【宅建】権利関係 選択債権とは? |頻出ポイント・ひっかけ問題・過去問攻略・一問一答

選択債権は、複数の給付のうち一つを選んで履行する債権であり、宅建では誰が選択権を持つかが最初の判断ポイントです。原則は債務者に選択権がありますが、特約により債権者や第三者へ与えることもできるため、人物を入れ替えた誤肢が作られます。この記事では選択権者、第三者の選択不能、給付不能による特定、意思表示の相手方を過去問中心に整理します。

令和3年10月問10では、美術品甲または乙のいずれかを引き渡すという典型的な選択債権が設定されています。売主Aが債務者、買主Bが債権者となり、原則的な選択権者や第三者に選択権を与えた場合の処理が問われています。

目次

問題文を読んだら最初に何を見るか

選択債権では、最初に債務者・債権者・選択権者の三者を確認することが重要です。原則と特約で選択権者が変わり、さらに第三者へ選択権を与えた場合には別の処理が必要になるためです。この章では人物、特約、不能、意思表示の順番で判断する方法を整理します。

基本形では、Aが「甲または乙のどちらかを引き渡す義務」を負い、Bが引渡しを請求する立場にあります。この場合、Aが債務者、Bが債権者であり、特約がなければ選択権は原則としてAにあります。

問題文では次の語句に注目します。この表を見る目的は、選択権者と選択後の効果を一度に確認することです。特に「原則」「特約」「第三者」「選択できない」「意思がない」「不能」「意思表示」という語句へ線を引いてください。

問題文の語句判断ポイント
甲または乙選択債権か確認
売主A債務者か確認
買主B債権者か確認
選択権誰にあるか確認
原則債務者にある
特約債権者・第三者も可能
第三者C選択権者か確認
選択できない選択権移転を確認
選択する意思がない選択権移転を確認
債務者へ移転第三者の場合の基本
一方が不能残存給付への特定を確認
債務者の過失特定の結論を確認
意思表示誰に対して行うか
AまたはB第三者選択の相手方
AとB双方「双方必要」なら疑う

この表では、「誰が選択権者か」という入口を最初に固定することが重要です。例えば第三者Cに選択権がある問題で、Cが選べない場合にBへ移転すると考えると誤りになります。添付資料では、この場合は選択権が債務者Aへ移転すると整理されています。

本試験では次の順番で処理します。人物関係を確認した後、原則か特約かを分け、それから不能や意思表示へ進みます。順番を固定すれば、四肢で別々のルールが出ても整理しやすくなります。

・①債務者を確認する
・②債権者を確認する
・③給付が複数あるか確認する
・④選択権の特約があるか確認する
・⑤特約がなければ債務者を選択権者とする
・⑥第三者が選択権者なら選択可能か確認する
・⑦第三者が選べない、又は選ぶ意思がない場合は移転先を確認する
・⑧給付の一つが不能なら残存給付への特定を確認する
・⑨第三者の選択なら意思表示の相手方を確認する
・⑩最後に人物と効果を照合する

この順序なら、選択権者と法律効果を別々に処理できます。特に「第三者→誰に移るか」と「第三者→誰へ意思表示するか」は別問題なので、一つのルールとして混ぜないでください。

宅建試験ではここが狙われやすい

選択債権では、原則的な選択権者を債務者から債権者へ入れ替える誤肢が最も基本的です。さらに、第三者が選択できない場合の移転先を債権者へ変更したり、第三者による選択の意思表示を「債務者と債権者双方へ必要」と書き換えたりすることで誤肢が作られます。

本試験では「選択」という言葉だけに反応せず、誰が選ぶのか、選べない場合に誰へ移るのか、選択を誰へ通知するのかを別々に確認してください。選択権者→移転先→意思表示先という三段階で整理すると、似た人物入れ替え型の問題を切りやすくなります。

選択債権とは

選択債権とは、複数の給付の中から一つを選択して履行すればよい債権です。令和3年10月問10では、美術品甲または乙のいずれかを引き渡す債権が例として設定されています。この章では、単純債権との違いと基本構造を整理します。

例えばAがBに対し、「甲または乙のどちらか一つを引き渡す」と約束した場合、Aは最初から甲と乙の両方を引き渡す義務を負うわけではありません。どちらか一つに給付が特定されれば、その対象を履行することで債務を果たすことになります。

