宅建業法の免許の有効期間・更新では、更新申請の時期と満了時の効力が頻出ポイントです。特に更新申請をしても処分が満了日までに間に合わない場合、従前免許がどう扱われるかを正確に判断する必要があります。本記事では、令和6年問38を中心に、更新申請、免許権者、名義貸し、免許条件まで整理します。
この論点では、90日前・30日前という数字だけを暗記しても十分ではありません。更新申請を適法に行った場合の従前免許、免許条件に違反した場合の取消しなど、時点と法律効果まで問われるからです。本試験では「誰が・いつ・何をしたか」を先に確認してから数字を当てはめます。
問題文を読んだら最初に何を見るか
免許の有効期間・更新では、最初に更新申請をした時期と現在の免許の状態を確認します。適法に更新申請をしている場合と、何も申請せず有効期間が満了した場合では、満了後の法律関係が異なるからです。この章では、申請時期、処分時期、従前免許の効力という順番で判断します。
令和6年問38では、第1肢が更新申請後の従前免許、第2肢が名義貸し、第3肢が免許権者、第4肢が免許条件を扱っています。同じ免許制度の問題でも、すべてを更新の数字だけで処理することはできません。まず各肢を短い論点名へ分類してください。
特に第1肢では、「有効期間満了までに更新処分がない」という部分だけで免許失効と判断しないことが必要です。適法な期間内に更新申請をしていれば、処分がされるまで従前免許が効力を有するという特則があります。更新申請の有無を先に確認します。
問題文で注目する語句を次の表に整理します。表を見る目的は、各肢が更新・名義貸し・免許権者・条件のどれを問うのかを早く判別することです。数字だけでなく、主体と法律効果まで確認してください。
| 問題文の語句 | 判断ポイント |
|---|---|
| 免許の更新 | 申請時期を確認 |
| 90日前 | 更新申請可能期間の始期 |
| 30日前 | 更新申請期間の終期 |
| 有効期間満了 | 更新申請済みか確認 |
| 処分がない | 従前免許の効力を確認 |
| 名義を貸す | 相手が宅建業者でも禁止 |
| 書面による指示 | 名義貸しを適法にしない |
| 甲県知事免許 | 事務所所在地を確認 |
| 乙県の物件 | 事務所設置とは別 |
| 免許の条件 | 更新時にも付加可能 |
| 条件違反 | 任意的取消し |
| 取り消さなければならない | 必要的取消しとの混同 |
この表では、第1肢の90日前・30日前だけを重点的に見るのではなく、処分がいつ行われたかまで確認します。第3肢では物件所在地ではなく事務所所在地、第4肢では取消しが任意か必要的かを見ます。一問の中で判断軸を切り替えることが必要です。
本試験では次の順番で処理します。最初に誰についての規定かを確認し、その後に申請時期や事務所所在地など各制度の条件を当てはめます。最後に違反や満了後の法律効果を確認してください。
・① 宅建業者本人の行為か確認する
・② 更新・名義貸し・免許権者・条件のどれか分類する
・③ 更新なら90日前から30日前を確認する
・④ 免許権者なら事務所所在地を確認する
・⑤ 条件違反なら取消しが任意か必要的か確認する
・⑥ 有効期間満了時は更新申請済みか確認する
・⑦ 最後に免許の効力や取消しの効果を判断する
この順番なら、「満了した=必ず失効」「他県の物件を扱う=大臣免許」という短絡を防げます。宅建業法では事実そのものより、その事実に対応する条件や例外が正誤を決めます。数字・所在地・処分の強さを分けて判断してください。
宅建試験ではここが狙われやすい
免許更新では、申請期間の数字と免許失効時点の入れ替えが狙われます。90日前から30日前という申請期間を正しく書きながら、「満了日までに処分がなければ旧免許は失効する」と続ければ、前半が正しいためもっともらしい誤肢になります。更新申請の時期だけで○を付けず、満了後の効力まで読んでください。
また、免許権者では物件所在地、名義貸しでは相手が宅建業者かどうか、免許条件では必要的取消しか任意的取消しかが入れ替えられます。👉 主体→制度→時期・所在地→法律効果という順番を固定すると、一問の中で異なる論点が並んでも処理しやすくなります。最後の一語まで確認することが得点ポイントです。
免許の更新|90日前から30日前まで
宅建業の免許を更新する場合は、有効期間満了日の90日前から30日前までの間に申請します。更新申請の時期が法律上決められているため、本試験では90日と30日の数字を変更した誤肢が作られます。この章では、申請時期と満了時の扱いを中心に整理します。
