【宅建】権利関係 贈与契約とは? |頻出ポイント・ひっかけ問題・過去問攻略・一問一答

贈与契約は、宅建の権利関係で書面の有無・契約成立・負担付贈与・解除を組み合わせて問われる重要論点です。単に「無償で財産を与える契約」と覚えるだけでは、書面によらない贈与の効力や履行済み部分、負担付贈与の責任を正確に判断できません。この記事では、問題文を見る順番、比較ポイント、ひっかけの作られ方、平成21年問9の過去問攻略を中心に整理します。

目次

贈与契約とは

贈与契約は、贈与者が自己の財産を無償で相手方に与える意思を示し、受贈者が受諾することで成立する契約です。書面の作成や目的物の引渡しを契約成立の条件とする契約ではないため、まず意思表示が合致しているかを見る必要があります。この章では、贈与契約の基本構造と、本試験で最初に確認するポイントを整理します。

贈与契約は諾成契約であり、贈与者と受贈者の意思表示が合致すれば契約として成立します。したがって、書面を作成していないことだけを理由として「契約そのものが無効」と判断することはできません。書面の有無は、契約成立ではなく、その後に解除できる範囲を考える場面で重要になります。

問題文を読んだら最初に何を見るか

贈与契約の問題では、最初に贈与者・受贈者・書面の有無・履行状況を確認します。次に通常の贈与なのか負担付贈与なのかを区別し、その後に解除や担保責任などの法律効果を当てはめます。最後に、履行済み部分があるか、受贈者が負担を履行しているかまで確認してください。

本試験では、次の順番で処理すると判断しやすくなります。

・① 贈与者と受贈者を確認する
・② 贈与の合意が成立しているか確認する
・③ 書面による贈与か確認する
・④ 既に履行した部分があるか確認する
・⑤ 負担付贈与か確認する
・⑥ 担保責任・解除などの法律効果を確認する

この順序なら、「書面がないから無効」「無償だから贈与者には義務がない」という誤った判断を防げます。贈与契約の成立と、書面によらない場合の解除可能性は別の問題だからです。👉 成立→書面→履行→負担の有無という順番を固定してください。

問題文で注目する語句

贈与契約では、一つの選択肢に契約成立と解除の問題が混在することがあります。そこで、問題文の語句から何の論点を問われているかを最初に分類する方法が有効です。この表では、宅建で反応したい代表的な語句を整理します。

問題文の語句判断ポイント
無償で与える贈与契約を確認
相手方が受諾契約成立を確認
書面によらない解除可能性を確認
履行が終わった部分解除できない部分を確認
書面による贈与未履行部分でも解除不可を確認
負担付贈与売主と同様の責任を確認
負担を履行しない債務不履行・解除を確認
履行するのは自由契約成立後の義務を確認

表では、「書面」という語句が契約の有効・無効ではなく、解除の可否へつながる点を意識します。また、「負担」という言葉があれば通常の贈与と同じ処理をせず、負担付贈与に特有のルールを確認します。この分類を先に行えば、長い選択肢でも判断基準を絞り込めます。

宅建試験ではここが狙われやすい

贈与契約では、「書面がない」という事実を利用して、契約そのものが成立していないように見せる誤肢が作られやすくなります。しかし、贈与契約は諾成契約なので、書面の有無と契約成立を直結させてはいけません。出題者は成立要件と解除要件を入れ替えることで、もっともらしい誤肢を作ることができます。

さらに、「無償だから贈与者が履行するかどうかは自由」という日常的な感覚もひっかけになります。契約が成立すれば、贈与者には契約に基づく義務が生じるため、無償性だけで履行義務を否定できません。👉 無償かどうかではなく、契約が成立しているかを見ることが正解への基本です。

書面による贈与と書面によらない贈与

贈与契約では、書面によるかどうかで解除できる範囲が変わる点が重要です。書面によらない贈与では履行済み部分を除いて解除できますが、書面による贈与では未履行部分についても自由に解除できません。この章では、書面の有無と履行状況を組み合わせて判断する方法を整理します。

