効力が直接問われます。条文ごとに何の法律効果が問題になるかを整理してください。

例題4

農地法5条の許可が必要な土地売買でも、当事者が契約書を作成すれば所有権移転の効力は生じる。

解答・判断ポイント

正解:×

必要な5条許可を欠けば、所有権移転の効力は生じません。契約書の作成だけで農地法上の規制を回避できません。

誤肢分析

誤っている語句

「所有権移転の効力は生じる」

正しい修正

「必要な5条許可を受けなければ所有権移転の効力は生じない」

この誤肢は民法上の一般原則だけで処理させています。農地法という特別な規制を先に確認してください。

宅建試験ではここが狙われやすい

無許可取引では、契約は有効で罰則だけ受けるという形の誤肢が狙われます。第5条では必要な許可を欠く権利移転の効力そのものが問題になるため、「違反しても所有権は移る」と判断してはいけません。

さらに3条と5条を入れ替えながら、無許可の効力だけ正しく書く問題にも注意します。最終結論が似ていても、農地のまま取得するのか、転用目的で取得するのかを確認し、適用条文まで正確に選ぶことが必要です。

一時転用でも権利移動を伴えば5条

農地を一時的に資材置場や砂利採取場として使用する場合でも、農地以外へ利用する以上は転用として扱います。その一時転用のために土地を借りたり取得したりすれば権利移動・設定もあるため、5条を確認します。平成6年問27の肢3は、この一時性を利用したひっかけです。

一時的でも転用である

農地を半年間だけ砂利採取場にする場合でも、その半年間は耕作目的ではなく農地以外の用途へ使用しています。将来農地へ戻す予定があるからといって、利用期間中の転用という事実がなくなるわけではありません。期間ではなく用途を中心に判断します。

自己所有農地を一時的に資材置場へ使うだけなら権利移動がないため4条です。他人から農地を借りて同じ資材置場へ使用するなら賃借権設定が加わるため5条となります。一時転用という点は同じでも権利関係によって条文が変わります。

一時転用を比較します。この表を見る目的は、「一時的だから許可不要」という誤った判断を防ぐことです。権利移動の有無を使って4条・5条を選びます。

利用方法転用権利移動・設定条文
自分の農地を一時資材置場へありなし4条
他人の農地を借りて一時資材置場へありあり5条
他人の農地を借りてそのまま耕作なしあり3条
自分の農地をそのまま耕作なしなし3~5条の中心問題ではない

この表では、利用期間の長短を条文選択に使わないことが重要です。一時的か恒久的かより、農地外利用かどうか、そのために権利を取得するかを確認します。平成6年問27でも「一時的に借り受ける」という二条件を分解して考えてください。

例題5

農地を1年間だけ駐車場として使用するため他人から借りる場合、一時的なので5条許可は問題にならない。

解答・判断ポイント

正解:×

一時的でも農地外利用なら転用です。さらに賃借権設定があるため5条を確認します。

誤肢分析

誤っている語句

「一時的なので5条許可は問題にならない」

正しい修正

「一時転用でも権利設定を伴えば5条を確認する」

この誤肢は期間の短さを転用の例外として扱っています。用途と権利関係を優先してください。

宅建試験ではここが狙われやすい

一時転用では、一時的という言葉を許可不要の理由にする誤肢が頻出型です。実際には一時的でも転用であり、そのために土地を買う・借りるなら5条となるため、期間の短さは5条から外れる理由になりません。

また、借りるという言葉だけを見て3条へ誘導する問題にも注意します。耕作目的の賃貸借なら3条ですが、砂利採取や駐車場などへの転用目的なら5条なので、貸借→利用目的→転用の有無まで読んで判断してください。

山林原野を農地にする行為は農地転用ではない

農地法5条では、現在の土地が農地又は採草放牧地であるかを最初に確認する必要があります。山林原野を造成して農地にする行為は、農地を農地以外へ変える行為ではないため、農地転用とは逆方向だからです。平成6年問27の肢2は、この対象土地と方向を利用しています。

農地は耕作の目的に供される土地

農地法上の農地は、耕作の目的に供される土地を基本として判断します。平成6年問27の資料では「山林原野」は農地に該当せず、その所有権移転について農地法3条許可は不要と整理されています。

さらに山林原野を造成して農地にすることは、農地を農地以外へ変える農地転用ではありません。土地が農地へ変わる方向なので、4条・5条の「農地転用」という構造には当たりません。転用前の土地の状態を最初に確認してください。

