所有権留保等の禁止では、宅建業者が自ら売主となる割賦販売で、買主が宅建業者ではない場合の買主保護を確認します。平成23年問39第3肢では、代金3,000万円に対して300万円が支払われた段階で、宅建業者が所有権移転登記をしていないことが宅建業法に違反するかが問われました。この章では、30%超・登記・業者間取引・割賦販売の解除制限との違いを中心に整理します。
本問で最も重要なのは、300万円という金額そのものではなく、代金3,000万円に対して何%に当たるかを計算することです。300万円÷3,000万円=10%なので、資料で示されている30%超の基準には達していません。したがって、この段階で所有権移転登記をしていなくても、第3肢は宅建業法違反とはなりません。
所有権留保等では、「30」という数字だけを覚えると割賦販売契約の解除等の制限と混同しやすくなります。解除等の制限で確認するのは30日以上という期間ですが、所有権留保等で確認するのは代金の30%超という割合です。数字には必ず「日」か「%」かという単位を付けて判断してください。
問題文を読んだら最初に何を見るか
所有権留保等の問題では、最初に売主が宅建業者であり、その宅建業者が自ら売主となっているかを確認します。次に買主が宅建業者ではないかを確認し、8種制限が適用される取引かを確定します。この章では、30%を計算する前に確認する対象者と取引関係を整理します。
買主も宅建業者なら業者間取引となるため、8種制限は適用されません。その場合、30%という数字を計算する前に適用対象外として処理できます。対象者→規制の適用→数字という順番を守ることが重要です。
買主が一般人で8種制限が適用されると分かったら、次に割賦販売か、代金をどこまで受領しているかを確認します。問題文に代金総額と既払額が書かれていれば、既払額÷代金総額で割合を計算してください。金額の大きさではなく割合で判断します。
問題文で注目する語句を整理します。この表を見る目的は、「所有権移転登記をしていない」という結果だけを見て違反と判断しないことです。その前に対象者と代金受領割合を確認してください。
| 問題文の語句 | 判断ポイント |
|---|---|
| 宅建業者が自ら売主 | 8種制限の入口 |
| 買主が宅建業者ではない | 規制適用を確認 |
| 割賦販売 | 所有権留保等を疑う |
| 代金総額 | 30%計算の分母 |
| 既払額 | 30%計算の分子 |
| 30%超 | 登記等の義務を確認 |
| 10% | 30%超ではない |
| 所有権移転登記 | 売主の義務を確認 |
| 担保 | 例外の有無を確認 |
| 30日以上 | 解除等の別論点 |
この表では、所有権移転登記という言葉を見た瞬間に違反と判断しないことが重要です。売主がまだどれだけ代金を受け取っているのかによって結論が変わります。平成23年問39第3肢では、受領済みなのは10%にすぎません。
本試験では次の順番で処理します。
・① 宅建業者が自ら売主か確認する
・② 買主が宅建業者ではないか確認する
・③ 割賦販売か確認する
・④ 代金総額を確認する
・⑤ 受領済みの代金額を確認する
・⑥ 受領割合を計算する
・⑦ 30%を超えているか確認する
・⑧ 登記等の売主の義務が履行されているか確認する
・⑨ 例外となる事情がないか確認する
この順番では、30%という数字から考え始めません。業者間取引なら30%計算そのものが不要になるため、まず人物関係を確定する方が速く処理できます。誰との取引か→何%受領したか→登記等をしたかという流れを固定してください。
宅建試験ではここが狙われやすい
所有権留保等では、30%という正しい数字を示しながら「以上」「超える」を入れ替えるひっかけに注意します。さらに、代金の10%しか受領していないのに「所有権移転登記をしていないから違反」とする文章も危険です。登記の有無だけでなく、どこまで代金を受領したかを先に確認してください。
もう一つは、正しい30%ルールを業者間取引へそのまま適用するひっかけです。買主も宅建業者なら8種制限そのものを外すため、割合計算へ進む必要がありません。👉 対象者→受領割合→30%超→登記等の順番で確認してください。
所有権留保等|基本ルール
割賦販売では、買主が代金を分割して支払う一方、売主が所有権を自分に残しておく形が問題になります。資料では、宅建業者は代金の30%を超えて受領するまでに、所有権移転登記など売主としての義務を履行する必要があると整理されています。この章では、平成23年問39第3肢を解くための基本形を確認します。
この規制を判断するときは、「買主がいくら払ったか」を必ず代金総額との割合に直します。500万円という金額でも、代金1,000万円なら50%ですが、代金1億円なら5%です。絶対額ではなく代金に対する割合が判断基準になります。
平成23年問39では代金が3,000万円で、買主Dが支払ったのは300万円です。300万円÷3,000万円=0.1なので10%となり、30%を超えていません。そのため、この段階で所有権移転登記をしていなくても違反しないという結論になります。
基本関係を整理します。この表を見る目的は、支払額を割合に直してから登記義務を判断することです。金額だけを横に並べて判断しないでください。
