危険負担は、宅建の権利関係で当事者の帰責事由と代金支払義務を判断する重要論点です。単に「建物が滅失したらどうなるか」を暗記するのではなく、誰に帰責事由があるのか、履行不能になったのか、解除や損害賠償まで問題になるのかを区別する必要があります。この記事では、問題文を見る順番、危険負担と契約不適合・解除・損害賠償との比較、指定過去問の判断方法を中心に整理します。
危険負担の問題で最初に何を見るか
危険負担の問題では、最初に目的物がどうなったのか、誰に帰責事由があるのかを確認します。目的物の滅失・損傷という結果が同じでも、当事者双方に責任がない場合と買主に責任がある場合では、代金支払を拒めるかどうかが変わるからです。この章では、登場人物、帰責事由、履行状態、法律効果という順番で問題文を処理する方法を確認します。
問題文を読んだら、まず売主と買主を区別し、どちらが目的物の引渡義務を負い、どちらが代金支払義務を負うのかを整理します。次に、建物の全壊・一部損壊など何が発生したのかを確認し、その原因について売主・買主のどちらかに帰責事由があるのかを読み取ります。最後に、代金支払拒絶、解除、損害賠償、追完請求、代金減額請求のどれが問われているかを確認します。
基本的な判断順序は次のとおりです。
・① 売主と買主を確認する
・② 建物が全壊したのか、一部損壊したのかを確認する
・③ 滅失・損傷について誰に帰責事由があるのかを確認する
・④ 代金支払拒絶・解除・損害賠償など、問われている法律効果を確認する
この順番を固定すると、「建物が壊れた」という事実だけで結論を出すミスを防ぎやすくなります。危険負担では、地震など当事者双方に帰責事由がない場合と、買主に帰責事由がある場合を区別することが特に重要です。また、売主が履行遅滞に陥った後に地震などで履行不能となった場合には、危険負担だけでなく損害賠償まで確認する必要があります。
問題文で注目する語句を整理します。
| 問題文の語句 | 判断ポイント |
|---|---|
| 引渡し前 | 目的物の引渡義務がまだ履行されていないか |
| 全壊・滅失 | 引渡義務が履行不能になっているか |
| 一部損壊 | 全部履行不能ではなく契約不適合の問題にならないか |
| 地震 | 当事者双方に帰責事由がないケースか |
| 買主の責任 | 債権者に帰責事由があるケースか |
| 代金支払拒絶 | 危険負担によって反対給付を拒めるか |
| 解除 | 履行不能を理由として契約を解消できるか |
| 損害賠償 | 債務者側の帰責事由を認められるか |
| 履行遅滞 | その後の履行不能について特別な扱いがないか |
この表は、問題文を読んだ直後に論点を分類するために使います。「建物が壊れた=危険負担」と即断するのではなく、全壊か一部損壊か、誰に帰責事由があるかを続けて確認します。特に一部損壊では契約不適合責任、売主の履行遅滞後の滅失では損害賠償が問題になるため、危険負担だけで全肢を処理しないことが必要です。
宅建試験ではここが狙われやすい
危険負担では、目的物が滅失・損傷したという事実を共通にしながら、帰責事由の主体だけを変更する誤肢が作られやすくなります。当事者双方に帰責事由がなければ買主は反対給付である代金の支払いを拒むことができますが、買主自身に帰責事由がある場合には同じ結論にならないため、原因を読み飛ばすと正誤が逆転します。したがって、本試験では「何が起きたか→誰の責任か→代金を拒めるか」という順番を固定すると判断しやすくなります。
さらに注意したいのが、建物の一部損壊と全部滅失を同じように扱わせるひっかけです。一部損壊なら残った目的物を引き渡すことが可能であり、全部履行不能とは異なるため、契約不適合責任として追完請求や代金減額請求などを検討する場面があります。出題者は「建物が損壊した」という共通語句で制度を混同させるため、損傷の程度まで確認してから適用する制度を決めることが重要です。
当事者双方に帰責事由がない場合の危険負担
地震などによって建物が全壊し、売主と買主の双方に帰責事由がない場合、買主は代金の支払いを拒むことができます。売主の引渡債務が履行できなくなった一方で、買主だけに反対給付を負担させる場面では、民法536条1項による危険負担が問題になるからです。この章では、双方無責の場合の基本形と、宅建で条件を入れ替える誤肢の見抜き方を確認します。
地震による全壊では帰責事由を確認する
典型例は、売買契約成立後、引渡し前の建物が地震によって全壊したケースです。地震による全壊について売主にも買主にも帰責事由がなければ、指定過去問では買主が代金の支払いを拒めると整理されています。ここでは「契約が成立しているから必ず代金を払う」という考え方をしないことがポイントです。
判断するときは、建物が全壊したことだけではなく、その原因まで読みます。たとえば地震であっても、別の事情が加われば他の論点が問題になる可能性があるため、「地震」という一語だけで機械的に結論を決めるべきではありません。指定過去問の基本形では、当事者双方に帰責事由がないことと、買主の代金支払拒絶を結び付けます。
双方無責の場合を整理します。
| 確認項目 | 判断内容 |
| 目的物 | 引渡し前の建物 |
| 発生事由 | 地震による全壊 |
| 売主の帰責事由 | なし |
| 買主の帰責事由 | なし |
| 買主の代金 | 支払いを拒むことができる |
表で重要なのは、「建物全壊」という結果と「双方無責」という原因をセットで確認することです。結果だけを覚えると、買主に帰責事由があるケースまで同じ結論にしてしまいます。危険負担では、結果よりも帰責事由の有無を先に確認する意識が必要です。
例題1
売買契約成立後、引渡し前の建物が地震によって全壊し、売主と買主のいずれにも帰責事由がない場合、買主は代金の支払いを拒むことができる。
解答・判断ポイント
正解:○
注目する語句は「引渡し前」「地震」「いずれにも帰責事由がない」です。指定過去問では、この場合に買主は民法536条1項により代金の支払いを拒むことができるとされています。全壊したという事実だけではなく、双方無責であることまで確認して判断します。