農地転用の方向を比較します。この表を見る目的は、土地利用が変われば何でも農地転用という誤解を防ぐことです。出発点が農地かどうかを見ます。

変更前変更後農地転用
農地宅地該当
農地駐車場該当
農地資材置場該当
山林農地農地転用ではない
原野農地農地転用ではない

この表では、用途変更という言葉だけを見ないことが重要です。4条・5条の転用は農地等から非農地へ向かう変更であり、非農地から農地へ変える場合とは方向が逆です。問題文の現在の地目・現況から確認してください。

例題6

山林を購入して開墾し、畑として利用する場合は、土地利用を変更するので農地法5条の転用許可が必要である。

解答・判断ポイント

正解:×

現在の土地が農地ではなく、山林から農地へ変える行為は農地転用ではありません。農地から非農地へ変える5条とは方向が逆です。

誤肢分析

誤っている語句

「農地法5条の転用許可が必要」

正しい修正

「山林から農地へ変える行為は農地転用ではない」

この誤肢は用途変更と農地転用を同じ意味にしています。転用前の土地を確認してください。

宅建試験ではここが狙われやすい

対象土地では、土地利用を変更する行為をすべて農地転用とするひっかけが狙われます。農地法4条・5条の転用は、農地等を農地等以外へ変える方向を規制するため、山林・原野から農地へ変更する場合とは逆です。

さらに「登記地目が山林だから絶対に農地ではない」という別タイプの誤肢にも注意します。農地性は現況を中心に判断するため、問題文が単なる登記地目なのか、実際に山林原野として利用されているのかを確認し、現況→転用の方向という順番で処理してください。

国・都道府県等の転用は主体と目的を正確に確認する

国や都道府県等が農地を転用する場合には、通常の5条許可とは異なる特例が設けられています。ただし「地方公共団体ならすべて許可不要」という制度ではなく、主体が誰か、施設目的は何か、協議が成立しているかによって処理が変わります。平成6年問27の肢4は、この条件不足を利用した問題です。

「市町村」一般と「指定市町村」を区別する

現行制度では、農地転用許可権限について農林水産大臣が指定する指定市町村の制度があります。農林水産省も、指定市町村は都道府県知事に代わって農地転用許可を行う市町村として説明しています。 したがって、市町村という言葉を見ただけで指定市町村の特例を使ってはいけません。

平成6年問27の資料でも、「都道府県等」とは都道府県と指定市町村を意味し、市町村一般ではないと整理されています。肢4では主体が単なる「市町村」であり、さらに転用目的も農業用施設に限定されていないため、許可不要と断定できないことが誤りの理由です。

国・都道府県等でも目的によって扱いが異なる

現行の5条には、国又は都道府県等が一定の農業用施設の用に供するため権利を取得する場合など、許可を要しない場面があります。また、その他の一定の転用について国又は都道府県等と都道府県知事等との協議が成立すると、許可があったものとみなされる仕組みがあります。

したがって「国や自治体の事業なら5条許可は常に不要」と覚えるのは危険です。公共主体だからという理由だけでは結論を出さず、主体→施設目的→協議の有無まで確認してください。平成6年問27の肢4は、必要条件を省略した断定を見抜く問題です。

特例を比較します。この表を見る目的は、公共主体の名称だけで許可不要と判断しないことです。誰が何の目的で転用するのかを確認します。

問題文の条件判断ポイント
特例の内容を確認
都道府県許可不要・協議を確認
指定市町村「市町村一般」と区別
市町村一般特例を当然適用しない
一定の農業用施設許可不要となる場合を確認
その他の転用協議によるみなし許可を確認

この表では、行政主体と施設目的の両方が必要です。一方だけが書かれていても許可不要と断定できない場合があるため、選択肢に「必ず」「一切」「当然」といった表現があれば条件不足を疑ってください。

例題7

市町村が農地を取得して転用する場合は、転用目的にかかわらず必ず農地法5条許可が不要である。

解答・判断ポイント

正解:×

市町村一般を指定市町村等と同一視できません。さらに転用目的や協議の有無も確認する必要があります。

誤肢分析

誤っている語句

「市町村なら転用目的にかかわらず必ず不要」

正しい修正

「主体・施設目的・協議など特例要件を確認する」

この誤肢は主体と目的の条件を省略しています。公共主体というだけで結論を固定しないでください。

宅建試験ではここが狙われやすい

公共主体の特例では、国・都道府県・市町村・指定市町村を入れ替える方法が狙われます。名称が似ているため「地方公共団体なら同じ」と考えやすいものの、法令上の「都道府県等」には指定市町村という限定があるため、問題文の主体を正確に読む必要があります。