更新を希望する宅建業者は、有効期間満了の直前になってから申請すればよいわけではありません。資料では、満了日の90日前から30日前までという期間内に更新申請を行う必要があります。何日前から何日前までなのかを一組で確認してください。
数字問題では「90日前から満了日まで」「60日前から30日前まで」など、一方だけ変更される場合があります。90と30を別々に覚えるより、「90日前から30日前までが申請期間」と文章で再現できる状態にします。数字が何を示しているのかまで説明できることが必要です。
更新申請の基本を次の表で整理します。表を見る目的は、数字とその意味を結び付けることです。有効期間そのものと更新申請期間を混同しないようにしてください。
| 数字・時点 | 何を示すか | 判断 |
| 満了90日前 | 更新申請期間の開始 | 申請可能 |
| 満了30日前 | 更新申請期間の終わり | ここまでに申請 |
| 満了日 | 現免許の通常の満了時点 | 特則を確認 |
| 更新申請済み | 処分が遅れた場合 | 従前免許継続 |
この表では、90日・30日と有効期間満了日を別々の時点として確認します。特に満了日の前までに更新処分が出ている必要があるわけではありません。適法な更新申請をしているかが次の判断ポイントです。
有効期間満了までに更新処分がない場合
更新申請が適法にされている場合は、有効期間満了までに更新処分が間に合わなくても直ちに無免許にはなりません。従前の免許が更新についての処分がされるまで効力を有するためです。この章では、令和6年問38第1肢の中心となる例外を整理します。
宅建業者Aが更新申請期間内に適法に更新申請をしたとします。しかし、免許権者の審査が有効期間満了日までに終わらず、更新するかどうかの処分が出ない場合があります。この場合に従前免許が満了日で当然失効すると考えてはいけません。
資料では、有効期間満了までに更新処分がされない場合でも、従前の免許がその処分の日まで効力を有するとされています。したがって、Aはその期間も宅建業を継続することができます。令和6年問38第1肢は、この従前免許の効力を否定しているため誤りです。
満了前後の状態を比較します。表を見る目的は、適法な更新申請をした場合に無免許期間が発生しないことを理解することです。「更新申請済み」という条件を必ず確認してください。
| 状況 | 従前免許 | 業務 |
| 更新申請前・有効期間内 | 有効 | 可能 |
| 適法に更新申請済み | 有効 | 可能 |
| 満了日まで処分なし | 処分まで有効 | 継続可能 |
| 更新処分あり | 新しい免許へ移行 | 継続可能 |
この表では、「満了日」という一つの時点だけで判断しません。更新申請をしているか、まだ処分がされていないかという条件を加えて考えます。本試験では「有効期間満了」の後ろに何が書かれているかを確認してください。
例題1
免許の更新申請は、有効期間満了日の90日前から30日前までの間に行う。
解答・判断ポイント
正解:○
更新申請期間の基本です。90日前から30日前までという数字を一組で確認します。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
数字だけでなく、免許更新申請の期間であることを確認します。別制度の期間と混同しないようにします。
例題2
適法な期間内に免許更新を申請しても、有効期間満了までに更新処分がなければ従前免許は当然に失効する。
解答・判断ポイント
正解:×
更新申請済みの場合、従前免許は更新についての処分がされるまで効力を有します。満了日だけで直ちに失効するわけではありません。
誤肢分析
誤っている語句
「有効期間満了までに更新処分がなければ従前免許は当然に失効する」
正しい修正
「更新についての処分がされるまで従前免許が効力を有する」
令和6年問38第1肢と同じ方向のひっかけです。更新申請済みという条件を見落とさないでください。
例題3
更新申請を適法に行った宅建業者は、従前免許の有効期間満了後も更新処分がされるまで宅建業を継続できる。
解答・判断ポイント
正解:○
更新申請済みで処分が間に合わない場合の特則です。無免許期間を生じさせない扱いになっています。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
