営業保証金の供託は、宅建業法で供託・届出・事業開始の順番を入れ替えて出題されやすい頻出論点です。さらに、主たる事務所を移転した場合の保管替え、有価証券の評価、還付後の不足額供託まで組み合わせると、数字だけの暗記では正解できません。この記事では、平成20年問34を中心に、問題文のどこを見て判断するかを整理します。
営業保証金では、宅建業者が自ら供託所へ供託する点が保証協会制度との大きな違いです。主たる事務所は1,000万円、その他の事務所は1か所500万円という金額だけでなく、どこの供託所へ供託するかまで確認する必要があります。現在の本試験でも、営業保証金は主たる事務所につき1,000万円、その他の事務所につき500万円です。
問題文を読んだら最初に何を見るか
営業保証金の問題では、最初に宅建業者が今どの段階にいるのかを確認します。免許取得直後、事務所新設後、主たる事務所移転後、還付後では必要な手続と期限が異なるからです。この章では、出来事、供託、届出、事業開始という順番で問題文を処理する方法を整理します。
本試験では、営業保証金という言葉を見た瞬間に1,000万円・500万円を思い出すだけでは足りません。問題文中の「事務所を新設」「主たる事務所を移転」「還付」「有価証券」という語句によって、使う規定が変わります。まず出来事を分類し、その後に供託方法や期限を当てはめます。
次の順番で問題文を処理すると、制度を横断したひっかけにも対応しやすくなります。特に事務所新設では、営業保証金を供託しただけでは新設事務所で事業を開始できない点に注意します。供託した旨を免許権者へ届け出た後に、初めてその事務所で事業を開始できます。
・何が起きたのか確認する
・新規開業か、事務所新設か確認する
・主たる事務所の移転か確認する
・営業保証金の供託が必要か確認する
・供託先が主たる事務所の最寄りか確認する
・供託後の届出が必要か確認する
・届出後でなければ事業開始できないか確認する
・還付後なら不足額の供託期限を確認する
この順番では、供託と届出を別々の手続として見ることが重要です。営業保証金を必要額だけ供託していても、法定の届出をしないまま営業を開始できるわけではありません。平成20年問34の肢1も、この手続順序を逆転させることで誤肢が作られています。
問題文で注目する語句
営業保証金では、主たる事務所・その他の事務所・最寄りの供託所・届出・還付という語句に注目します。数字だけでなく、供託先、供託物、手続時期を一部分だけ変更した誤肢が多いためです。この表では、指定過去問を解くために反応すべき言葉を整理します。
| 問題文の語句 | 判断ポイント |
|---|---|
| 主たる事務所 | 1,000万円・供託所の基準 |
| その他の事務所 | 1か所500万円 |
| 新たに事務所を設置 | 追加供託を確認 |
| 主たる事務所の最寄り | 営業保証金の供託先 |
| 供託した旨の届出 | 事業開始前に必要 |
| 届出前に事業開始 | 誤りを疑う |
| 主たる事務所を移転 | 保管替え・二重供託を確認 |
| 金銭のみ | 保管替え |
| 有価証券を含む | 新供託後に旧供託を取戻し |
| 国債証券 | 額面100%評価 |
| 地方債証券等 | 評価割合を確認 |
| 還付 | 不足額供託を確認 |
| 通知から2週間 | 不足額供託の期限 |
この表では、「2週間」という数字だけで判断しないことが重要です。営業保証金では、事務所新設時の供託後の届出にも2週間が出てきますが、還付後の不足額供託でも2週間という期限が問題になります。 何についての2週間かを必ず確認します。
判断手順
事務所新設の問題では、「新設→営業保証金を追加供託→免許権者へ届出→事業開始」という順番を固定します。この順序の途中を飛ばした肢は、金額や供託先が正しくても誤りになります。平成20年問34の肢1では、追加供託までは正しいものの、届出をしないまま新設事務所で事業開始できるとしているため誤りです。
主たる事務所移転の問題では、供託物が金銭のみかどうかを確認します。金銭のみなら保管替えを請求し、それ以外なら移転後の主たる事務所の最寄りの供託所へ新たに営業保証金を供託します。現行法29条も、この二つを明確に分けています。
還付の問題では、まず営業保証金が法定額より不足したかを確認します。不足した場合は、免許権者から不足額を供託すべき旨の通知を受け、通知書の送付を受けた日から2週間以内に不足額を供託します。指定過去問の肢4は、このルールを正しく述べています。
宅建試験ではここが狙われやすい
営業保証金では、出題者は正しい手続の順番を一か所だけ入れ替えることで誤肢を作ります。事務所新設なら「供託→届出→事業開始」が正しいところ、「供託→事業開始→届出」とすれば、金額や供託先を正しいまま残した自然な誤肢になります。文章を最後まで読まず、供託したという部分だけで○にしないことが必要です。
また、主たる事務所移転では「金銭のみ」と「有価証券を含む場合」を逆転させる問題が狙われます。金銭のみなら保管替えが可能ですが、有価証券を含む場合は新しい供託所へ新たに供託する必要があります。出来事→供託物→手続の順に判断すると、制度の条件を取り違えにくくなります。
営業保証金の基本ルール
営業保証金では、宅建業者自身が主たる事務所の最寄りの供託所へ必要額を供託します。主たる事務所について1,000万円、その他の事務所について1か所500万円を加算する仕組みです。この章では、金額、供託先、事業開始までの基本形を整理します。