また、農業用施設の場合の許可不要と、その他の転用における協議のみなし許可を一つにまとめる誤肢にも注意します。誰が・何のために・どの手続をするのかという三条件を分ければ、「常に許可不要」という過度な一般化を切ることができます。

過去問分析

平成6年問27は、無許可の5条売買の効力、農地の定義、一時転用、公共主体の特例を一問で確認する問題です。正解1は、第5条許可を受けずにした転用目的の売買では所有権移転の効力が生じないという基本を正しく示しています。 この章では各肢を簡潔に処理し、どこを見れば正誤が決まるかを整理します。

最初に確認する語句

問題文では、5条許可なし、売買契約、山林原野、一時的、借り受ける、市町村、農業用施設を最初に確認します。肢1は無許可の効力、肢2は対象土地、肢3は一時転用、肢4は行政主体と特例として分類します。四肢で判断軸が違うことを先に確認してください。

平成6年(1994年)問27

問27

農地法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 農地法第5条の許可を要する農地の権利移転について、当該許可を受けないでした行為は、その効力を生じない。
  2. 農業者が山林原野を取得して、農地として造成する場合でも、農地法第3条の許可が必要である。
  3. 建設業者が農地を工事期間中資材置場として借り受け、工事終了後速やかに農地に復元して返還する場合、農地法第5条の許可を要しない。
  4. 市町村が転用目的で農地を取得する場合、国、都道府県と同様、その農地の所在及び転用目的のいかんにかかわらず、農地法の許可を要しない。

正解:1

解説

肢1は、農地法5条の許可が必要な転用目的の売買について、許可を受けずにした場合は所有権移転の効力が生じないという内容です。提供資料でも5条1項の許可を受けずにした売買では所有権移転の効力が生じず、3条の場合も同様と整理されています。

各肢の正誤理由

肢1 正しい
5条許可が必要な転用目的の売買では、必要な許可を受けなければ所有権移転の効力は生じません。農地法の許可は単なる行政上の手続ではなく、権利移転の効力に関係します。

肢2 誤り
山林原野は、その現況が農地でなければ農地の権利移動として3条を当然に要求する対象ではありません。また山林原野を農地へ造成する行為は、農地から非農地への転用ではないため4条転用にも該当しません。

肢3 誤り
一時的な利用でも農地以外の用途へ使用するなら転用です。その目的で農地を借り受ければ権利設定も伴うため、5条許可を確認します。

肢4 誤り
国又は都道府県等に関する特例は、主体や施設目的などの条件を確認する必要があります。単なる市町村一般で、転用目的も限定されていない文章から当然に許可不要とは判断できません。

問題作成者のひっかけポイント

この問題では、5条の基本を直接誤らせるより、対象土地・期間・主体という周辺条件を変更する方法が使われています。肢2では山林を農地扱いし、肢3では一時性を転用の例外とし、肢4では市町村一般を特例主体へ広げています。正解肢1だけは無許可の法律効果を正面から示しています。

特に肢3と肢4は「例外らしく見える事情」が置かれている点が特徴です。一時利用や公共団体の行為は規制が弱まりそうに見えますが、それだけで許可不要になるわけではなく、条文上の条件を満たしているかを確認する必要があります。もっともらしい例外ほど要件を一語ずつ確認することが重要です。

受験生が迷う理由

第5条は3条と4条を理解した後に学習するため、「権利移動なら3条」「転用なら4条」という二つの知識が先に定着しやすくなります。その結果、転用目的の権利移動を5条として一体的に処理せず、3条と4条を重ねたり一方だけを選んだりしやすくなります。5条は二条件の組合せとして独立させてください。

さらに農地法では、市街化区域、一時転用、国等の特例、採草放牧地など多くの例外が存在します。これらを個別暗記すると条件を入れ替えた肢に弱くなるため、原則を確定→例外条件を一つずつ確認という順番が必要です。平成6年問27は、この処理方法を確認する問題と考えられます。

正しい判断手順

平成6年問27では、最初に各肢がどの5条条件を問うかを分類します。その後に対象土地、転用目的、権利移動、例外主体の順で必要な条件だけを確認してください。細かな許可基準を四肢全部で検討する必要はありません。

・①現在の土地が農地等か確認する
・②農地等以外へ転用する目的があるか確認する
・③権利移動・設定を伴うか確認する
・④二つがそろえば5条を確認する
・⑤市街化区域なら届出特例を確認する
・⑥一時転用でも転用から外さない
・⑦無許可なら権利移転の効力を確認する
・⑧国・都道府県等なら主体を正確に確認する
・⑨施設目的や協議など特例要件を確認する

