区分所有法の建替えは、宅建の権利関係で決議要件・滅失割合・規約による変更可否を正確に分ける必要がある重要論点です。保存行為、小規模復旧、大規模復旧、建替えでは必要となる多数決や各区分所有者の権限が違うため、数字だけを暗記すると誤肢に対応できません。この記事では平成9年問13を中心に、問題文の判断順序、比較表、数字のひっかけ、規約との関係を整理します。
平成9年問13では、共用部分の保存行為、小規模滅失の復旧、大規模滅失の復旧、建替え決議という四つの制度が一問に並べられています。正解は肢3で、大規模滅失について所定の定足数と多数決による復旧決議を求める内容が正しいとされています。 個別の数字より、まず「何をしようとしているのか」を分類することが重要です。
問題文を読んだら最初に何を見るか
区分所有法の建替え・復旧問題では、最初に保存・管理・変更・復旧・建替えのどの行為なのかを確認します。同じマンションに関する決議でも、行為の種類によって単独でできる場合、普通決議が必要な場合、特別多数決が必要な場合に分かれるためです。この章では、行為分類、滅失割合、多数決、規約変更の順で処理する方法を整理します。
特に復旧問題では、建物価格の1/2以下か、1/2を超えるかが最初の分岐になります。添付資料では1/2以下を小規模滅失、1/2超を大規模滅失として、それぞれ異なる復旧ルールを示しています。 「半分」という数字だけでなく、以下と超えるを正確に区別してください。
建替えが出た場合は、復旧とは別制度として扱います。添付資料では、建替え決議は原則として一般区分所有者及び議決権の各4/5以上が必要で、この要件を規約で自由に変更することはできないとされています。
問題文では、次の語句に注目します。この表を見る目的は、問題文のどこへ線を引けば適用する決議ルールが分かるかを固定することです。数字だけでなく「保存」「滅失」「規約」「建替え」という制度名を先に拾ってください。
| 問題文の語句 | 判断ポイント |
|---|---|
| 共用部分 | 保存・管理・変更のどれか |
| 保存行為 | 各区分所有者が単独でできる原則 |
| いかなる場合でも | 規約による別段の定めを疑う |
| 建物価格の1/2以下 | 小規模滅失 |
| 建物価格の1/2を超える | 大規模滅失 |
| 復旧 | 建替えと区別 |
| 各区分所有者 | 単独復旧できる場合か |
| 集会の決議 | 単独行為を制限する場合か |
| 普通決議 | 小規模復旧・管理との比較 |
| 過半数出席 | 大規模復旧の定足数 |
| 2/3以上 | 大規模復旧の決議数 |
| 建替え決議 | 原則4/5以上を確認 |
| 3/4以上 | 法定の緩和事由を確認 |
| 規約 | 別段の定めが可能か |
| 法律で定められた緩和 | 規約変更との違い |
この表では、数字を見る前に行為を分類することがポイントです。例えば「2/3」という数字自体を知っていても、それが大規模復旧なのか建替えの緩和なのかを区別できなければ誤答します。行為→条件→数字の順番を固定してください。
本試験では次の順番で処理します。区分所有法は数字が多く見えますが、制度を分類すれば確認する数字は一つか二つに絞れます。規約による変更の可否は最後に確認します。
・①共用部分の行為か建物全体の復旧・建替えか確認する
・②保存・管理・変更のどれか分類する
・③滅失なら建物価格の1/2以下か1/2超か確認する
・④小規模滅失なら各自復旧の可否を確認する
・⑤大規模滅失なら定足数と決議数を確認する
・⑥建替えなら4/5以上を基本にする
・⑦法定の緩和事由があるか確認する
・⑧規約で別段の定めが可能か確認する
・⑨「いかなる場合でも」「常に」などの断定表現を見る
・⑩最後に数字と主体を照合して○×判定する
この手順なら、平成9年問13の四肢を別々の暗記事項として処理する必要がありません。肢1は保存、肢2は小規模復旧、肢3は大規模復旧、肢4は建替えという分類を先に付ければ、必要なルールを一つずつ呼び出せます。
宅建試験ではここが狙われやすい
区分所有法では、正しい数字を別の制度へ移す誤肢が非常に作りやすくなります。2/3、3/4、4/5、1/2という数字を単独暗記すると、大規模復旧の2/3と建替え緩和後の3/4、原則4/5を入れ替えられた場合に対応できません。必ず「何の決議についての数字か」をセットにしてください。