| 確認項目 | 内容 |
| 売主 | 宅建業者 |
| 買主 | 宅建業者ではない |
| 取引 | 割賦販売 |
| 基準 | 代金の30%超 |
| 確認するもの | 代金受領割合 |
| その後 | 登記等の義務を確認 |
この表では、「30%超」が判断の境目です。30%という数字を見つけただけで終わらず、問題文の具体的な金額から実際の割合を計算します。平成23年問39なら300万円÷3,000万円という計算が必要です。
例題1
宅建業者が自ら売主となる割賦販売で、一般買主から代金の30%を超えて受領するまでに、所有権移転登記など売主の義務を履行する必要がある。
解答・判断ポイント
正解:○
資料で示されている所有権留保等の基本基準です。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
30%という割合と登記等をセットで確認します。
例題2
買主から代金の10%を受領した時点で所有権移転登記をしていなければ、直ちに宅建業法違反となる。
解答・判断ポイント
正解:×
10%では30%超の基準に達していません。
誤肢分析
誤っている語句
「10%を受領した時点で」「直ちに」
正しい修正
「30%を超えて受領するまでに登記等の義務を確認する」
平成23年問39第3肢と同じ判断構造です。
例題3
所有権留保等の問題では、既払額そのものではなく、代金総額に対する割合を確認する。
解答・判断ポイント
正解:○
同じ金額でも代金総額によって割合が変わります。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
計算前の判断方法を確認する問題です。
宅建試験ではここが狙われやすい
基本ルールでは、登記をしていないという事実だけを強調し、受領割合を見落とさせるひっかけが狙われます。「所有権移転登記をしていない」という文章は違反らしく見えますが、平成23年問39ではまだ10%しか受領していません。登記より先に受領割合を確認してください。
また、金額が大きいほど違反だと思わせる文章にも注意します。900万円を受領していても代金が1億円なら9%であり、300万円でも代金が500万円なら60%です。👉 受領額÷代金額→30%超か→登記等の順番で判断してください。
30%超|「30%以上」と混同しない
所有権留保等では、資料上の基準は30%を超えて受領するまでにという形で整理されています。宅建試験では、この「超える」を「以上」に変更するだけで境界値の扱いを変えられます。この章では、数字だけではなく比較語句まで読む方法を整理します。
「30%を超える」は30%ちょうどを含みません。一方、「30%以上」は30%ちょうどを含みます。そのため、数字が同じ30%でも「超」「以上」という一語によって意味が変わります。
平成23年問39では実際の受領割合が10%なので境界値そのものは問題になりません。しかし類似問題では、ちょうど30%を受領した事例を置いて比較語句を問うことができます。数字問題では、数字そのものと同じくらい直後の日本語が重要です。
境界表現を整理します。この表を見る目的は、30という数字だけで判断しないことです。「超える」「以上」「未満」「以下」を必ず数字と一緒に確認してください。
| 表現 | 30%ちょうどを含むか |
| 30%を超える | 含まない |
| 30%以上 | 含む |
| 30%以下 | 含む |
| 30%未満 | 含まない |
この表では、「超える」と「以上」を同じ意味として処理しないことがポイントです。宅建試験では数字を変えず比較語句だけを変更すると、暗記している受験生ほど見落としやすくなります。数字の左右にある語句まで一続きで読んでください。
例題4
所有権留保等の基準は、代金の30%以上を受領したかどうかである。
解答・判断ポイント
正解:×
資料では30%を「超えて」受領するまでにという基準です。
誤肢分析
誤っている語句
「30%以上」
正しい修正
「30%を超えて」
数字を残し比較語句だけ変更した誤肢です。
例題5
代金3,000万円の30%は900万円である。
解答・判断ポイント
正解:○
3,000万円×30%=900万円です。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
本問の具体的金額へ30%基準を当てはめる計算です。
例題6
代金3,000万円の物件で300万円を受領した場合、受領割合は30%である。
解答・判断ポイント
正解:×
300万円÷3,000万円=10%です。
誤肢分析
誤っている語句
「30%」
正しい修正
「10%」
ゼロの数や金額の大きさで割合を誤認させる問題です。
宅建試験ではここが狙われやすい
数字問題では、「30%超」を「30%以上」へ変更する一語ひっかけに注意してください。数字自体は正しいため、「30%」を覚えているだけでは誤肢を切れません。割合と比較語句をセットで覚える必要があります。
さらに、3,000万円と300万円を並べて「30%」のように見せる計算ミスも狙われます。👉 **300÷3,000=10%、900÷3,000=30%**と具体的に計算してください。見た目の数字ではなく、必ず割り算で割合を確認します。
