【宅建】贈与税の基礎控除とは? |頻出ポイント・ひっかけ問題・過去問攻略・一問一答

宅建の贈与税では、基礎控除110万円という数字だけでなく、暦年課税と相続時精算課税のどちらを扱っているかを最初に確認します。特に現在の相続時精算課税には年110万円の基礎控除があり、従来からある累積2,500万円の特別控除とは性質が異なります。このページでは、平成16年問27を軸に、基礎控除、相続時精算課税、住宅取得等資金の特例を本試験で切り分ける方法を整理します。

指定資料の平成16年問27では、住宅取得等資金に関する相続時精算課税の特例が出題されています。資料上の正解は第3肢であり、贈与者・受贈者、住宅要件、所得制限の有無などを入れ替えて誤肢が作られています。 この古い過去問を現在学習する場合は、当時の制度説明をそのまま現在の基礎控除制度として扱わないことが必要です。

目次

問題文を読んだら最初に何を見るか

贈与税の問題では、最初に誰から誰への贈与か、どの課税方式か、住宅取得等資金かを確認します。相続時精算課税には通常の適用要件と住宅取得等資金についての特例があり、同じ年齢要件が常に使われるわけではないためです。この章では、数字を見る前に問題文へ引くべき線を固定します。

問題文では、次の語句が正誤判断に直結します。表を見る目的は、110万円や2,500万円などの数字へ飛び付く前に、何について問われているかを分類することです。特に「住宅取得等資金」があれば、通常の相続時精算課税だけで判断しないようにします。

問題文の語句判断ポイント
贈与・贈与税誰から誰へ財産が移ったか
暦年課税1年間の贈与を基礎に計算する課税方式か
相続時精算課税選択した贈与者について適用される制度か
110万円現行制度では何の基礎控除か
2,500万円相続時精算課税の特別控除か
60歳以上通常の相続時精算課税の贈与者要件か
18歳以上受贈者の年齢要件か
住宅取得等資金贈与者の年齢要件に特例がないか
所得制限どの住宅関連特例についての要件か
翌年3月15日住宅の取得・居住等に関する期限か

本試験では、「110万円だから暦年課税」と即断する方法は現在では使えません。令和6年1月1日以後の贈与では、相続時精算課税にも年110万円の基礎控除が設けられているからです。したがって、制度名→基礎控除→特別控除→税率の順で数字の所属先を確認します。

判断手順は、問題文に登場する人物と財産を先に整理すると安定します。住宅取得等資金であれば通常制度から住宅特例へ視点を移し、その後に年齢、住宅、期限などの要件を確認します。数字を最初に処理するのではなく、次の順番で選択肢を切ります。

・贈与税についての問題であることを確認する
・暦年課税と相続時精算課税のどちらかを確認する
・贈与者と受贈者の関係を確認する
・贈与者と受贈者の年齢を確認する
・住宅取得等資金か一般の財産かを確認する
・110万円が何についての基礎控除か確認する
・2,500万円が何についての特別控除か確認する
・住宅取得、増改築、居住などの要件を確認する
・過去問の出題当時と現行制度を区別する

この処理順なら、「60歳」「18歳」「110万円」「2,500万円」という数字が単独で出ても惑わされにくくなります。特に平成16年問27は住宅取得等資金についての特例なので、通常の相続時精算課税の贈与者年齢をそのまま当てはめる誤りを避けます。指定資料でも、住宅取得等資金の場合には贈与者の年齢を問わない点が整理されています。

宅建試験ではここが狙われやすい

贈与税では、正しい数字を別制度へ移すだけで非常に自然な誤肢を作れます。現在は暦年課税だけでなく相続時精算課税にも110万円という数字が登場するため、「110万円を見たら暦年課税」という数字だけの暗記は特に危険です。110万円がどの課税方式の、誰についての、どの期間の控除なのかまで確認します。

もう一つ狙われやすいのが、通常制度と住宅取得等資金についての特例との要件交換です。通常の相続時精算課税では贈与者の年齢要件がありますが、住宅取得等資金について一定の要件を満たす場合には60歳未満の贈与者でも選択できます。 「相続時精算課税=必ず贈与者60歳以上」と固定すると、平成16年問27型の問題で失点します。