もう一つは、規約で変更できる事項とできない事項の入れ替えです。保存行為や小規模復旧では規約による別段の定めが問題になりますが、添付資料では建替え決議の原則的な多数決要件を規約で変更することは認められていません。 行為分類→数字→規約可否の順序で見ることが重要です。
区分所有法の建替えとは
建替えとは、区分所有建物について一定の多数決によって、現在の建物を取り壊して新たな建物を建築する方向へ進むための重大な決定です。単なる修理や一部の復旧より区分所有者への影響が大きいため、通常の管理行為より厳しい多数決が要求されます。この章では、建替え決議の基本と復旧との違いを整理します。
添付資料では、建替え決議は集会において一般区分所有者及び議決権の各4/5以上の多数で決定することが原則とされています。 人数だけ4/5、議決権だけ4/5では足りず、両方について条件を確認する必要があります。
さらに、この4/5という要件を規約で任意に3/4や2/3へ変更することはできません。資料では一定の事情がある場合に法律上3/4へ軽減される制度は示されていますが、これは法律による緩和であり規約による自由な緩和ではないと明記されています。
建替えと復旧を比較します。この表を見る目的は、「壊れた部分を元へ戻す復旧」と「建物自体を建て替える決議」を一緒にしないことです。まず行為の目的を確認してください。
| 制度 | 主な場面 | 判断の中心 |
|---|---|---|
| 小規模復旧 | 1/2以下の滅失 | 各自復旧・普通決議 |
| 大規模復旧 | 1/2超の滅失 | 定足数+2/3以上 |
| 建替え | 建物を建て替える | 原則4/5以上 |
| 保存行為 | 現状維持 | 原則各自で可能 |
この表では、建物に損傷があるからといって必ず建替え決議になるわけではありません。滅失の程度と選択する行為によって復旧のルールを使う場合があるため、問題文が「復旧する」「建替える」のどちらを求めているかを確認します。
例題1
区分所有建物の建替え決議は、通常の管理行為と同じく普通決議によってすることができる。
解答・判断ポイント
正解:×
添付資料では、建替え決議は原則として一般区分所有者及び議決権の各4/5以上が必要とされています。普通決議とする点が誤りです。
誤肢分析
誤っている語句
「普通決議」
正しい修正
「原則として一般区分所有者及び議決権の各4/5以上」
管理行為と建替えを混同させる誤肢です。
宅建試験ではここが狙われやすい
建替えでは、「非常に重大な行為だから全員一致が必要」と思わせる誤肢と、「集会事項だから普通決議でよい」と思わせる誤肢の両方向が考えられます。資料上の基準はその中間で、原則として4/5以上という特別多数決です。
また、4/5が法律上3/4に緩和される場合があることを利用し、「規約で3/4に変更できる」とする誤肢にも注意が必要です。**数字が正しくても変更方法が誤っていれば×**なので、数字と根拠をセットで確認してください。
共用部分の保存行為
共用部分の保存行為は、原則として各区分所有者が単独ですることができます。ただし資料では、規約で別段の定めを置くことができ、その場合には原則どおり単独で保存できないことがあります。この章では平成9年問13肢1の「いかなる場合でも」という断定表現を中心に整理します。
保存行為とは、共用部分を現状のまま維持するための行為として考えると整理しやすくなります。重大な変更と違って、通常は全区分所有者による高度な多数決を待たなくても各区分所有者が行える方向で扱われます。資料ではこれが原則として示されています。
しかし、「単独でできる」という原則だけ覚えると肢1を誤ります。平成9年問13肢1では**「いかなる場合でも」**単独でできるという内容になっており、規約による別段の定めの可能性を無視しているため誤りとされています。
保存・管理・変更を比較します。この表を見る目的は、行為の重大性が高くなるほど決定方法が厳しくなる構造を理解することです。数字を丸暗記する前に行為の位置づけを確認してください。
| 行為 | 基本的な決定方法 | 規約との関係 |
|---|---|---|
| 保存行為 | 各区分所有者が単独で可 | 別段の定め可 |
| 管理行為 | 普通決議 | 別段の定め可 |