平成23年問39第3肢|300万円は10%
平成23年問39第3肢では、代金3,000万円の割賦販売で、買主Dが300万円を支払った段階で所有権移転登記が行われていません。この肢を判断するときは、登記の有無より先に300万円が代金の何%かを計算します。この章では、本肢を一つずつ分解します。
計算は300万円÷3,000万円=0.1です。したがって買主が支払った割合は10%であり、資料上の30%超の基準には達していません。よって、この時点で所有権移転登記をしていないことを理由に違反とはできません。
この肢がひっかけとして機能する理由は、「物件を引き渡しているのに登記をしていない」という部分が強く違反らしく見えるためです。しかし試験で必要なのは印象ではなく、規制の適用条件への当てはめです。登記未了→違反と短絡しないでください。
本肢を数値で整理します。この表を見る目的は、どの数字が基準でどの数字が事例なのかを区別することです。
| 項目 | 金額・割合 |
| 代金総額 | 3,000万円 |
| 支払済み | 300万円 |
| 支払割合 | 10% |
| 30%相当額 | 900万円 |
| 30%超か | いいえ |
この表では、300万円と900万円の差を明確にしてください。30%に相当するのは900万円であり、実際の支払いは300万円です。数字を文章の印象で処理せず、基準額を自分で出す方法が安全です。
例題7
代金3,000万円の割賦販売で300万円を受領した場合、受領割合は10%である。
解答・判断ポイント
正解:○
300万円÷3,000万円=10%です。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
平成23年問39第3肢の計算そのものです。
例題8
代金3,000万円の場合、30%に相当する金額は300万円である。
解答・判断ポイント
正解:×
30%は900万円です。
誤肢分析
誤っている語句
「300万円」
正しい修正
「900万円」
300という数字を30%と結び付けさせる誤肢です。
例題9
代金3,000万円のうち300万円しか受領していない段階では、30%超という基準には達していない。
解答・判断ポイント
正解:○
受領割合は10%です。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
本問第3肢の結論へ直結する知識です。
宅建試験ではここが狙われやすい
平成23年問39第3肢では、「300万円」という数字を見て30%と錯覚させることがひっかけになります。代金が3,000万円なので、300万円は10%にすぎません。本試験では金額に含まれる「3」という数字ではなく、割合計算をしてください。
また、「引渡し済み」「登記未了」という強い語句に注意を奪われると、30%の計算を忘れます。👉 代金3,000万円→支払300万円→10%→30%超ではないと数値だけ先に整理してください。法律判断はその後で十分です。
登記等の義務|「引渡し」と「所有権移転登記」を分ける
所有権留保等の問題では、物件を引き渡したことと所有権移転登記をしたことを同じものとして扱わないことが重要です。平成23年問39第3肢では、物件は引き渡されている一方、所有権移転登記は行われていません。この章では、引渡し済みという事実に惑わされないための判断方法を整理します。
買主が物件を現実に使用できる状態になっていても、登記名義が売主側に残っている場合があります。問題文では「引き渡した」と「登記を移した」が別々に書かれているため、それぞれを独立して確認してください。引渡しをしたから登記義務も履行済みとは限りません。
逆に、登記をしていないから必ず違反というわけでもありません。所有権留保等の規制では代金受領割合などの条件を先に確認する必要があります。平成23年問39では10%しか受領していないため、登記未了という事実だけでは違反になりません。
例題10
物件を買主へ引き渡していれば、所有権移転登記も完了したものとして扱う。
解答・判断ポイント
正解:×
引渡しと登記は別の行為です。
誤肢分析
誤っている語句
「登記も完了したものとして扱う」
正しい修正
「引渡しと所有権移転登記は別々に確認する」
二つの義務を同一視する誤肢です。
例題11
所有権移転登記をしていないという事実だけで、直ちに所有権留保等の規制違反と判断することはできない。
解答・判断ポイント
正解:○
代金受領割合などの条件を先に確認します。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
平成23年問39第3肢で重要な判断方法です。
宅建試験ではここが狙われやすい
登記の問題では、**「引渡し済み=登記も必要」「登記未了=直ちに違反」**という短絡を狙われます。問題文に登記という強い語句があっても、その前提となる30%超を確認してください。結論からではなく要件から読むことが重要です。
さらに、引渡しと登記を同じ義務として文章を作るひっかけにも注意します。👉 引渡しの有無→受領割合→登記等の状況を別々に確認してください。複数の事実が書かれている場合、一つの事実から他の事実まで推測しないことがポイントです。
例外|担保を供する見込みがない場合との関係