営業保証金の金額
営業保証金の金額は、主たる事務所が1,000万円、その他の事務所が1か所500万円です。本店1か所と支店2か所なら、1,000万円+500万円×2で合計2,000万円を供託します。この計算は保証協会の分担金60万円・30万円と混同しないことが重要です。
次の表では、営業保証金と保証協会の分担金を最低限比較します。金額だけではなく、誰がどこへ金銭を出すのかまで確認することが目的です。二つの制度を同時に利用する通常の仕組みではないため、入口から区別してください。
| 比較項目 | 営業保証金 | 保証協会 |
| 主たる事務所 | 1,000万円 | 分担金60万円 |
| その他1事務所 | 500万円 | 分担金30万円 |
| 宅建業者の相手方 | 供託所 | 保証協会 |
| 供託する者 | 宅建業者 | 保証協会 |
| 事業開始 | 供託・届出後 | 所定の保証制度開始後 |
営業保証金については、宅建業者自身が供託所へ供託します。保証協会制度では、社員である宅建業者は分担金を保証協会へ納付し、保証協会が弁済業務保証金を供託します。この主体の違いを最初に確認すると、供託・納付の入れ替え問題を処理しやすくなります。
供託先は主たる事務所の最寄り
営業保証金は、支店ごとにそれぞれの最寄りの供託所へ分散して供託する制度ではありません。必要額の合計を、主たる事務所の最寄りの供託所へ供託します。事務所新設時に追加する500万円も、追加した支店の最寄りではなく主たる事務所の最寄りの供託所へ供託します。
例題1
宅建業者が本店のほかに支店を新設した場合、その支店分500万円は新設した支店の最寄りの供託所へ供託する。
解答・判断ポイント
正解:×
営業保証金の供託先は主たる事務所の最寄りの供託所です。支店を新設した場合でも、その支店の所在地を基準として供託所を決めるわけではありません。
誤肢分析
誤っている語句
「新設した支店の最寄りの供託所」
正しい修正
「主たる事務所の最寄りの供託所」
これは「その他の事務所について500万円」という金額の基準と、供託所の場所の基準を混同させる誤肢です。金額は支店数で増えますが、供託先は主たる事務所を基準にします。
供託しただけでは事業開始できない
営業保証金を供託した宅建業者は、その旨を免許権者へ届け出る必要があります。事業を開始できるのは、営業保証金を供託した旨の届出をした後です。事務所新設の場合も、追加の営業保証金を供託して届出をした後でなければ、その事務所で事業を開始できません。
例題2
宅建業者は支店分の営業保証金500万円を供託した時点で、その旨を免許権者へ届け出ていなくても支店で営業を開始できる。
解答・判断ポイント
正解:×
営業保証金を供託しただけでは足りず、その旨を免許権者へ届け出た後でなければ事業を開始できません。供託と届出を一つの手続として考えないことが重要です。
誤肢分析
誤っている語句
「供託した時点で営業を開始できる」
正しい修正
「供託した旨を届け出た後に営業を開始できる」
平成20年問34の肢1と同じひっかけです。出題者は供託自体を正しく書き、最後の事業開始時期だけを変更しています。
宅建試験ではここが狙われやすい
基本問題では、金額・供託先・事業開始時期の一つだけを変更する誤肢が作られます。主たる事務所1,000万円、その他500万円という金額が正しくても、供託先を支店所在地の最寄りに変えれば×です。さらに供託先まで正しくしても、届出前に営業開始できるとすれば×になります。
営業保証金問題は、一つの選択肢に複数の正しい知識が並ぶことが多いため、途中で○と決めないことが重要です。金額→供託先→届出→事業開始という順番で最後まで確認してください。特に事業開始時期は文章の後半に置かれやすく、前半の正しい情報に引っ張られない読み方が必要です。
事務所を新設した場合
事務所を新設した場合は、その事務所分の営業保証金を追加で供託する必要があります。その他の事務所については1か所500万円であり、供託先は新設事務所の最寄りではなく主たる事務所の最寄りの供託所です。この章では、追加供託から事業開始までの流れを本試験用に整理します。
追加供託が必要
本店だけで営業していた宅建業者が新たに支店を1か所設置する場合、500万円を追加で供託します。支店を2か所追加すれば1,000万円を追加するため、営業保証金額は事務所数の増減に応じて変動します。ここでは「免許時に一度供託すれば追加不要」という誤肢に注意します。
例題3
宅建業者が営業開始後に支店を新設しても、主たる事務所について1,000万円をすでに供託していれば追加供託は不要である。
解答・判断ポイント
正解:×
その他の事務所には1か所500万円が必要なので、新設支店分の営業保証金を追加します。主たる事務所の1,000万円は本店分であり、新設支店分まで含む固定額ではありません。
誤肢分析
誤っている語句
「追加供託は不要」
正しい修正
「新設したその他の事務所1か所につき500万円を追加供託する」
営業保証金額は免許取得時に固定されるわけではありません。事務所数が増えれば法定額も増えると判断します。
供託後は2週間以内に届出
事務所新設に伴って営業保証金を供託したときは、供託物受入れの記載のある供託書の写しを添付し、2週間以内に免許権者へ届け出る必要があります。現在の宅建業法26条2項も、供託後2週間以内の届出を定めています。 この2週間は「事業開始してから2週間」ではありません。
例題4
