宅建業法の8種制限における手付金等では、手付金の額の上限と、手付金等の保全措置を別々に判断することが最初のポイントです。平成2年問40第4肢では、保全措置を講じていても代金の20%を超える手付金を受領できないことが問われています。この章では20%上限、保全措置、35条・37条との違い、業者間取引を整理します。
手付金等の問題で失点しやすいのは、「保全措置をしたから高額な手付金でも受領できる」と考えてしまうことです。しかし資料では、手付金の額そのものには代金の20%という上限があり、保全措置はこの上限を引き上げる制度ではありません。額の上限と保全措置の要否を二段階で判断する必要があります。
平成2年問40では、第1肢は契約不適合責任の業者間特例、第2肢は35条と37条、第3肢は損害賠償額の予定、第4肢は手付金の20%上限が問われています。正解は4であり、特に第4肢では売買代金4,000万円の20%である800万円を超え、1,000万円の手付金を受領している点が違反です。保全措置が講じられているという条件に引っ張られず、まず20%上限を確認してください。
問題文を読んだら最初に何を見るか
手付金等の8種制限では、最初に宅建業者が自ら売主となり、買主が宅建業者ではないかを確認します。8種制限はこの対象関係を確認してから具体的な数字や保全措置へ進む必要があります。この章では、平成2年問40を解くときの入口判断を整理します。
次に確認するのが、問題文で問われているのが「手付金の額」なのか「手付金等の保全措置」なのかという違いです。手付金の額には20%上限があり、保全措置は一定の場合に受領した金銭を保護するための別の規制です。両者を一つの制度として処理すると、第4肢のような誤肢に引っかかります。
さらに、問題文に35条書面や37条書面が登場する場合は、保全措置の説明・記載事項を区別します。資料では保全措置の概要は35条の重要事項ですが、37条書面の記載事項には含まれていません。手付金等→35条か37条か→20%か保全措置かと論点を分類してください。
問題文で注目する語句を整理します。この表を見る目的は、数字より先に何の制度が問われているかを確定することです。特に「20%」「保全措置」「35条」「37条」を分けて読んでください。
| 問題文の語句 | 判断ポイント |
|---|---|
| 宅建業者が自ら売主 | 8種制限の入口 |
| 買主が宅建業者ではない | 8種制限を適用 |
| 買主も宅建業者 | 業者間特例を確認 |
| 手付金 | 代金の20%上限を確認 |
| 保全措置 | 上限とは別に判断 |
| 代金4,000万円 | 20%=800万円 |
| 手付金1,000万円 | 20%超過か確認 |
| 35条 | 保全措置の概要を説明 |
| 37条 | 保全措置は記載事項ではない |
| 損害賠償額の予定 | 業者間か確認 |
この表では、20%という数字を見つけた時点で「保全措置があるから例外」と考えないことが重要です。保全措置をしても、手付金そのものの20%上限は別に確認します。問題文に二つの条件が並んでいる場合は、それぞれどの規制に属する条件かを分けてください。
本試験では次の順番で処理します。対象者→制度分類→数字→例外という順番にすると、平成2年問40の各肢を短時間で判断できます。この処理順は手付金等だけでなく、8種制限全般に使えます。
・① 売主が宅建業者か確認する
・② 買主も宅建業者か確認する
・③ 手付金の額か保全措置か分類する
・④ 手付金なら代金の20%を計算する
・⑤ 保全措置の有無を別に確認する
・⑥ 35条・37条が出たら記載・説明事項を分ける
・⑦ 業者間なら8種制限の適用除外を確認する
この順番では、最初から「保全措置をしているか」だけを見るのではありません。20%を超える手付金であれば、保全措置を講じたことだけで受領可能にはなりません。上限→保全措置の順番を固定してください。
宅建試験ではここが狙われやすい
手付金等では、20%上限と保全措置を同じ規制として見せるひっかけが最も狙われます。「保全措置を講じた場合は20%を超えて受領できる」とする文章は、二つの正しい知識を誤って接続しています。本試験では、保全措置の有無より先に手付金額が20%以内かを確認してください。
さらに、35条と37条の入れ替えにも注意します。保全措置の概要は35条の重要事項として扱いますが、37条書面の記載事項ではありません。👉 対象者→20%上限→保全措置→35条・37条の順番で確認すると、数字と書面の両方のひっかけに対応できます。
手付金の額の上限|代金の20%を超えられない