所有権留保等には、資料で示されている例外にも注意が必要です。資料では、買主が残代金について抵当権や先取特権などの担保を供する見込みがない場合には例外があると整理されています。この章では、原則だけを機械的に適用しないための確認方法を整理します。
本試験で例外が出る場合、「買主が担保を供する見込みがない」という事情が問題文へ明示される可能性があります。そのような事情があるのに、30%超という原則だけを機械的に当てはめると誤答につながります。原則を確認した後に例外事情を探すことが必要です。
一方、問題文に例外事情が何も書かれていないのに、自分で例外を想定して判断する必要はありません。宅建試験では与えられた事実へ法律知識を当てはめます。問題文に担保・抵当権・先取特権などの語句があれば、例外の可能性を確認してください。
例外確認の順番を整理します。この表を見る目的は、原則と例外を逆転させないことです。
| 段階 | 確認内容 |
| 1 | 8種制限の対象か |
| 2 | 割賦販売か |
| 3 | 代金受領割合 |
| 4 | 30%超の原則 |
| 5 | 担保に関する例外事情 |
| 6 | 登記等の義務 |
この表では、例外から考え始めないことが重要です。まず原則を当てはめ、その後に問題文に例外事情があるかを確認します。例外がある論点ほど、原則と例外の順番を固定してください。
例題12
所有権留保等では30%超という原則だけを確認すればよく、問題文に担保に関する事情があっても無視してよい。
解答・判断ポイント
正解:×
資料では担保に関する例外が示されています。
誤肢分析
誤っている語句
「無視してよい」
正しい修正
「原則を確認した後、担保に関する例外事情も確認する」
例外を削除する誤肢です。
例題13
所有権留保等の問題で「抵当権」「先取特権」「担保を供する見込み」といった語句が出た場合は、例外の可能性を確認する。
解答・判断ポイント
正解:○
資料に示された例外へつながる語句です。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
原則と例外の切り替えを確認する問題です。
宅建試験ではここが狙われやすい
例外では、原則を絶対ルールのように書く誤肢が狙われます。「いかなる場合でも」「必ず」「例外なく」といった強い表現があれば、資料に示された担保に関する例外を思い出してください。例外が存在する論点では断定表現を疑うことが重要です。
反対に、例外を原則のように広げる文章にも注意します。👉 30%超の原則→担保に関する事情があるか→例外を検討という順番で確認してください。例外だけを独立して暗記せず、どの原則に対する例外なのかをセットにします。
業者間取引|30%を計算する前に確認する
所有権留保等の禁止は8種制限の一つなので、買主も宅建業者である業者間取引には適用されません。平成23年問39では、第1肢と第4肢が業者間取引であり、8種制限を適用しないことが正誤判断の中心になっています。この章では、所有権留保等でも同じ考え方を使えるように整理します。
仮に問題文で買主が宅建業者であるにもかかわらず、「代金の30%を超えて受領したので所有権移転登記をしなければ宅建業法違反」と書かれていたら、まず業者間特例を疑います。30%という数字が正しくても、適用対象そのものが違えば結論は変わります。正しいルールを対象外の人物へ適用するのも典型的なひっかけです。
平成23年問39は、各肢で買主の属性が変わります。第1肢と第4肢では買主も宅建業者ですが、第2肢と第3肢では買主は宅建業者ではありません。そのため、問題全体を一つの設定として処理せず、各肢で買主の属性を読み直す必要があります。
比較表で整理します。この表を見る目的は、30%計算が必要になる前提を確認することです。
| 売主 | 買主 | 8種制限 |
| 宅建業者 | 一般買主 | 適用 |
| 宅建業者 | 宅建業者 | 適用されない |
| 宅建業者以外 | 一般買主 | 8種制限の前提を再確認 |
この表では、「宅建業者」という文字があるだけで8種制限を使わないことが重要です。売主と買主のどちらが宅建業者なのかを区別してください。8種制限では宅建業者が自ら売主+買主が非業者という組合せが基本です。
例題14
売主・買主とも宅建業者である割賦販売でも、売主が代金の30%を超えて受領するまでに必ず所有権移転登記をしなければならない。
解答・判断ポイント
正解:×
業者間取引には8種制限を適用しません。
誤肢分析
誤っている語句
「売主・買主とも宅建業者である」「必ず」
正しい修正
「買主が宅建業者ではない場合に8種制限を確認する」
正しい30%ルールを対象外の取引へ移した誤肢です。
例題15
所有権留保等の問題では、30%を計算する前に買主が宅建業者かを確認する。
解答・判断ポイント
正解:○
業者間なら8種制限を適用しないためです。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
8種制限全体で使える判断方法です。
宅建試験ではここが狙われやすい
業者間取引では、30%という完全に正しい数字を使って誤肢を作ることができます。数字だけを見ると○ですが、買主も宅建業者なら8種制限を適用しません。正しい知識が書かれている肢ほど、誰に適用しているのかを確認してください。