「満了後でも業務可能」という結論だけでなく、更新申請済みという条件とセットで判断します。
宅建試験ではここが狙われやすい
更新の問題では、数字の置き換えと時点の入れ替えを同時に使うことができます。例えば「90日前から30日前」という数字は正しくしたまま、従前免許の効力だけを満了日までとすれば、選択肢の大半は正しい文章になります。更新問題では前半の数字だけで判断しないことが必要です。
さらに、「更新申請をしたら自動的に更新された」とする誤肢にも注意します。申請後に免許権者の処分が必要であり、それまで従前免許が効力を有するという仕組みです。👉 90日前〜30日前に申請→満了まで処分なし→従前免許が処分まで継続という時間軸を固定してください。
名義貸しの禁止|相手が宅建業者でも禁止
宅建業者は、自己の名義を使って他人に宅建業を営ませることができません。相手が無免許者である場合だけでなく、既に免許を持つ宅建業者であっても名義貸しは禁止されます。この章では、令和6年問38第2肢を中心に判断します。
名義貸しとは、宅建業者が自分の名義を他人に使用させ、その名義で宅建業を営ませる行為です。免許制度では、免許を受けた本人が適正に業務を行うことが前提となっています。相手が別の宅建業者だから安全という考え方は使えません。
第2肢では、名義使用を書面で指示していることが判断を迷わせます。しかし、書面で許可・指示をしたからといって名義貸しが適法になるわけではありません。契約形式や書面の有無ではなく、実質的に他人へ名義を利用させて宅建業を営ませているかを確認します。
名義貸しの判断を次の表で整理します。表を見る目的は、相手の免許の有無や書面の存在が結論を変えないことを確認することです。本試験では余計な条件を外して判断してください。
| 相手・方法 | 名義貸し | 判断 |
| 無免許者へ貸す | 禁止 | × |
| 宅建業者へ貸す | 禁止 | × |
| 書面で使用を指示 | 禁止 | × |
| 自己名義で他人に営業させる | 禁止 | × |
この表では、「相手も免許を持っている」「書面で指示している」という事情を免責理由にしないことがポイントです。名義貸し禁止は、名義を貸した相手の属性に左右されません。何をさせているのかを中心に判断します。
例題4
宅建業者は、無免許者に自己の名義を使用させて宅建業を営ませることができない。
解答・判断ポイント
正解:○
名義貸しは禁止されています。免許を受けた本人とは別の者へ営業主体を移すことはできません。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
名義貸し禁止の基本問題です。次に相手が宅建業者の場合も確認します。
例題5
名義を使用する相手も宅建業者であれば、自己の名義を使わせて宅建業を営ませることができる。
解答・判断ポイント
正解:×
相手が宅建業者であっても名義貸しは禁止です。相手の免許の有無によって結論は変わりません。
誤肢分析
誤っている語句
「相手も宅建業者であれば」
正しい修正
「相手が宅建業者であっても名義貸しは禁止」
無免許者だけが禁止対象だと誤解させる問題です。令和6年問38第2肢に直結します。
例題6
宅建業者が書面で自己名義の使用を許可すれば、他人にその名義で宅建業を営ませることができる。
解答・判断ポイント
正解:×
書面による許可・指示があっても名義貸し禁止は変わりません。形式より実質で判断します。
誤肢分析
誤っている語句
「書面で自己名義の使用を許可すれば」
正しい修正
「書面による許可があっても名義貸しは禁止」
書面が存在することで適法に見せるひっかけです。名義を他人へ貸して営業させているかを確認します。
宅建試験ではここが狙われやすい
名義貸しでは、例外があるように見せる情報を付け加える方法が使われます。相手が宅建業者、親会社・子会社、書面による許可などが書かれても、名義貸し禁止という結論は変わりません。問題文の付加情報が本当に法律効果を変える条件なのかを確認してください。
また、宅建業者同士なら両方とも免許を受けているため問題ないと考えやすくなります。しかし免許は各事業者自身に対して与えられるため、他人の名義を借りて営業することは別問題です。👉 誰の名義で、誰が実際に宅建業を営んでいるかを確認してください。
免許権者|物件所在地ではなく事務所所在地