誤肢分析
誤っている語句
「なし」
正しい修正
「修正不要」
この問題は危険負担の基本形を確認するものです。「契約が成立した以上、買主は必ず代金を払う」と考えると誤答につながります。引渡債務が履行不能となった原因と帰責事由を確認してから、反対給付を拒めるかを判断します。
例題2
引渡し前の建物が地震で全壊し、売主と買主の双方に帰責事由がない場合でも、売買契約が成立している以上、買主は必ず代金を支払わなければならない。
解答・判断ポイント
正解:×
指定過去問では、当事者双方に帰責事由がない場合、買主は代金の支払いを拒むことができます。したがって、「必ず代金を支払わなければならない」という部分が誤りです。契約成立の事実だけで代金支払義務の扱いを判断しないようにします。
誤肢分析
誤っている語句
「必ず代金を支払わなければならない」
正しい修正
「代金の支払いを拒むことができる」
この誤肢は、契約成立と危険負担を混同させる形式です。売買契約が成立していること自体は否定されていませんが、その後に双方の責任によらず引渡債務が履行不能となった点が判断を変えます。宅建では、契約が存在するかという問題と、反対給付を拒めるかという問題を分けて考えます。
宅建試験ではここが狙われやすい
双方無責型の危険負担では、「契約成立済み」「代金支払義務」というもっともらしい言葉を使って、買主が代金を支払わなければならないように見せる誤肢に注意します。しかし、指定過去問で確認すべきなのは契約が成立したかではなく、その後の履行不能について双方に帰責事由がない場合に反対給付を拒めるかという点です。問題文を読んだら、契約成立→事故発生→帰責事由→反対給付という時間順に整理すると混同を防げます。
また、「地震なら常に代金を拒める」と単純化するのも危険です。指定過去問の別肢では、売主が履行遅滞に陥っている間に地震で建物が全壊したケースが扱われており、その場合には履行不能について売主側の帰責事由が認められるという別の判断が必要になります。自然災害という原因だけで結論を決めず、事故発生前の当事者の状態まで確認することが、危険負担のひっかけを切る判断手順です。
買主に帰責事由がある場合の危険負担
建物の滅失について買主に帰責事由がある場合、買主は代金の支払いを拒むことができません。当事者双方に帰責事由がない場合とは扱いが異なり、民法536条2項が問題となるからです。この章では、買主に責任がある場合の代金支払義務と、売主が債務を免れて利益を得た場合の償還について確認します。
買主の責任なら代金支払拒絶はできない
指定過去問の正解肢では、建物の滅失について買主Bに帰責事由があります。この場合、Bは代金の支払いを拒むことができず、双方無責の場合とは反対の結論になります。したがって、危険負担では「滅失した」という事実より、誰の帰責事由によって滅失したのかが重要です。
さらに、債務者が自己の債務を免れたことで利益を得た場合には、その利益を債権者へ償還する必要があります。指定過去問では、売主Aが建物の滅失によって内装改修工事費の支払いを免れたため、その工事費相当額を買主Bへ償還する必要があると整理されています。代金支払義務だけで判断を終わらせず、債務者が免れた費用の有無まで確認します。
双方無責の場合と買主に帰責事由がある場合を比較します。
| 比較項目 | 双方に帰責事由なし | 買主に帰責事由あり |
| 建物の滅失 | 発生 | 発生 |
| 買主の代金支払拒絶 | できる | できない |
| 判断の中心 | 双方無責 | 買主の帰責事由 |
| 売主が免れた利益 | 個別に確認 | 償還の問題を確認 |
この比較では、同じ「建物滅失」でも結論が変わることを押さえます。宅建では、滅失という結果を共通にして帰責事由の主体だけを変更することで、もっともらしい誤肢を作ることができます。選択肢を読むときは、必ず「誰のせいで」という情報を探してください。
例題1
建物の滅失について買主に帰責事由がある場合でも、建物を受け取れない以上、買主は代金の支払いを拒むことができる。
解答・判断ポイント
正解:×
指定過去問では、建物の滅失について買主に帰責事由がある場合、買主は代金の支払いを拒むことができないとされています。注目する語句は「買主に帰責事由」と「支払いを拒むことができる」です。双方無責の場合の結論を、買主有責の場合へ移した誤肢として判断します。
誤肢分析
誤っている語句
「代金の支払いを拒むことができる」
正しい修正
「代金の支払いを拒むことができない」
この問題は、危険負担で最も混同しやすい二つのケースを入れ替えています。目的物を受け取れないという結果だけを見ると、代金も払わなくてよいように感じます。しかし、その原因が買主自身にある場合には同じ扱いにならないため、帰責事由を先に確認します。
例題2
買主の帰責事由によって建物が滅失し、売主が自己の債務を免れたことで利益を得た場合、その利益についても確認する必要がある。
解答・判断ポイント
正解:○
指定過去問では、債務者が自己の債務を免れたことによって利益を得た場合、その利益を債権者に償還する必要があるとされています。実際の肢では、売主が内装改修工事費の支払いを免れたことが具体的な利益として示されています。代金支払拒絶の可否だけでなく、売主側に残った利益まで確認することがポイントです。
誤肢分析
誤っている語句
「なし」
正しい修正
「修正不要」
この論点では、買主が代金を払うかどうかだけを覚えると後半の判断を落とします。問題文に「支払いを免れた」「費用が不要になった」などの事情があれば、債務を免れたことによる利益を確認します。宅建では、条文の基本結論に具体的な金銭事情を加えて一段深く問う形式に注意が必要です。
宅建試験ではここが狙われやすい
買主有責型では、双方無責型との結論の入れ替えが典型的な誤肢になります。「建物が滅失して引渡しを受けられない」という部分は同じなので、帰責事由を読み飛ばすと、どちらの場合も代金支払いを拒めると誤解しやすくなります。本試験では「滅失→誰の帰責事由→反対給付」という順番で処理し、双方無責と買主有責を明確に分ける必要があります。