| 軽微変更 | 普通決議 | 別段の定め可 |
| 重大変更 | 特別な決議 | 独自ルールあり |
資料では、保存行為だけでなく管理行為や変更行為も一覧で整理されています。 本試験では「保存なのか変更なのか」の分類が決まれば、必要な決議方法も絞り込めます。
例題2
共用部分の保存行為は各区分所有者が単独ですることができるため、規約でこれと異なる定めを置くことはできない。
解答・判断ポイント
正解:×
保存行為は原則として単独でできますが、資料では規約で別段の定めを置くことが可能とされています。
誤肢分析
誤っている語句
「規約でこれと異なる定めを置くことはできない」
正しい修正
「規約で別段の定めをすることができる」
原則を絶対ルールに変えるひっかけです。
宅建試験ではここが狙われやすい
保存行為では、出題者が**「原則として」を「いかなる場合でも」に変える**だけで誤肢を作れます。平成9年問13肢1は典型例であり、保存行為の原則だけを暗記していると正しい肢に見えます。
「常に」「必ず」「いかなる場合でも」といった強い表現があれば、規約による例外を確認してください。区分所有法では規約による別段の定めが許される論点が複数あるため、原則を知った後に規約可否を見ることが誤肢を切る基本になります。
小規模滅失の復旧
建物価格の1/2以下に相当する部分が滅失した場合は、小規模滅失として各区分所有者が一定の範囲で復旧できます。添付資料では、規約や集会の決議がない場合には各区分所有者が単独で滅失した共用部分を復旧できるとされています。この章では平成9年問13肢2の原則・例外を整理します。
小規模滅失では、各区分所有者が何もできず集会の決議を待つという制度ではありません。資料では原則として各区分所有者による復旧を認め、集会で復旧決議、建替え決議、一括建替え決議などがあった場合にはその単独復旧を制限しています。
さらに、この小規模滅失のルールについては規約で別段の定めをすることも可能とされています。したがって、問題文に「規約に別段の定めも集会決議もない」とあれば、原則へ戻って各区分所有者の単独復旧を認める方向で処理します。
小規模滅失の判断を表で整理します。この表を見る目的は、1/2以下という数字だけでなく、集会決議と規約の有無まで確認することです。単独復旧可能という結論には条件があります。
| 条件 | 各区分所有者の単独復旧 |
|---|---|
| 1/2以下の滅失 | 原則可能 |
| 復旧決議あり | 制限される |
| 建替え決議あり | 制限される |
| 規約に別段の定めあり | 規約を確認 |
| 規約・決議ともなし | 原則どおり可能 |
この表では、「小規模滅失=必ず単独復旧できる」と暗記しないことが重要です。1/2以下→原則可能→規約・決議を確認という三段階で判断してください。
例題3
建物価格の1/2以下に相当する部分が滅失し、規約に別段の定めも集会の決議もない場合、各区分所有者は単独で復旧することができない。
解答・判断ポイント
正解:×
添付資料では、この場合は原則どおり各区分所有者が単独で復旧できます。
誤肢分析
誤っている語句
「単独で復旧することができない」
正しい修正
「単独で復旧することができる」
小規模復旧と大規模復旧を混同させる誤肢です。
宅建試験ではここが狙われやすい
小規模復旧では、1/2以下と1/2超の入れ替えが最も分かりやすい数字のひっかけです。「1/2」という数字だけを覚えていると境界で迷うため、小規模は1/2以下、大規模は1/2超と不等号まで固定してください。
さらに、小規模滅失でも集会決議があれば各自の単独復旧が制限される点が狙われます。原則と例外を同時に問うため、「小規模=単独」とだけ覚えるのではなく、規約・集会決議なしなら単独可能という形で覚えるのが安全です。
大規模滅失の復旧
建物価格の1/2を超える部分が滅失した場合は、大規模滅失として特別な復旧決議が必要になります。添付資料では、一般区分所有者数及び議決権の過半数が出席し、一般区分所有者数及び議決権の各2/3以上による決議を求めています。この章では平成9年問13の正解肢3を中心に整理します。
ここでは「2/3以上」という数字だけでは足りません。資料上はまず一般区分所有者数と議決権について各過半数の出席という定足数を確認し、そのうえで一般区分所有者数と議決権の各2/3以上の多数による決議を確認します。