宅建業の免許権者は、宅建業者が設置する事務所の所在地によって決まります。取り扱う宅地・建物が他の都道府県にあるという理由だけで、知事免許から国土交通大臣免許へ変わるわけではありません。この章では、令和6年問38第3肢の判断基準を整理します。
事務所を1つの都道府県内だけに設ける場合は、その都道府県知事の免許となります。2以上の都道府県に事務所を設ける場合は、国土交通大臣免許が必要です。基準となるのは物件ではなく事務所です。
第3肢では、甲県知事免許の宅建業者Dが乙県所在の宅地について売買の媒介を行います。しかし、乙県に事務所を設置したわけではないため、事務所所在地の範囲は変化していません。したがって国土交通大臣免許への免許換えは不要です。
免許権者の判断を次の表で比較します。表を見る目的は、事務所所在地と物件所在地を明確に分けることです。問題文に他県名が出たら、何が所在しているのかを確認してください。
| 状況 | 必要な免許 | 判断 |
| 甲県だけに事務所 | 甲県知事 | 知事免許 |
| 甲県・乙県に事務所 | 国土交通大臣 | 大臣免許 |
| 甲県事務所で乙県物件を媒介 | 甲県知事 | 変更なし |
| 全国の物件を扱う | 事務所配置で判断 | 営業範囲は別 |
この表では、県名が二つ登場しただけで大臣免許と判断しないことが重要です。甲県と乙県のどちらに「事務所」があるかを見ます。他県物件の取扱いと他県支店の設置を区別してください。
例題7
甲県内だけに事務所を持つ甲県知事免許の宅建業者が、乙県所在の土地の売買を媒介しても、それだけで大臣免許への免許換えは必要ない。
解答・判断ポイント
正解:○
乙県に事務所を設置していないため、事務所所在地の都道府県数は変わりません。令和6年問38第3肢の判断です。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
物件所在地と事務所所在地を分けることがポイントです。
例題8
甲県知事免許の宅建業者が乙県所在の宅地を扱う場合、乙県内に事務所がなくても大臣免許への免許換えが必要である。
解答・判断ポイント
正解:×
免許権者は事務所の配置によって判断します。他県の物件を扱うだけでは免許換えの理由になりません。
誤肢分析
誤っている語句
「乙県内に事務所がなくても大臣免許への免許換えが必要」
正しい修正
「乙県に事務所を設けなければ甲県知事免許のまま」
物件所在地を免許権者の基準へ入れ替えた誤肢です。
宅建試験ではここが狙われやすい
免許権者では、県名が複数登場するだけで大臣免許と思わせるひっかけが使われます。問題文に甲県と乙県があっても、乙県にあるものが宅地なのか事務所なのかで結論が異なります。県名より名詞を確認してください。
特に「乙県の宅地を反復継続して扱う」など営業規模を強調しても、免許権者の基準は事務所所在地です。👉 どこで営業するかではなく、どこに事務所を置くかという判断を固定してください。免許換え問題にもそのまま使える知識です。
免許の条件|更新時にも条件を付けられる
免許権者は、免許に条件を付し、その条件を変更することができます。この扱いは新規免許だけではなく免許の更新についても同様であり、条件違反があった場合には任意的免許取消しが問題になります。この章では、令和6年問38第4肢を中心に整理します。
宅建業者Eが丙県知事の免許を受けている場合、免許権者である丙県知事はEの免許に条件を付すことができます。さらに、その条件を後から変更することも可能です。更新時だから条件を付けられないというルールではありません。
Eが免許の条件に違反した場合、丙県知事はEの免許を取り消すことができます。ここで重要なのは、「取り消さなければならない」ではなく「取り消すことができる」という点です。資料では免許条件違反は任意的取消事由として整理されています。
必要的取消しとの違いを次の表で整理します。表を見る目的は、取消しという同じ結論でも義務の強さが異なることを確認することです。問題文の「できる」「しなければならない」を読み分けてください。
| 場面 | 取消し | 判断ポイント |
| 免許条件に違反 | できる | 任意的取消し |
| 条件を付す | 可能 | 更新時も同様 |
| 条件を変更 | 可能 | 免許権者が行う |
| 「必ず取消し」 | 誤りになり得る | 必要的との混同 |
この表では、「違反=必ず免許取消し」という発想を使わないことが重要です。宅建業法では、違反内容によって必要的取消しと任意的取消しが区別されています。免許条件違反では「できる」という表現を確認してください。