宅建では「甲及び乙」と「甲または乙」の違いを読み飛ばさないことが重要です。前者なら二つとも給付対象となりますが、後者なら選択債権として一つを選ぶ構造になります。

比較表で整理します。この表を見る目的は、選択債権の問題かどうかを最初に見抜くことです。問題文の接続詞まで確認してください。

表現基本判断
甲または乙選択債権
甲か乙のいずれか選択債権
甲及び乙両方の給付
一つを選択して給付選択債権

この表では、対象物の数が二つあるだけで選択債権と決めないことがポイントです。問題文がどちらか一つを履行すればよい構造になっているかを確認します。

例題1

AがBに対し、甲または乙のいずれか一方を引き渡す義務を負う場合、選択債権が問題となる。

解答・判断ポイント

正解:○

複数の給付の中から一つを選択して履行する典型的な選択債権です。令和3年10月問10でも同じ構造が用いられています。

誤肢分析

誤っている語句

なし。

正しい修正

修正不要。

本試験では、この基本形へ選択権者・第三者・不能などの条件が加わります。

宅建試験ではここが狙われやすい

選択債権では、まず「複数の目的物がある」という外見だけで判断しないことが重要です。甲と乙の両方を引き渡す義務なら選択の問題ではなく、甲か乙の一方だけなら選択権が問題になります。

出題者は「または」を「及び」に変更するだけでも法律関係を変えることができます。何を選ぶのかより前に、そもそも選択債権かどうかを確認してください。

選択権は原則として債務者にある

選択債権の選択権は、原則として債務者にあります。令和3年10月問10では、売主Aが美術品の引渡義務を負うためAが債務者となり、原則的な選択権者もAです。この章では原則と特約による例外を整理します。

選択権者を判断するときは、「物を受け取る側の方が選ぶのが自然」と考えないでください。民法上の原則では、債権者ではなく債務者が選択します。平成ではなく令和の出題でも、この人物入れ替えがそのまま誤肢になっています。

ただし、選択権が必ず債務者に固定されるわけではありません。添付資料では、特約により債権者へ選択権を与えたり、当事者以外の第三者へ与えたりすることも可能と整理されています。

比較表を確認します。この表を見る目的は、原則と特約を分けることです。選択権者の名前だけを暗記せず、特約の有無を必ず確認してください。

場面選択権者
特約なし債務者
債権者に特約債権者
第三者に特約第三者
特約不明原則へ戻る

この表では、第三者へ選択権を与えること自体が有効である点も重要です。「選択権は契約当事者しか持てない」とする肢は誤りになります。

例題2

選択債権では、特約がない限り債権者が選択権を有する。

解答・判断ポイント

正解:×

原則的な選択権者は債務者です。令和3年10月問10では、売主Aが債務者なのでAに選択権があります。

誤肢分析

誤っている語句

「債権者」

正しい修正

「債務者」

債務者と債権者を入れ替えた基本的な誤肢です。

例題3

選択権は必ず債務者本人に属し、特約によって第三者に与えることはできない。

解答・判断ポイント

正解:×

添付資料では、特約により債権者だけでなく第三者へ選択権を与えることも可能とされています。

誤肢分析

誤っている語句

「第三者に与えることはできない」

正しい修正

「特約により第三者へ与えることもできる」

原則を強行的なルールへ変えるひっかけです。

宅建試験ではここが狙われやすい

選択権者の問題では、債務者と債権者の主語交換が最も狙われます。特に買主が「どの商品を受け取るか」を選ぶ方が日常感覚として自然に感じられるため、債権者Bを原則的選択権者とする肢は引っかかりやすくなります。

もう一つは、「原則債務者」という知識を絶対化させる誤肢です。特約によって債権者や第三者へ選択権を与えられるため、原則と特約を分けることが重要になります。

第三者に選択権を与えることもできる

選択権は、特約によって契約当事者以外の第三者へ与えることもできます。選択権が必ず債務者か債権者のどちらかに限られるわけではないためです。この章では第三者が選択権者となる場合の基本構造を整理します。