書面によらない贈与でも、契約自体は有効に成立します。その一方で、書面がない場合には各当事者が履行済み部分を除いて解除できるという特徴があります。したがって、「有効か無効か」と「解除できるか」を必ず別々に考えてください。

比較ポイント

書面による贈与と書面によらない贈与を比較すると、契約成立については共通し、解除可能性について差があることが分かります。試験では、この二つの場面を入れ替えることで誤肢が作られます。次の表で判断基準を整理します。

比較項目書面による贈与書面によらない贈与
契約成立意思表示の合致で成立意思表示の合致で成立
未履行部分自由に解除できない解除できる
履行済み部分解除できない解除できない
試験上の注意書面があるから成立するわけではない書面がなくても契約は有効

この表で最も重要なのは、書面によらない贈与でも契約は有効だという点です。違いが生じるのは主に解除の範囲であり、成立そのものではありません。書面という一語を見て直ちに「無効」へ進まないことが必要です。

例題1

書面によらない贈与契約は法律上無効であるため、贈与者は目的物を引き渡す義務を負わない。

解答・判断ポイント

正解:×

贈与契約は諾成契約なので、書面がなくても当事者の意思表示が合致すれば成立します。したがって、書面がないという理由だけで契約を無効とすることはできません。

誤肢分析

誤っている語句

「法律上無効」

正しい修正

「書面がなくても契約は有効に成立する」

書面の有無と契約成立の要件を混同させる問題です。

例題2

書面によらない贈与について、既に履行が終わった部分であっても、贈与者は自由に解除することができる。

解答・判断ポイント

正解:×

書面によらない贈与でも、既に履行が終わった部分については解除できません。解除できるのは、履行が終わっていない部分です。

誤肢分析

誤っている語句

「既に履行が終わった部分であっても」

正しい修正

「履行が終わっていない部分について解除できる」

書面によらない贈与の解除範囲を、履行済み部分にまで広げた問題です。

例題3

書面による贈与であっても、まだ履行していない部分であれば、贈与者は自由に解除できる。

解答・判断ポイント

正解:×

書面による贈与は、未履行部分であっても自由に解除できません。書面によらない贈与のルールと入れ替えないことが必要です。

誤肢分析

誤っている語句

「未履行部分であれば、自由に解除できる」

正しい修正

「書面による贈与は未履行部分でも自由に解除できない」

書面あり・書面なしの結論を逆転させる典型的な誤肢です。

宅建試験ではここが狙われやすい

書面の問題では、書面の有無と履行済みかどうかの二つを同時に確認する必要があります。出題者は「書面によらない」という正しい条件を置きながら、後半で「履行済み部分も解除できる」と範囲を広げることで誤肢を作れます。条件の一部が正しくても、法律効果の範囲まで正しいとは限りません。

また、「書面による贈与=契約成立」「書面によらない贈与=無効」という契約書中心の感覚にも注意してください。贈与契約は意思表示の合致で成立し、書面は成立要件ではありません。👉 書面を見たら有効性ではなく、まず解除範囲を見るという処理が本試験では有効です。

贈与契約は諾成契約

贈与契約は、贈与者と受贈者の意思表示が合致することで成立する諾成契約です。目的物を実際に引き渡した時点や、契約書を作成した時点で初めて成立する契約ではありません。この章では、契約成立時期と贈与者の履行義務を中心に整理します。

宅建では、「書面がないから贈与者が履行するかどうかは自由」という誤肢が作られます。しかし、贈与契約が成立した以上は、書面によらない場合でも契約関係が存在します。その後に解除できる可能性があることと、そもそも履行義務が存在しないことは別です。

成立と解除を分けて考える

贈与契約では、「契約は成立しているが解除できる場合がある」という二段階の理解が必要です。この構造を理解しないと、「解除できるなら最初から義務がない」と考えてしまいます。契約成立と解除は別々の時点で判断してください。