宅建業者が自ら売主となり、買主が宅建業者ではない場合、受領できる手付金の額には代金の20%という上限があります。平成2年問40第4肢では、売買代金4,000万円に対し手付金1,000万円を受領しているため、この上限を超えています。この章では、20%の数字と対象を整理します。
4,000万円の20%は800万円です。したがって、一般買主との取引で受領できる手付金は800万円までとなり、1,000万円を受領することはできません。ここで保全措置が講じられているかどうかは、20%上限の判定とは別です。
この論点で重要なのは、「20%」を手付金の上限として覚えるだけでなく、何についての20%なのかを確認することです。基準となるのは売買代金であり、手付金そのものへさらに別の割合を掛けるわけではありません。売買代金×20%=手付金の最大額と整理します。
数字を比較します。この表を見る目的は、平成2年問40第4肢でどの数字が上限かを一目で確認することです。保全措置とは別に、この計算を最初に行ってください。
| 項目 | 金額 |
| 売買代金 | 4,000万円 |
| 20% | 800万円 |
| 受領した手付金 | 1,000万円 |
| 判断 | 200万円超過 |
この表では、1,000万円という金額が保全されているかではなく、そもそも受領可能な上限を超えているかを確認します。800万円を超えた時点で、第4肢の結論は違反となります。数字が出たら保全措置の前に20%計算をしてください。
例題1
売買代金4,000万円の宅地について、宅建業者が一般買主から受領できる手付金の上限は800万円である。
解答・判断ポイント
正解:○
4,000万円×20%=800万円です。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
平成2年問40第4肢の基本計算です。
例題2
売買代金4,000万円の場合、保全措置を講じれば1,000万円の手付金を受領できる。
解答・判断ポイント
正解:×
保全措置を講じても、手付金の20%上限を超えることはできません。
誤肢分析
誤っている語句
「保全措置を講じれば1,000万円」
正しい修正
「手付金は800万円以下」
保全措置を20%上限の例外に変えた誤肢です。
例題3
手付金の20%上限は、売買代金ではなく保全措置の対象額を基準に計算する。
解答・判断ポイント
正解:×
基準となるのは売買代金です。
誤肢分析
誤っている語句
「保全措置の対象額」
正しい修正
「売買代金」
割合の基準となる金額を入れ替えた誤肢です。
例題4
売買代金4,000万円で手付金800万円を受領する場合は、手付金の額の上限だけを見れば20%以内である。
解答・判断ポイント
正解:○
800万円は代金の20%です。別途、保全措置の要否は必要に応じて確認します。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
上限判定と保全措置を分けるための問題です。
宅建試験ではここが狙われやすい
20%上限では、割合そのものより例外条件の追加が狙われます。「保全措置を講じた場合」「買主が同意した場合」「書面で承諾した場合」などを加え、20%を超えられるように見せる文章に注意してください。手付金の上限そのものは、これらの事情だけで引き上がりません。
また、20%を「保全措置をしなければならない割合」と混同させる誤肢にも注意します。👉 代金×20%=手付金の上限と固定し、その後に保全措置の要否を別判定してください。数字の役割を一つに限定すると、似た割合との混同を防げます。
手付金等の保全措置|20%上限とは別の規制
手付金等の保全措置は、宅建業者が受領した金銭について買主を保護するための規制です。しかし、保全措置を講じることと、受領できる手付金額の上限は別問題です。この章では、第4肢のひっかけを中心に両者を比較します。
資料では、第4肢で保全措置を講じたとしても、代金の20%を超える1,000万円の手付金を受領することはできないとされています。つまり、保全措置は20%上限を解除する制度ではありません。「保全済みだから大丈夫」という判断をしないことが重要です。
この論点では、二つの規制を順番に見ると整理しやすくなります。最初に手付金の額が20%以内かを確認し、その後にその手付金等について保全措置が必要な場面かを判断します。受領可能額の判定と保護方法の判定を分けることがポイントです。
比較表で整理します。この表を見る目的は、20%上限と保全措置の役割を区別することです。どちらも手付金等に関係しますが、正誤判断の対象が異なります。