AとBの契約で第三者Cへ選択権を与えれば、Cが甲または乙のどちらを給付対象にするか選ぶことになります。この場合、Cは債務者でも債権者でもありませんが、特約によって選択権者になります。

宅建では、「契約当事者でない者には選択権を与えられない」とする誤肢が考えられます。しかし添付資料では第三者への選択権付与が可能であることが明確に示されています。

第三者選択を表で整理します。この表を見る目的は、第三者が登場した場合に直ちに無効と考えないことです。

人物立場
A債務者
B債権者
C特約による選択権者
選択対象甲または乙

第三者Cが選択権者である場合、その後はCが選べるかどうか、選択の意思表示を誰にするかが問題になります。人物が増えたら、選択権者という肩書きを付けて整理してください。

宅建試験ではここが狙われやすい

第三者選択では、「第三者は契約当事者ではないから選択権を持てない」という誤肢が基本です。さらに、第三者が選べない場合の移転先や、選択意思表示の相手方を組み合わせることで難しくできます。

本試験では、Cが登場した時点で「第三者だから無関係」と処理しないでください。特約による選択権者Cという役割を付け、その後の移転・意思表示を別々に判断します。

第三者が選択できない場合は債務者へ移転する

第三者が選択権者であり、選択することができない又は選択する意思がない場合、選択権は債務者へ移転します。令和3年10月問10肢1では、この移転先を債権者Bとした点が誤りでした。この章では第三者選択と移転先を整理します。

例えば第三者Cへ選択権を与えたものの、Cが病気などで選択できない場合を考えます。また、選択可能ではあるもののCが選ぶ意思を持たない場合も、資料上は同様に扱われます。

この場合に選択権を取得するのは債権者Bではなく債務者Aです。原則的な選択権者が債務者であることへ戻るように整理すると覚えやすくなります。

比較表で確認します。この表を見る目的は、「選べない」と「選ばない」の両方を同じルールで処理することです。

第三者Cの状態選択権
選択できる・意思ありCが行使
選択できないAへ移転
選択する意思がないAへ移転
Bへ当然移転×

選択権移転の問題では、債権者Bへ移るように感じても条文上の結論は異なります。第三者から債務者へ戻ると整理してください。

例題4

第三者Cが選択権を有している場合に、Cが選択する意思を失ったときは、選択権は債権者Bへ移転する。

解答・判断ポイント

正解:×

添付資料では、この場合の選択権は債務者Aへ移転します。令和3年10月問10肢1と同じひっかけです。

誤肢分析

誤っている語句

「債権者Bへ移転」

正しい修正

「債務者Aへ移転」

移転先を債権者へ入れ替えた誤肢です。

宅建試験ではここが狙われやすい

第三者の選択不能では、出題者は移転先だけをAからBへ変更できます。ルール全体は正しそうに書かれているため、人物を正確に追っていないと誤答しやすい問題です。

判断するときは、第三者が選べなくなったら「原則へ戻る」と考えてください。原則的選択権者は債務者なので、C→Aという移転だけを固定すると処理しやすくなります。

一方の給付が不能になった場合

選択権者が債務者である状態で、複数の給付のうち一方が不能になった場合には、残存する給付へ債権が特定される場合があります。令和3年10月問10肢2では、Aの過失により甲を選択することが不能となり、乙に特定されるとする内容が正しいとされています。この章では不能と特定の関係を整理します。

選択債権では、最初は甲か乙のどちらを履行対象にするか確定していません。しかし一方が選択できなくなり、残る給付が一つだけになれば、その残存給付へ絞られることがあります。

令和3年10月問10では、Aが選択権者であり、Aの過失により美術品甲を選択することが不能になりました。この場合、引渡し対象は残った美術品乙へ特定されると資料は説明しています。