また、一つ前の肢が一般買主だから次の肢も一般買主だと思い込むミスにも注意します。👉 各肢ごとに買主の属性をリセット→非業者なら30%へ進むという読み方をしてください。平成23年問39では、人物設定の切り替え自体が重要なひっかけです。
30日との違い|同じ「30」でも別制度
平成23年問39では、第2肢で割賦販売契約の解除等の制限、第3肢で所有権留保等が続けて出題されています。第2肢で確認する数字は30日以上、第3肢で確認する数字は30%超です。この章では、同じ30を別制度として確実に分けます。
第2肢では、買主が賦払金を支払わなかった場合の催告手続が問題です。30日以上の相当期間を定め、書面で催告し、その期間内にも履行されなかった場合に解除等へ進みます。したがって30日は「時間」の問題です。
第3肢では、買主が代金をどこまで支払ったかが問題です。代金総額に対する既払額を計算し、30%超という基準を確認します。こちらの30%は「金額割合」の問題です。
二つの制度を比較します。この表を見る目的は、数字だけでなく対象となる事実を区別することです。
| 論点 | 数字 | 何を確認するか |
| 割賦販売契約の解除等 | 30日以上 | 催告期間 |
| 所有権留保等 | 30%超 | 代金受領割合 |
| 解除等 | 書面 | 催告方法 |
| 所有権留保等 | 登記等 | 売主の義務 |
この表では、「30」という数字だけをカードのように覚えないでください。30日=催告、30%=登記等という形で行為までセットにします。数字と制度名が結び付けば、入れ替え型の誤肢に対応できます。
例題16
所有権留保等では、30日以上経過したかを確認して所有権移転登記の要否を判断する。
解答・判断ポイント
正解:×
所有権留保等では代金の30%超という割合を確認します。
誤肢分析
誤っている語句
「30日以上」
正しい修正
「代金の30%超」
別制度の数字を移した誤肢です。
例題17
割賦販売契約の解除等では代金の30%、所有権留保等では30日以上を確認する。
解答・判断ポイント
正解:×
数字が完全に逆です。
誤肢分析
誤っている語句
「解除等では代金の30%、所有権留保等では30日以上」
正しい修正
「解除等では30日以上、所有権留保等では代金の30%超」
制度間の数字を丸ごと交換した誤肢です。
宅建試験ではここが狙われやすい
平成23年問39では、30日と30%が隣接する肢に配置されていること自体がひっかけです。数字だけを記憶していると、第2肢と第3肢の基準を入れ替える可能性があります。本試験では「30」の後ろに必ず単位を付けて読んでください。
さらに、30日には「以上」、30%には資料上「超」という比較語句の違いもあります。👉 30日以上=催告、30%超=所有権留保まで一続きで固定してください。「30」だけを覚えないことが最大の対策です。
過去問分析
平成23年問39では、損害賠償額の予定、割賦販売契約の解除等、所有権留保等、契約不適合責任という8種制限の主要論点が一問にまとめられています。所有権留保等が直接問われているのは第3肢であり、300万円が3,000万円の何%かを判断できるかがポイントです。この章では、四肢のひっかけ構造を整理します。
正解は2です。第1肢と第4肢は業者間取引なので8種制限が適用されず、第2肢は一般買主との割賦販売で20日しか催告期間を設けていないため違反します。第3肢は300万円が10%なので、所有権移転登記をしていなくても違反しません。
最初に確認する語句
問題文では、業者間・1,000万円・20日・30日以上・300万円・3,000万円・30%・所有権移転登記・引渡しから1年を確認します。
平成23年(2011年)問39
宅地建物取引業者A社が、自ら売主として行う宅地(代金3,000万円)の売買に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反するものはどれか。
- A社は、宅地建物取引業者である買主B社との間で売買契約を締結したが、B社は支払期日までに代金を支払うことができなかった。A社は、B社の債務不履行を理由とする契約解除を行い、契約書の違約金の定めに基づき、B社から1,000万円の違約金を受け取った。
- A社は、宅地建物取引業者でない買主Cとの間で、割賦販売の契約をしたが、Cが賦払金の支払を遅延した。A社は20日の期間を定めて書面にて支払を催告したが、Cがその期間内に賦払金を支払わなかったため、契約を解除した。
- A社は、宅地建物取引業者でない買主Dとの間で、割賦販売の契約を締結し、引渡しを終えたが、Dは300万円しか支払わなかったため、宅地の所有権の登記をA社名義のままにしておいた。
- A社は、宅地建物取引業者である買主E社との間で、売買契約を締結したが、宅地が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任について、「不適合による契約の解除又は損害賠償の請求は、契約対象物件である宅地の引渡しの日から1年を経過したときはできない」とする旨の特約を定めていた。
正解:2
解説