例題9
免許権者は、宅建業者の免許に条件を付し、その条件を変更することができる。
解答・判断ポイント
正解:○
免許権者には条件を付す権限があります。更新の場合にも同様です。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
条件を付せるかという基本知識を確認します。
例題10
宅建業者が免許に付された条件に違反した場合、免許権者は必ずその免許を取り消さなければならない。
解答・判断ポイント
正解:×
免許条件違反は任意的取消事由です。免許権者は免許を取り消すことができますが、必要的取消しではありません。
誤肢分析
誤っている語句
「必ずその免許を取り消さなければならない」
正しい修正
「免許を取り消すことができる」
義務と任意を入れ替えた典型的な誤肢です。令和6年問38第4肢の判断に直結します。
宅建試験ではここが狙われやすい
免許条件では、「できる」と「しなければならない」の入れ替えが最も狙われます。違反があるため免許取消しという結論自体は自然ですが、その取消しが任意的なのか必要的なのかで正誤が変わります。助動詞まで確認してください。
さらに、新規免許には条件を付けられるが更新には付けられない、と範囲を狭める誤肢も作れます。資料では更新の場合にも条件を付したり変更したりすることが可能です。👉 免許条件→更新でも可能→条件違反は任意的取消しという流れを固定してください。
過去問分析
この過去問では、免許の更新を中心にしながら、名義貸し・免許権者・免許条件という免許制度の関連論点を横断して判断します。正解4を選ぶには、第1肢で更新申請後の従前免許、第4肢で任意的取消しを正しく判断する必要があります。この章では、令和6年問38だけを詳しく分析します。
本問は四肢の論点がそれぞれ異なるため、同じ判断基準を繰り返し使う問題ではありません。第1肢は時点、第2肢は名義貸し、第3肢は事務所所在地、第4肢は免許条件と取消しの強さが決め手です。肢ごとに論点を分類してから○×を判断してください。
最初に確認する語句
問題文では、90日前、30日前、有効期間満了、名義貸し、乙県所在の宅地、事務所、免許の条件、取り消すことができるを最初に確認します。第1肢は更新時期と従前免許、第2肢は名義貸し禁止、第3肢は免許権者、第4肢は条件違反として分類します。数字や県名だけを見ず、その語句が何について書かれているかを確認します。
令和6年(2024年)問38
宅地建物取引業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
- 宅地建物取引業者Aが、免許の更新の申請をした場合において、従前の免許の有効期間の満了の日までに、その申請について処分がなされないときは、従前の免許は、有効期間の満了後その効力を失う。
- 宅地建物取引業者Bが宅地建物取引業者Cに自己の名義をもって宅地建物取引業を営ませる行為は、Bが名義の使用を書面で指示している場合であれば、宅地建物取引業法に違反しない。
- 宅地建物取引業者D(甲県知事免許)は、国土交通大臣に免許換えの申請をし、その免許を受けなければ、乙県所在の宅地の売買の媒介をすることはできない。
- 宅地建物取引業者E(丙県知事免許)の免許の更新に当たって、丙県知事は宅地建物取引業法第3条の2に基づき条件を付すことができ、Eが免許の更新に当たって付された条件に違反したときは、丙県知事はEの免許を取り消すことができる。
正解:4
解説
本問では、免許制度に関する四つの記述から正しいものを選びます。提供された模範解答では、第1肢・第2肢・第3肢が誤りで、第4肢が正しい内容です。各肢で異なるひっかけを見抜く必要があります。
各肢の正誤理由
◆1(誤り)
免許の更新は、有効期間満了日の90日前から30日前までの間に申請する必要があります。この部分は正しいため、数字だけ確認すると○に見えます。しかし、本肢の誤りは有効期間満了後の従前免許の扱いです。
更新申請を適法に行っているにもかかわらず、有効期間満了までに更新についての処分がされない場合があります。この場合、従前の免許は更新処分がされるまで効力を有します。したがって、Aは宅建業を継続することができます。