この順番なら、肢1は⑦、肢2は①、肢3は②・③・⑥、肢4は⑧・⑨だけで判断できます。一肢ごとに確認事項を限定すれば、古い過去問でも現行制度と混同せず解きやすくなります。対象→転用→権利→例外という基本順序を使ってください。

類似問題で使える知識

肢2の山林を「現に耕作されている農地」へ変更すれば、土地の対象性から3条・4条・5条を改めて検討する必要があります。肢3で「借り受ける」を削り、所有者本人が一時転用する設定へ変更すれば、権利移動がなくなるため5条ではなく4条になります。条件一つで条文が変わることを確認してください。

肢4でも主体を「市町村」から「指定市町村」へ変えるだけでは、目的や協議など残りの条件によって結論が変わる場合があります。「公共団体なら全部不要」という暗記ではなく、主体・目的・手続の三点をセットで確認することが類似問題への対応になります。

宅建試験ではここが狙われやすい

平成6年問27では、5条の原則を崩す例外らしい言葉が多く使われています。一時的、山林原野、市町村という言葉を見て即断すると誤りやすく、農地等からの転用か、権利移動を伴うか、特例主体に正確に該当するかを確認する必要があります。

正解肢1では、必要な5条許可を欠く売買の所有権移転効力が問われています。契約成立だけで所有権が動くという一般的な不動産取引の感覚を使わず、農地法の許可を先に確認することが正解を見抜く判断手順です。

一問一答|過去問の肢レベルで確認

ここでは、5条、3条・4条との比較、無許可の効力、一時転用、市街化区域、公共主体の特例を本試験レベルで確認します。単純な条文定義だけでなく、平成6年問27で使われた対象行為・主体・例外の入れ替えを中心にしています。誤りの場合は、どこを直せば正しい文章になるかまで確認してください。

問題1
農地を購入し、取得後も農地として耕作を続ける場合は、農地法5条許可を確認する。
正解:×
転用がないため3条を確認します。
誤っている語句
「5条許可」
正しい修正
「農地のまま権利移動するため3条を確認する」

問題2
自己所有農地を自分で駐車場へ変更する場合は、転用なので5条許可を確認する。
正解:×
権利移動がないため4条です。
誤っている語句
「5条許可」
正しい修正
「自己転用なので4条を確認する」

問題3
農地を住宅建築目的で買い受ける場合は、転用と所有権移転があるため5条を確認する。
正解:○
5条の基本的な判断です。

問題4
農地を借りて資材置場として利用する場合、所有権移転がないため5条は適用されない。
正解:×
賃借権設定も権利設定なので5条を確認します。
誤っている語句
「所有権移転がないため5条は適用されない」
正しい修正
「転用目的の賃借権設定も5条を確認する」

問題5
市街化区域内の農地を住宅建築目的で買う場合、5条の対象ではあるが農業委員会への届出特例を確認する。
正解:○
条文と手続を分けて判断します。

問題6
市街化区域内では5条許可が不要なので、農地法上の手続も一切不要である。
正解:×
農業委員会への届出を確認します。
誤っている語句
「手続も一切不要」
正しい修正
「市街化区域内では5条の届出を確認する」

問題7
5条許可が必要な農地売買を無許可で行っても、当事者間では所有権移転の効力が生じる。
正解:×
必要な許可を欠けば権利移転の効力は生じません。
誤っている語句
「所有権移転の効力が生じる」
正しい修正
「必要な5条許可を欠けば所有権移転の効力は生じない」

問題8
農地を半年間だけ砂利採取場として使用するため他人から借りる場合、一時的なので5条許可は不要である。
正解:×
一時転用でも権利設定を伴えば5条です。
誤っている語句
「一時的なので不要」
正しい修正
「一時転用でも転用目的の権利設定なら5条を確認する」

問題9
自己所有農地を一時的に工事用資材置場へ転用する場合は、権利移動がないため4条を確認する。
正解:○
一時性ではなく権利移動の有無で4条・5条を分けます。

問題10
山林を買い受け、開墾して農地にする行為は農地転用なので5条許可が必要である。
正解:×
山林から農地への変更は農地転用とは逆方向です。
誤っている語句
「農地転用なので5条許可」
正しい修正
「非農地から農地へ変える行為は5条の農地転用ではない」