贈与税の基礎控除の基本判断

現在の宅建対策では、110万円の基礎控除と2,500万円の特別控除を別物として整理することが基本です。令和6年1月1日以後の贈与については、相続時精算課税にも年110万円の基礎控除が設けられています。この章では、暦年課税との混同を避けながら相続時精算課税の数字を整理します。

相続時精算課税では、基礎控除後の課税価格から、累積2,500万円までの特別控除を差し引く構造になります。2,500万円を超えて課税される部分について使われる税率は20%ですが、この2,500万円は毎年復活する基礎控除ではありません。したがって、年110万円と累積2,500万円という違いを数字と性質の両方で確認します。

比較表では、相続時精算課税の二つの控除を切り分けます。この表を見る目的は、同じ「控除」という言葉を理由に数字を交換しないことです。特に「毎年」と「累積」という違いを問題文で確認してください。

比較項目基礎控除特別控除
相続時精算課税の金額年110万円累積2,500万円
現行制度での位置付け毎年の基礎控除特別控除
控除する順番基礎控除の後
判断語句各年・110万円累積・2,500万円
注意点贈与者ごとに110万円ではない贈与者ごとに累積管理

同一年中に複数の特定贈与者から相続時精算課税による贈与を受けても、基礎控除が「人数×110万円」になるわけではありません。国税庁は、基礎控除110万円は相続時精算課税適用者ごとに1年間で適用され、複数の特定贈与者がいる場合には一定の方法であん分すると説明しています。これに対して2,500万円の特別控除は、贈与者ごとに累積で管理される点を区別します。

例題1

相続時精算課税では、令和6年1月1日以後の贈与について、年110万円の基礎控除が設けられている。

解答・判断ポイント

正解:○

110万円は現在の相続時精算課税にも存在する基礎控除です。令和6年1月1日以後の贈与について適用される点まで確認します。

誤肢分析

誤っている語句

なし

正しい修正

なし

「110万円=暦年課税だけ」とする古い知識の固定化を避けるための問題です。

例題2

相続時精算課税では、毎年2,500万円の基礎控除を受けることができる。

解答・判断ポイント

正解:×

2,500万円は毎年の基礎控除ではなく、相続時精算課税における累積の特別控除です。

誤肢分析

誤っている語句

「毎年2,500万円の基礎控除」

正しい修正

「年110万円の基礎控除と、累積2,500万円までの特別控除」

基礎控除と特別控除の名称・金額・使い方を同時に交換した誤肢です。

例題3

相続時精算課税の基礎控除額110万円は、2,500万円の特別控除額より先に控除する。

解答・判断ポイント

正解:○

現在の相続時精算課税では、110万円の基礎控除を先に控除し、その後に特別控除を適用します。国税庁の計算例でもこの順序が示されています。

誤肢分析

誤っている語句

なし

正しい修正

なし

二つの控除を知っている受験生に、適用順序を問うタイプです。

例題4

相続時精算課税を選択した後でも、翌年から同じ贈与者について自由に暦年課税へ戻すことができる。

解答・判断ポイント

正解:×

一度選択すると、その選択に係る贈与者からのその後の贈与について、暦年課税へ変更することはできません。

誤肢分析

誤っている語句

「自由に暦年課税へ戻すことができる」

正しい修正

「選択した贈与者について暦年課税へ変更することはできない」

「選択できる」という入口の任意性を、選択後の変更まで自由であるかのように変えています。

宅建試験ではここが狙われやすい

最も作りやすい誤肢は、110万円と2,500万円の役割交換です。どちらも相続時精算課税の計算に登場するため、「2,500万円の基礎控除」「毎年2,500万円」「110万円の特別控除」といった文章は、一部の数字だけを見ると正しそうに見えます。金額だけでなく、110万円は基礎控除、2,500万円は累積の特別控除と名称まで固定します。

さらに、制度改正前の過去問を現在の制度として読むことにも注意が必要です。指定資料には従来の相続時精算課税について「合計2,500万円まで」とする説明がありますが、現在は令和6年1月1日以後の贈与について110万円の基礎控除が加わっています。 古い過去問の正解を学ぶことと、現在の制度を学ぶことを分離して処理します。