問題作成者は、「90日前から30日前」という正しい数字を前半に配置し、後半だけを誤った法律効果にしています。「有効期間の満了後その効力を失う」という部分を、「更新についての処分がされるまで効力を有する」に直せば正しい文章になります。数字の後の効果まで確認してください。
◆2(誤り)
宅建業者は、自己の名義を使って他人に宅建業を営ませることができません。これは名義貸しの禁止であり、相手が無免許者である場合だけに限定されません。相手が別の宅建業者でも同様に禁止されます。
さらに、名義の使用を書面で指示している場合でも結論は変わりません。書面があるから適法になるのではなく、他人に自己名義で宅建業を営ませているかが判断基準です。したがって、第2肢は誤りです。
本肢では「相手も宅建業者」「書面で指示」という二つの事情がひっかけになっています。しかしどちらも名義貸しを許容する例外ではありません。正しい修正は、「相手が宅建業者であっても、書面による指示があっても名義貸しは禁止」となります。
◆3(誤り)
宅建業の免許権者は、事務所を設置する都道府県の範囲によって決まります。一つの都道府県だけに事務所がある場合は知事免許、複数都道府県に事務所があれば国土交通大臣免許です。取り扱う物件の所在地は免許権者の基準ではありません。
本問のDは甲県知事免許を受けており、乙県所在の宅地の売買を媒介しています。しかし、乙県内に事務所を新設したとは書かれていません。したがって、国土交通大臣免許への免許換えは必要ありません。
第3肢では「甲県」「乙県」という二つの県名を出し、複数都道府県だから大臣免許と思わせています。しかし、複数なのは事務所所在地ではなく、事務所と物件の所在地です。「乙県の宅地」を「乙県の事務所」と読み替えないことがポイントです。
◆4(正しい)
免許権者である丙県知事は、宅建業者Eの免許に条件を付したり、その条件を変更したりすることができます。この扱いは新規免許だけでなく、免許の更新についても同様です。したがって、本肢の前半は正しい内容です。
Eが免許条件に違反した場合、丙県知事はEの免許を取り消すことができます。これは資料上、任意的免許取消事由として整理されています。「取り消さなければならない」ではなく、「取り消すことができる」という点がポイントです。
第4肢は、条件を付せる範囲と条件違反時の処分を正しく述べています。他の肢のような数字や主体の入れ替えがありません。したがって正解は4です。
問題作成者のひっかけポイント
第1肢では、正しい更新申請期間を提示した後、従前免許の効力だけを変更しています。受験生が90日前・30日前という数字を知っていると、その時点で○と判断しやすくなります。文章後半の「満了後は効力を失う」という部分まで確認する必要があります。
第2肢では、相手が宅建業者であることと書面による指示を利用しています。どちらも一見すると適正な取引に見えますが、名義貸し禁止には関係ありません。例外らしい事情を付け加えて基本ルールを崩す典型的な作り方です。
第3肢では、県名を二つ登場させることで国土交通大臣免許を連想させています。しかし免許権者を決めるのは事務所所在地であり、物件所在地ではありません。第4肢では「できる」という任意表現が正しく使われているため、必要的取消しとの違いを知っているかが判断ポイントです。
受験生が迷う理由
本問はタイトル上は免許の問題ですが、四肢で問われている内容が大きく異なります。更新申請の数字だけを学習していても、名義貸しや免許条件を知らなければ正解できません。免許制度を「誰・時点・事務所・処分」という判断軸で整理する必要があります。
第1肢では、有効期間満了という言葉から免許が当然に切れるように感じやすくなります。第3肢では県名が複数あるため大臣免許へ変わるように見え、第4肢では違反があるため必要的取消しのように感じます。日常的な印象より条文上の条件を優先してください。
また、第2肢では相手も宅建業者であるため、無免許営業の問題ではないと思って○を付けやすくなります。しかし問われているのは無免許営業ではなく名義貸し禁止です。問題文を読んだら、最初にどの制度なのかを分類する必要があります。
正しい判断手順
第1肢では、①更新申請期間内か、②更新申請済みか、③満了までに処分が出たか、④従前免許はいつまで有効かの順に確認します。90日前から30日前という数字が正しくても、処分まで従前免許が効力を有するため肢全体は×です。数字だけで判断を終了しないでください。
第2肢は「自己名義を他人に使用させているか」だけを最初に確認します。相手が宅建業者か、書面で指示したかという事情は結論を変えません。したがって名義貸し禁止により×です。