表で整理します。この表を見る目的は、「一つが不能=債務消滅」と考えないことです。もう一つの給付が残っているかを確認します。

状況判断
甲・乙とも選択可能まだ選択
甲が選択不能乙への特定を検討
乙が残存乙を給付対象に
一方不能=全部消滅×

選択債権は複数の給付があるため、一つが不能になっただけで債務全体が当然に消えるわけではありません。残った給付が履行対象として確定するかを確認してください。

例題5

Aが選択権を有する状態で、Aの過失によって甲を給付することが不能になった場合、選択債権は当然に消滅する。

解答・判断ポイント

正解:×

令和3年10月問10では、残存する乙へ給付対象が特定されるとされています。

誤肢分析

誤っている語句

「選択債権は当然に消滅」

正しい修正

「残存する乙へ特定される」

給付の一部不能と債務全体の消滅を混同させる誤肢です。

宅建試験ではここが狙われやすい

給付不能では、「一つの目的物がなくなった=履行不能だから全部終了」と考えさせるひっかけがあります。しかし選択債権は複数の給付を予定しているため、残存する給付がある場合はそこへ特定されることがあります。

問題文では、誰が選択権を持っているかと、何が不能になったかをセットで確認してください。不能→残存給付→特定という順序で見ると、単純な債務消滅との混同を防げます。

第三者の選択はAまたはBへの意思表示で足りる

第三者が選択権者の場合、その選択は債権者または債務者のいずれか一方への意思表示によって行います。令和3年10月問10肢4では、AとBの双方へ意思表示しなければならないとした点が誤りです。この章では意思表示先の判断を整理します。

第三者Dが甲を選択すると決めた場合、その意思を当事者へ伝える必要があります。このとき債務者Aと債権者Bの双方へ同時に通知する必要はありません。

添付資料では、AまたはBのどちらか一方に対する意思表示で足りるとされています。したがって「両者に対して」「双方に対して」という語句があれば注意してください。

比較表で整理します。この表を見る目的は、第三者選択の意思表示先を明確にすることです。

意思表示先判断
債務者A
債権者B
AまたはB
AとB双方が必要×

ここでは「AかBのどちらか」という点が最重要です。第三者が契約外の者だからこそ両者へ通知する必要がありそうに感じますが、資料の結論とは異なります。

例題6

第三者Dが選択権者である場合、Dが選択を有効にするには債務者Aと債権者Bの双方へ意思表示しなければならない。

解答・判断ポイント

正解:×

添付資料では、AまたはBのどちらか一方への意思表示で足ります。

誤肢分析

誤っている語句

「AとBの双方へ」

正しい修正

「AまたはBのいずれか一方へ」

意思表示の相手方を厳しくしすぎる誤肢です。

宅建試験ではここが狙われやすい

意思表示問題では、「いずれか一方」を「双方」に変えるだけで誤肢になります。文章としては双方に知らせる方が安全そうに見えるため、法律上の要件を知らないと感覚で○を付けやすい部分です。

本試験では「誰が選ぶか」と「誰に伝えるか」を分けてください。第三者Dが選択権者であれば、選択主体はD、意思表示先はAまたはBという二段階で処理します。

選択権の原則・移転・意思表示を比較する

選択債権では、原則的選択権者、第三者からの移転先、第三者の意思表示先を別々に整理することが重要です。いずれもA・B・Cという人物が登場するため、一つのルールとして記憶すると混同しやすいからです。この章では三つの判断軸を一つの表にまとめます。

原則では選択権は債務者Aにあります。第三者Cが選べない場合もAへ移転し、第三者が実際に選択するときはAまたはBのどちらかへ意思表示します。似ていますが、移転先と意思表示先は同じ判断ではありません。

比較表を確認します。この表を見る目的は、令和3年10月問10の肢1・3・4を同時に整理することです。

論点正しい結論
原則的選択権者債務者A
特約Bや第三者も可
第三者が選択不能Aへ移転
第三者の選択意思表示AまたはB
A・B双方への通知不要

この表を使うと、人物を一人だけ置き換えた誤肢を切りやすくなります。原則A、移転A、通知AまたはBという形で整理してください。

宅建試験ではここが狙われやすい

選択債権の難しさは、制度そのものより同じ人物が違う役割で何度も登場することにあります。Aは債務者かつ原則的選択権者であり、第三者選択不能時の移転先でもある一方、第三者の意思表示先としてはAだけでなくBも可能です。

問題文で人物を見たら、その名前だけを追わず役割を横へ書いてください。A=債務者、B=債権者、C=第三者選択権者と固定したうえで、原則・移転・意思表示を別々に判定すると安定します。