この問題は、四肢を同じルールで判断しないことが重要です。第1・第4肢は対象者、第2肢は催告期間、第3肢は代金受領割合というように、正誤を分けるポイントが変わります。所有権留保等については第3肢の300万円÷3,000万円=10%が直接の判断材料です。
各肢の正誤理由
◆1(違反しない)
A社とB社はともに宅建業者なので業者間取引です。損害賠償額の予定等に関する8種制限は適用されないため、20%制限を機械的に適用しません。1,000万円という金額に惑わされず、対象者を先に確認します。
◆2(違反する)
買主Cは宅建業者ではないため、割賦販売契約の解除等の制限が適用されます。必要なのは30日以上の相当期間を定めた書面催告ですが、本肢では20日しか定めていません。したがって本肢が違反し、正解は2です。
◆3(違反しない)
買主Dは宅建業者ではないため、所有権留保等の規制を確認します。代金3,000万円のうち支払われた300万円は10%であり、資料上の30%超という基準には達していません。そのため、この段階で所有権移転登記をしていなくても違反しません。
◆4(違反しない)
A社とE社はともに宅建業者なので業者間取引です。契約不適合責任に関する8種制限は適用されないため、引渡しから1年という特約を一般買主の場合と同じ基準で判断しません。対象者を確認すれば処理できます。
問題作成者のひっかけポイント
第1肢では、代金3,000万円に対して違約金1,000万円という大きな数字を見せています。一般買主なら20%制限を考えたくなりますが、買主Bも宅建業者なので計算する前に業者間取引で切れます。計算したくなる数字を置き、実際には計算不要にするひっかけです。
第2肢では、「書面で催告」という正しい条件を残し、30日以上という期間だけを20日へ変更しています。文章の大部分が正しいため、一部だけ見て○にしやすい構造です。正しい手続+間違った数字という典型的な作り方です。
第3肢では、代金3,000万円と支払額300万円を並べています。「3」という数字が共通しているため30%のように感じやすいですが、実際には10%です。さらに「引渡し済みなのに登記をしていない」という違反らしい事情を加え、割合計算から注意をそらしています。
第4肢では、引渡しから1年という期間を置き、契約不適合責任の特約制限を思い出させます。しかし買主Eも宅建業者なので、業者間特例が先です。第1肢と同じく、正しい一般ルールを対象外の取引へ適用させようとするひっかけです。
受験生が迷う理由
この問題では、20%・30日・30%・1年という複数の数字が一問に集まっています。数字だけを一覧で暗記していると、どの数字をどの制度に使うのかが混ざります。制度名・単位・対象者をセットで覚える必要があります。
特に第3肢では、所有権移転登記をしていないという事実が強く目に入ります。しかし正誤を分けるのは登記未了そのものではなく、まだ10%しか受領していないという点です。強い法律用語より先に数字を計算することが必要です。
正しい判断手順
第1肢では、A社・B社とも宅建業者であることを最初に確認します。業者間なので8種制限を外し、20%の計算をしません。違反しないと判断します。
第2肢では、買主Cが非業者なので8種制限を適用します。割賦販売契約の解除等なので30日以上の書面催告を確認し、20日しかないため違反です。この時点で正解候補は第2肢になります。
第3肢では、論点を所有権留保等へ切り替えます。300万円÷3,000万円=10%と計算し、30%超ではないため登記未了でも違反しないと判断します。第2肢の30日を持ち込まないことが重要です。
第4肢では再び買主が宅建業者かを確認します。E社も宅建業者なので業者間取引となり、一般買主を保護する8種制限を適用しません。最終的に違反するものは第2肢だけです。
類似問題で使える知識
所有権留保等の類似問題では、最初に「代金総額」と「支払済額」を探してください。次に支払済額÷代金総額で割合を出し、30%超という基準へ当てはめます。登記の有無を判断するのはその後です。
8種制限の複合問題では、各肢で買主の属性を読み直してください。一つの肢が一般買主だからといって、次の肢も一般買主とは限りません。対象者→制度→数字→例外の順番が最も安定します。
宅建試験ではここが狙われやすい
平成23年問39では、20%・30日・30%・1年という数字を別制度から入れ替えることが最大の注意点です。特に第2肢の30日と第3肢の30%は隣り合っているため、単位を見ない受験生ほど混同します。数字には必ず制度名を付けてください。
第3肢では「登記していない」という事実より、300万円が3,000万円の10%であることが決め手です。👉 非業者か→300÷3,000=10%→30%超ではない→登記未了でも違反しないという順番で確認してください。登記という言葉に反応する前に割合を出すことが重要です。
一問一答|過去問の肢レベルで確認
ここでは所有権留保等について、30%超、代金割合、登記、業者間取引、担保に関する例外、30日との混同を組み合わせて確認します。単純な暗記問題だけではなく、数字・対象者・比較語句を入れ替えた誤肢を中心にしています。誤りの場合は、どこを直せば正しい文章になるかまで確認してください。
問題1
宅建業者が自ら売主となる一般買主との割賦販売では、所有権留保等の規制を確認する。
正解:○