新設支店分の営業保証金を供託した宅建業者は、その支店で事業を開始した日から2週間以内に供託の届出をすればよい。
解答・判断ポイント
正解:×
届出をしてからでなければ新設支店で事業を開始できません。したがって、「事業開始後2週間」という順番そのものが逆になっています。
誤肢分析
誤っている語句
「事業を開始した日から2週間以内」
正しい修正
「営業保証金を供託した後2週間以内に届け出、その届出後に事業を開始する」
期限問題では数字の2週間だけで○にしないことが必要です。何を起点として、事業開始との前後関係がどうなっているかまで確認します。
新設時の流れ
事務所新設時は、手続を時系列に並べると判断しやすくなります。支店を設けただけで直ちに業務を開始できるわけではなく、営業保証金制度による取引相手保護を整えた後に営業へ進みます。次の順番を一続きで固定してください。
・事務所を新設する
・その他の事務所分500万円を追加供託する
・主たる事務所の最寄りの供託所へ供託する
・供託した旨を免許権者へ届け出る
・届出後に新設事務所で事業を開始する
この順番では、供託が先で届出が後です。ただし事業開始は届出より後なので、「供託したから営業開始」という短縮した覚え方は危険です。指定過去問の肢1は、この一段階を飛ばして誤りとなっています。
宅建試験ではここが狙われやすい
事務所新設では、手続順序を一つ前後させる問題が最も作りやすくなります。追加供託も500万円という金額も主たる事務所最寄りの供託所も正しく書き、最後だけ「届出前でも事業開始できる」と変更すれば、非常にもっともらしい誤肢になります。選択肢の前半だけを読んで判断しないことが必要です。
また、供託後2週間以内という届出期限を「事業開始後2週間以内」に変える方法にも注意します。数字は正しくても起算点と順番が違えば誤りです。新設→供託→届出→事業開始という四段階を固定すれば、金額や期限が変更されても同じ基準で判断できます。
主たる事務所を移転した場合
主たる事務所を移転して最寄りの供託所が変わった場合は、営業保証金が金銭のみか、それ以外を含むかで手続が変わります。金銭のみなら保管替えを請求できますが、有価証券を含む場合は移転後の最寄りの供託所へ新たに供託する必要があります。この章では、保管替えと二重供託の使い分けを整理します。
金銭のみなら保管替え
営業保証金を金銭のみで供託している場合は、主たる事務所の移転により最寄りの供託所が変われば、旧供託所へ保管替えを請求します。宅建業者がいったん全額を取り戻して自分で新供託所へ持っていく仕組みではありません。法29条は、遅滞なく保管替えを請求するよう定めています。
例題5
営業保証金を全額金銭で供託している宅建業者が、本店を移転して最寄りの供託所が変わった場合、移転後の供託所へ新たに同額を二重供託しなければならない。
解答・判断ポイント
正解:×
金銭のみで供託している場合は保管替えを請求します。新たに同額を供託する方法は、有価証券を含む場合などに問題となります。
誤肢分析
誤っている語句
「新たに同額を二重供託」
正しい修正
「旧供託所へ移転後の供託所への保管替えを請求」
これは金銭のみと有価証券を含む場合を逆転させた誤肢です。主たる事務所移転を見たら、まず供託物の種類を確認します。
有価証券を含む場合は新たに供託
営業保証金が金銭と有価証券、または有価証券のみで供託されている場合は、保管替えを利用することができません。移転後の主たる事務所の最寄りの供託所へ新たに営業保証金を供託し、その後に旧供託所の営業保証金を取り戻す流れになります。平成20年問34の肢2は、このルールに反して保管替えを利用できる趣旨となるため誤りです。
次の表は、主たる事務所移転時の判断を一目で確認するためのものです。供託物が何かという一問だけで、保管替えか新供託かを判断します。数字や事務所数を見る前に、金銭のみかどうかへ反応してください。
| 供託物 | 主たる事務所移転時の手続 |
| 金銭のみ | 保管替え |
| 金銭+有価証券 | 新供託→旧供託取戻し |
| 有価証券のみ | 新供託→旧供託取戻し |
この比較では、「有価証券が少しでも含まれるか」が境界になります。金銭が大部分で有価証券が一部だけという場合でも、金銭のみには該当しません。平成20年問34でも、金銭と国債証券で供託している設定から、新たな供託が必要と判断します。
新たに供託する理由
有価証券を含む場合は、営業保証金を移転後の供託所へ新たに供託してから、旧供託を取り戻します。先に旧供託を取り戻すと、一時的に法定額の営業保証金が存在しない状態が生じるためです。取引相手保護を途切れさせないため、新供託を先に行うと理解すると覚えやすくなります。
例題6
有価証券を含む営業保証金について本店移転で供託所が変わった場合、旧供託を先に取り戻してから移転後の供託所へ新たに供託する。
解答・判断ポイント
正解:×
新しい供託所へ先に営業保証金を供託し、その後に旧供託を取り戻します。順番を逆にすると、営業保証金による保護が途切れるためです。
誤肢分析
誤っている語句
「旧供託を先に取り戻してから」
正しい修正
「移転後の供託所へ新たに供託した後、旧供託を取り戻す」
主たる事務所移転では、手続の種類だけでなく順番もひっかけになります。二重供託という言葉は、一時的に新旧両方へ供託される状態を表すと理解してください。
宅建試験ではここが狙われやすい