相続時精算課税と住宅取得等資金の特例

平成16年問27を解く中心は、通常の相続時精算課税と住宅取得等資金についての特例を区別することです。通常制度では贈与者に年齢要件がありますが、住宅取得等資金について一定要件を満たせば、贈与者が60歳未満でも相続時精算課税を選択できます。この章では、問題作成者が交換しやすい人物・年齢・財産の条件を比較します。

通常の相続時精算課税では、原則として贈与年の1月1日に60歳以上の父母・祖父母などが贈与者になります。受贈者は同日に18歳以上で、贈与者の直系卑属である推定相続人又は孫などであることが基本です。年齢は贈与日そのものではなく、贈与年の1月1日を基準として確認します。

住宅取得等資金についての特例では、贈与者側の60歳以上という条件に例外があります。令和8年12月31日までに一定の住宅取得等資金の贈与を受け、その他の要件を満たす場合には、贈与者が60歳未満でも選択できます。 「住宅」という一語だけで判断せず、住宅取得等の対価に充てるための金銭であることを確認します。

二つを比較すると、平成16年問27の狙いが見えやすくなります。この表では、通常制度と住宅取得等資金についての特例で何が変化するかだけを確認します。共通する条件と例外になる条件を分けてください。

比較項目通常の相続時精算課税住宅取得等資金の特例
贈与者原則60歳以上の父母・祖父母など60歳未満でも可
年齢判定贈与年の1月1日特例では贈与者60歳以上を要求しない
受贈者原則18歳以上の一定の子・孫など一定の18歳以上の子・孫など
財産財産一般一定の住宅取得等資金
試験の決定語句通常の贈与住宅取得等資金

指定資料でも、通常制度では「60歳以上の親・祖父母」、住宅取得等資金では「親・祖父母(年齢問わず)」という対比で整理されています。 現行制度でも、住宅取得等資金について一定の要件を満たせば、贈与者が60歳未満でも相続時精算課税を選択できる構造は維持されています。 したがって、この部分は「通常制度の年齢要件を特例へ持ち込んでいないか」で判断します。

例題5

相続時精算課税は、どのような財産の贈与であっても、贈与者が贈与年の1月1日に60歳以上でなければ選択できない。

解答・判断ポイント

正解:×

一定の住宅取得等資金については、贈与者が60歳未満でも相続時精算課税を選択できる特例があります。

誤肢分析

誤っている語句

「どのような財産の贈与であっても」

正しい修正

「通常の相続時精算課税では原則として」

原則を例外のない絶対的ルールへ変える典型的な誤肢です。

例題6

住宅取得等資金について相続時精算課税選択の特例を受ける場合、贈与者が60歳未満であることだけを理由として適用を否定されるわけではない。

解答・判断ポイント

正解:○

この特例では、一定の要件を満たせば60歳未満の贈与者についても相続時精算課税を選択できます。

誤肢分析

誤っている語句

なし

正しい修正

なし

「60歳」という正しい数字を通常制度と住宅特例のどちらへ当てるかが判断点です。

例題7

相続時精算課税の通常の適用要件では、受贈者の年齢は贈与を受けた日の年齢だけで判定する。

解答・判断ポイント

正解:×

原則的な年齢要件は、贈与を受けた年の1月1日を基準に判断します。

誤肢分析

誤っている語句

「贈与を受けた日の年齢」

正しい修正

「贈与を受けた年の1月1日における年齢」

年齢の数字ではなく、年齢を判定する基準日を変更した誤肢です。

宅建試験ではここが狙われやすい

この論点では、「60歳以上」という数字そのものよりも、その数字を誰に適用するかが狙われます。通常制度の贈与者、住宅取得等資金についての特例の贈与者、受贈者を入れ替えると、数字を正確に暗記している受験生でも迷います。問題文では、まず贈与者・受贈者・住宅取得等資金の三か所へ線を引いてから年齢を処理します。

もう一つのひっかけは、年齢を判定する時期の変更です。「贈与時」「契約時」「年末」などへ変更されていても数字が同じなら見落としやすいため、年齢と基準日をセットで確認します。通常の相続時精算課税では、贈与者60歳以上、受贈者18歳以上という数字だけでなく、原則として贈与年の1月1日という時点までが一組です。