第3肢は、乙県にあるのが事務所なのか宅地なのかを確認します。乙県に事務所がなく物件を媒介するだけなら、甲県知事免許のままで足ります。第4肢は条件付与が可能であり、違反時は任意的取消しなので○となります。
類似問題で使える知識
更新問題では、90日前・30日前だけでなく、更新申請後に処分が遅れた場合の従前免許まで一緒に確認します。この判断は、有効期間満了と免許失効を入れ替えた問題にもそのまま利用できます。数字と法律効果をセットで整理してください。
免許権者問題では、県名ではなく「事務所」という名詞を探す方法が有効です。他県の宅地を扱う場合、広告する場合、契約する場合でも、他県に事務所を設置したとは限りません。同じ判断方法を免許換えにも利用できます。
免許条件では、任意的取消しと必要的取消しの違いを確認します。「取り消すことができる」と「取り消さなければならない」は宅建業法で頻繁に入れ替えられる表現です。助動詞まで確認する方法は監督処分の類似問題にも使えます。
宅建試験ではここが狙われやすい
令和6年問38では、正しい前提を残して最後の法律効果だけを変更する誤肢が多く使われています。第1肢の申請期間、第2肢の相手が宅建業者、第3肢の乙県という地名など、一部の情報だけを見ると正しそうに感じます。肢全体を制度ごとに分解して判断する必要があります。
👉 復習では、1=更新申請済みなら処分まで従前免許有効、2=相手が宅建業者でも名義貸し禁止、3=物件所在地ではなく事務所所在地、4=条件違反は任意的取消しと圧縮してください。この4本を問題文のキーワードから呼び出せれば、本問だけでなく免許制度の類似問題にも対応できます。正解4という番号ではなく、変更された語句を説明できる状態が本試験対策になります。
一問一答|過去問の肢レベルで確認
ここでは、令和6年問38で使う知識を本試験レベルの誤肢で確認します。更新申請期間、従前免許、名義貸し、免許権者、免許条件を中心に、数字・主体・時点を入れ替えています。誤っている語句を正しく修正できるかまで確認してください。
問題1
宅建業免許の更新申請は、有効期間満了日の90日前から30日前までの間に行う。
正解:○
更新申請期間の基本です。90日前から30日前までを一組で確認します。
問題2
宅建業免許の更新申請は、有効期間満了日の60日前から30日前までの間に行えばよい。
正解:×
更新申請期間は90日前から30日前までです。
誤っている語句
「60日前」
正しい修正
「90日前」
問題3
適法に更新申請をした場合でも、有効期間満了までに処分がなければ従前免許は当然に失効する。
正解:×
更新についての処分がされるまで従前免許が効力を有します。
誤っている語句
「有効期間満了までに処分がなければ従前免許は当然に失効する」
正しい修正
「更新処分がされるまで従前免許が効力を有する」
問題4
適法な更新申請後に有効期間が満了しても、更新処分がされるまでは従前免許に基づいて事業を継続できる。
正解:○
更新申請済みの場合の従前免許の特則です。
問題5
宅建業者は、相手も宅建業者であれば自己の名義を貸して宅建業を営ませることができる。
正解:×
相手が宅建業者であっても名義貸しは禁止です。
誤っている語句
「相手も宅建業者であれば」
正しい修正
「相手が宅建業者であっても禁止」
問題6
宅建業者が書面で自己名義の使用を指示していれば、名義貸しにはならない。
正解:×
書面があっても名義貸し禁止は変わりません。
誤っている語句
「名義貸しにはならない」
正しい修正
「書面による指示があっても禁止される」
問題7
甲県だけに事務所を設ける宅建業者が乙県の宅地を媒介しても、それだけで大臣免許への免許換えは必要ない。
正解:○
免許権者は事務所所在地で判断します。
問題8
甲県知事免許の業者が乙県所在の宅地を扱う場合、乙県に事務所がなくても大臣免許への免許換えが必要である。
正解:×
物件所在地ではなく事務所所在地で判断します。
誤っている語句
「乙県に事務所がなくても大臣免許への免許換えが必要」
正しい修正
「乙県に事務所を設けなければ甲県知事免許のまま」
問題9
免許権者は、宅建業免許に条件を付すことができる。
正解:○
免許への条件付与は認められています。
問題10
免許の更新の場合には、新規免許と異なり条件を付すことができない。
正解:×
更新の場合にも条件を付すことができます。