判断段階確認する内容
第1段階贈与者と受贈者の意思表示が合致したか
第2段階書面によるかどうか
第3段階既に履行した部分があるか
第4段階解除できる範囲を判断

この順番なら、書面によらない贈与でもまず契約成立を認め、その後に解除可能性を検討できます。契約が成立していないのか、成立した契約を解除できるのかでは法律上の意味が異なります。問題文のどの段階を問われているかを確認してください。

例題4

贈与契約は目的物を実際に引き渡した時に成立するため、贈与者と受贈者が口頭で合意しただけでは契約は成立しない。

解答・判断ポイント

正解:×

贈与契約は諾成契約なので、当事者の意思表示が合致した時点で成立します。目的物の引渡しを成立要件とする点が誤りです。

誤肢分析

誤っている語句

「目的物を実際に引き渡した時に成立」

正しい修正

「当事者の意思表示が合致した時に成立」

諾成契約と、引渡しを必要とする契約を混同させる問題です。

宅建試験ではここが狙われやすい

贈与は無償契約なので、「まだ何も受け取っていないなら約束に法的拘束力はない」と考えやすい点が狙われます。しかし、契約成立については有償・無償ではなく、贈与者と受贈者の意思表示の合致を見る必要があります。無償性を契約成立の弱さと結び付けないことが必要です。

さらに、解除可能性を契約成立の否定へすり替える誤肢にも注意します。「書面によらない贈与は解除できる」ことと、「書面によらない贈与は成立しない」ことは全く異なります。👉 成立してから解除を考えるという順番を固定すると、肢2型の問題を安定して処理できます。

負担付贈与とは

負担付贈与とは、受贈者に一定の負担を課したうえで財産を贈与する契約です。通常の無償贈与と比べて、受贈者側にも一定の義務が存在するため、担保責任や債務不履行の扱いが重要になります。この章では、負担付贈与の基本構造と、本試験で狙われる法律効果を整理します。

負担付贈与でも、贈与であること自体は変わりません。ただし、贈与者はその負担の限度において売主と同様の担保責任を負います。さらに、受贈者が負担を履行しない場合には、双務契約に関する規定との関係から解除が問題になります。

負担付贈与と通常の贈与を比較する

負担付贈与では、受贈者側にも一定の給付義務が存在するため、通常の贈与より売買などの双務契約に近い側面があります。この違いを利用して、宅建では担保責任や解除の可否が問われます。次の表で比較ポイントを整理します。

比較項目通常の贈与負担付贈与
受贈者の負担原則なし一定の負担あり
贈与者の責任贈与特有の扱い負担の限度で売主と同様の責任
負担不履行原則として問題にならない債務不履行が問題
契約解除書面等の論点を確認負担不履行による解除も問題

この表では、負担が付いたことで贈与契約が完全に売買契約になるわけではない点にも注意してください。あくまで贈与契約のまま、一定の範囲で売主と同様の責任や双務契約の規定が問題になります。契約類型と法律効果を分けて判断します。

贈与者の担保責任

負担付贈与では、贈与者は負担の限度において売主と同様の担保責任を負います。宅建では「贈与は無償だから贈与者は一切担保責任を負わない」とする誤肢が考えられます。負担付贈与という条件を見落とさないことが重要です。

指定過去問の正解肢も、この負担付贈与における贈与者の責任を問う内容です。問題文で受贈者にも何らかの義務が課されていれば、通常の贈与だけの知識で処理してはいけません。「負担の限度」という責任範囲まで確認してください。

例題5

負担付贈与であっても贈与は無償契約である以上、贈与者が売主と同様の担保責任を負うことはない。

解答・判断ポイント

正解:×

負担付贈与について、贈与者はその負担の限度において売主と同様の担保責任を負います。無償契約という理由だけで責任を全面的に否定することはできません。

誤肢分析

誤っている語句

「担保責任を負うことはない」

正しい修正

「負担の限度において売主と同様の担保責任を負う」

通常の贈与と負担付贈与を同一の責任範囲で処理させる問題です。

宅建試験ではここが狙われやすい

負担付贈与では、「贈与=無償」という基本知識を強く覚えているほど、贈与者の責任を軽く考えやすくなります。出題者は無償性を強調し、「一切責任を負わない」とすることで、負担付贈与に特有の規定を見落とさせることができます。負担の存在を確認したら、通常の贈与から判断基準を切り替える必要があります。