さらに、指定過去問の正解肢は、代金支払拒絶の可否だけで終わっていません。売主が内装改修工事費の支払いを免れたという具体的事情を置き、その利益を買主へ償還する必要があるところまで問うことで、条文後段の理解も確認しています。「支払義務を免れない」という前半だけで正解を決めず、債務者が免れた利益についての記述まで最後まで読むことが重要です。
建物の一部損壊と契約不適合責任
建物が一部損壊しただけで全部が滅失していない場合は、全部履行不能と同じ処理をしないことが重要です。指定過去問では、残った建物を引き渡すことで売主の引渡義務が不完全ながら履行され、買主は担保責任を追及できると整理されています。この章では、全壊と一部損壊を区別し、追完請求・代金減額請求・解除との関係を確認します。
一部損壊なら「全部履行不能」と決めつけない
建物の一部が損壊していても、残りの部分を引き渡せるのであれば、建物全部の引渡しが不可能になったケースとは異なります。指定過去問では、この場合に買主Bが売主Aの担保責任を追及でき、契約解除、追完請求、代金減額請求などが問題になると整理されています。したがって、「建物が壊れた」という事実だけで危険負担の全部履行不能型へ当てはめないことが必要です。
特に注意したいのは、代金減額請求を誰が行う権利なのかという点です。指定過去問では、追完請求や代金減額請求などは買主の権利として与えられており、売主側から一方的に減額した代金を請求することはできないと説明されています。制度名だけでなく、権利を行使できる主体まで確認してください。
全壊と一部損壊を比較します。
| 比較項目 | 全壊 | 一部損壊 |
| 引渡し | 履行不能が問題になる | 残存部分の引渡しが可能 |
| 主な確認論点 | 危険負担・解除など | 契約不適合責任 |
| 買主の権利 | 状況により解除等 | 追完・代金減額・解除等 |
| ひっかけ | 一部損壊と同じ扱いにする | 売主から減額請求できるとする |
この表では、損壊の程度を最初に分類することが重要です。「建物が損壊した」という言葉だけでは、どの制度を使うかを決めることはできません。全部か一部かを確認したうえで、危険負担、履行不能、契約不適合責任のどこへ進むかを判断します。
例題1
引渡し前の建物の一部が損壊した場合、建物が全壊した場合と必ず同じように全部履行不能として処理する。
解答・判断ポイント
正解:×
指定過去問では、一部損壊の場合、残りの一部を引き渡せば売主の引渡義務は不完全ながら履行されると整理されています。したがって、全壊の場合と必ず同じように全部履行不能として処理するわけではありません。一部損壊では契約不適合責任による買主の権利を確認します。
誤肢分析
誤っている語句
「必ず同じように全部履行不能として処理する」
正しい修正
「一部損壊では契約不適合責任も確認する」
この問題は、全壊と一部損壊を同じ「損壊」として処理させるひっかけです。宅建では、似た事実の程度を変えることで適用される制度を変える問題が作られます。問題文で「全部」「一部」という範囲を示す語句を読み飛ばさないことが重要です。
例題2
建物の一部損壊について代金減額請求が問題となる場合、売主は自ら一方的に減額した代金を買主へ請求できる。
解答・判断ポイント
正解:×
指定過去問では、代金減額請求などは買主の権利として与えられていると整理されています。そのため、売主側から減額した代金を一方的に請求できるとする説明は誤りです。注目するのは制度名ではなく、誰がその権利を行使するのかという主体です。
誤肢分析
誤っている語句
「売主は自ら一方的に減額した代金を買主へ請求できる」
正しい修正
「代金減額請求は買主の権利として行使する」
この問題は、代金減額という正しい制度名を使いながら、その主体を変更する誤肢です。「代金を減額する」という結果だけを見ると文章が自然に感じられますが、誰に与えられた権利なのかを確認する必要があります。危険負担周辺では、制度の要件だけでなく権利者の入れ替えにも注意します。
宅建試験ではここが狙われやすい
一部損壊では、危険負担そのものよりも、全部履行不能と契約不適合責任を混同させる形が狙われます。建物に物理的な損傷があるという事実は共通しているため、「損壊=履行不能」と短絡すると、一部損壊でも全部滅失と同じ処理を選んでしまいます。まず「全部か一部か」を確認し、一部なら残存部分の引渡しが可能か、そのうえで買主の契約不適合に関する権利を検討する順番が有効です。
また、契約不適合責任では権利の主体を交換する誤肢にも注意します。追完請求や代金減額請求という正しい用語を置いたまま、売主から行使できるように文章を書き換えれば、一見正しそうな選択肢になります。「制度名が正しい=文章全体が正しい」と判断せず、誰が誰に対して行使する権利なのかまで確認することが、指定過去問の肢2を切るポイントです。
履行不能になった場合の解除
建物が全壊して引渡しが履行不能となった場合には、契約解除も問題になります。指定過去問では、建物が全壊して引渡しが履行不能となった場合、買主Bは契約を解除することができると整理されています。この章では、危険負担による代金支払拒絶と解除を混同せず、解除後の原状回復まで確認します。
履行不能と解除は別の法律効果として確認する
危険負担では「代金を支払わなくてよいか」という反対給付の問題に目が向きやすくなります。しかし、建物が全壊して引渡しが履行不能となった場合には、買主が契約そのものを解除できるかという別の問題もあります。指定過去問では、民法542条1項1号により買主Bが契約を解除できるとされています。
契約が解除されれば、当事者には原状回復義務が生じます。指定過去問では、買主Bがすでに代金を支払っている場合、売主Aに対して代金の返還を請求できるという形で説明されています。危険負担、解除、原状回復を一つの制度として覚えるのではなく、順番に発生する別の法律効果として整理します。