住宅取得等資金の特例で混同しやすい要件

平成16年問27では、年齢だけでなく、住宅の要件や所得制限の有無までが正誤判断に使われています。指定資料では、第1肢は増改築費用等、第3肢は所得制限、第4肢は住宅の耐震性等について整理されています。 この章では、指定過去問の判断構造を現在の制度と無理に混同せず分析します。

特に注意するのは、相続時精算課税選択の特例と、住宅取得等資金そのものを一定額まで非課税とする制度が別制度であることです。現行制度でも、一定の場合には住宅取得等資金の非課税と相続時精算課税を併用できますが、それぞれの要件と計算を区別する必要があります。 「住宅取得等資金」という共通語だけを理由に、所得要件などを一方から他方へ移してはいけません。

比較するときは、制度名を最初の列に置きます。この表を見る目的は、「住宅の贈与に関する特例」という大きなくくりだけで判断しないことです。何が優遇される制度なのかを先に確認します。

判断項目相続時精算課税選択の特例住宅取得等資金の非課税
制度の中心相続時精算課税を選択する特例一定額を贈与税非課税とする特例
住宅との関係一定の住宅取得等資金一定の住宅取得等資金
贈与者年齢60歳未満でも選択可能別制度として要件を判定
所得要件非課税制度と同一視しない所得要件あり
試験上の注意年齢要件の例外非課税要件との混同

指定資料の平成16年問27第3肢は、相続時精算課税の特例について所得制限を設ける必要がないことを正しい内容として扱っています。資料は、この点を住宅取得等資金の贈与税の非課税制度との相違として明示しています。 したがって、この過去問では「住宅関係だから同じ所得要件」とまとめないことが正解への鍵です。

例題8

住宅取得等資金に関係する贈与税の特例であれば、すべて同一の適用要件を満たさなければならない。

解答・判断ポイント

正解:×

住宅取得等資金に関する制度であっても、相続時精算課税選択の特例と非課税の特例は別制度です。

誤肢分析

誤っている語句

「すべて同一の適用要件」

正しい修正

「適用する特例ごとに要件を確認する」

似た名称・同じ住宅取引を利用して、別制度の要件を移植するタイプの誤肢です。

例題9

住宅取得等資金の贈与について相続時精算課税を利用する場合、住宅取得等資金の非課税制度とは別の制度として適用要件を確認する必要がある。

解答・判断ポイント

正解:○

両制度は一定の場合に併用できることがありますが、制度そのものが同一になるわけではありません。

誤肢分析

誤っている語句

なし

正しい修正

なし

「併用できる」と「同一制度である」を混同しないことが判断点です。

宅建試験ではここが狙われやすい

住宅関連の贈与税では、制度名の一部が似ているため、別制度の適用要件を交換する誤肢が成立しやすくなります。「住宅取得等資金」「贈与税」「特例」という共通語が並んでいても、非課税の特例なのか、相続時精算課税を選択するための特例なのかを先に確定してください。制度が決まる前に所得制限や年齢だけを見ると、正しい要件を誤った制度へ適用してしまいます。

平成16年問27第3肢は、この制度間の要件交換を見抜けるかが中心です。指定資料では、相続時精算課税の特例には所得制限がない一方、住宅取得等資金の贈与税の非課税とは異なると明示されています。 本試験では「住宅」という共通部分ではなく、何についての特例かまで制度名を分解して判断します。

平成16年問27の過去問分析

平成16年問27では、住宅取得等資金に関する相続時精算課税について、複数の適用要件を横断して判断させています。指定資料上の正解は第3肢であり、他の肢では増改築、不要な追加要件、住宅要件などが変更されています。 この章では、各肢でどの語句を疑えばよいかを中心に分析します。

最初に確認するのは、住宅取得等資金、増改築、所得制限、耐震性という語句です。全部を「贈与税の問題」と一括処理せず、それぞれ住宅要件・人的要件などに分類します。数字が出た場合も、その数字が誰又は何についての要件なのかを確認します。