| 比較 | 手付金の額の制限 | 保全措置 |
| 何を決めるか | 受領できる最大額 | 受領した金銭の保護 |
| 基本数字 | 代金の20% | 別途要件を確認 |
| 保全措置で20%超可能か | 不可 | 上限解除ではない |
| 平成2年問40 | 第4肢 | 第2・第4肢に関連 |
この表では、保全措置をしたかどうかが20%計算の結果を変えないことを確認してください。受領する手付金が上限を超えているなら、その時点で第4肢は違反です。制度名が似ているため、一つの計算へまとめないことが必要です。
例題5
手付金等の保全措置を講じれば、手付金額についての20%上限は適用されない。
解答・判断ポイント
正解:×
保全措置と20%上限は別の規制です。
誤肢分析
誤っている語句
「20%上限は適用されない」
正しい修正
「保全措置を講じても20%上限は超えられない」
二つの制度を条件と例外の関係に変えた誤肢です。
例題6
手付金等の問題では、まず受領額の上限を確認し、その後に保全措置の要否を確認する。
解答・判断ポイント
正解:○
判断順を分けることで制度の混同を防げます。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
本試験での処理手順を確認する問題です。
宅建試験ではここが狙われやすい
保全措置では、保全したことを受領額上限の解除条件へ変えるひっかけが最も典型的です。保全措置という買主保護策を実施しているため、より多く受領しても問題なさそうに見えますが、20%上限は別に残ります。本試験では「保全措置あり」という安心感に引っ張られないでください。
また、逆に20%以内なら保全措置は常に不要とする文章にも注意します。👉 20%は上限、保全措置は別判定と役割を分けてください。同じ手付金等の規制でも、何を制限しているのかを確認することが重要です。
保全措置と35条|重要事項として説明する
資料では、手付金等の保全措置の概要は35条の重要事項の一つとされています。したがって、売買契約を締結するまでの間に、買主へ重要事項として説明する必要があります。この章では、第2肢で問われた35条と37条の違いを整理します。
保全措置があるか、どのような保全措置を講じるのかは、契約前に買主が判断するための重要な情報です。そのため35条の重要事項説明として扱われます。平成2年問40第2肢では、この部分自体は正しい内容です。
ここで注意するのは、35条で説明する事項だから37条書面にも必ず記載するとは限らないことです。資料では、手付金等の保全措置は37条書面の記載事項には含まれていません。35条で説明する=37条にも記載するという推測をしないでください。
比較表で整理します。この表を見る目的は、保全措置について35条と37条で何が違うかを確認することです。第2肢ではこの違いだけで正誤を切れます。
| 項目 | 35条 | 37条 |
| 手付金等の保全措置 | 重要事項として説明 | 記載事項ではない |
| 時期 | 契約締結前 | 契約成立後 |
| 本問の判断 | 必要 | 記載しなくても違反しない |
この表では、同じ契約に関する書面でも役割が違うことを確認してください。35条は契約前の判断材料、37条は成立した契約内容を示す書面として扱います。問題文で「保全措置」という語句が出たら、どちらの書面が問われているかを確認してください。
例題7
手付金等の保全措置の概要は、35条の重要事項として契約締結前に説明する。
解答・判断ポイント
正解:○
資料に示された内容です。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
第2肢の前半を確認する問題です。
例題8
手付金等の保全措置は35条の重要事項なので、37条書面にも必ず記載しなければならない。
解答・判断ポイント
正解:×
資料では37条書面の記載事項には含まれていません。
誤肢分析
誤っている語句
「37条書面にも必ず記載」
正しい修正
「37条書面の記載事項には含まれない」
35条の説明事項を37条へ移した誤肢です。
宅建試験ではここが狙われやすい
35条と37条では、同じ情報を両方の書面に当然記載すると思わせるひっかけが狙われます。手付金等の保全措置は35条では重要事項ですが、37条では記載事項ではありません。本試験では「何の情報か」だけでなく「どの書面か」を確認してください。
さらに、説明時期と交付時期の入れ替えにも注意します。👉 保全措置→35条→契約前、37条→記載不要と整理すると、第2肢型の誤肢を切りやすくなります。35条と37条は似ていても、すべての事項が共通するわけではありません。