判断の流れを整理します。
| 段階 | 確認内容 |
| ① | 建物が全壊したか |
| ② | 引渡しが履行不能になったか |
| ③ | 買主が契約を解除できるか |
| ④ | 解除後に原状回復が必要か |
| ⑤ | 支払済み代金を返還請求できるか |
この表では、解除した後まで判断を続けることがポイントです。「解除できる」という結論だけで問題が終わるとは限らず、その後の代金返還まで選択肢に含まれることがあります。本試験では、一つの法律効果が発生した後に何が続くのかまで確認してください。
例題1
建物が全壊して引渡しが履行不能となった場合、買主は契約を解除することができる。
解答・判断ポイント
正解:○
指定過去問では、建物が全壊して引渡しが履行不能となった場合、買主Bは契約を解除できるとされています。注目する語句は「全壊」「履行不能」「解除」です。危険負担による代金支払拒絶とは別に、解除の可否を判断します。
誤肢分析
誤っている語句
「なし」
正しい修正
「修正不要」
この問題では、危険負担と解除を別々に判断できるかがポイントです。代金支払拒絶について知っていても、それだけで解除の問題を処理したことにはなりません。問題文が「解除できるか」と聞いていれば、解除の要件へ判断基準を切り替えます。
例題2
建物の全壊により契約が解除されても、すでに支払った代金について買主は返還を求めることができない。
解答・判断ポイント
正解:×
指定過去問では、契約が解除された場合、当事者は原状回復義務を負うと整理されています。そのため、買主Bは売主Aに対して支払済み代金の返還を請求できます。「解除」と「原状回復」を連続した法律関係として確認します。
誤肢分析
誤っている語句
「返還を求めることができない」
正しい修正
「代金の返還を請求することができる」
この問題は、解除できることを知っている受験生に、その後の効果まで問う形式です。解除という制度名だけを覚えるのではなく、解除後に当事者関係を元へ戻す原状回復が問題になることを確認します。支払済みの金銭が問題文に出た場合は、返還関係まで読む必要があります。
宅建試験ではここが狙われやすい
危険負担と解除は、同じ履行不能の場面に登場するため混同しやすい論点です。しかし、危険負担では反対給付である代金の支払いを拒めるかを判断し、解除では契約関係を解消できるかを判断するため、問題文が何を聞いているかによって使う知識を切り替える必要があります。「建物全壊」という事実を見たら即座に一つの結論を出すのではなく、「代金か、解除か」という法律効果を確認してください。
さらに、解除の肢では解除できるかだけでなく、その後の原状回復まで一続きで問われることがあります。指定過去問では、契約解除後に買主が売主へ代金返還を請求できることまで説明されており、「解除はできるが代金は返還されない」といった部分的に誤った肢を作ることが可能です。宅建では、原因→解除→原状回復という流れを一組として整理すると、後半だけを書き換えた誤肢にも対応しやすくなります。
履行遅滞中に履行不能となった場合の損害賠償
売主が履行遅滞の責任を負っている間に、双方の帰責事由によらない事情で履行不能となった場合には、損害賠償まで確認する必要があります。指定過去問では、売主Aが履行遅滞をしている間に地震で建物が全壊した場合、履行不能についてAの帰責事由が認められると整理されています。この章では、単純な双方無責型の危険負担と、履行遅滞後の履行不能を区別します。
地震だから常に双方無責とは限らない
地震そのものは、通常、売主や買主が発生させたものではありません。そのため、問題文に「地震で全壊」と書かれていると、双方無責の危険負担だと即断しやすくなります。しかし、指定過去問では、売主Aがすでに履行遅滞に陥っている間に地震で全壊したという事情が加えられています。
この場合、債務者が履行遅滞の責任を負っている間に双方の帰責事由なく履行不能となったときは、債務者に帰責事由があるものとみなされると整理されています。その結果、指定過去問では買主Bが売主Aに対して損害賠償を請求できるとされています。事故の直接原因だけでなく、事故発生前に債務者が履行遅滞だったかまで確認する必要があります。
二つのケースを比較します。
| ケース | 売主の状態 | 地震による全壊後の判断 |
| 通常の双方無責 | 履行遅滞なし | 買主は代金支払を拒める |
| 売主が履行遅滞中 | 履行遅滞あり | 売主側の帰責事由を認め損害賠償を検討 |
同じ地震による全壊でも、事故前の売主の状態によって判断が変わります。この違いは、宅建で非常にひっかけを作りやすい部分です。「地震」という原因だけを拾わず、その前に履行遅滞が書かれていないかを確認します。
例題1
売主が履行遅滞に陥っている間に、売主と買主の責任によらない地震で建物が全壊した場合、地震である以上、売主に帰責事由が認められることはない。
解答・判断ポイント
正解:×
指定過去問では、債務者が履行遅滞の責任を負っている間に双方の帰責事由なく履行不能となった場合、債務者に帰責事由があるものとみなされると整理されています。したがって、「地震である以上」という理由だけで売主の責任を否定することはできません。地震発生前に売主が履行遅滞だったことが判断ポイントです。
誤肢分析
誤っている語句
「売主に帰責事由が認められることはない」
正しい修正
「履行不能について売主の帰責事由が認められる」
この問題は、自然災害という目立つ事情で履行遅滞を読み飛ばさせるひっかけです。宅建では、後から発生した出来事だけでなく、その前の法律関係が結論を左右する場合があります。事実を時間順に並べて処理すると判断しやすくなります。
例題2
売主が履行遅滞中に地震で建物が全壊し、履行不能について売主の帰責事由が認められる場合、買主は売主に対する損害賠償請求を検討できる。
解答・判断ポイント
正解:○
指定過去問では、この場合に買主Bは売主Aに対して損害賠償を請求できると整理されています。単純な危険負担の問題として代金支払拒絶だけを検討するのではなく、売主側の帰責事由と損害賠償まで確認します。履行遅滞という先行事情を見落とさないことがポイントです。