主たる事務所移転では、金銭のみ=保管替え、有価証券あり=新供託の原則を逆転させる問題が中心です。問題文に「国債証券」「地方債証券」と書かれていれば、評価額だけでなく、移転時の手続にも影響する情報だと考えてください。供託物の種類には複数の意味があるため、読み飛ばさないことが必要です。
また、有価証券を含む場合の新供託と旧供託取戻しの順番も狙われます。旧供託を先に取り戻すことはできず、取引相手保護を維持するため新たな供託が先です。移転→供託物確認→保管替えか新供託→旧供託取戻しという処理順を固定してください。
有価証券の評価を攻略
営業保証金は金銭だけでなく、一定の有価証券を利用して供託することができます。ただし、有価証券は種類によって額面どおり評価されるとは限らず、国債、地方債等、その他の一定の有価証券で評価割合が異なります。この章では、平成20年問34の肢3を正解するための評価方法を整理します。
国債証券は100%評価
国債証券は、営業保証金に充てる場合に額面金額の100%で評価されます。したがって、額面1,000万円の国債証券なら、営業保証金1,000万円分として扱うことができます。この100%という基準は、地方債証券等との比較で問われやすくなります。
地方債証券等は90%評価
地方債証券や政府保証債証券などは、額面金額の90%で評価されます。額面1,000万円の地方債証券なら、営業保証金としての評価額は900万円です。平成20年問34の肢3では、額面1,000万円の国債を同額面の地方債へそのまま交換できるように述べているため、100万円不足して誤りとなります。
評価割合を比較すると、同じ額面でも営業保証金として認められる価値が異なることが分かります。次の表は、指定過去問で必要な数字を試験直前に確認するためのものです。有価証券の種類と割合を必ず一組で確認してください。
| 有価証券 | 評価割合 | 額面1,000万円なら |
| 国債証券 | 100% | 1,000万円 |
| 地方債証券等 | 90% | 900万円 |
| 一定の有価証券 | 80% | 800万円 |
この表では、額面金額と評価額を同じものとして扱わないことが重要です。問題文に「額面1,000万円」と書かれていても、そのまま営業保証金1,000万円分になるのは100%評価される国債などに限られます。評価割合を掛けてから法定額を満たすか確認します。
変換でも評価額が必要
すでに供託している営業保証金の供託物を別の有価証券へ変更する場合も、変更後の評価額が法定額を満たさなければなりません。国債1,000万円分を地方債額面1,000万円へ単純に変更すると、評価額が900万円になるため100万円不足します。指定資料では、この供託物の変更を「営業保証金の変換」と整理しています。
例題7
額面500万円の国債証券を、額面500万円の地方債証券へそのまま変換しても、営業保証金の評価額は変わらない。
解答・判断ポイント
正解:×
国債証券は100%なので500万円ですが、地方債証券等は90%なら450万円として評価されます。同じ額面でも評価額は50万円減少します。
誤肢分析
誤っている語句
「評価額は変わらない」
正しい修正
「有価証券の種類によって評価割合が異なる」
これは額面金額と営業保証金としての評価額を同一視させる誤肢です。証券の種類が変わったら評価割合を必ず再計算します。
変換後は届出も確認
営業保証金を変換するため新たに供託したときは、遅滞なく免許権者へ届け出る取扱いがあります。現行の施行規則15条の4の2も、営業保証金の変換のため新たに供託した場合の届出を定めています。 ただし本試験では、まず法定額を維持できているかという評価計算を優先してください。
宅建試験ではここが狙われやすい
有価証券の問題では、額面金額をそのまま営業保証金額として扱わせるひっかけが典型です。国債なら100%なので偶然一致しますが、地方債等やその他の一定の有価証券では評価割合を掛ける必要があります。そのため国債を基準に学習した受験者ほど、他の証券でも額面どおりと誤認しやすくなります。
さらに、有価証券の評価と主たる事務所移転時の手続を同時に問うこともできます。有価証券を含むという事実は、評価割合だけでなく保管替えを使えないという判断にも影響します。証券名→評価割合→法定額充足→移転なら新供託という複数の役割を意識してください。
還付後の不足額供託
営業保証金が取引相手への還付によって法定額を下回った場合、宅建業者は不足したまま放置することができません。免許権者から不足額を供託すべき旨の通知を受けたときは、通知書の送付を受けた日から2週間以内に不足額を供託します。この章では、平成20年問34の正解肢4を中心に、還付後の処理を整理します。
還付で不足した場合
営業保証金は、宅建業に関する取引によって生じた債権について一定の要件を満たす者への弁済に利用されます。その還付によって供託残高が法定額より不足した場合、宅建業者は不足額を補う必要があります。法定額は事務所数によって決まるため、還付後もその額を維持する必要があると理解してください。
通知後2週間以内
不足額の供託期限は、免許権者から送付された通知書を受けた日から2週間以内です。還付された日から2週間、取引相手が還付請求した日から2週間という意味ではありません。平成20年問34の肢4は、この期限を正しく述べているため正解となります。
例題8
営業保証金の還付によって法定額に不足が生じた場合、宅建業者は還付が行われた日から2週間以内に不足額を供託する。
解答・判断ポイント
正解:×