したがって、本試験では「2/3以上の賛成があるから成立」と即断しないことが重要です。出席要件を満たしているか、区分所有者数だけでなく議決権も要件を満たしているかを確認します。定足数→決議数という順番で処理してください。
小規模復旧と大規模復旧を比較します。この表を見る目的は、1/2を境に単独復旧中心の制度から特別決議中心の制度へ切り替わることを確認することです。数字の対象も一緒に覚えてください。
| 復旧 | 滅失割合 | 主な決定方法 |
|---|---|---|
| 小規模 | 1/2以下 | 各自復旧可能・普通決議 |
| 大規模 | 1/2超 | 定足数+各2/3以上 |
| 建替え | 滅失割合とは別 | 原則各4/5以上 |
この表では、大規模復旧の2/3と建替えの4/5を混同しないことが最重要です。復旧2/3、建替え4/5とだけ覚えるのではなく、大規模復旧には定足数もあることを追加してください。
例題4
建物価格の1/2を超える部分が滅失した場合、出席者の過半数による普通決議だけで復旧することができる。
解答・判断ポイント
正解:×
添付資料では、定足数を満たしたうえで一般区分所有者数及び議決権の各2/3以上の決議が必要とされています。
誤肢分析
誤っている語句
「出席者の過半数による普通決議」
正しい修正
「所定の定足数を満たし、一般区分所有者数・議決権の各2/3以上」
小規模復旧の決議方法と混同させる問題です。
例題5
大規模滅失の復旧では、一般区分所有者数だけ2/3以上の賛成があれば、議決権の割合は問われない。
解答・判断ポイント
正解:×
資料では一般区分所有者数だけでなく議決権についても各2/3以上を求めています。
誤肢分析
誤っている語句
「議決権の割合は問われない」
正しい修正
「一般区分所有者数及び議決権の双方を確認する」
人数と議決権を入れ替える典型的な誤肢です。
宅建試験ではここが狙われやすい
大規模復旧では、定足数と議決数を一つの数字にまとめる誤肢が狙われます。「2/3以上」とだけ書かれていると正しそうに見えますが、資料ではその前提として各過半数の出席という定足数も示されています。
もう一つは、一般区分所有者数と議決権の片方だけを満たせばよいとする誤肢です。区分所有法では人数と議決権を並列で要求する場面があるため、誰の何について何分の何かまで確認してください。
建替え決議の4/5と3/4
建替え決議は原則として、一般区分所有者及び議決権の各4/5以上によって成立すると添付資料は整理しています。一定の法定事由がある場合には、この要件が3/4へ軽減される場合がありますが、規約で自由に引き下げる制度ではありません。この章では4/5・3/4・規約の関係を整理します。
平成9年問13肢4は、建替え決議の多数決要件について規約で別段の定めをすることができるという方向の内容が誤りになります。資料では、4/5という原則要件を規約で変更することは許されないと明示されています。
一方、資料には発展事項として、一定の事由がある場合には法律上4/5から3/4へ軽減される場合が示されています。ここで重要なのは「3/4」という数字ではなく、法律上の緩和要件によるものだという点です。
建替えの多数決を表で整理します。この表を見る目的は、原則・法定緩和・規約変更を分けることです。同じ3/4でも、根拠が違えば正誤も変わります。
| 場面 | 必要多数 | 規約で変更 |
|---|---|---|
| 建替え原則 | 各4/5以上 | 不可 |
| 法定緩和事由あり | 3/4 | 法律による |
| 規約で4/5→3/4 | - | 不可 |
この表を使うと、「4/5ではなく3/4だから×」という単純判断を避けられます。法定の緩和条件が書かれていれば3/4が正しくなる可能性があるため、数字→根拠→規約可否まで確認してください。
例題6
建替え決議に必要な一般区分所有者及び議決権の各4/5以上という要件は、規約によって3/4以上に緩和することができる。
解答・判断ポイント
正解:×
添付資料では、建替え決議の4/5要件を規約で別段に定めることはできないとされています。
誤肢分析
誤っている語句
「規約によって3/4以上に緩和」
正しい修正
「一定の場合に法律上3/4へ緩和されることがある」
法定緩和と規約変更を混同させる誤肢です。