また、「売主と同様の責任」という部分だけを見て、贈与契約そのものが売買契約になると考えるのも誤りです。重要なのは、負担の限度において責任が強化される点です。👉 「負担付」という語句を見たら、契約類型ではなく責任範囲がどう変わるかを見ることが有効です。

負担付贈与と債務不履行による解除

負担付贈与では、受贈者が負担をその本旨に従って履行しない場合、贈与者による解除が問題になります。負担付贈与には、その性質に反しない限り双務契約に関する規定が準用されるからです。この章では、受贈者の負担不履行と契約解除の関係を整理します。

通常の贈与では、受贈者が反対給付を負わないため、このような債務不履行の構造は中心になりません。しかし、負担付贈与では受贈者に一定の負担があるため、その義務を履行しないことが法律上の問題になります。問題文では「負担を履行しない」「解除できない」という表現に注意してください。

双務契約に関する規定が準用される

負担付贈与には、その性質に反しない限り双務契約に関する規定が準用されます。そのため、受贈者が負担を本旨に従って履行しない場合には、贈与者が債務不履行を理由として契約を解除できることがあります。贈与だから解除できないと一律に処理しないことが重要です。

例題6

負担付贈与では、受贈者が約束した負担を全く履行しなくても、贈与者は贈与契約を解除することができない。

解答・判断ポイント

正解:×

受贈者が負担を本旨に従って履行しない場合、贈与者はその債務不履行を理由として契約を解除することが可能です。負担付贈与には双務契約に関する規定が問題になります。

誤肢分析

誤っている語句

「解除することができない」

正しい修正

「債務不履行を理由に解除できる場合がある」

通常の無償贈与と負担付贈与の法律効果を混同させる問題です。

宅建試験ではここが狙われやすい

負担付贈与の解除では、「贈与だから相手方に対する反対給付はない」という通常のイメージが利用されます。しかし、負担付贈与では受贈者が負担を履行する義務を負っているため、その不履行を無視することはできません。出題者は通常の贈与のイメージをそのまま負担付贈与へ当てはめさせようとします。

正誤判断では、「贈与」という契約名だけを見るのではなく、受贈者が何かをする義務を負っているかを確認してください。負担があれば、その履行状況と債務不履行による解除まで検討します。👉 契約名よりも当事者の具体的な義務を見ることが、負担付贈与の攻略につながります。

過去問分析

この過去問では、贈与契約について書面の有無・諾成契約・負担付贈与の担保責任・負担不履行による解除を区別できるかが問われています。四肢は同じ贈与契約をテーマとしていますが、それぞれ判断する制度が異なるため、一つの原則だけでは正解できません。この章では、各肢を論点ごとに分類し、どの語句を見れば判断できるかを整理します。

最初に確認する語句は、書面によらない贈与、履行済み部分、意思表示の合致、負担付贈与、担保責任、負担を履行しない、解除です。肢1は書面によらない贈与の解除、肢2は契約成立と履行義務、肢3は負担付贈与の担保責任、肢4は負担不履行による解除として分類します。この論点分類を最初に行うことが、正解3へ到達する最短ルートです。

平成21年(2009年)問09

問9

Aは、生活の面倒をみてくれている甥のBに、自分が居住している甲建物を贈与しようと考えている。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. AからBに対する無償かつ負担なしの甲建物の贈与契約が、書面によってなされた場合、Aはその履行前であれば贈与を解除することができる。
  2. AからBに対する無償かつ負担なしの甲建物の贈与契約が、書面によらないでなされた場合、Aが履行するのは自由であるが、その贈与契約は法的な効力を生じない。
  3. Aが、Bに対し、Aの生活の面倒をみることという負担を課して、甲建物を書面によって贈与した場合、甲建物の欠陥については、Aはその負担の限度において、売主と同じく担保責任を負う。
  4. Aが、Bに対し、Aの生活の面倒をみることという負担を課して、甲建物を書面によって贈与した場合、Bがその負担をその本旨に従って履行しないときでも、Aはその贈与契約を解除することはできない。