基準となるのは免許権者から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けた日です。2週間という数字だけは正しいため、起算点の違いを見落とさないようにします。
誤肢分析
誤っている語句
「還付が行われた日から」
正しい修正
「免許権者から通知書の送付を受けた日から」
これは数字を正しく残して起算点だけを変更する宅建業法の典型的なひっかけです。期間問題では「いつから」を必ず確認します。
不足額供託をしない場合
営業保証金の不足額を法定期限内に供託しないことは、監督処分につながる重大な違反です。指定資料では、業務停止処分の対象となり、情状が特に重い場合には免許取消処分を受ける可能性があると整理されています。 違反後の効果まで出された場合は、単なる過料だけの問題と考えないようにします。
例題9
営業保証金の不足額を期限内に供託しなくても、営業保証金制度上の義務違反にとどまり、業務停止処分の対象にはならない。
解答・判断ポイント
正解:×
不足額を供託しない場合は、業務停止処分の対象となり得ます。さらに情状が特に重い場合には、免許取消処分が問題となることもあります。
誤肢分析
誤っている語句
「業務停止処分の対象にはならない」
正しい修正
「業務停止処分の対象となり得る」
これは義務違反と監督処分を切り離して考えさせる誤肢です。期限問題では、期限後にどの法律効果が生じるかまで確認してください。
宅建試験ではここが狙われやすい
還付後の問題では、2週間という数字を正しくしたまま起算点だけ変更する方法が最も狙われます。還付日、通知日、通知書受領日という似た時点が並ぶため、数字だけを覚えていると判断できません。指定過去問では、通知書の送付を受けた日から2週間という正しい組合せがそのまま正解肢になっています。
また、不足額を供託しない場合の効果を軽く見せる誤肢にも注意します。営業保証金は取引相手保護の基礎となるため、法定額を回復しない状態は監督処分につながります。還付→不足→免許権者から通知→2週間以内に供託→違反なら処分という流れを固定すると、類似問題にも対応できます。
営業保証金と保証協会を比較
営業保証金と保証協会は、どちらも取引相手を保護する制度ですが、宅建業者が直接行う手続が異なります。営業保証金では宅建業者自身が供託所へ供託し、保証協会では宅建業者が分担金を保証協会へ納付します。この章では、指定テーマに直接関係する違いだけを整理します。
比較ポイント
営業保証金では主たる事務所1,000万円、その他500万円という法定額を供託します。保証協会制度では、社員が主たる事務所60万円、その他30万円の弁済業務保証金分担金を保証協会へ納付します。数字と相手方をセットで比較すると、制度の入れ替え問題を見抜きやすくなります。
| 比較項目 | 営業保証金 | 保証協会 |
| 宅建業者がする行為 | 供託 | 分担金納付 |
| 相手方 | 供託所 | 保証協会 |
| 主たる事務所 | 1,000万円 | 60万円 |
| その他1事務所 | 500万円 | 30万円 |
| 還付後 | 不足額供託 | 還付充当金等 |
| 制度から外れた場合 | 通常そのまま | 営業保証金へ移行 |
この表では、「営業保証金を保証協会へ納付する」「分担金を供託所へ供託する」という文章を疑ってください。金額が正しくても、行為や相手方が別制度へ入れ替わっていれば誤りです。営業保証金の記事では、保証協会制度を詳しく説明せず、この混同を防ぐ範囲で比較します。
還付後の処理も違う
営業保証金が還付されて不足した場合は、免許権者からの通知を受けて2週間以内に不足額を供託します。一方、保証協会では社員が還付充当金を保証協会へ納付する仕組みがあるため、同じ「還付後」でも手続先が違います。この差は、供託所と保証協会を入れ替えた誤肢を作る材料になります。
例題10
保証協会の社員でない宅建業者の営業保証金が還付された場合、宅建業者は不足額を保証協会へ納付する。
解答・判断ポイント
正解:×
営業保証金制度では、宅建業者自身が不足額を供託します。保証協会への納付という手続は、保証協会制度の金銭と混同しています。
誤肢分析
誤っている語句
「保証協会へ納付」
正しい修正
「所定の供託所へ不足額を供託」
営業保証金と保証協会は、どちらも取引相手保護の制度だからこそ相手方を交換した誤肢が自然に見えます。問題文では制度名を最初に確定してください。
宅建試験ではここが狙われやすい
比較問題では、営業保証金と保証協会の正しい数字・相手方・行為を横交換するひっかけが中心です。営業保証金1,000万円・500万円と分担金60万円・30万円を入れ替えるだけでなく、供託所と保証協会を交換する方法もあります。数字より先に「社員か非社員か」「どの制度を利用しているか」を確認してください。
また、還付後の2週間という共通性だけを見て同じ手続だと考えないことが必要です。営業保証金では不足額の供託、保証協会では還付充当金の納付というように、似た期限でも行為と相手方が異なります。制度→主体→相手方→数字の順番を固定すると、横断問題でも判断が安定します。
過去問分析
この過去問は、営業保証金について事務所新設、主たる事務所移転、有価証券の評価、還付後の不足額供託を一問で横断して判断させる問題です。正解は4であり、肢1から3はそれぞれ手続順序、保管替えの条件、有価証券の評価を変更した誤肢になっています。単一の数字暗記ではなく、出来事ごとに適用する規定を切り替えることが必要です。
最初に確認する語句