平成16年(2004年)問27

問27

特定の贈与者から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例(60歳未満の親又は祖父母からの贈与についても相続時精算課税の選択を可能とする措置)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 増改築のために金銭の贈与を受けた場合には、増築による床面積の増加が40㎡以上であるか、その工事に要した費用の額が1,000万円以上でなければこの特例の対象とはならない。
  2. 住宅取得等資金の贈与を受けた者が、その贈与を受けた日前5年以内に、その者又はその者の配偶者の所有する住宅用家屋に居住したことがある場合には、この特例の適用を受けることはできない。
  3. 住宅取得等資金の贈与を受けた者について、その贈与を受けた年の所得税法に定める合計所得金額が2,000万円を超えている場合でも、この特例の適用を受けることができる。
  4. この特例の対象となる既存住宅用家屋は、マンション等の耐火建築物である場合には築後30年以内、耐火建築物以外の建物である場合には築後25年以内のものに限られる。

正解:3

解説

指定資料では、相続時精算課税制度について、通常制度と住宅取得等資金の場合の例外を比較しています。通常は一定の年齢関係を確認しますが、住宅取得等資金では贈与者の年齢について特例が設けられるという構造です。 過去問を解くときは、一般制度の要件を住宅特例へそのまま持ち込まないことが出発点になります。

各肢の正誤理由

1 誤り

指定資料では、第1肢について、増改築等の工事費に関する数字と床面積の捉え方が誤っていると整理されています。資料上は、工事費について「1,000万円以上」ではなく「100万円以上」、床面積についても「増築による増加部分」ではなく「増築後」の床面積を見る問題でした。 つまり、数字の置換と測定対象の置換を同時に行った誤肢です。

誤っている語句

「1,000万円以上」「増築による床面積の増加」

正しい修正

指定資料上は「100万円以上」「増築後の床面積」

この肢の学習ポイントは、金額だけを直して終わらないことです。「何について40㎡を見るのか」という対象まで変えられているため、数字+数字の対象を一組として確認します。なお、古い過去問の住宅要件を現行制度へそのまま転用せず、出題当時の肢分析として扱います。

2 誤り

指定資料では、第2肢について「このような要件は存在しません」と整理されています。 つまり、実在する要件の数字を少し変えたのではなく、制度にない条件を追加するタイプの誤肢です。

誤っている語句

指定資料に掲載された第2肢の詳細な問題文が確認できないため、具体的な語句は断定できません。

正しい修正

指定資料の判断基準では「その要件を要求しない」

このタイプでは、受験生が「ありそうな条件」を勝手に補ってはいけません。税制上の特例には複数の要件があるため、もっともらしい住宅条件や人的条件を一つ追加するだけで誤肢が作れます。条文上要求される要件なのかを制度単位で判断します。

3 正しい

指定資料では、相続時精算課税の特例について所得制限はないとして、第3肢を正しいと判断しています。さらに、住宅取得等資金の贈与税の非課税制度とは異なる点であると説明されています。 同じ住宅関連の贈与税制度でも、別制度の所得要件を持ち込まないことが判断点です。

誤っている語句

なし

正しい修正

なし

この肢は、単独の知識問題に見えて実際には制度比較問題です。「住宅取得等資金」という共通語から非課税制度の要件を連想し、その要件を相続時精算課税にも適用すると誤ります。制度名を最後まで確認することが正解3へ到達する方法です。

4 誤り

指定資料では、住宅について一定の耐震基準に適合していること、又は登記簿上の建築日付に関する要件が説明されています。資料は、必要な要件を満たしていれば住宅の構造や築年数そのものを一律に限定するものではないと整理しています。 したがって、住宅の属性そのものを絶対条件とする形に変更すると誤肢になります。

誤っている語句

指定資料に掲載された第4肢の全文が確認できないため、具体的な原文の引用は避けます。

正しい修正

指定資料上は「一定の耐震性等についての要件によって判断する」

この肢では、「古い住宅だから不可」「特定構造だから不可」という外形だけで切らないことがポイントです。試験では住宅の築年数、構造、耐震基準を入れ替え、似た条件のように見せることがあります。何を直接の適用要件としているかを確認します。