宅建試験ではここが狙われやすい
建替え決議では、4/5と3/4の数字交換だけでなく、その根拠の交換も重要なひっかけです。3/4という数字自体が常に誤りなのではなく、資料では法定事由がある場合の緩和として示されています。
したがって「3/4」と書いてあるだけで×にせず、「なぜ3/4なのか」を確認してください。規約が理由なら誤り、法律上の緩和事由なら正しい可能性があるという判断が、本試験レベルのひっかけ対策になります。
復旧と建替えを比較する
復旧と建替えは、どちらも建物に重大な事情が生じた場面で登場しますが、判断する数字と決議方法は別です。復旧では滅失割合が重要となり、建替えでは建替え自体の特別多数決が中心になります。この章では小規模復旧、大規模復旧、建替えを一つの表で整理します。
受験生が迷いやすい理由は、1/2、2/3、3/4、4/5という数字が短い範囲に集中していることです。数字を小さい順に暗記しても正解にはつながらず、「1/2は滅失割合」「2/3は大規模復旧」「4/5は建替え」と役割を分ける必要があります。3/4は資料上、一定の場合の建替え決議の法定緩和として位置づけられています。
比較表を確認します。この表を見る目的は、問題文に数字が出た瞬間に何の数字かを判別することです。数字の前に制度名を思い出してください。
| 数字 | 何の基準か | 判断 |
|---|---|---|
| 1/2以下 | 小規模滅失 | 各自復旧が原則可能 |
| 1/2超 | 大規模滅失 | 特別な復旧決議 |
| 2/3以上 | 大規模復旧 | 決議数 |
| 4/5以上 | 建替え | 原則的多数決 |
| 3/4 | 建替え | 法定緩和の場合 |
この表では、数字とその対象を切り離さないことがポイントです。「2/3以上だから建替え可能」「4/5以上だから大規模復旧」といった数字の横滑りが典型的な誤肢になります。
例題7
建物価格の1/2を超える部分が滅失した場合、建替え決議と同じく一般区分所有者及び議決権の各4/5以上でなければ復旧できない。
解答・判断ポイント
正解:×
大規模復旧について資料が示す決議要件は各2/3以上であり、建替えの4/5と異なります。
誤肢分析
誤っている語句
「建替え決議と同じく各4/5以上」
正しい修正
「大規模復旧の所定の定足数と各2/3以上」
建替えと大規模復旧の数字を交換する問題です。
宅建試験ではここが狙われやすい
比較問題では、出題者は制度名を正しく書いたまま、数字だけを隣の制度から借りてくることで誤肢を作れます。区分所有法では数字の種類が多いため、割合そのものではなく対象を必ず一緒に記憶してください。
判断手順としては、「滅失割合を聞いているのか、決議の賛成割合を聞いているのか」を最初に分けることが有効です。1/2=建物の滅失割合、2/3・4/5=決議の割合という大分類だけでも、誤肢をかなり絞れます。
過去問分析
この過去問では、保存行為・小規模復旧・大規模復旧・建替えのルールを区別できるかが中心です。四肢がそれぞれ別制度を扱っているため、一つの多数決ルールだけを覚えても正解できません。この章では各肢の正誤を分ける語句と、正解3へ到達する判断順序を整理します。
最初に確認する語句は、保存行為、いかなる場合でも、1/2以下、1/2超、単独復旧、2/3以上、建替え決議、4/5以上、規約です。各肢を保存・小規模・大規模・建替えへ分類すれば、必要となるルールが一つに絞れます。
平成9年(1997年)問13
建物の区分所有等に関する法律(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。ただし、集会の定足数について規約に別段の定めはないものとする。
- 共用部分の保存行為については、各区分所有者は、いかなる場合でも自ら単独で行うことができる。
- 建物の価格の3分の1に相当する部分が滅失したときは、規約に別段の定め又は集会の決議がない限り、各区分所有者は、自ら単独で滅失した共用部分の復旧を行うことはできない。
- 建物の価格の3分の2に相当する部分が滅失したときは、集会において、区分所有者(議決権を有しないものを除く。以下この問において同じ。)の過半数の者であって議決権の過半数を有するものが出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各3分の2以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる。