過去問分析

この過去問では、選択権者・第三者からの移転・給付不能・意思表示先という選択債権の主要論点が一問にまとめられています。各肢で問われる判断基準が異なるため、単に「選択権は債務者」とだけ覚えていても全肢を処理できません。この章では各肢の決定語句と正解2へ到達する手順を整理します。

最初に確認する語句は、選択権、第三者、選択できない、選択する意思がない、債務者、債権者、不能、残存するもの、意思表示、両者です。肢1は第三者からの選択権移転、肢2は不能による特定、肢3は原則的選択権者、肢4は第三者の意思表示先へ分類します。

令和3年(2021年)10月 問10

問10

AとBとの間で、Aを売主、Bを買主とする、等価値の美術品甲又は乙のいずれか選択によって定められる美術品の売買契約(以下この問において「本件契約」という。)が締結された場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 本件契約において、給付の目的を甲にするか乙にするかについて、第三者Cを選択権者とする合意がなされた場合、Cが選択をすることができないときは、選択権はBに移転する。
  2. 本件契約において、給付の目的を甲にするか乙にするかについて、Aを選択権者とする合意がなされた後に、Aの失火により甲が全焼したときは、給付の目的物は乙となる。
  3. 本件契約において、給付の目的を甲にするか乙にするかについての選択権に関する特段の合意がない場合、Bが選択権者となる。
  4. 本件契約において、給付の目的を甲にするか乙にするかについて、第三者Dを選択権者とする合意がなされた場合、Dが選択権を行使するときは、AとBの両者に対して意思表示をしなければならない。

正解:2

解説

本問で正しいのは肢2です。Aが選択権を有する状態で、Aの過失により甲を選択することが不能となったため、残存する乙へ引渡し対象が特定されると資料は説明しています。

各肢の正誤理由

肢1 誤り
第三者Cに選択権があり、Cが選択できない又は選択する意思がない場合、選択権は債務者Aへ移転します。Bへ移転するとする点が誤りです。

肢2 正しい
Aが選択権者であり、Aの過失によって甲を選択することが不能になっています。この場合、残存する乙へ給付対象が特定されるという資料の説明と一致します。

肢3 誤り
選択権は原則として債務者Aにあります。本肢は債権者Bを原則的選択権者としているため誤りです。

肢4 誤り
第三者Dが選択権者の場合、その選択は債権者Bまたは債務者Aのいずれか一方に対する意思表示で行えます。AとBの双方へ意思表示が必要とする点が誤りです。

問題作成者のひっかけポイント

肢1では、第三者からの選択権移転という基本構造は正しく残し、移転先だけをAからBへ変更しています。人物を正確に追っていないと、「第三者が選べないなら受け取る側Bが選ぶ」という直感で誤りやすくなります。

肢2では、不能という語句から債務全体が消滅すると考えさせる余地があります。しかし選択債権では残る給付があるため、乙への特定という処理を確認する必要があります。

肢3では、原則的選択権者を債務者から債権者へ交換しています。最も基本的な知識ですが、買主が美術品を選ぶ方が自然に感じられる設定を利用したひっかけです。

肢4では、第三者という契約外の人物が選択するため、当事者双方へ通知しなければならないように見せています。しかし資料ではAまたはBのいずれか一方への意思表示で足ります。

受験生が迷う理由

選択債権では、債務者A・債権者B・第三者CやDという複数の人物が登場します。さらに「選択権者」「選択権の移転先」「選択意思表示の相手方」という別の役割が同じ人物へ重なるため、文章だけで追うと混乱しやすくなります。

また、問題設定が美術品の売買であるため、「買主が欲しい方を選ぶ」という日常感覚が働きやすい点も特徴です。法律上の原則を優先し、特約がない限り債務者Aに選択権があると処理する必要があります。

正しい判断手順

本問では、最初にA=債務者、B=債権者と固定します。その後、各肢ごとに第三者の移転、不能、原則、意思表示へ分類し、対応するルールだけを当てはめます。最後に正しい肢2を選びます。

・①Aが債務者、Bが債権者と確認する
・②原則的選択権者はAと置く
・③第三者Cが選択権者なら特約ありと判断する
・④Cが選べない場合はAへ移転すると確認する
・⑤給付の一つが不能なら残存給付を確認する
・⑥甲不能なら乙への特定を検討する
・⑦肢3はAとBの入れ替えを確認する
・⑧第三者Dの選択なら意思表示先を見る
・⑨AまたはBの一方で足りると確認する
・⑩正しい肢2を選ぶ