問題文では、事務所を新設、届出、主たる事務所を移転、国債証券、地方債証券、還付、2週間以内を最初に確認します。肢1は事務所新設、肢2は本店移転、肢3は有価証券評価、肢4は還付後の不足額供託というように論点を分類します。各肢の出来事が違うため、一つの営業保証金ルールだけで全肢を処理しないことが重要です。
平成20年(2008年)問34
正解:4
解説
正しい肢は4です。肢1は供託後の届出をしないまま事業開始できるとしている点、肢2は有価証券を含む営業保証金について保管替えを利用する点、肢3は国債と地方債証券の評価額を同一視している点が誤りです。肢4は還付後の不足額について通知書の送付を受けた日から2週間以内に供託する正しいルールを示しています。
各肢の正誤理由
◆1(誤り)
営業開始後にその他の事務所を新設した場合、その事務所について500万円の営業保証金を追加供託する必要があります。供託先を主たる事務所の最寄りの供託所とする部分も正しく、ここまでは問題ありません。誤りは、供託した旨を免許権者へ届け出ないまま新設事務所で事業を開始できるとしている点です。
事務所新設時は、営業保証金を供託した後に供託した旨を届け出、その届出後でなければ新設事務所で事業を開始できません。現行法26条も、供託後の届出と事業開始制限を規定しています。 したがって、肢1は手続の順番を一段飛ばした誤肢です。
◆2(誤り)
主たる事務所を移転し、最寄りの供託所が変更された場合は、営業保証金の供託物を確認します。金銭のみで供託しているなら保管替えが可能ですが、金銭と国債証券のように有価証券を含む場合は保管替えを利用できません。移転後の主たる事務所の最寄りの供託所へ新たに営業保証金を供託する必要があります。
現行法29条も、金銭のみなら保管替え、それ以外なら新たな供託という区別を維持しています。 本問では金銭と国債証券を使っているため、保管替えを前提とする内容は誤りです。
◆3(誤り)
国債証券は額面の100%で評価されるため、額面1,000万円なら営業保証金1,000万円分になります。一方、地方債証券等は額面の90%で評価されるため、額面1,000万円でも評価額は900万円です。したがって、額面1,000万円の国債証券を額面1,000万円の地方債証券へ単純に変換すると100万円不足します。
この肢では、証券の額面を同じにすることで価値も同じように見せています。しかし営業保証金では、法令上の評価割合を適用した後の金額が基準です。供託物を変換したときは評価額を再計算する必要があります。
◆4(正しい)
営業保証金の還付によって法定額に不足が生じると、免許権者から不足額を供託すべき旨の通知を受けます。その場合、通知書の送付を受けた日から2週間以内に不足額を供託しなければなりません。指定資料でも、この肢が正しいものとして整理されています。
ここで重要なのは、2週間の起算点が「還付の日」ではなく通知書の送付を受けた日であることです。期限内に不足額を供託しない場合は、業務停止処分の対象となり得ます。情状が特に重い場合には、免許取消処分につながる可能性もあります。
問題作成者のひっかけポイント
この問題では、4肢でまったく異なるタイプの誤肢が作られています。肢1は手続時期、肢2は原則と例外、肢3は評価割合、肢4は正しい期限という構成です。営業保証金という一つのテーマでも、数字だけでなく順番や供託物の種類まで理解しているかを確認する問題になっています。
特に肢1は、追加供託や供託先を正しく書いたうえで、最後の「届出前に事業開始」という部分だけを変更しています。肢2も「本店移転なら保管替え」という知識を知っている受験者に対し、有価証券を含む例外を見落とさせる構造です。肢3では、同じ額面金額という見た目を使って評価割合の違いを隠しています。
受験生が迷う理由
営業保証金は、開業時、新設時、移転時、還付時で適用される手続が変わるため、一つの暗記表では処理しにくい論点です。さらに、供託物が金銭か有価証券かによって本店移転時の手続まで変わるため、問題文に書かれた事実を拾い漏らすと誤答します。最初に「何が起きた問題か」を分類する必要があります。
また、2週間という数字が複数の場面で使われることも混乱の原因です。事務所新設時の供託後の届出と、還付後の不足額供託では、どちらも2週間が関係しますが、起算点と行為が違います。数字を見たら必ず「何についての2週間か」を確認してください。
正しい判断手順
本試験では、各肢を最初に出来事で分類します。事務所新設なら供託・届出・事業開始、本店移転なら供託物、有価証券なら評価割合、還付なら不足額と期限を確認します。この分類を先に行えば、一問の中で論点が大きく変わっても判断軸を失いません。
・肢1は事務所新設と分類する
・追加供託後の届出と事業開始順序を見る
・肢2は主たる事務所移転と分類する
・供託物が金銭のみか確認する
・肢3は有価証券の評価問題と分類する
・額面ではなく評価割合を掛ける
・肢4は還付後の不足額供託と分類する
・通知書受領後2週間以内か確認する
この手順なら、肢1は届出前の事業開始で×、肢2は有価証券を含むことで×、肢3は90%評価による不足で×と判断できます。残る肢4は通知書の送付を受けた日から2週間以内という正しい組合せなので○です。複雑な問題ほど、制度名ではなく出来事ごとに小分けして処理します。
類似問題で使える知識
類似問題では、本店と支店の数を変えて営業保証金総額を計算させる問題が考えられます。その場合も本店1,000万円、その他1か所500万円を当てはめ、すべて主たる事務所の最寄りの供託所へ供託するという基本は変わりません。保証協会の60万円・30万円を混ぜられていないか確認します。