問題作成者のひっかけポイント

この問題では、一つの数字だけを変えるのではなく、複数種類の誤肢が配置されています。第1肢では数字と対象、第2肢では存在しない追加要件、第3肢では別制度との要件交換、第4肢では住宅要件の置換が使われています。したがって、一つの暗記方法だけですべての肢を処理しようとすると迷いやすい問題です。

特に第3肢は、「所得制限」という条件自体が税制上あり得ないわけではない点が巧妙です。別の住宅取得等資金に関する制度では所得要件が存在するため、受験生が制度を大きなくくりで記憶していると誤りと判断しやすくなります。条件が実在するかではなく、その条件が今問われている制度に属するかを確認してください。

受験生が迷う理由

住宅取得等資金には複数の税制上の特例が関係するため、「住宅」「贈与」「親子」という共通語だけで知識をまとめやすいことが原因です。さらに、100万円、床面積、年齢、所得など異なる種類の数字が登場するため、数字だけを横断的に暗記すると所属先が分からなくなります。数字には必ず「誰について」「何について」「いつ判定するか」というラベルを付けます。

現在の学習では、制度改正による時間軸も加わります。特に相続時精算課税には令和6年1月1日以後の贈与について年110万円の基礎控除が設けられたため、平成16年当時の計算構造だけで現在の問題を解くことはできません。 過去問の正誤理由と、現在適用される数字を意識的に分離します。

正しい判断手順

平成16年問27型では、最初に「相続時精算課税」と「住宅取得等資金」を囲みます。次に各肢を人物要件、住宅要件、所得要件、金額要件のどれについて述べているか分類し、最後にその要件が本当に当該制度へ属するか確認します。この順番なら、別制度に実在する条件を持ち込んだ誤肢にも対応できます。

・制度名を「相続時精算課税」まで確認する
・住宅取得等資金についての特例か確認する
・贈与者と受贈者の条件を分ける
・年齢は誰についての数字か確認する
・住宅の床面積等は何を測る数字か確認する
・所得要件が当該制度に存在するか確認する
・別の住宅贈与特例の要件を混ぜていないか確認する
・出題当時と現在の制度を分離する

この問題では、全部の条件を暗唱できることより、条件の所属先を間違えないことが得点につながります。特に「所得制限がある制度を知っている」ことと、「本問の制度に所得制限がある」ことは別問題です。知っている条件が出たときほど、制度名へ戻って確認します。

類似問題で使える知識

同じ判断方法は、相続時精算課税と暦年課税を比較する問題にも使えます。さらに、住宅取得等資金の非課税と相続時精算課税選択の特例を比較するときも、制度→対象者→財産→数字→期限の順で処理できます。制度名が似ている問題ほど、共通点ではなく異なる要件を先に探すことが有効です。

現行制度では、相続時精算課税を一度選択すると、原則としてその特定贈与者について後から暦年課税へ戻すことはできません。 一方、住宅取得等資金について一定の要件を満たす場合には、60歳未満の贈与者でも相続時精算課税を選択できます。 このように「選択できる条件」と「選択した後の効果」を分離すると、類似問題にも対応できます。

宅建試験ではここが狙われやすい

平成16年問27から最も利用価値が高いのは、正解3そのものより誤肢の作り方です。作問者は、存在しない数字だけを並べるのではなく、別制度では正しい条件、別対象なら正しい数字、似た住宅要件などを移動させて誤肢を作ります。そのため、「聞いたことがある数字だから正しい」という判断を禁止する必要があります。

本試験では、条件を見たら「その条件は正しいか」ではなく、「この制度について、その条件は正しいか」と読み替えてください。さらに数字があれば、「その数字は正しいか」ではなく、「この対象について、この時点で使う数字か」まで確認します。この二段階確認を固定すれば、贈与税だけでなく他の税・その他の数字問題にも応用できます。

一問一答|過去問の肢レベルで確認

一問一答では、基礎控除だけでなく、平成16年問27で狙われた制度間の要件交換まで確認します。単純に110万円を答える問題ではなく、対象者、基準日、住宅特例、2,500万円との違いを組み合わせます。問題文の一語を交換したときに正誤が変わるかを確認してください。