誤っている語句
「更新の場合には条件を付すことができない」
正しい修正
「更新の場合にも条件を付すことができる」
問題11
宅建業者が免許条件に違反した場合、免許権者はその免許を取り消すことができる。
正解:○
資料では任意的免許取消事由と整理されています。
問題12
宅建業者が免許条件に違反した場合、免許権者は必ず免許を取り消さなければならない。
正解:×
免許条件違反は任意的取消事由です。
誤っている語句
「必ず免許を取り消さなければならない」
正しい修正
「免許を取り消すことができる」
問題13
免許更新の問題では、更新申請の数字だけでなく、有効期間満了後の従前免許の効力まで確認する必要がある。
正解:○
令和6年問38第1肢のように、数字が正しく法律効果だけ誤っている肢があります。
宅建試験ではここが狙われやすい
一問一答で共通するひっかけは、正しい制度の条件を一つだけ変更する方法です。90日前を60日前へ変更する、処分まで有効を満了日で失効へ変える、「できる」を「しなければならない」へ変えるだけで誤肢になります。文章の大部分が正しい問題ほど一語ずつ確認してください。
また、物件所在地と事務所所在地、宅建業者と無免許者など、似た属性を入れ替える問題も作られます。👉 数字・場所・相手方・助動詞のどれが変更されているかを探してください。誤った一語を正しく修正する学習が、類似問題への対応力につながります。
FAQ
免許の有効期間・更新では、適法に更新申請した後の扱いや、他県の物件を扱った場合の免許権者などで迷いやすくなります。FAQでは本文の単純な繰り返しではなく、本試験で判断が止まりやすい境界を確認します。どの場合も時点と事務所所在地を最初に確認してください。
Q1.更新申請をしたのに満了日までに返事がなければ無免許になりますか?
適法な更新申請をしている場合は、更新についての処分がされるまで従前免許が効力を有します。満了日だけで無免許とは判断しません。
Q2.更新申請を満了日の20日前にすればよいですか?
資料では更新申請期間は満了日の90日前から30日前までです。20日前では指定された申請期間を外れます。
Q3.他県の土地を何件も媒介すると大臣免許になりますか?
取扱件数では決まりません。2以上の都道府県に事務所を設けているかを確認します。
Q4.宅建業者同士なら名義を貸しても問題ありませんか?
問題があります。相手が宅建業者であるかどうかにかかわらず名義貸しは禁止されます。
Q5.親会社が子会社へ名義を使わせる場合も同じですか?
問題文で自己名義を使わせて他人に宅建業を営ませているなら、会社関係だけで例外とは判断しません。名義を誰が使用して実際に営業しているかを確認します。
Q6.免許更新時には条件を付けられませんか?
更新の場合にも免許条件を付したり変更したりすることができます。新規免許だけの制度ではありません。
Q7.免許条件違反なら必ず免許取消しですか?
必ずではありません。資料では条件違反は「取り消すことができる」という任意的取消事由です。
Q8.令和6年問38で最初に見るべき肢はどこですか?
第1肢なら更新申請の時期と従前免許、第3肢なら乙県にあるものが事務所か物件かを確認します。肢ごとに判断基準を切り替えてください。
宅建試験ではここが狙われやすい
境界問題では、有効期間満了・他県・宅建業者・条件違反という強い語句だけで答えを決めないことが重要です。それぞれ更新申請済みか、何が他県にあるか、誰の名義を使っているか、取消しが任意かという追加条件があります。条件を一つ確認するだけで結論が逆転する場合があります。
特に更新では「申請した」と「更新された」を同じ意味にしないよう注意してください。申請後に処分があり、それまで従前免許が効力を有するという時間軸があります。👉 いつ申請し、いつ処分され、いつ旧免許の効力が変わるかを固定してください。
まとめ
免許の有効期間・更新では、最初に更新申請の時期と従前免許の状態を確認します。更新申請は満了日の90日前から30日前までで、適法に申請していれば満了までに処分がなくても従前免許は処分まで有効です。数字と満了後の法律効果をセットで判断してください。
令和6年問38は、**1×・2×・3×・4○**で正解は4です。第2肢は宅建業者相手でも名義貸し禁止、第3肢は物件所在地ではなく事務所所在地、第4肢は条件違反が任意的取消しという違いがあります。👉 本試験では「制度→時点・場所→法律効果」の順番を固定してください。