主たる事務所移転では、金銭のみなら保管替え、有価証券を含むなら新供託という判断がそのまま使えます。有価証券の問題では額面ではなく評価額を確認し、還付問題では通知書を受けた日から2週間という起算点を固定します。指定過去問の4肢から、営業保証金の主要なひっかけを横断的に処理できます。
宅建試験ではここが狙われやすい
この過去問では、正しい原則に例外条件を追加した肢を見抜けるかが大きなポイントです。本店移転なら保管替えという知識だけでは肢2を切れず、「金銭のみの場合」という条件まで必要になります。有価証券が一部でも含まれていれば別の手続へ切り替わるため、問題文の細かな事実を無視できません。
さらに、手続や数字の一部分だけを変更する方法も確認できます。肢1は届出前の営業開始、肢3は評価割合、肢4は通知後2週間というように、正誤を決める語句は選択肢のごく一部です。出来事→条件→手続→数字の順番で読むことが、平成20年問34を安定して正解する判断方法です。
一問一答|過去問の肢レベルで確認
ここでは、営業保証金の金額だけでなく、事務所新設、本店移転、有価証券、還付を組み合わせた本試験レベルの肢を確認します。各問題では、数字だけでなく供託先や手続時期を確認することが必要です。×の場合は、どの語句を修正すれば正しい文章になるかまで確認してください。
問題1
宅建業者が本店1か所と支店2か所を有する場合、営業保証金は合計2,000万円である。
正解:○
本店1,000万円と支店2か所分1,000万円を合計します。営業保証金では本店1,000万円、その他の事務所1か所500万円を使います。
問題2
支店分の営業保証金は、その支店の最寄りの供託所へ供託しなければならない。
正解:×
営業保証金は主たる事務所の最寄りの供託所へ供託します。
誤っている語句「その支店の最寄りの供託所」
正しい修正「主たる事務所の最寄りの供託所」
問題3
宅建業者が新たに支店を設置した場合、その支店分500万円を追加供託する必要がある。
正解:○
その他の事務所1か所につき500万円を追加します。既存の本店分1,000万円だけでは足りません。
問題4
新設支店分の営業保証金を供託すれば、免許権者への届出前でもその支店で事業を開始できる。
正解:×
供託した旨を届け出た後でなければ事業を開始できません。
誤っている語句「届出前でも」
正しい修正「供託した旨を届け出た後に」
問題5
主たる事務所を移転して最寄りの供託所が変わった場合、営業保証金が金銭のみなら保管替えを請求する。
正解:○
金銭のみの場合の基本手続です。有価証券を含む場合と区別します。
問題6
営業保証金に国債証券が一部含まれていても、本店移転時は金銭のみの場合と同じく保管替えを利用できる。
正解:×
有価証券を含む場合は金銭のみには該当しません。
誤っている語句「保管替えを利用できる」
正しい修正「移転後の供託所へ新たに供託する」
問題7
額面1,000万円の国債証券は、営業保証金1,000万円分として評価される。
正解:○
国債証券は額面の100%で評価されます。地方債証券等との違いを確認します。
問題8
額面1,000万円の地方債証券等は、営業保証金として1,000万円分に評価される。
正解:×
地方債証券等は90%評価なら900万円となります。
誤っている語句「1,000万円分」
正しい修正「額面に所定の評価割合を掛ける」
問題9
額面1,000万円の国債証券を額面1,000万円の地方債証券等へ変換しても、営業保証金の評価額は変わらない。
正解:×
国債は100%、地方債証券等は90%なので評価額が変わります。
誤っている語句「評価額は変わらない」
正しい修正「証券ごとの評価割合によって評価額が変わる」
問題10
営業保証金の還付によって不足が生じた場合、免許権者から通知書の送付を受けた日から2週間以内に不足額を供託する。
正解:○
平成20年問34の正解肢に直結するルールです。
問題11
営業保証金の不足額は、還付が行われた日から2週間以内に供託する。
正解:×
起算点は免許権者から通知書の送付を受けた日です。
誤っている語句「還付が行われた日から」
正しい修正「通知書の送付を受けた日から」
問題12
営業保証金の不足額を法定期間内に供託しない場合でも、監督処分の対象にはならない。
正解:×
不足額供託義務違反は業務停止処分の対象となり得ます。
誤っている語句「監督処分の対象にはならない」
正しい修正「業務停止処分等の対象となり得る」
宅建試験ではここが狙われやすい
一問一答では、金額が合っているかだけで判断しないことが重要です。営業保証金では供託先、届出時期、事業開始時期、供託物の種類、還付後の起算点まで変更できます。正しい数字を使った誤肢ほど、本試験では見落としやすくなります。
特に2週間という数字を見た場合は、何の2週間なのかを確認してください。供託後の届出なのか、還付後の不足額供託なのかによって起算点と行為が異なります。数字→○×ではなく、出来事→手続→期限という順番で判断することが得点につながります。
FAQ
営業保証金では、供託所、事務所移転、有価証券など複数条件が重なると判断が止まりやすくなります。特に支店所在地と供託所、金銭と有価証券、本店移転と支店移転の違いは混同しやすい部分です。この章では、本文の単純な繰り返しではなく、試験中に迷いやすい境界事例を整理します。
Q1.支店を増やしたら、その支店所在地の供託所へ500万円を供託しますか?