この順序なら四肢を一つのルールで無理に処理する必要がありません。原則・移転・不能・意思表示という四分類を使うことで、短時間でも安定して判断できます。

類似問題で使える知識

人物関係が変わっても、特約がない場合の選択権者は債務者という原則を使えます。第三者へ選択権が与えられた場合は、第三者が選択できるか、選択意思表示を誰へするかという二段階に分けてください。

給付不能が絡む問題では、一つが不能になっただけで債務全体が消滅すると即断しないことも重要です。残存する給付があるかを確認し、そこへ特定される可能性を検討します。

宅建試験ではここが狙われやすい

令和3年10月問10では、人物の入れ替えを中心に誤肢が作られています。肢1では移転先AをBへ、肢3では原則的選択権者AをBへ変更し、肢4では一方への意思表示を双方への意思表示へ変更しています。

選択債権は出題頻度が高い論点ではありませんが、出る場合は条文の基本構造をそのまま問う形が中心です。問題文に出る人物へ役割を書き込み、A=債務者・原則選択権者、第三者不能→A、第三者選択→AまたはBへ意思表示と整理すれば対応できます。

一問一答|過去問の肢レベルで確認

ここでは、選択権者、特約、第三者、不能、意思表示を本試験レベルで確認します。単純な定義だけでなく、人物の入れ替えや「双方」「一方」といった言葉の変更を中心にしています。問題を読んだら最初に債務者と債権者を特定してください。

問題1
選択債権では、特約がない限り債務者が選択権を有する。
正解:○
選択権は原則として債務者にあります。

問題2
選択債権では、給付を受ける債権者が原則として選択権を有する。
正解:×
原則的な選択権者は債務者です。
誤っている語句
「債権者」
正しい修正
「債務者」

問題3
選択権は契約当事者にしか認められないため、第三者に選択権を与える特約は無効である。
正解:×
特約により第三者へ選択権を与えることもできます。
誤っている語句
「第三者に与える特約は無効」
正しい修正
「特約により第三者へ与えることもできる」

問題4
第三者Cが選択権を有し、Cが選択することができない場合、選択権は債務者Aへ移転する。
正解:○
令和3年10月問10肢1の判断基準です。

問題5
第三者Cが選択する意思を失った場合、選択権は債権者Bへ移転する。
正解:×
この場合は債務者Aへ移転します。
誤っている語句
「債権者Bへ」
正しい修正
「債務者Aへ」

問題6
Aが選択権を有し、Aの過失によって甲を選択することが不能となった場合、残存する乙へ給付対象が特定されることがある。
正解:○
指定過去問の正解肢2に対応します。

問題7
選択債権の目的物の一つが不能になれば、他の給付が可能でも債務全体は当然に消滅する。
正解:×
残存給付へ特定される場合があります。
誤っている語句
「債務全体は当然に消滅」
正しい修正
「残存する給付への特定を確認する」

問題8
第三者Dが選択権者である場合、選択の意思表示は債務者Aまたは債権者Bのいずれか一方に対して行えばよい。
正解:○
資料ではAまたはBのどちらか一方への意思表示で足ります。

問題9
第三者による選択は、債務者と債権者の双方へ同時に意思表示しなければ効力を生じない。
正解:×
双方ではなく、いずれか一方への意思表示で足ります。
誤っている語句
「双方へ同時に」
正しい修正
「いずれか一方へ」

問題10
選択権の原則的帰属と、第三者による選択の意思表示先は同じ論点なので、どちらも債務者だけを確認すればよい。
正解:×
原則的選択権者は債務者ですが、第三者の意思表示先は債務者または債権者のいずれかです。
誤っている語句
「どちらも債務者だけ」
正しい修正
「選択権者と意思表示先を分けて判断する」

問題11
特約により債権者Bに選択権を与えることもできる。
正解:○
添付資料では、特約によって債権者や第三者へ選択権を与えられるとされています。

問題12
令和3年10月問10では、Aの過失により甲が選択不能となり乙へ特定されるとした肢2が正しく、正解は2である。
正解:○
添付資料の正解と一致します。

宅建試験ではここが狙われやすい

一問一答では、債務者と債権者、第三者と当事者、いずれか一方と双方の入れ替えに注意してください。選択債権は数字の暗記がない代わりに、主語・目的語・意思表示先を少し変えるだけで自然な誤肢を作れます。