- 法第62条第1項に規定する建替え決議は、規約で別段の定めをすれば、区分所有者(議決権を有しないものを除く。)及び議決権の各4分の3以上の多数により行うことができる。
正解:3
解説
本問で正しいのは肢3です。資料では、建物価格の1/2を超える部分が滅失した大規模滅失について、一般区分所有者数・議決権の各過半数が出席し、一般区分所有者数・議決権の各2/3以上の多数による決議が必要とされています。
各肢の正誤理由
肢1 誤り
共用部分の保存行為は原則として各区分所有者が単独でできますが、規約で別段の定めをすることが可能です。「いかなる場合でも単独でできる」という絶対表現が誤りになります。
肢2 誤り
建物価格の1/2以下という小規模滅失では、規約に別段の定めも集会決議もない場合、各区分所有者が単独で復旧できます。単独復旧を否定する内容が誤りです。
肢3 正しい
建物価格の1/2を超える大規模滅失では、所定の定足数を満たし、一般区分所有者数・議決権の各2/3以上による復旧決議が必要です。資料に示された大規模復旧のルールと一致します。
肢4 誤り
建替え決議は原則として一般区分所有者及び議決権の各4/5以上が必要で、その要件を規約で自由に変更することは認められていません。一定の場合の3/4への軽減は法律による緩和であり、規約によるものではありません。
問題作成者のひっかけポイント
肢1では、正しい原則へ「いかなる場合でも」という言葉を追加しています。保存行為が単独でできるという知識だけなら○に見えますが、規約による別段の定めを無視したため×になります。
肢2では、小規模滅失と大規模滅失の扱いを逆転させています。1/2以下なら原則として各区分所有者による復旧が可能なのに、集会決議が必要であるような内容へ変更することで誤肢を作っています。
肢3では、1/2超という滅失割合と2/3以上という決議割合という二つの数字が登場します。ここでは両方の数字の対象を正確に理解しているかが問われており、単なる分数暗記では対応できません。
肢4では、建替え決議の4/5という数字と「規約で変更できるか」という別論点を組み合わせています。数字だけ正しくても規約による変更可否を誤れば×となるため、二段階で判断する必要があります。
受験生が迷う理由
区分所有法は、保存行為、管理行為、変更、復旧、建替えという似た行為が並び、それぞれ決議方法が違います。さらに規約で変更できる事項とできない事項が重なるため、一つの表だけを丸暗記すると条件が入れ替わった問題で混乱します。
数字についても、1/2、2/3、3/4、4/5が集中しています。数字の大小だけで覚えるのではなく、滅失割合なのか賛成割合なのかを最初に分ける必要があります。
正しい判断手順
本問では、四肢をそれぞれ別制度へ分類して処理します。肢1は保存、肢2は小規模滅失、肢3は大規模滅失、肢4は建替えと分類し、それぞれ原則・例外・規約可否を確認します。最後に正しい肢3を選びます。
・①肢1を保存行為と分類する
・②規約による別段の定めを確認する
・③「いかなる場合でも」を疑う
・④肢2の1/2以下を小規模滅失と分類する
・⑤規約・集会決議がないなら単独復旧可と判断する
・⑥肢3の1/2超を大規模滅失と分類する
・⑦定足数と各2/3以上を確認する
・⑧肢4を建替え決議と分類する
・⑨原則4/5と規約変更不可を確認する
・⑩正しい肢3を選ぶ
この手順なら、数字だけを頭の中で並べる必要がありません。行為分類→原則→数字→規約可否という順番を固定することで、平成9年問13型の問題を安定して処理できます。
類似問題で使える知識
共用部分の問題では「単独でできる」「普通決議」「特別多数決」のどれなのかを最初に確認します。復旧問題では滅失割合を分類し、その後に各区分所有者の単独行為が可能か、集会決議が必要かを見ます。
建替え問題では、4/5や3/4という数字だけでなく、規約による変更なのか法定の緩和なのかを確認します。制度・数字・変更根拠の三点セットで判断すれば、数字だけを置き換えた誤肢にも対応できます。
宅建試験ではここが狙われやすい
平成9年問13は、区分所有法で典型的な原則と例外・数字・規約可否の三種類のひっかけを一問で確認できる問題です。肢1は原則と例外、肢2・3は滅失割合と多数決、肢4は法定多数決と規約変更の可否を問っています。