いいえ。追加額は支店1か所500万円ですが、供託先は主たる事務所の最寄りの供託所です。金額を決める基準と供託場所を決める基準を分けます。
Q2.追加供託が終われば、その日のうちに支店で営業できますか?
供託しただけでは足りません。供託した旨を免許権者へ届け出、その届出後に事業を開始します。
Q3.本店が移転しても供託所が変わらなければ保管替えが必要ですか?
保管替え等が問題になるのは、主たる事務所の移転により最寄りの供託所が変更した場合です。単に住所が変わったという事実だけで機械的に保管替えを選びません。
Q4.国債が1円分でも含まれていたら保管替えは使えませんか?
判断の入口は「金銭のみで供託しているか」です。有価証券を含むなら金銭のみには該当しないため、新たな供託を行う側で処理します。
Q5.有価証券なら全部同じ割合で評価されますか?
違います。国債証券は100%、地方債証券等は90%など、種類によって評価割合が異なります。額面だけを比較しないようにします。
Q6.地方債証券の額面を国債と同じにすれば交換できますか?
同じ額面というだけでは足りません。評価割合が違うため、変更後も営業保証金の法定額を満たしているかを再計算します。
Q7.還付後は宅建業者が自分で不足に気付いた時から2週間ですか?
指定過去問で確認する基準は、免許権者から不足額供託の通知書の送付を受けた日から2週間です。還付日や自分で不足を認識した日へ置き換えないようにします。
Q8.保証協会に加入している宅建業者にも同じ営業保証金の供託が必要ですか?
保証協会の社員には別の保証制度が適用されるため、通常の営業保証金制度と同じ処理をしません。問題文で営業保証金制度か保証協会制度かを最初に確認してください。
宅建試験ではここが狙われやすい
FAQのような境界問題では、一つの語句だけを覚えて機械的に処理することが失点につながります。「支店=500万円」は正しくても、供託先まで支店所在地になるわけではありません。「本店移転=保管替え」も、金銭のみという条件が付いて初めて正しい判断になります。
有価証券と期間でも同じ考え方が必要です。「地方債=900万円」「2週間」と数字だけを覚えるのではなく、何に対する評価か、何の日から数える期限かを確認してください。条件を一段階追加して読む習慣が、営業保証金のひっかけを切るための中心になります。
まとめ
営業保証金では、最初に何が起きた問題なのかを確認します。事務所新設なら供託・届出・事業開始、本店移転なら供託物の種類、還付なら不足額供託の期限を確認します。数字を先に見るのではなく、出来事から使う制度を決めることが得点につながります。
本試験では、次の基準を試験直前に確認します。主たる事務所は1,000万円、その他の事務所は1か所500万円ですが、金額だけで正誤を判断してはいけません。供託先、届出、供託物、期限まで一続きで確認してください。
・営業保証金は主たる事務所の最寄りの供託所へ供託する
・支店新設時は1か所500万円を追加供託する
・追加供託後は届出をしてから事業を開始する
・本店移転時、金銭のみなら保管替えを行う
・有価証券を含むなら移転後の供託所へ新たに供託する
・国債証券は100%、地方債証券等は90%で評価する
・還付後の不足額は通知書受領後2週間以内に供託する
平成20年問34では、通知書の送付を受けた日から2週間以内に不足額を供託するとする肢4が正解です。肢1は届出前の事業開始、肢2は有価証券を含む場合の保管替え、肢3は有価証券の評価割合がひっかけになっています。
宅建試験ではここが狙われやすい
営業保証金では、正しい金額や数字を残し、手続順序や条件だけ変更する誤肢に注意します。特に「供託したから営業開始できる」「本店移転だから必ず保管替え」「同じ額面なら同じ価値」という短絡的な判断を避けてください。問題文では「出来事→条件→手続→数字」の順番を固定します。
平成20年問34は、この判断方法を一問で確認できる問題です。事務所新設、本店移転、有価証券、還付という四つの出来事を分ければ、それぞれの正誤判断は複雑ではありません。何が起きたかを先に分類することが、営業保証金の過去問を安定して正解する最終的な判断基準です。