8種制限の対象となる取引です。
問題2
所有権留保等では、代金の30%超という基準を確認する。
正解:○
資料で示された基本基準です。
問題3
所有権留保等では、代金の30日以上という基準を確認する。
正解:×
30日は割賦販売契約の解除等の催告期間です。
誤っている語句
「30日以上」
正しい修正
「30%超」
問題4
代金3,000万円の30%は300万円である。
正解:×
30%は900万円です。
誤っている語句
「300万円」
正しい修正
「900万円」
問題5
代金3,000万円のうち300万円を受領した場合、受領割合は10%である。
正解:○
平成23年問39第3肢の計算です。
問題6
代金3,000万円のうち300万円を受領していれば、30%超の基準を満たす。
正解:×
300万円は10%です。
誤っている語句
「30%超の基準を満たす」
正しい修正
「10%であり30%超ではない」
問題7
所有権移転登記をしていなければ、受領した代金の割合に関係なく必ず違反となる。
正解:×
受領割合などの要件を確認します。
誤っている語句
「割合に関係なく必ず」
正しい修正
「受領割合などの要件を確認する」
問題8
物件を引き渡したことと所有権移転登記をしたことは別々に確認する。
正解:○
引渡し済みでも登記未了という設定があります。
問題9
売主と買主がともに宅建業者であっても、所有権留保等の8種制限は同じように適用される。
正解:×
業者間取引には8種制限を適用しません。
誤っている語句
「ともに宅建業者であっても」「同じように適用」
正しい修正
「買主も宅建業者なら8種制限は適用されない」
問題10
所有権留保等の問題では、30%を計算する前に買主の属性を確認する。
正解:○
業者間なら規制そのものを外すためです。
問題11
30%を超えるという表現には、30%ちょうども含まれる。
正解:×
「超える」は30%ちょうどを含みません。
誤っている語句
「30%ちょうども含まれる」
正しい修正
「30%ちょうどは含まれない」
問題12
30%以上と30%超は、宅建試験では常に同じ意味として扱ってよい。
正解:×
境界値の扱いが異なります。
誤っている語句
「常に同じ意味」
正しい修正
「30%以上は30%を含み、30%超は含まない」
問題13
割賦販売契約の解除等では30日以上、所有権留保等では30%超を確認する。
正解:○
同じ30でも単位と制度が異なります。
問題14
割賦販売契約の解除等では30%超、所有権留保等では30日以上を確認する。
正解:×
二つの数字が逆です。
誤っている語句
「解除等では30%超、所有権留保等では30日以上」
正しい修正
「解除等では30日以上、所有権留保等では30%超」
問題15
所有権留保等で担保に関する事情が問題文にある場合、例外の可能性を確認する。
正解:○
資料では担保に関する例外が示されています。
問題16
所有権留保等では、いかなる場合にも例外なく30%超の原則だけで判断する。
正解:×
資料には例外が示されています。
誤っている語句
「いかなる場合にも例外なく」
正しい修正
「原則を確認したうえで例外事情の有無も確認する」
問題17
平成23年問39第3肢では、所有権移転登記をしていないため違反となる。
正解:×
300万円は代金3,000万円の10%なので違反しません。
誤っている語句
「登記をしていないため違反」
正しい修正
「受領割合が10%で30%超ではないため違反しない」
問題18
平成23年問39第3肢では、登記未了より300万円と3,000万円の割合計算を先に行う。
正解:○
割合が結論を左右します。
問題19
平成23年問39では、第2肢の30日と第3肢の30%を区別する必要がある。
正解:○
同じ30でも別制度です。
問題20
平成23年問39で宅建業法に違反するものは第3肢である。
正解:×
違反するのは第2肢です。
誤っている語句
「第3肢」
正しい修正
「第2肢」
一問一答で最も注意したいのは、30%という数字が正しくても、対象者・比較語句・制度が違えば誤りになることです。30%を業者間へ適用したり、30%以上へ変更したり、30日と交換したりするだけで誤肢になります。数字単体ではなく周囲の条件まで確認してください。
宅建試験ではここが狙われやすい
本試験では、30%を30日へ、30%超を30%以上へ、一般買主を宅建業者へ入れ替えるひっかけが狙われます。さらに「登記していない」という事実だけを強調し、10%しか受領していないことを見落とさせる文章にも注意してください。正しい数字や法律用語が一つあるだけで○にしないことが重要です。
また、例外のある論点では「必ず」「いかなる場合でも」「例外なく」という断定表現が危険です。👉 対象者→受領割合→30%超→登記等→例外の順番で確認してください。数字・対象者・原則例外のどこが書き換えられているかを探す方法が有効です。
FAQ
所有権留保等では、30%ちょうどはどうなるのか、登記をしていなければすぐ違反なのか、30日との違いは何かという境界で迷いやすくなります。FAQでは本文の単純な繰り返しではなく、試験で誤答しやすい判断の境目を整理します。迷った場合は対象者・割合・登記・例外へ戻ってください。
Q1.代金3,000万円なら30%はいくらですか?