誤肢分析
誤っている語句
「なし」
正しい修正
「修正不要」
この問題では、「地震→双方無責」という短い暗記だけでは対応できません。売主が履行遅滞中だったという事情が入れば、履行不能についての帰責事由の判断が変化します。問題文では出来事を発生順に並べてから法律効果を判断してください。
宅建試験ではここが狙われやすい
履行遅滞後の履行不能では、自然災害という目立つ原因だけを見せて双方無責だと思わせる誤肢に注意します。指定過去問では、地震自体について売主Aに直接の責任がなくても、その前から引渡しについて履行遅滞に陥っていたため、履行不能についてAの帰責事由が認められるという流れになっています。「何が原因で壊れたか」だけでなく、「壊れる前に債務者は何をしていたか」まで確認する必要があります。
本試験では、事実関係を時間順に並べる方法が有効です。売買契約成立→引渡期限到来→売主が履行遅滞→地震→建物全壊という順番に整理すれば、単純な「契約成立→地震→全壊」という双方無責型とは異なることが見えてきます。危険負担、履行不能、損害賠償が同じ肢に登場した場合は、制度名を個別暗記するのではなく、事故前の法律関係から順番に処理してください。
指定過去問分析|危険負担・解除・損害賠償
2012年問8では、危険負担だけでなく、契約不適合、解除、損害賠償まで横断して判断する力が問われます。各肢で建物の滅失・損傷という似た事実が使われていますが、帰責事由、損壊の程度、履行遅滞の有無を変えることで法律効果が異なるからです。この章では、各肢の正誤理由、ひっかけポイント、受験生が迷う理由、本試験での判断手順を整理します。
2012年 問8
AがBに対し、A所有の建物を売り渡し、所有権移転登記を行ったが、まだ建物の引渡しはしていない場合で、代金の支払いと引換えに建物を引き渡す旨の約定があるときに関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 代金の支払い及び建物の引渡し前に、その建物が地震によって全壊したときは、Bは、Aに対して代金の支払いを拒むことはできない。
2 代金の支払い及び建物の引渡し前に、その建物の一部が地震によって損壊したときは、Aは、代金の額から損壊部分に見合う金額を減額した額であれば、Bに対して請求することができる。
3 Aが自己の費用で建物の内装改修工事を行って引き渡すと約束していた場合で、当該工事着手前に建物がBの責めに帰すべき火災で全焼したときは、Aは、内装改修工事費相当額をBに対して償還しなければならない。
4 Bが代金の支払いを終え、建物の引渡しを求めたのにAが応じないでいる場合でも、建物が地震で全壊したときは、Bは、契約を解除して代金の返還を請求することができない。
最初に確認する語句は、引渡し前、全壊、一部損壊、地震、帰責事由、履行不能、代金支払拒絶、履行遅滞です。この問題では、建物が滅失・損傷したという共通点だけで四つの肢を同じように処理することはできません。各肢について「誰に帰責事由があるか」「全部か一部か」「事故前に履行遅滞があるか」を分類してから法律効果を判断します。
問題文を見るときは、次のポイントを順番に整理します。
・当事者双方に帰責事由がない全壊か
・全部滅失ではなく一部損壊か
・買主に帰責事由がある滅失か
・売主が履行遅滞中に履行不能となったのか
この四つを分類すると、肢ごとに使う判断基準が見えてきます。肢1では双方無責の場合の代金支払拒絶、肢2では一部損壊と買主の権利、肢3では買主有責の場合の危険負担、肢4では履行不能による解除と履行遅滞後の損害賠償が問題になります。最初から正解番号を探すのではなく、一肢ずつ事実関係を分類することが重要です。
正解:3
解説
正解肢は、建物の滅失について買主Bに帰責事由がある場合の危険負担を扱った3です。買主に帰責事由があるためBは代金支払いを拒めず、売主Aが債務を免れたことで得た利益についてはBへの償還が問題になります。各肢では帰責事由、一部損壊、履行不能、履行遅滞という条件が変更されているため、それぞれ別の判断基準を当てはめます。
◆1(誤り)
引渡し前に建物が全壊していますが、その原因は地震であり、売主Aと買主Bのいずれにも帰責事由がありません。この場合、指定過去問では民法536条1項により、買主Bは代金の支払いを拒むことができると整理されています。したがって、双方無責であるにもかかわらず買主に代金支払いを求める方向の説明は誤りです。
この肢で最初に見るのは「地震」だけではなく、「A・Bのいずれにも帰責事由がない」という条件です。双方無責であることを確認したら、次に反対給付である代金の支払いを拒めるかを判断します。「契約が成立したから代金を払う」という単純な処理をしないことがポイントです。
◆2(誤り)
この肢では、建物の全部が滅失したのではなく、一部が損壊しています。そのため、残った部分を引き渡せば売主Aの引渡義務は不完全ながら履行され、指定過去問では買主Bが担保責任を追及できると整理されています。具体的には、契約解除、追完請求、代金減額請求などが問題になります。
重要なのは、これらが買主側に認められる権利として整理されていることです。指定過去問では、売主Aの側から一方的に減額した代金を請求することはできないと説明されています。「代金減額」という正しい制度名が書かれていても、誰がその権利を行使するのかまで確認する必要があります。
◆3(正しい)
建物の滅失について、買主Bに帰責事由があるケースです。この場合、指定過去問では民法536条2項前段により、Bは代金の支払いを拒むことができないと整理されています。双方無責の場合とは結論が異なるため、帰責事由の主体を正確に確認する必要があります。
さらに、債務者が自己の債務を免れたことによって利益を得た場合、その利益を債権者へ償還する必要があります。本肢では、売主Aが建物の滅失によって内装改修工事費の支払いを免れているため、その工事費相当額をBへ償還する必要があるとされています。したがって、代金支払拒絶の可否と利益の償還の双方について正しい肢です。