業者間取引|8種制限は適用されない
平成2年問40第1肢と第3肢では、売主・買主とも宅建業者である業者間取引が設定されています。資料では契約不適合責任の特約制限や損害賠償額の予定に関する8種制限は、業者間取引には適用されません。この章では、手付金等の記事で必要な範囲に限定して業者間特例を整理します。
第1肢では契約不適合責任の期間を引渡しから1年とする特約をしています。一般買主なら資料上「引渡しから2年以上」とする特約以外は無効ですが、買主も宅建業者なのでこの制限は適用されません。そのため第1肢は違反しないと判断します。
第3肢でも、売主・買主がともに宅建業者です。損害賠償額の予定についての20%制限は業者間取引には適用されないため、その制限を理由とする違反にはなりません。20%や2年という数字より先に、買主の属性を確認することが重要です。
比較表で整理します。この表を見る目的は、同じ8種制限でも一般買主と業者間で適用関係が変わることを確認することです。数字だけを絶対ルールとして覚えないでください。
| 論点 | 一般買主 | 業者間 |
| 契約不適合責任の特約 | 制限あり | 8種制限適用なし |
| 損害賠償額の予定 | 20%制限あり | 8種制限適用なし |
| 手付金等 | 8種制限を確認 | 業者間特例を確認 |
この表では、業者間なら宅建業法のすべての規制がなくなると考えないことが必要です。あくまで8種制限の適用関係を確認しているため、35条・37条など別制度は個別に判断します。対象者を確認した後に制度分類してください。
例題9
売主・買主とも宅建業者である場合、契約不適合責任の期間を引渡しから1年とする特約でも8種制限には違反しない。
解答・判断ポイント
正解:○
業者間取引には8種制限が適用されません。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
平成2年問40第1肢と同じ判断です。
例題10
業者間取引でも、損害賠償額の予定は必ず代金の20%以内でなければならない。
解答・判断ポイント
正解:×
8種制限の20%規制は業者間には適用されません。
誤肢分析
誤っている語句
「業者間取引でも」「必ず」
正しい修正
「一般買主との取引では」
20%という正しい数字を対象外の取引へ移した誤肢です。
宅建試験ではここが狙われやすい
業者間取引では、一般買主に対する数字や期間をそのまま使うひっかけが狙われます。1年・2年・20%などの数字が見えても、買主が宅建業者なら8種制限そのものを適用しない場合があります。本試験では数字より先に買主の属性を確認してください。
ただし、業者間だから35条・37条などすべての規制までなくなるわけではありません。👉 買主属性→8種制限か→数字を使うかという順番で判断してください。業者間特例の適用範囲を広げないことが重要です。
損害賠償額の予定|「予定した場合」の20%
平成2年問40第3肢では、損害賠償額の予定に関する規制も扱われています。資料では、一般買主との取引で損害賠償額を予定し、または違約金を定める場合、その合算額が代金の20%を超える定めをすることが禁止されます。この章では、損害賠償の実額と予定額を区別します。
重要なのは、この20%規制が「実際に発生した損害額の賠償は20%まで」という意味ではないことです。資料では、損害賠償額の予定をそもそも定めていない場合、本来の原則どおり債務不履行による実際の損害額を賠償することになります。したがって、損害が20%を超えたという事実だけでこの規制に違反するとは限りません。
この点は手付金の20%上限と混同しやすい部分です。手付金では受領額そのものの上限ですが、損害賠償額では「予定または違約金として事前に定める額」の合算が問題になります。同じ20%でも何についての数字かを確認してください。
比較表で整理します。この表を見る目的は、手付金20%と損害賠償予定20%を区別することです。数字が同じでも規制対象が違います。
| 20%の論点 | 何を制限するか |
| 手付金 | 受領できる手付金の額 |
| 損害賠償額の予定 | 予定額・違約金の合算 |
| 実際の損害額 | 予定を定めていない場合は別判断 |
この表では、20%という数字を一つの制度としてまとめないでください。平成2年問40では、第3肢と第4肢に似た数字の知識が登場するため、規制対象を区別できるかが重要です。問題文の「予定」「手付金」という名詞を最初に確認してください。
例題11
一般買主との売買で損害賠償額の予定と違約金を定める場合、その合算額は代金の20%を超えることができない。