正解3を速く見抜くには、各肢を制度名へ変換することが有効です。保存=原則単独+規約確認、小規模=1/2以下+原則単独、大規模=1/2超+2/3、建替え=4/5+規約変更不可という処理表を使えば、四肢を独立して判定できます。
一問一答|過去問の肢レベルで確認
ここでは、保存行為、小規模復旧、大規模復旧、建替え決議を本試験の誤肢レベルで確認します。単純な数字問題ではなく、原則と例外、規約、主体を入れ替えた問題を中心にしています。問題文を読んだら、まず行為を分類してください。
問題1
共用部分の保存行為は、いかなる場合でも各区分所有者が単独ですることができる。
正解:×
原則として単独でできますが、規約で別段の定めを置くことができます。
誤っている語句
「いかなる場合でも」
正しい修正
「原則として」
問題2
共用部分の保存行為については、規約で別段の定めをすることができる。
正解:○
平成9年問13肢1の判断に対応します。
問題3
建物価格の1/2以下に相当する部分が滅失した場合は、大規模滅失として扱う。
正解:×
1/2以下は小規模滅失です。
誤っている語句
「大規模滅失」
正しい修正
「小規模滅失」
問題4
建物価格の1/2を超える部分が滅失した場合は、大規模滅失として復旧決議の要件を確認する。
正解:○
添付資料では1/2超を大規模復旧として整理しています。
問題5
小規模滅失について規約の別段の定めも集会決議もない場合、各区分所有者は単独で復旧できない。
正解:×
原則として各区分所有者が復旧できます。
誤っている語句
「復旧できない」
正しい修正
「復旧できる」
問題6
小規模滅失では、集会で建替え決議などがされた後も、各区分所有者が自由に単独復旧を続けることができる。
正解:×
資料では一定の集会決議がある場合、各自による復旧が制限されます。
誤っている語句
「自由に単独復旧を続けることができる」
正しい修正
「所定の集会決議後は単独復旧できない場合がある」
問題7
大規模滅失の復旧は、所定の定足数を満たしたうえで一般区分所有者数及び議決権の各2/3以上の決議が必要である。
正解:○
平成9年問13の正解肢3に対応します。
問題8
大規模滅失の復旧には、建替え決議と同じ一般区分所有者及び議決権の各4/5以上が必要である。
正解:×
資料上、大規模復旧は各2/3以上、建替えは原則4/5以上です。
誤っている語句
「各4/5以上」
正しい修正
「大規模復旧では各2/3以上」
問題9
建替え決議は、原則として一般区分所有者及び議決権の各4/5以上が必要である。
正解:○
添付資料に示された建替えの原則です。
問題10
建替え決議の4/5以上という要件は、規約で自由に2/3以上へ変更することができる。
正解:×
資料では規約による自由な変更を認めていません。
誤っている語句
「規約で自由に2/3以上へ変更」
正しい修正
「原則4/5で、一定の場合に法律上緩和される」
問題11
一定の法定事由がある場合に建替え決議の要件が3/4へ軽減されることと、規約で3/4へ変更することは同じである。
正解:×
法律による緩和と規約変更は別です。
誤っている語句
「同じである」
正しい修正
「法定緩和と規約変更は区別する」
問題12
平成9年問13では、大規模滅失の復旧要件を述べた肢3が正しく、正解は3である。
正解:○
添付資料の正解と一致します。
宅建試験ではここが狙われやすい
一問一答では、1/2以下と1/2超、2/3と4/5、法定緩和と規約変更の入れ替えに注意してください。区分所有法は正しい数字を違う制度へ移すだけで、見た目の自然な誤肢を作れる分野です。
短縮して整理するなら、保存=原則単独・規約可、小規模=1/2以下・原則単独復旧、大規模=1/2超・2/3、建替え=原則4/5・規約変更不可です。この四本柱を先に覚え、法定緩和などを追加する方法が安定します。
FAQ
区分所有法では、1/2ちょうどはどちらなのか、3/4と4/5をどう区別するか、規約でどこまで変更できるかという境界で迷いやすくなります。これらは数字だけを見ず、対象となる行為と数字の根拠を確認すれば整理できます。この章では本試験で迷いやすい境界事例を扱います。
Q1.建物価格のちょうど1/2が滅失した場合は大規模滅失ですか?