◆4(誤り)
建物が全壊しているため、建物の引渡しは履行不能になっています。この場合、指定過去問では買主Bが契約を解除でき、解除された場合には原状回復としてAに対する代金返還請求も可能と整理されています。まず、危険負担だけではなく履行不能による解除が問題になることを確認します。
さらに、この肢では売主Aが履行遅滞をしている間に建物が地震で全壊しています。指定過去問では、債務者が履行遅滞の責任を負っている間に双方の帰責事由なく履行不能となった場合、債務者に帰責事由があるものとみなされるため、BはAに損害賠償を請求できると整理されています。「地震だからAに責任はない」と判断せず、地震発生前の履行遅滞まで確認する必要があります。
問題作成者のひっかけポイント
この問題では、四つの肢すべてに建物の滅失・損傷という似た事実を配置しながら、結論を変える条件だけを入れ替えています。肢1は双方無責、肢2は一部損壊、肢3は買主有責、肢4は売主の履行遅滞後の履行不能という違いがあり、同じ危険負担の知識だけでは処理できません。問題作成者は「建物が壊れた」という共通部分へ注意を向けさせ、その前後にある条件を読み飛ばさせる形で誤肢を作っています。
特に狙われやすいのは、帰責事由の主体と事故発生前の状態です。双方無責と買主有責では代金支払拒絶の結論が変わり、同じ地震でも売主が履行遅滞中なら損害賠償まで問題になります。したがって、「自然災害」「全壊」など目立つ単語だけで判断せず、誰に責任があるのか、事故前に履行遅滞がなかったかを確認する必要があります。
受験生が迷う理由
受験生が迷いやすい最大の理由は、「建物が壊れた」という似た場面から複数の制度へ分岐することです。全部滅失なら危険負担や解除、一部損壊なら契約不適合、履行遅滞後の滅失なら損害賠償というように、問題文の細かな条件によって判断する制度が変わります。危険負担だけを暗記していると、肢2や肢4で知識を切り替えられません。
もう一つの原因は、地震などの自然災害を見た瞬間に「誰にも責任がない」と決めてしまうことです。事故そのものに直接の帰責事由がなくても、その前から債務者が履行遅滞に陥っていれば別の判断が必要になります。問題文の最後の出来事だけを見るのではなく、契約成立から事故発生までを時間順に整理することが重要です。
正しい判断手順
本試験では、まず建物が全壊したのか、一部損壊したのかを確認します。次に、滅失・損傷について売主、買主、双方のいずれに帰責事由があるのかを確認します。最後に、代金支払拒絶、契約不適合、解除、損害賠償のどの法律効果が問われているかを判断します。
具体的には次の順番で処理します。
・① 建物が全壊か一部損壊か確認する
・② 売主・買主の帰責事由を確認する
・③ 履行遅滞など事故前の事情を確認する
・④ 代金支払拒絶・解除・損害賠償など問われている効果を確認する
この四段階に分けることで、同じ「建物の滅失」という言葉に引っ張られにくくなります。特に肢1と肢3は帰責事由の主体、肢2は損傷の程度、肢4は事故前の履行遅滞が正誤を左右します。各肢について「どの条件が変えられているか」を探すことが正解への近道です。
類似問題で使える知識
類似問題でも、危険負担だけを単独で問うとは限りません。目的物の滅失や損傷を起点として、契約不適合責任、解除、原状回復、損害賠償まで連続して問われる可能性があります。したがって、目的物が壊れた後にどの法律効果へ進むのかを分岐させて整理する必要があります。
また、帰責事由は「ある・ない」だけでなく、「誰にあるか」が重要です。当事者双方にない場合と買主にある場合では代金支払拒絶の扱いが変わり、売主が履行遅滞中ならその後の履行不能についても別の判断が必要になります。「誰が・いつ・どの状態だったか」をセットで確認すれば、事例を変えた類似問題にも対応できます。
宅建試験ではここが狙われやすい
この過去問で最も重要なのは、危険負担の結論を一つの公式として暗記しないことです。「建物が滅失したら代金不要」という覚え方では買主有責の肢3を処理できず、「地震なら双方無責」という覚え方では履行遅滞中の肢4を処理できません。目的物の状態、帰責事由の主体、事故前の履行状態、問われている法律効果という四つを順番に確認する必要があります。
誤肢の作り方を見ると、出題者は制度名そのものを変えるより、条件や主体を少し変更しています。双方無責と買主有責を交換する、一部損壊を全部履行不能のように扱う、買主の権利を売主の権利へ変える、履行遅滞という先行事情を無視させるといった方法です。正しい文章を丸暗記するより、「どの語句が変わると結論が逆転するか」を把握することが、危険負担の類似問題を解くうえで有効です。
一問一答|過去問の肢レベルで確認
危険負担の一問一答では、単純な用語の定義ではなく、帰責事由・損壊の程度・履行遅滞・法律効果を組み合わせて判断します。指定過去問と同様に、一部分だけ条件を変更した誤肢を見抜けるかが得点のポイントです。×の問題では、どの語句を修正すれば正しい文章になるのかまで確認してください。
問題1
引渡し前の建物が地震で全壊し、売主と買主の双方に帰責事由がない場合、買主は代金の支払いを拒むことができる。
正解:○
指定過去問では、当事者双方に帰責事由がない場合、買主は代金の支払いを拒むことができると整理されています。建物の全壊だけでなく、双方無責という条件を確認します。
誤っている語句
「なし」
正しい修正
「修正不要」
問題2
引渡し前の建物が地震で全壊した場合は、帰責事由が誰にあるかに関係なく、買主は常に代金の支払いを拒むことができる。
正解:×
危険負担では帰責事由の主体によって結論が変わります。買主に帰責事由がある場合には、指定過去問の肢3のように代金支払いを拒むことができません。
誤っている語句
「帰責事由が誰にあるかに関係なく」
正しい修正
「帰責事由が誰にあるかを確認して判断する」
問題3
建物の滅失について買主に帰責事由がある場合、買主は代金の支払いを拒むことができない。