解答・判断ポイント
正解:○
資料に示された一般買主の場合の規制です。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
損害賠償額の予定についての20%を確認する問題です。
例題12
損害賠償額の予定を定めていない場合でも、実際の損害賠償額は必ず代金の20%までである。
解答・判断ポイント
正解:×
資料では20%制限は予定額・違約金を定める場合の規制です。
誤肢分析
誤っている語句
「実際の損害賠償額は必ず20%まで」
正しい修正
「損害賠償額を予定し、または違約金を定める場合の合算額に20%制限がある」
予定額と実損額を入れ替えた誤肢です。
宅建試験ではここが狙われやすい
同じ20%が出るため、手付金の20%上限と損害賠償額の予定の20%を混同するひっかけが狙われます。手付金は受領額そのもの、損害賠償は予定・違約金の定めが対象です。本試験では20%の直前にある制度名を確認してください。
さらに、「実際の損害額」まで20%に制限されるように文章を広げる誤肢にも注意します。👉 20%→何についての20%か→業者間か一般買主かの順番で確認してください。数字を単独で暗記せず、対象となる行為とセットにすることが必要です。
過去問分析
平成2年問40では、8種制限と35条・37条の違いを一問で横断的に確認しています。第1肢は契約不適合責任、第2肢は手付金等の保全措置と書面、第3肢は損害賠償額の予定、第4肢は手付金の20%上限です。この章では、各肢のどの語句が正誤を分けているかを簡潔に整理します。
本問の正解は4です。第1・第3肢は業者間取引なので8種制限が適用されず、第2肢は保全措置が37条記載事項ではないため違反しません。第4肢だけは、保全措置を講じても20%上限を超える1,000万円を受領しているため違反します。
最初に確認する語句
問題文では、業者間取引、引渡しから1年、保全措置、35条・37条、損害賠償額の予定、手付金1,000万円を最初に確認します。
平成2年(1990年)問40
宅地建物取引業者Aは、自ら売主として工事完了前のマンションをBに4,000万円で売却する契約を締結した。この場合において、次の記述のうち、宅地建物取引業法に違反するものはどれか。
- Aは、宅地建物取引業者であるBと、当該マンションが種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を負う期間について、当該マンションの引渡しの日から1年とする特約を結んだ。
- Aは、宅地建物取引業者でないBに、宅地建物取引業法第41条に規定する手付金等の保全措置の概要について、同法第35条に規定する重要事項として説明したが、同法第37条に規定する書面には記載しなかった。
- Aは、宅地建物取引業者であるBと、売買契約において損害賠償額の予定の定めをしなかったが、Bが債務を履行しなかったので、3,000万円を損害賠償金として受領した。
- Aは、宅地建物取引業者でないBから、手付金として1,000万円を受領し、その際保険事業者と保証保険契約を締結して、当該保険証券をBに交付した。
正解:4
解説
第1・第3肢は業者間取引、第2肢は35条と37条、第4肢は手付金20%上限を確認します。手付金等の記事では、第4肢の「保全措置をしても20%を超えられない」が中心です。
各肢の正誤理由
各肢は同じ8種制限という括りだけで処理せず、対象者・書面・金銭の種類を分けます。特に第2肢と第4肢にはどちらも保全措置が関係しますが、問われている規制は同じではありません。第2肢は書面、第4肢は受領できる額が問題です。
◆1(違反しない)
売主・買主とも宅建業者なので業者間取引です。契約不適合責任に関する8種制限は適用されず、引渡しから1年とする特約でも宅建業法には違反しません。
◆2(違反しない)
手付金等の保全措置の概要は35条の重要事項なので、契約締結前に説明する必要があります。しかし37条書面の記載事項ではないため、37条に記載しなくても違反しません。
◆3(違反しない)
業者間取引なので、損害賠償額の予定に関する8種制限は適用されません。さらに資料では、損害賠償額の予定をそもそも定めていない場合は20%規制の対象ではない点も補足されています。
◆4(違反する)
売買代金4,000万円の20%は800万円です。保全措置を講じても、上限を超える1,000万円の手付金を受領することはできません。
問題作成者のひっかけポイント
第1肢では「引渡しから1年」という一般買主なら問題になる数字を使っています。しかし買主も宅建業者なので、数字を検討する前に8種制限の適用除外を確認する必要があります。数字自体ではなく対象者を変更したひっかけです。