正解:3

解説

本問では、贈与契約の基本ルールだけでなく、書面の有無や負担付贈与という条件によって法律効果がどう変わるかが問われています。正しい肢3では、負担付贈与について贈与者が、その負担の限度において売主と同様の担保責任を負う点が判断の中心です。その他の肢は、書面によらない贈与の解除範囲、諾成契約としての成立、負担不履行時の解除について結論を誤っています。

各肢の正誤理由

各肢は同じ贈与という言葉を使っていますが、判断する順番は異なります。書面の問題なら履行状況、成立の問題なら意思表示、負担付贈与なら責任と受贈者の義務を確認します。選択肢を一度に読まず、何の論点を問う肢かを最初に特定してください。

肢1:誤り

書面によらない贈与は、履行が終わった部分を除いて各当事者が解除することができます。したがって、書面によらないことを理由にどの部分でも自由に解除できるわけではありません。特に履行済み部分については解除できない点が判断ポイントです。

肢2:誤り

贈与契約は諾成契約なので、贈与者と受贈者の意思表示が合致すれば契約が成立します。書面によらない贈与でも契約として有効であり、贈与者には成立した契約に基づく履行義務があります。「履行するかどうかは自由」とする処理は適切ではありません。

肢3:正しい

負担付贈与について、贈与者はその負担の限度において売主と同様の担保責任を負います。通常の無償贈与と同じ感覚で、贈与者が一切責任を負わないと判断してはいけません。負担付という条件によって責任の範囲が変わる点が正解の根拠です。

肢4:誤り

負担付贈与については、その性質に反しない限り双務契約に関する規定が準用されます。したがって、受贈者が負担をその本旨に従って履行しない場合には、贈与者が債務不履行を理由として贈与契約を解除することが可能です。「解除できない」とする点が誤りです。

問題作成者のひっかけポイント

この問題では、「贈与は無償」という一つのイメージを利用し、契約の拘束力や贈与者の責任まで弱いように見せる誤肢が作られています。肢2では書面がないことから履行義務を否定し、肢3・4では負担付贈与であることを無視すれば誤答します。贈与という契約名ではなく、書面・履行・負担という追加条件を見る必要があります。

肢1では、「書面によらない贈与は解除できる」という正しい知識の範囲を広げる方法が使われます。正しい原則に「履行済み部分も」という一語を追加すれば、もっともらしい誤肢になります。選択肢では、原則だけでなく例外部分まで確認してください。

受験生が迷う理由

贈与契約は日常感覚では「好意であげる約束」に見えるため、売買などより法的拘束力が弱いと感じやすくなります。その結果、書面がなければ自由にやめられる、贈与者は一切責任を負わないという誤った方向へ判断しやすくなります。宅建では、契約成立後の法律効果を民法上のルールに沿って処理する必要があります。

また、負担付贈与は名称に「贈与」とあるため、受贈者側にも義務があることを見落としやすい論点です。受贈者の負担を確認できなければ、担保責任や債務不履行による解除まで発想が進みません。問題文の中で誰が何をする義務を負っているかを書き出すと整理しやすくなります。

正しい判断手順

本試験では、まず通常の贈与なのか負担付贈与なのかを確認します。次に書面の有無と履行済み部分を確認し、成立を問われているなら意思表示の合致を見ます。負担付贈与なら、贈与者の責任と受贈者の負担不履行を別々に検討してください。

・① 贈与者と受贈者を確認する
・② 贈与の合意が成立しているか確認する
・③ 書面によるか確認する
・④ 履行済み部分があるか確認する
・⑤ 負担付贈与か確認する
・⑥ 担保責任・債務不履行・解除を判断する

この順序なら、肢1では書面と履行済み部分、肢2では諾成契約、肢3・4では負担付贈与へ判断基準を切り替えられます。一つの贈与ルールですべての肢を処理しないことが重要です。選択肢ごとに条件を分類してから正誤を決めてください。