正解:○
指定過去問の正解肢で示されている判断です。双方無責の場合との違いを明確にします。
誤っている語句
「なし」
正しい修正
「修正不要」
問題4
買主の帰責事由によって建物が滅失した場合でも、買主が目的物を受け取れない以上、当然に代金支払義務を免れる。
正解:×
買主自身に帰責事由がある場合には、代金の支払いを拒むことができません。「目的物を受け取れない」という結果だけで判断しないことがポイントです。
誤っている語句
「当然に代金支払義務を免れる」
正しい修正
「代金の支払いを拒むことができない」
問題5
買主の帰責事由によって目的物が滅失し、売主が自己の債務を免れたことで利益を得た場合、その利益について償還が問題となる。
正解:○
指定過去問では、売主Aが内装改修工事費の支払いを免れた利益について、買主Bへの償還が必要とされています。代金支払義務だけで判断を終えないことがポイントです。
誤っている語句
「なし」
正しい修正
「修正不要」
問題6
建物の一部が損壊した場合は、必ず建物全部の引渡しが履行不能となる。
正解:×
指定過去問では、一部損壊の場合、残りの部分を引き渡すことで不完全ながら履行されると整理されています。全部滅失と一部損壊を区別します。
誤っている語句
「必ず建物全部の引渡しが履行不能となる」
正しい修正
「一部損壊では契約不適合責任も確認する」
問題7
建物の一部損壊について代金減額が問題となる場合、売主が一方的に減額した代金を請求する権利として処理する。
正解:×
指定過去問では、代金減額請求は買主側の権利として整理されています。制度名だけでなく、誰が権利を行使するのかを確認します。
誤っている語句
「売主が一方的に減額した代金を請求する権利」
正しい修正
「買主が行使する代金減額請求」
問題8
建物が全壊して引渡しが履行不能となった場合、買主は契約解除を検討することができる。
正解:○
指定過去問では、建物が全壊して引渡しが履行不能となった場合、買主は契約を解除できるとされています。危険負担による代金支払拒絶とは別の法律効果として確認します。
誤っている語句
「なし」
正しい修正
「修正不要」
問題9
契約が解除された場合でも、すでに買主が支払った代金について原状回復は問題とならない。
正解:×
指定過去問では、契約解除後に当事者が原状回復義務を負い、買主は売主へ代金返還を請求できると整理されています。解除後の法律効果まで確認します。
誤っている語句
「原状回復は問題とならない」
正しい修正
「原状回復義務が問題となる」
問題10
売主が履行遅滞中に地震で建物が全壊した場合でも、地震は自然災害であるため、履行不能について売主の帰責事由が認められることはない。
正解:×
指定過去問では、履行遅滞中に双方の帰責事由なく履行不能となった場合、債務者に帰責事由があるものとみなされると整理されています。地震だけでなく、その前の履行遅滞を確認します。
誤っている語句
「売主の帰責事由が認められることはない」
正しい修正
「履行不能について売主の帰責事由が認められる」
問題11
売主が履行遅滞中に建物が地震で全壊し、履行不能について売主の帰責事由が認められる場合、買主は損害賠償を請求できる。
正解:○
指定過去問では、このケースについて買主Bが売主Aへ損害賠償を請求できるとされています。危険負担だけでなく、債務不履行による損害賠償へ判断を切り替えます。
誤っている語句
「なし」
正しい修正
「修正不要」
問題12
危険負担の問題では、目的物が滅失したという事実さえ確認すれば、帰責事由や履行遅滞を確認する必要はない。
正解:×
指定過去問では、帰責事由の主体や履行遅滞の有無によって結論が変わります。滅失という結果だけで正誤を判断することはできません。
誤っている語句
「帰責事由や履行遅滞を確認する必要はない」
正しい修正
「帰責事由や履行遅滞の有無まで確認する」
一問一答では、○×だけを暗記せず、×の問題についてどの条件が変更されているのかを説明できる状態にします。危険負担では「双方無責→買主有責」「全部滅失→一部損壊」「通常状態→履行遅滞中」など、一つの条件を変えるだけで法律効果が変化します。誤った語句を正しい語句へ修正する練習を続けることで、初見の選択肢にも対応しやすくなります。
宅建試験ではここが狙われやすい
一問一答で特に確認したいのは、同じ「建物滅失」という事実から複数の結論が生じる点です。双方無責なら代金支払拒絶、買主有責なら支払拒絶不可、履行遅滞中の売主については損害賠償というように、帰責事由と事故前の状態によって判断が変わります。「建物がなくなったらどうなる」という一つの公式ではなく、条件ごとの分岐として理解する必要があります。
また、一部損壊を混ぜることで契約不適合責任へ論点を移すひっかけにも注意します。全部か一部か、誰に帰責事由があるか、履行遅滞があるか、何の法律効果を聞いているかという四点を問題ごとに確認すれば、制度名が複数登場しても整理できます。本試験では、選択肢を読んだ瞬間に結論を思い出すのではなく、条件を分類してから結論を出すことが重要です。
FAQ
危険負担のFAQでは、過去問で特に迷いやすい帰責事由、代金支払拒絶、一部損壊、解除、損害賠償の判断方法を確認します。同じ建物の滅失・損傷でも条件によって適用される考え方が変わるため、一つの結論だけを暗記する方法では対応できません。ここでは、本試験で問題文を読んだときに何を確認するかという観点から整理します。
Q1.危険負担の問題で最初に確認することは何ですか?
まず目的物が全壊したのか一部損壊したのかを確認し、次に誰に帰責事由があるのかを確認します。最後に、代金支払拒絶、解除、損害賠償など何の法律効果が問われているのかを判断します。
Q2.地震で建物が全壊したら、買主は必ず代金を拒めますか?
地震という事実だけでは判断せず、当事者の帰責事由や事故前の履行状態まで確認します。指定過去問では双方無責の場合には代金支払いを拒めますが、売主が履行遅滞中だった場合には別の判断が必要です。
Q3.買主に帰責事由がある場合も代金を拒めますか?