第2肢では、「保全措置は重要事項」という正しい知識から、37条書面にも記載する必要がありそうに見せています。実際には35条では説明事項ですが、37条書面の記載事項ではありません。一つの正しい事項を別の書面へ移す典型的な誤肢です。
第3肢では20%という数字を連想させます。しかし業者間取引であることに加え、資料では損害賠償額の予定を定めていない場合の実損額まで20%へ制限するものではないと説明されています。20%という数字の適用対象を確認できるかがポイントです。
第4肢では「保全措置を講じた」という買主保護に有利な事情を付けています。これにより、高額な手付金でも安全だから受領できるように感じさせますが、20%上限は別規制です。保全措置あり=上限解除と誤って結び付けさせるのが最大のひっかけです。
受験生が迷う理由
本問が迷いやすい理由は、20%という数字が複数の論点で登場することです。手付金の上限と損害賠償額の予定では、同じ割合でも制限対象が異なります。数字だけを覚えていると、第3肢と第4肢を同じ基準で処理してしまいます。
さらに、手付金等の保全措置は35条にも登場するため、8種制限だけで完結しません。第2肢では説明事項、第4肢では受領額との関係が問われるため、「保全措置」という同じ語句でも確認ポイントが異なります。問題文では語句ではなく、その語句がどの制度の中で使われているかを確認してください。
正しい判断手順
第1肢では最初に業者間取引と確認し、契約不適合責任の8種制限を外します。第2肢では保全措置という語句から35条・37条のどちらが問われているかを確認し、37条記載不要と判断します。この二肢では20%計算は不要です。
第3肢では業者間取引であることを確認して20%制限を外します。第4肢では一般買主との取引として4,000万円×20%=800万円を計算し、1,000万円は上限超過と判断します。保全措置があることはこの上限判定を変えません。
類似問題で使える知識
類似問題では、手付金について「20%」「保全措置」という語句が同時に出たら二段階へ分けます。まず額の上限、次に保全措置という順番です。どちらか一方の条件を満たしたから他方も満たすとは考えません。
また、35条と37条が同時に出た場合は、同じ事項が両方に必要かを確認します。手付金等の保全措置は35条の重要事項ですが、37条書面の記載事項ではありません。同じ情報=両書面共通と推測しない方法は、他の書面問題にも使えます。
宅建試験ではここが狙われやすい
平成2年問40では、同じ数字・同じ語句を別制度へ移す誤肢が中心です。20%は手付金と損害賠償額の予定で意味が異なり、保全措置は35条では説明事項でも37条では記載事項ではありません。正しい数字や用語が含まれている肢ほど、その対象を確認してください。
第4肢では特に、「保全措置をした」という正しい行為を20%上限の例外へ変えています。👉 買主属性→手付金額→20%→保全措置の順番で確認すれば、同じ型の誤肢に対応できます。制度内容を覚え直すより、どこを接続されると誤りになるかを見ることが重要です。
一問一答|過去問の肢レベルで確認
ここでは8種制限の手付金等について、20%上限、保全措置、35条・37条、業者間取引を組み合わせた本試験型の問題を確認します。単純な定義問題だけでなく、平成2年問40で使われた「正しい条件の誤接続」を中心にしています。誤りの場合は、どこを直せば正しい文章になるかまで確認してください。
問題1
売買代金4,000万円の場合、一般買主から受領できる手付金の上限は800万円である。
正解:○
4,000万円×20%=800万円です。
問題2
売買代金4,000万円について、保全措置を講じれば1,000万円の手付金を受領できる。
正解:×
保全措置を講じても20%上限を超えることはできません。
誤っている語句
「保全措置を講じれば1,000万円」
正しい修正
「手付金は800万円以下」
問題3
手付金の20%上限と保全措置の要否は別々に判断する。
正解:○
20%上限は受領額、保全措置は受領した金銭の保護に関する規制です。
問題4
保全措置を講じていれば、手付金の額について上限は存在しない。
正解:×
20%上限は残ります。
誤っている語句
「上限は存在しない」
正しい修正
「代金の20%が上限となる」
問題5
手付金等の保全措置の概要は35条の重要事項として扱われる。
正解:○
契約締結前に説明する事項です。
問題6
手付金等の保全措置は35条の重要事項なので、37条書面にも必ず記載する。
正解:×