900万円です。3,000万円×30%=900万円と計算します。
Q2.300万円は3,000万円の何%ですか?
10%です。平成23年問39第3肢では、この計算が重要です。
Q3.300万円という数字だから30%と覚えてはいけませんか?
いけません。割合は必ず代金総額との関係で計算します。
Q4.所有権移転登記をしていなければ必ず違反ですか?
そのようには判断しません。代金受領割合などの要件を先に確認します。
Q5.物件を引き渡したら所有権移転登記も完了したことになりますか?
なりません。引渡しと登記は別々に確認します。
Q6.30%と30%超は同じ意味ですか?
違います。資料では30%を「超えて」という表現なので、比較語句まで確認してください。
Q7.30%超と30%以上は同じですか?
同じではありません。「超」は30%ちょうどを含まず、「以上」は含みます。
Q8.所有権留保等の30と割賦販売解除の30は同じですか?
違います。所有権留保等は30%、解除等は30日以上です。
Q9.試験では30日と30%を入れ替えて出されますか?
類似する数字なので混同に注意が必要です。平成23年問39でも第2肢と第3肢に連続して登場します。
Q10.買主が宅建業者なら30%を計算しますか?
8種制限の適用対象かを先に確認します。業者間取引なら一般買主と同じ30%ルールを機械的に適用しません。
Q11.買主が一般人なら必ず所有権留保等の規制が問題になりますか?
買主の属性だけでなく、宅建業者が自ら売主か、割賦販売かなどの前提も確認します。対象者だけで結論を出さないでください。
Q12.担保という言葉が出たら何を確認しますか?
資料で示された例外の可能性を確認します。抵当権や先取特権などの語句にも注意してください。
Q13.例外を最初に覚えた方がよいですか?
原則を先に固定した方が安全です。30%超という原則を確認してから、担保に関する例外事情を探してください。
Q14.平成23年問39第3肢の最大のひっかけは何ですか?
「引渡し済み・登記未了」という違反らしい表現に注意を向け、300万円が3,000万円の10%にすぎないことを見落とさせる点です。
Q15.平成23年問39の正解は第3肢ですか?
違います。宅建業法に違反するものは第2肢で、正解は2です。
FAQで共通するポイントは、登記という強い語句より先に割合を計算することです。平成23年問39第3肢では、300万円・3,000万円・登記未了という情報が並びますが、最初に300÷3,000=10%と処理すれば判断しやすくなります。計算後に30%超の基準へ当てはめてください。
宅建試験ではここが狙われやすい
境界問題では、30%超を30%以上へ変更する、30%を30日へ変更する、非業者を宅建業者へ変更するという一語レベルのひっかけに注意します。また、登記未了という事実を前面に出し、受領割合を確認させない文章も典型的です。何が書いてあるかより、何を先に確認すべきかを固定してください。
特に平成23年問39第3肢では、300万円という数字の見た目に惑わされないことが重要です。👉 買主は非業者→300万円÷3,000万円=10%→30%超ではない→登記未了でも違反しないと処理してください。30という数字が出たら、日なのか%なのか、以上なのか超なのかまで確認することが得点ポイントです。
まとめ
所有権留保等では、30%を30日へ入れ替える、30%超を30%以上へ変える、一般買主を宅建業者へ変えるひっかけが狙われます。さらに「所有権移転登記をしていない」という強い表現だけで違反と思わせ、実際には受領額が10%しかないケースにも注意してください。数字を見たら、まず対象者→単位→割合→比較語句を確認します。
平成23年問39第3肢では、300万円は3,000万円の30%ではなく10%です。👉 300÷3,000=10%→30%超ではない→登記未了でも違反しないと処理し、隣の第2肢に出る30日以上と混同しないでください。類似問題では、30日・30%、以上・超、原則・例外、一般買主・宅建業者の入れ替えを最優先で疑うのがポイントです。