指定過去問では、建物の滅失について買主に帰責事由がある場合、買主は代金の支払いを拒むことができません。双方無責の場合との結論の違いを比較して整理します。
Q4.買主有責の場合は代金支払義務だけ確認すればよいですか?
指定過去問では、それだけでなく、売主が自己の債務を免れたことで得た利益についても確認しています。内装改修工事費の支払いを免れた場合、その利益の償還が問題となります。
Q5.建物が一部損壊したら危険負担だけを考えればよいですか?
一部損壊の場合は、全部履行不能と同じ扱いにせず、契約不適合責任も確認します。指定過去問では、追完請求、代金減額請求、解除など買主側の権利が問題とされています。
Q6.代金減額は売主から行うことができますか?
指定過去問では、代金減額請求は買主側に与えられた権利として整理されています。売主側から一方的に減額した代金を請求できるとする文章には注意します。
Q7.建物が全壊した場合は解除できますか?
指定過去問では、建物の引渡しが履行不能となった場合、買主は契約を解除できるとされています。解除後は原状回復として、支払済み代金の返還も問題になります。
Q8.地震なのに売主へ損害賠償を請求できる場合がありますか?
指定過去問では、売主が履行遅滞中に地震で建物が全壊したケースで、履行不能について売主の帰責事由が認められるとされています。そのため、事故の直接原因だけでなく、事故発生前に履行遅滞があったかを確認する必要があります。
FAQで共通する判断ポイントは、「建物が壊れた」という一つの事実だけで結論を決めないことです。危険負担では、損壊の程度、帰責事由の主体、履行遅滞の有無、問われている法律効果を組み合わせて判断します。この確認順序を固定すれば、文章表現を変更した類似問題にも対応しやすくなります。
宅建試験ではここが狙われやすい
危険負担で受験生が間違えやすいのは、基本知識を知らない場合だけではありません。「地震なら双方無責」「建物がなくなれば代金不要」など、基本知識を短く覚えすぎた結果、例外的な条件や周辺論点を読み飛ばすケースがあります。指定過去問のように買主有責、一部損壊、履行遅滞を組み合わせる問題では、暗記した一文ではなく事実関係から判断する力が必要です。
問題文を読むときは、「全部か一部か→誰の帰責事由か→事故前の履行状態→何の効果を聞いているか」の順番を固定します。この順序なら、双方無責なら危険負担、買主有責なら民法536条2項、一部損壊なら契約不適合、履行遅滞後の履行不能なら損害賠償という分岐を整理できます。出題者が条件を一つだけ入れ替えても、どこが正誤を左右する部分なのかを発見しやすくなります。
まとめ
危険負担の問題では、最初に目的物の状態と帰責事由の主体を確認することが重要です。同じ建物の滅失でも、双方無責、買主有責、売主の履行遅滞中では法律効果が異なり、一部損壊なら契約不適合責任も問題になります。したがって、「建物が壊れたらどうなるか」という一つの結論を暗記するのではなく、条件ごとに判断を分岐させる必要があります。
最初に見るポイントは次のとおりです。
・建物は全壊したのか、一部損壊したのか
・滅失や損傷について誰に帰責事由があるのか
・売主が履行遅滞に陥っていなかったか
・買主は代金の支払いを拒めるか
・契約解除が可能か
・契約不適合責任が問題にならないか
・解除後の原状回復が問題にならないか
・損害賠償まで認められるケースではないか
この確認項目は、上から順番に処理することが重要です。まず物理的な状態を確認し、次に帰責事由と事故前の履行状態を確認したうえで、最後に法律効果を判断します。法律効果から先に考えると、代金支払拒絶、解除、損害賠償など複数の制度が頭の中で混ざりやすくなります。
指定過去問の肢1では、地震による全壊について双方に帰責事由がないため、買主は代金の支払いを拒めると整理されています。肢2では一部損壊であるため、全部履行不能ではなく、契約不適合責任として買主の追完請求や代金減額請求などを確認します。肢3では買主に帰責事由があるため代金支払いを拒めず、売主が免れた内装改修工事費相当額の利益について償還が問題になります。
肢4では、建物の全壊による履行不能から契約解除と原状回復を確認する必要があります。さらに、売主が履行遅滞中に地震で建物が全壊しているため、履行不能について売主の帰責事由が認められ、買主からの損害賠償請求まで問題になります。同じ地震による全壊でも、事故発生前の当事者の状態によって結論が変わることを押さえてください。
危険負担のひっかけでは、帰責事由の主体、損壊の程度、権利者、事故発生前の状態が入れ替えられます。双方無責を買主有責へ変える、全部滅失を一部損壊へ変える、買主の代金減額請求を売主側の権利へ変える、履行遅滞を無視して地震だけを強調する、といった方法で誤肢を作ることができます。正しい制度名が書かれているかではなく、条件と主体が正しく結び付いているかを確認することが必要です。
宅建試験ではここが狙われやすい
危険負担の攻略で最も重要なのは、問題文を読んだ瞬間に「代金を払う・払わない」という結論へ飛ばないことです。目的物が全部滅失したのか一部損壊なのか、誰に帰責事由があるのか、事故発生前に履行遅滞がなかったかという事実を先に確定し、その後で代金支払拒絶、契約不適合、解除、原状回復、損害賠償へ進みます。この判断順序を固定すれば、複数制度を組み合わせた問題でも必要な知識を一つずつ取り出せます。
指定過去問は、危険負担を単独暗記するだけでは正解しにくい構成になっています。肢ごとに「双方無責」「一部損壊」「買主有責」「履行遅滞後の履行不能」という条件を分類し、それぞれに対応する法律効果を判断できることが重要です。危険負担では結論そのものを覚えるより、問題文のどこを見るかを固定し、条件が変わった箇所を発見することが過去問攻略につながります。