37条書面の記載事項ではありません。
誤っている語句
「37条書面にも必ず記載」
正しい修正
「37条書面には記載しなくてもよい」
問題7
手付金等の保全措置を37条書面に記載しなかっただけで、宅建業法違反となる。
正解:×
資料では37条書面の記載事項ではありません。
誤っている語句
「宅建業法違反となる」
正しい修正
「記載しなくても違反しない」
問題8
売主・買主とも宅建業者なら、契約不適合責任に関する8種制限は適用されない。
正解:○
業者間取引だからです。
問題9
業者間取引でも、契約不適合についての通知期間は必ず引渡しから2年以上としなければならない。
正解:×
8種制限は業者間取引には適用されません。
誤っている語句
「業者間取引でも」「必ず」
正しい修正
「一般買主との取引では」
問題10
一般買主との売買で損害賠償額の予定と違約金を定める場合、その合算額は代金の20%が上限となる。
正解:○
損害賠償額の予定に関する20%規制です。
問題11
損害賠償額の予定をしていなくても、実際に発生した損害の賠償額は必ず代金の20%以下となる。
正解:×
資料では20%制限は予定額・違約金を定める場合の規制です。
誤っている語句
「実際に発生した損害の賠償額は必ず」
正しい修正
「損害賠償額を予定し、または違約金を定める場合は」
問題12
手付金の20%と損害賠償額の予定の20%は、同じ数字でも規制対象が異なる。
正解:○
手付金は受領額、損害賠償額は予定・違約金の合算が対象です。
問題13
買主が宅建業者である場合も、手付金等に関する8種制限を一般買主と同じように適用する。
正解:×
業者間取引では8種制限の適用関係が変わります。
誤っている語句
「一般買主と同じように」
正しい修正
「業者間取引では8種制限の適用除外を確認する」
問題14
35条と37条では、同じ売買契約に関する事項なら必ず同じ内容を記載・説明する。
正解:×
事項によって35条だけに必要なものがあります。
誤っている語句
「必ず同じ内容」
正しい修正
「各書面・説明事項を個別に確認する」
問題15
平成2年問40第4肢では、1,000万円が保全されているかより先に、20%上限を確認する。
正解:○
4,000万円の20%は800万円なので上限超過です。
問題16
平成2年問40第2肢では、保全措置が37条書面の記載事項かどうかが判断ポイントになる。
正解:○
資料では記載事項ではありません。
問題17
平成2年問40第1肢は、引渡しから1年という数字だけを見れば違反と判断できる。
正解:×
買主も宅建業者なので8種制限は適用されません。
誤っている語句
「数字だけを見れば」
正しい修正
「買主が宅建業者かを先に確認する」
問題18
手付金等の記事では、保全措置という語句が出たら必ず20%上限の例外を疑う。
正解:×
保全措置は20%上限の例外ではありません。
誤っている語句
「20%上限の例外」
正しい修正
「20%上限とは別の規制」
問題19
手付金の額が20%以内でも、保全措置については別に確認が必要な場合がある。
正解:○
20%以内であることだけで、保全措置の要否まで決まりません。
問題20
8種制限の手付金等では、「誰との取引か→20%→保全措置」の順で確認するとよい。
正解:○
対象者と二つの規制を分けて判断できます。
一問一答で最も注意したいのは、20%という同じ数字を別論点へ移すことと、保全措置を上限解除へ変えることです。数字や制度名自体は正しいため、一部だけ読めば正解に見える肢が作られます。何の20%か、保全措置が何を変える制度なのかを確認してください。
宅建試験ではここが狙われやすい
本試験では、「保全措置あり」「20%」「35条」という正しい語句を並べ、語句同士の関係だけを誤らせる選択肢が狙われます。保全措置があるから20%超過可能、35条の事項だから37条にも必須という文章が典型です。正しい単語が多いほど、単語同士の接続を確認してください。
また、業者間取引では数字をそもそも使わない場合があります。👉 対象者→制度→数字→例外の順番で確認してください。正しい数字を知るだけではなく、その数字を使う取引かまで判断することが重要です。
FAQ
手付金等では、20%以内なら必ず受領できるのか、保全措置があれば上限を超えられるのか、35条と37条で同じ扱いになるのかが迷いやすいポイントです。FAQでは本文の単純な言い換えを避け、平成2年問40から派生する境界的な判断を整理します。迷った場合は「額の上限」と「保全措置」を別々に確認してください。
Q1.手付金が代金の20%以内なら、保全措置は一切考えなくてよいですか?