短く整理するなら、原則A、特約でB・第三者も可、第三者が選べないならAへ、第三者の意思表示はAまたはB、一方不能なら残存給付を確認です。この五点を固定すれば、本試験レベルの基本肢へ対応できます。

FAQ

選択債権では、買主が選ぶ方が自然ではないか、第三者が選べなければ誰へ移るのか、一つの目的物がなくなれば全部無効なのかという境界で迷いやすくなります。これらは日常感覚ではなく債務者・債権者・選択権者という法律上の立場から判断します。この章では本試験で迷いやすい事例を整理します。

Q1.買主がどの商品を欲しいか選ぶのが普通なので、原則は買主に選択権がありますか?
原則は債務者です。売主Aが引渡義務を負う設定ならAが債務者なので、特約がなければAに選択権があります。

Q2.特約で買主Bに選択権を与えることはできますか?
できます。資料では債権者へ選択権を与える特約も可能とされています。

Q3.契約と無関係な第三者Cへ選択権を与えることはできますか?
可能です。第三者が選択権者となる場合には、その後の選択不能や意思表示先が問題になります。

Q4.第三者Cが選べなくなった場合、買主Bが選ぶのではないですか?
資料では債務者Aへ選択権が移転します。令和3年10月問10肢1は、この移転先をBとしたため誤りです。

Q5.第三者Cが選択する意思を持っていない場合も同じですか?
同じです。選択できない場合だけでなく、選択する意思がない場合も債務者へ移転すると資料は整理しています。

Q6.目的物の一つが壊れたら選択債権全体がなくなりますか?
当然にはなくなりません。指定過去問では甲が選択不能となった結果、残存する乙へ給付対象が特定されています。

Q7.第三者が選択した場合、債務者と債権者の両方へ知らせる必要がありますか?
資料では、債務者または債権者のいずれか一方への意思表示で足ります。

Q8.本試験で最初に書くメモは何がよいですか?
「A=債務者、B=債権者、C=第三者選択権者」と書けば十分です。その後、選択権者、移転先、意思表示先を別々に確認してください。

宅建試験ではここが狙われやすい

FAQ型では、「受け取る人が選ぶはず」「第三者なら双方へ知らせるはず」という日常感覚を利用した誤肢に注意してください。選択債権では条文上の人物関係が結論を左右するため、感覚的な公平さよりも債務者・債権者・第三者の役割を優先します。

特に第三者が登場したら、第三者が選択権者なのか、選べないのか、実際に選択したのかを分けてください。選べない場合はAへ移転し、実際に選択する場合の意思表示はAまたはBという違いを固定することが重要です。

まとめ

選択債権では、最初に債務者・債権者・選択権者を確認します。特約がなければ選択権は原則として債務者にありますが、特約によって債権者や第三者へ与えることも可能です。

第三者が選択権者である場合に、選択できない又は選択する意思がないときは、選択権は債務者へ移転します。一方、第三者が実際に選択する場合、その意思表示は債務者または債権者のいずれか一方へ行えば足ります。

一つの給付が選択不能となった場合には、残存する給付への特定を確認します。令和3年10月問10では、Aの過失により甲が選択不能となった結果、乙へ特定される肢2が正しく、正解は2です。

宅建試験ではここが狙われやすい

このテーマの主要なひっかけは、債務者と債権者の入れ替え、第三者からの移転先の入れ替え、いずれか一方と双方の入れ替え、給付不能と債務消滅の混同です。令和3年10月問10では、四肢のうち三つが人物・意思表示先の入れ替えによって誤肢になっています。

最終的な判断順序は、債務者→債権者→特約→選択権者→第三者の選択可能性→移転先→給付不能→意思表示先です。選択債権では条文を長く覚えるより、**「原則A・第三者不能ならA・第三者の通知はAまたはB」**という人物関係を固定することが過去問攻略の中心です。

 ここが出る突破ポイント  権利関係  宅建業法  法令上の制限  税・その他
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