問題1

令和6年1月1日以後の贈与について相続時精算課税を選択した場合には、年110万円の基礎控除は存在しない。

正解:×

現在の相続時精算課税には、令和6年1月1日以後の贈与について年110万円の基礎控除があります。

誤っている語句

「存在しない」

正しい修正

「年110万円の基礎控除がある」

問題2

相続時精算課税の2,500万円は、毎年新たに利用できる基礎控除額である。

正解:×

2,500万円は毎年の基礎控除ではなく、累積して管理する特別控除額です。

誤っている語句

「毎年新たに利用できる基礎控除額」

正しい修正

「累積2,500万円までの特別控除額」

問題3

相続時精算課税では、110万円の基礎控除を適用した後に2,500万円の特別控除を適用する。

正解:○

現在の計算では基礎控除を先に控除し、その後に特別控除を適用します。

誤っている語句

なし

正しい修正

なし

問題4

通常の相続時精算課税では、贈与者の年齢要件は贈与を行った年の12月31日現在で判定する。

正解:×

通常制度では、原則として贈与をした年の1月1日における年齢を確認します。

誤っている語句

「12月31日現在」

正しい修正

「1月1日現在」

問題5

一定の住宅取得等資金について相続時精算課税選択の特例を利用する場合でも、贈与者は必ず60歳以上でなければならない。

正解:×

一定の要件を満たす住宅取得等資金については、贈与者が60歳未満でも選択できます。

誤っている語句

「必ず60歳以上」

正しい修正

「60歳未満でも一定の要件を満たせば選択できる」

問題6

通常の相続時精算課税では、原則として受贈者は贈与年の1月1日に18歳以上であることが必要となる。

正解:○

現在の通常制度では、受贈者は原則として贈与年の1月1日に18歳以上で、一定の子・孫などであることを確認します。

誤っている語句

なし

正しい修正

なし

問題7

相続時精算課税を一度選択しても、翌年に有利不利を比較して、同じ贈与者について暦年課税へ自由に変更できる。

正解:×

選択した贈与者については、その後に暦年課税へ自由に変更することはできません。

誤っている語句

「暦年課税へ自由に変更できる」

正しい修正

「選択した贈与者について暦年課税へ変更することはできない」

問題8

同一年中に相続時精算課税の対象となる贈与者が2人いれば、基礎控除は110万円ずつ、合計220万円になる。

正解:×

相続時精算課税の基礎控除110万円は、単純に特定贈与者の人数を掛けて増えるものではありません。複数の特定贈与者がいる場合には、110万円を一定の方法であん分します。

誤っている語句

「110万円ずつ、合計220万円」

正しい修正

「受贈者について年110万円を一定の方法であん分する」

問題9

相続時精算課税の特別控除2,500万円と基礎控除110万円は、名称が違うだけで同じ性質の控除である。

正解:×

基礎控除は年110万円、特別控除は累積2,500万円までという異なる仕組みです。

誤っている語句

「同じ性質の控除」

正しい修正

「適用方法と限度額が異なる控除」

問題10

住宅取得等資金の贈与税の非課税と、住宅取得等資金についての相続時精算課税選択の特例は、名称が似ていても別制度として要件を確認する。

正解:○

現行制度でも両制度は区別され、一定の場合には併用できる仕組みになっています。

誤っている語句

なし

正しい修正

なし

宅建試験ではここが狙われやすい

一問一答で最も注意したいのは、数字そのものが全部正しくても文章全体が誤りになるケースです。「110万円」「2,500万円」「60歳」「18歳」はいずれも実在する数字ですが、基礎控除、特別控除、贈与者、受贈者という所属先を交換すれば誤肢になります。数字を見つけたら、その直前と直後の名詞まで一緒に読みます。

また、「必ず」「すべて」「自由に」「一律に」という限定語も確認してください。住宅取得等資金についての特例が存在するところへ「贈与者は必ず60歳以上」と書けば、通常制度の原則を利用した誤肢になります。原則を知った後は、例外を消す限定語が付いていないかまで確認するのが本試験での処理方法です。

FAQ

FAQでは、本文の数字をもう一度暗記するのではなく、受験生が判断に迷いやすい境界を整理します。特に110万円が複数の課税方式で登場する現在は、従来の語呂合わせだけでは制度を判別できません。制度の選択、複数贈与者、住宅特例という境界場面を確認します。

Q1.問題文に「110万円」とあれば、暦年課税の問題だと判断してよいですか?