そのようには判断できません。20%以内かどうかは手付金額の上限判定であり、保全措置の要否は別に確認します。
Q2.保全措置を講じれば20%上限を超えられますか?
超えられません。平成2年問40第4肢では、保全措置を講じても1,000万円の受領はできないとされています。
Q3.買主本人が1,000万円の手付金を希望した場合はどうなりますか?
今回の資料では、20%上限を買主の希望によって解除できるとは示されていません。4,000万円の売買なら800万円を超える手付金は受領できないと判断します。
Q4.手付金1,000万円の全額について完璧な保全措置がある場合でも違反ですか?
平成2年問40第4肢の資料では違反です。保全の程度ではなく、手付金額が20%上限を超えていることが問題になります。
Q5.35条で説明した事項は37条にも必ず書くのですか?
必ずではありません。手付金等の保全措置は35条の重要事項ですが、資料では37条書面の記載事項ではありません。
Q6.37条書面に保全措置を書いてはいけないという意味ですか?
今回の資料が示しているのは、37条書面の法定記載事項ではないため、記載しなかったことだけでは違反しないという点です。記載禁止という意味までは資料からは示されていません。
Q7.一般買主なら損害賠償の実額も20%までですか?
資料ではそうではありません。20%制限は損害賠償額を予定し、または違約金を定める場合の合算額についての規制です。
Q8.手付金の20%と損害賠償予定の20%は同時に合算しますか?
今回の資料では、それぞれ別の規制として扱われています。手付金と損害賠償額の予定を一つの20%枠としてまとめないでください。
Q9.業者間取引なら20%という数字は全部無視してよいですか?
8種制限の適用関係については業者間特例を確認しますが、「宅建業法上すべての20%規制がない」と一般化しないでください。問題ごとに制度を特定する必要があります。
Q10.平成2年問40第1肢の1年特約が違反しないのは、1年でも十分だからですか?
理由は買主も宅建業者だからです。一般買主の場合の特約制限を業者間取引へ適用しないことがポイントです。
Q11.第2肢で最初に見るのは保全措置が実施されたかどうかですか?
本肢では書面上の扱いが中心です。保全措置の概要が35条の重要事項で、37条の記載事項ではないことを確認します。
Q12.第4肢で最初に見るのは保全措置の内容ですか?
先に手付金額を見ます。4,000万円×20%=800万円なので、1,000万円はその時点で上限を超えています。
Q13.20%ちょうどなら違反ですか?
今回の資料では「20%を超える」手付金が受領できないとされています。したがって20%ちょうどは、額の上限だけを見れば超えていません。
Q14.このテーマで最も先に見るべき言葉は何ですか?
「買主が宅建業者か」「手付金はいくらか」「保全措置」という三点です。特に20%上限と保全措置を同じ制度として処理しないことが重要です。
FAQで共通するのは、一つの条件を満たしただけで他の規制までクリアしたと考えないことです。20%以内だから保全措置不要、保全措置ありだから20%超過可能という両方向の誤りに注意してください。制度ごとに何を判定しているのかを確認します。
宅建試験ではここが狙われやすい
境界問題では、上限ちょうど・上限超過・保全措置ありという条件を組み合わせることで誤肢が作られます。特に20%超過なのに「保全措置あり」を強調する文章は、平成2年問40第4肢と同じ型です。本試験では、安心材料に見える条件より法定上限を先に確認してください。
さらに、書面問題では「35条で必要だから37条でも必要」という推測を狙われます。👉 買主属性→手付金20%→保全措置→35条・37条の順番で確認してください。正しい知識を別制度へ広げないことが、手付金等の得点ポイントになります。
まとめ
この論点では、手付金の20%上限と保全措置の入れ替え・誤接続が最も狙われます。特に「保全措置を講じれば20%を超えて受領できる」という文章や、35条の保全措置を37条にも必須とする肢に注意してください。本試験では、まず手付金額が代金の20%以内かを確認します。
平成2年問40では、4,000万円の20%は800万円であり、保全措置をしていても1,000万円の手付金は受領できないことが正解の決め手です。👉 買主属性→20%上限→保全措置→35条・37条の順番で確認すれば、同じ数字や語句を使った誤肢にも対応できます。本文を覚え直すより、どの正しい知識を別の制度へつなげると誤りになるかを確認してください。