添付資料では小規模滅失を「1/2以下」、大規模滅失を「1/2超」と整理しています。したがって、資料上はちょうど1/2なら小規模側です。
Q2.小規模滅失なら、いつでも各区分所有者が単独復旧できますか?
いつでもではありません。復旧決議や建替え決議などがある場合には単独復旧できなくなる場合があり、規約による別段の定めも確認します。
Q3.大規模復旧の2/3は、出席者だけを基準に考えればよいですか?
添付資料では一般区分所有者数と議決権の双方について所定の条件を示しています。人数だけ、議決権だけで判断しないでください。
Q4.建替えの4/5を規約で3/4に変更できますか?
資料では規約による変更は認められていません。一定の場合に法律上3/4へ軽減される仕組みとは区別します。
Q5.3/4という数字が出たら必ず誤りですか?
必ずしもそうではありません。資料では一定の法定事由がある場合に建替え決議の4/5要件が3/4へ軽減される場合を示しています。
Q6.保存行為は決議なしでできるなら、規約を確認する必要はありませんか?
確認する必要があります。平成9年問13肢1では規約で別段の定めが可能であるため、「いかなる場合でも単独でできる」という内容が誤りとされています。
Q7.復旧と建替えの数字を最も簡単に分ける方法はありますか?
まず「壊れた部分を元に戻す復旧」か「建物そのものを建て替える」かを分けます。その後、大規模復旧なら2/3、建替えなら原則4/5という順番で数字を確認します。
Q8.平成9年問13を最短で解くとき、最初にどの肢を見るべきですか?
数字に慣れていれば肢3の「1/2超・2/3」という組合せを確認すると正しい肢を見つけやすくなります。ただし最終的には各肢を保存・小規模・大規模・建替えへ分類して判定する方が安全です。
宅建試験ではここが狙われやすい
FAQ型では、「1/2」という数字の境界や、「3/4なら全部同じ」という誤解が狙われます。以下・超えるという数学的な境界と、数字が何を示すのかを正確に確認する必要があります。
また、区分所有法では規約自治が認められる論点が多いため、何でも規約で変更できるように感じやすくなります。しかし建替えの多数決要件のように規約変更が認められないものもあるため、規約可否を独立した判断項目にすることが必要です。
まとめ
区分所有法の建替えでは、最初に保存・小規模復旧・大規模復旧・建替えのどれかを確認します。小規模滅失は建物価格の1/2以下、大規模滅失は1/2超と区別し、大規模復旧では所定の定足数と各2/3以上の決議を確認します。平成9年問13ではこの大規模復旧を正しく説明した肢3が正解です。
共用部分の保存行為は原則として各区分所有者が単独でできますが、規約で別段の定めを置けるため「いかなる場合でも」とする肢は誤りになります。小規模滅失では規約や集会決議がなければ各区分所有者による単独復旧が可能であり、大規模滅失とは処理が異なります。
建替え決議は原則として一般区分所有者及び議決権の各4/5以上が必要であり、規約によって自由に要件を緩和することはできません。資料では一定の法定事由がある場合に3/4へ軽減される仕組みも示されていますが、これは規約による変更とは別です。
宅建試験ではここが狙われやすい
このテーマの主要なひっかけは、1/2以下と1/2超、2/3と4/5、原則と規約上の例外、法定緩和と規約変更の入れ替えです。平成9年問13では、四肢それぞれで異なる種類のひっかけが使われており、数字だけの暗記では対応しにくい構成になっています。
最終的な判断順序は、行為の種類→滅失割合→単独行為か決議か→定足数→賛成割合→規約変更の可否→法定例外です。区分所有法の建替え問題では、分数を先に思い出すのではなく、問題文の「何をしようとしているか」を最初に固定することが過去問攻略の中心です。