類似問題で使える知識

類似問題では、「書面あり・なし」と「履行済み・未履行」を組み替えることで解除の可否を問えます。さらに、負担付贈与について担保責任を全面否定したり、受贈者の負担不履行でも解除できないとしたりする誤肢も考えられます。二つ以上の条件を組み合わせて判断できるようにしてください。

また、贈与契約の成立時期を目的物の引渡しや書面作成の時点へ変更する問題にも対応できます。諾成契約という言葉だけを覚えるのではなく、当事者の意思表示が合致した時点で成立するという具体的な判断基準を持ってください。これにより、事例型の選択肢でも正誤を判断できます。

宅建試験ではここが狙われやすい

平成21年問9から押さえるべきポイントは、贈与契約では無償性だけで結論を出さないことです。書面によらない贈与でも有効に成立し、負担付贈与では贈与者の責任や受贈者の債務不履行まで問題になります。出題者は「無償」というイメージと法律上の効果との差を利用して誤肢を作ります。

また、「解除できる」「責任を負う」という結論には必ず範囲や条件があります。履行済み部分を除く、負担の限度において、負担を本旨に従って履行しない場合など、条件部分を削除した選択肢に注意してください。👉 結論だけでなく、その前に付く条件を見ることが正解3を安定して選ぶポイントです。

一問一答|過去問の肢レベルで確認

ここでは、贈与契約について本試験レベルの誤肢で確認します。書面の有無、契約成立、履行済み部分、負担付贈与、担保責任、解除を組み合わせています。各問題では、何の条件が変更されているのかを確認してください。

問題1
書面によらない贈与契約は無効であるため、贈与者には贈与を履行する義務が生じない。
正解:×
贈与契約は諾成契約であり、書面がなくても当事者の意思表示が合致すれば成立します。書面がないことは、契約自体が無効であるという意味ではありません。
誤っている語句
「無効である」
正しい修正
「書面がなくても契約は成立する」

問題2
書面によらない贈与は、履行が終わった部分についても各当事者が解除することができる。
正解:×
書面によらない贈与でも、既に履行が終わった部分は解除できません。解除できる範囲を確認する必要があります。
誤っている語句
「履行が終わった部分についても」
正しい修正
「履行が終わっていない部分について」

問題3
書面によらない贈与でも、まだ履行されていない部分については各当事者が解除できる。
正解:○
書面によらない贈与では、履行済み部分を除き解除が問題になります。

問題4
書面による贈与であっても、まだ目的物を引き渡していなければ自由に解除することができる。
正解:×
書面による贈与は、未履行部分であっても書面によらない贈与と同じように自由に解除できるわけではありません。
誤っている語句
「自由に解除することができる」
正しい修正
「書面による贈与は未履行部分でも自由には解除できない」

問題5
贈与契約は目的物を現実に引き渡して初めて成立する。
正解:×
贈与契約は諾成契約であり、贈与者と受贈者の意思表示が合致した時点で成立します。
誤っている語句
「現実に引き渡して初めて成立」
正しい修正
「意思表示が合致した時点で成立」

問題6
口頭で成立した贈与契約について、贈与者が履行するかどうかは完全に自由であり、契約上の義務はない。
正解:×
書面によらない場合でも贈与契約は有効に成立します。解除の問題と、契約上の義務が最初から存在しないことを混同してはいけません。
誤っている語句
「契約上の義務はない」
正しい修正
「契約成立により履行義務が生じる」

問題7
負担付贈与について、贈与者はその負担の限度において売主と同様の担保責任を負う。
正解:○
負担付贈与では、通常の贈与と異なる責任範囲が問題になります。

問題8
負担付贈与も無償契約である以上、贈与者は契約不適合について一切責任を負わない。
正解:×
負担付贈与では、贈与者はその負担の限度において売主と同様の担保責任を負います。
誤っている語句
「一切責任を負わない」
正しい修正
「負担の限度で売主と同様の責任を負う」