問題11
採草放牧地を転用目的で取得する場合は、第5条の対象となり得る。
正解:○
5条は農地だけでなく採草放牧地も対象にします。

問題12
市町村が転用目的で農地を取得する場合は、その市町村が指定市町村か、目的や協議が何かにかかわらず必ず許可不要である。
正解:×
公共主体の特例には主体・目的・協議などの条件があります。
誤っている語句
「市町村なら必ず許可不要」
正しい修正
「主体・目的・協議など特例要件を確認する」

宅建試験ではここが狙われやすい

一問一答で確認したように、第5条では転用か権利移動のどちらか一方だけを見て条文を決める誤りが中心です。5条は二つの条件が同時に存在する制度なので、問題文を読んだら「転用○・権利移動○」と二つチェックを付ける方法が有効です。

さらに、一時転用、市街化区域、公共主体という例外条件を使った誤肢にも注意します。これらの条件は5条そのものを消すとは限らず、許可から届出・協議へ変える場合や、一定の条件でのみ許可不要となる場合があります。条文の適用と手続の種類を別々に判断することが必要です。

FAQ

第5条では、家族間の貸借、短期間の転用、市街化区域、採草放牧地、公共主体など複数条件が重なると判断しにくくなります。ここでは本文の単純な定義を繰り返さず、本試験で迷いやすい境界事例を扱います。迷った場合は対象土地→転用目的→権利移動→区域・例外の順番へ戻ってください。

Q1.親の農地を子が無償で借り、駐車場として使用する場合は無償なので5条ではありませんか?
有償か無償かだけで5条の適用を決めません。転用目的で使用貸借等の権利設定をするなら、5条の適用関係を確認します。

Q2.農地を買った後、数年間耕作してから将来住宅を建てる予定なら最初から5条ですか?
契約時点でどの目的による権利取得なのかを問題文から確認します。将来の可能性だけで機械的に5条とせず、転用目的の権利取得として設定されているかを判断してください。

Q3.市街化区域内の農地なら、買って住宅を建てても5条ではありませんか?
転用目的の所有権移転なので5条の対象です。ただし市街化区域内では原則的な許可ではなく農業委員会への届出を確認します。

Q4.農地を1日だけ駐車場として借りる場合でも5条ですか?
短期間という事情だけで転用から外れません。農地外利用のため権利設定をするなら、一時転用として5条を確認します。

Q5.山林を買って農地にする場合は、農地を作るのだから農地法5条ですか?
5条の転用は農地等から非農地へ変える方向です。山林から農地へ変更する行為は、その意味での農地転用ではありません。

Q6.国や地方公共団体が行う農地転用なら必ず5条許可不要ですか?
主体だけでは結論を出せません。国・都道府県等に関する許可不要や協議の制度は、主体、施設目的、協議などの条件を確認して判断します。

宅建試験ではここが狙われやすい

境界事例では、無償・短期間・公共目的といった事情を単独の許可不要条件にするひっかけが狙われます。第5条の基本は転用目的と権利移動の組合せなので、まず原則に該当するかを確定し、その後で本当に例外要件を満たすかを確認してください。

また、市街化区域では5条そのものが消えるのではなく手続が届出へ変わる点が重要です。公共主体についても同じで、許可不要・協議・許可のどれになるかを条件ごとに分け、「5条対象か」と「どの手続か」を二段階で処理することが得点につながります。

まとめ

農地法第5条許可では、最初に農地等を転用する目的があり、そのために権利を設定・移転するかを確認します。転用なしの権利移動なら3条、自己転用なら4条、転用目的の売買・賃貸借なら5条となり、市街化区域内では5条の届出特例を確認します。山林原野から農地へ変える行為は農地転用とは逆方向なので、現在の土地の状態も先に確認してください。

平成6年問27では、5条許可を受けない売買の所有権移転効力、一時転用、山林原野、国・都道府県等の特例が問われています。正解1は、必要な5条許可を受けずにした転用目的の売買では所有権移転の効力が生じないという基本を正しく示しています。

宅建試験ではここが狙われやすい

試験直前には、5条=転用目的の権利移動、3条=転用なしの権利移動、4条=自己転用という三本柱を確認します。ひっかけでは、一時的だから転用ではない、市街化区域なら5条自体が適用されない、市町村なら必ず許可不要、無許可でも所有権は移るという原則・例外の逆転に注意してください。最終的には対象土地→転用目的→権利移動→区域→許可・届出・協議→無許可の効果という順番を固定することが、農地法5条の過去問攻略につながります。

 ここが出る突破ポイント  権利関係  宅建業法  法令上の制限  税・その他
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