いいえ。令和6年1月1日以後の贈与については相続時精算課税にも年110万円の基礎控除があるため、110万円だけでは課税方式を判別できません。 「暦年課税」「相続時精算課税」という制度名とセットで判断します。

Q2.相続時精算課税の110万円と2,500万円は両方とも毎年使えますか?

同じ扱いではありません。110万円は現在の相続時精算課税における年ごとの基礎控除ですが、2,500万円は累積で管理される特別控除です。

Q3.父と母の両方について相続時精算課税を使えば、110万円が2人分で220万円になりますか?

単純に220万円にはなりません。国税庁は、相続時精算課税の基礎控除110万円について、複数の特定贈与者から贈与を受けた場合には一定の方法であん分するとしています。

Q4.住宅取得等資金なら、贈与者の年齢は何歳でも何の条件もなく相続時精算課税を選択できますか?

そういう意味ではありません。一定の住宅取得等資金について所定の要件を満たした場合に、通常制度の贈与者60歳以上という年齢要件が緩和されます。 「年齢要件がない」と「他の要件も一切ない」を混同しないでください。

Q5.相続時精算課税を選択して失敗したと思ったら、翌年から暦年課税へ戻せますか?

同じ特定贈与者について自由に戻すことはできません。一度相続時精算課税を選択すると、その選択に係る贈与者からその後受ける贈与についても同制度が適用されます。

Q6.平成16年問27の2,500万円という説明を、そのまま現在の相続時精算課税の計算として覚えてよいですか?

そのままでは不十分です。指定資料には当時の学習内容として2,500万円の仕組みが掲載されていますが、令和6年1月1日以後の贈与には年110万円の基礎控除が設けられています。 過去問の正誤理由と現行制度の計算構造を分けて学習します。

Q7.住宅取得等資金の非課税と相続時精算課税選択の特例は、どちらか一方しか使えませんか?

一定の要件を満たせば併用できる場合があります。国税庁は、住宅取得等資金の非課税を先に適用し、その後の金額について相続時精算課税の基礎控除や特別控除を適用する計算関係を示しています。

宅建試験ではここが狙われやすい

境界事例では、「適用できる・できない」の二択だけで処理しないことが必要です。住宅取得等資金の特例で贈与者の年齢条件が緩和されるとしても、他の適用要件まで消えるわけではなく、二つの住宅関連制度を併用できるとしても同一制度になるわけではありません。どの要件だけが変化するのかを限定して読むことが重要です。

また、現在の110万円は特に過去問学習との時間差が生じやすい論点です。平成16年問27の正解を理解する場面では出題当時の制度を基準とし、現在の本試験対策として制度を整理するときは令和6年以後の基礎控除を反映します。過去問の文章と現行制度を無理に一つへ統合せず、出題当時の正誤判断と現在の判断基準を二層に分けてください。

まとめ

贈与税の基礎控除を問われたら、最初に暦年課税か相続時精算課税かを確認し、数字だけで制度を決めないことが基本です。現在は令和6年1月1日以後の相続時精算課税にも年110万円の基礎控除があり、累積2,500万円の特別控除とは別に扱います。 本試験では「110万円=基礎控除」「2,500万円=特別控除」と、その数字が何について使われるかまで一組で確認します。

平成16年問27では、住宅取得等資金についての相続時精算課税が中心であり、指定資料上の正解は第3肢です。 通常制度の年齢要件、住宅取得等資金についての例外、別の住宅関連特例に存在する所得要件などを交換していないかを確認することで、暗記だけに頼らず選択肢を切れます。

試験では、制度→贈与者・受贈者→財産→基礎控除→特別控除→住宅特例→基準日・期限→例外の順で確認します。特に「110万円と2,500万円」「通常制度と住宅特例」「相続時精算課税と住宅取得等資金の非課税」「60歳と18歳」の入れ替えに注意してください。問題文のどこを見るかを固定し、正しい数字が正しい対象に使われているかまで確認することが、贈与税の過去問攻略につながります。

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