問題9
負担付贈与で受贈者が負担を本旨に従って履行しなくても、贈与者は債務不履行を理由として契約を解除できない。
正解:×
負担付贈与には、その性質に反しない限り双務契約に関する規定が準用され、負担不履行による解除が問題になります。
誤っている語句
「契約を解除できない」
正しい修正
「債務不履行を理由として解除できる場合がある」

問題10
贈与契約の問題では、書面の有無を確認する前に、贈与契約そのものが成立しているかを確認すると判断しやすい。
正解:○
贈与契約は意思表示の合致で成立するため、成立と書面による解除ルールを別々に処理する方法が有効です。

宅建試験ではここが狙われやすい

一問一答で共通するひっかけは、一つの正しい知識を適用範囲まで広げる方法です。「書面によらない贈与は解除できる」から履行済み部分も解除できる、「贈与は無償」だから贈与者は一切責任を負わない、という広げ方に注意してください。条件と結論の対応範囲を確認することが必要です。

さらに、成立と解除の時点を混同させる誤肢にも注意します。書面によらない贈与でもまず契約は成立し、その後に未履行部分の解除可能性を判断します。👉 成立→解除範囲→負担の有無という順番を固定すると、複数論点を含む選択肢でも処理しやすくなります。

FAQ

贈与契約では、書面がない場合の契約成立と解除の関係が特に混乱しやすくなります。また、負担付贈与では通常の贈与とは異なる責任や解除が問題になるため、単純な「無償契約」という理解だけでは対応できません。ここでは、過去問を解くときに迷いやすい境界を整理します。

Q1.口約束の贈与契約は無効ですか?
無効ではありません。贈与契約は諾成契約なので、当事者の意思表示が合致すれば契約として成立します。

Q2.書面がない贈与ならいつでも全部取り消せますか?
そのようには判断しません。書面によらない贈与でも、既に履行が終わった部分については解除できません。

Q3.書面による贈与でも未履行なら解除できますか?
書面によらない贈与と同じように自由に解除できるわけではありません。書面の有無を確認してから判断します。

Q4.負担付贈与でも贈与者の責任は通常の贈与と同じですか?
同じとは限りません。負担付贈与では、その負担の限度において売主と同様の担保責任が問題になります。

Q5.受贈者が約束した負担を履行しなければどう判断しますか?
債務不履行と解除を確認します。負担付贈与には、その性質に反しない限り双務契約に関する規定が準用されます。

宅建試験ではここが狙われやすい

FAQで共通する判断ミスは、「書面なし」「無償」「贈与」という一語だけで結論を決めることです。贈与契約は書面なしでも成立し、負担付贈与なら贈与者の責任や受贈者の負担不履行まで検討する必要があります。一つのキーワードのイメージだけに引っ張られないことが重要です。

特に書面の問題では、契約成立と解除を別段階に分けるだけで多くの誤肢を切れます。負担付贈与では、受贈者側にも義務があるという事実を確認した後に責任・解除へ進みます。👉 書面なら解除範囲、負担なら双方の義務を見ることが実戦的な判断基準です。

まとめ

贈与契約では、最初に贈与者と受贈者の意思表示が合致して契約が成立しているかを確認します。次に書面の有無と履行済み部分を確認し、負担付贈与なら通常の贈与とは判断基準を切り替えます。贈与が無償契約であるという一点だけから、履行義務や担保責任を否定してはいけません。

判断順序は、契約成立→書面の有無→履行状況→負担付贈与か→担保責任・解除と固定します。書面によらない贈与では履行済み部分を除いた解除、負担付贈与では負担の限度における贈与者の責任と、受贈者の負担不履行を確認します。平成21年問9では、この条件分けが正解3を選ぶポイントです。

ひっかけで注意したいのは、「書面がなければ無効」「書面がなければ履行済み部分も解除可能」「無償だから一切責任なし」「負担を履行しなくても解除不可」という単純化です。出題者は正しい原則を残しつつ、その適用範囲や条件だけを変更して誤肢を作ります。暗記する文章を増やすより、問題文のどこを見るかを固定することが贈与契約の過去問攻略につながります。

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