【宅建】宅建業法 合併・分割・相続とは? |頻出ポイント・ひっかけ問題・過去問攻略・一問一答

宅建業法の合併・相続では、事業や契約を引き継ぐことと宅建業免許を引き継ぐことを区別する必要があります。個人業者が死亡した場合や法人が合併で消滅した場合、元の免許を相続人や存続法人が当然に承継できるわけではありません。この記事では、指定過去問を中心に、免許承継・取引結了・廃業等の届出・名義貸しを判断する方法を整理します。

今回の指定資料では、相続と合併について具体的な正誤基準が示されていますが、会社分割についての詳細な取扱いは示されていません。そのため、分割について資料にないルールを補って断定せず、相続・合併と「免許主体を変えて考える」という共通の判断軸までを扱います。指定過去問を正解するために必要な論点へ絞り、一般的な会社制度の解説には広げません。

目次

問題文を読んだら最初に何を見るか

合併・相続の問題では、最初に「誰が宅建業免許を受けたのか」を確認することが最優先です。事業や契約が別人・別法人へ移っても、免許まで当然に移るとは限らないため、免許主体を確認せずに承継可否を判断すると誤答します。この章では、問題文で注目する語句と、本試験で使う基本的な処理順を整理します。

個人業者が死亡した場合は、死亡した個人の免許と、相続人が引き継ぐ契約や事業を分けて考えます。法人が合併で消滅した場合も、消滅法人の免許と、存続法人が引き継ぐ取引を分けて判断する必要があります。「引き継ぐ」という一語を見ても、何を引き継ぐのかまで確認してください。

さらに、免許が失効した後でも、すでに締結済みの契約に基づく取引を結了するための特則が指定資料で示されています。これは元の免許を承継したという意味ではなく、既存取引を終える目的の範囲で宅建業者とみなされるという別の処理です。「免許承継」と「取引結了」を必ず分けて判断します。

問題文で注目する語句を、次の表で整理します。この表を見る目的は、事業承継という全体像ではなく、正誤を決める免許・契約・届出のどれが問題なのかを特定することです。本試験では「承継」「結了」「30日以内」「名義」という語句を特に確認してください。

問題文の語句判断ポイント
個人業者が死亡免許失効・相続を確認
相続人免許承継と取引結了を区別
合併で法人消滅消滅法人の免許失効を確認
存続法人免許承継できるか確認
取引を結了宅建業者とみなされる範囲を確認
30日以内廃業等の届出を確認
名義をもって名義貸しの禁止を確認
免許を有する者に貸す相手が免許業者でも禁止か確認
営業保証金事業開始時期との関係を確認
広告事業に含まれるか確認

表を使うときは、「相続した」「合併した」という事実だけで結論を出さないことが重要です。まず元の免許主体が消滅したかを確認し、その後に相続人や存続法人が何をできるのかへ進みます。元の免許が消えたことと、既存契約の処理ができなくなることを同じ意味にしないでください。

本試験での判断順序は、免許主体→死亡・合併などの原因→免許失効→承継可否→取引結了→届出の順にすると安定します。さらに名義貸しや営業保証金が同じ問題に混ざった場合は、その肢だけ別制度へ切り替えて判断します。一つ前の肢で使った「承継」の知識を別論点へそのまま流用しないことが必要です。

・①誰が免許を受けているか確認する
・②死亡・合併など何が起きたか確認する
・③元の免許がいつ失効するか確認する
・④相続人・存続法人が免許を承継できるか確認する
・⑤既存契約の取引結了が問題か確認する
・⑥廃業等の届出義務者と30日を確認する
・⑦別制度の肢なら判断基準を切り替える

この七段階で処理すると、「免許は承継できないから何もできない」という極端な誤りを防げます。逆に「取引を結了できるから免許も承継した」という誤った結論にも進みにくくなります。免許・取引・届出を三つの別項目として処理してください。

宅建試験ではここが狙われやすい

合併・相続では、「事業を引き継ぐ」「契約を処理できる」という事実を利用して、宅建業免許まで引き継げるように見せる誤肢が作られます。指定資料では、個人業者の免許は相続の対象外であり、合併で消滅した法人の免許も存続法人へ当然には承継されません。問題文に「承継」「引き継ぐ」「継続できる」があれば、対象が免許なのか既存取引なのかを確認してください。

もう一つのひっかけは、取引結了の特則を免許承継と混同させる方法です。相続人や存続法人が既存契約に基づく取引を終える範囲で宅建業者とみなされても、新しい宅建業を自由に行えるという意味にはなりません。本試験では「何の目的の範囲内か」という限定部分まで読み、一般的な営業継続へ広げていないかを確認してください。

相続で宅建業免許は承継できるか

相続では、宅建業免許は相続の対象にならないという点を最初に確認します。個人業者が死亡すればその者の免許は死亡によって効力を失い、相続人がその免許を当然に受け継ぐことはできません。この章では、免許承継・取引結了・死亡届という三つの論点を分けて整理します。

個人業者の免許は死亡時に失効する

宅建業者である個人が死亡した場合、その個人に与えられていた免許は死亡によって効力を失います。指定資料では、宅建業免許は相続の対象外であり、相続人は元の免許を承継できないと整理されています。「財産を相続するから免許も相続する」という考え方は誤りです。

相続人が宅建業を続けたいと考えていても、元の免許がそのまま相続人へ移るわけではありません。免許主体は死亡した個人であり、相続人は別の人格だからです。相続財産と行政上の免許を同じものとして処理しないようにします。

ここで重要なのは、「免許を承継できない」という結論から「相続人は何もできない」と考えないことです。指定資料では、死亡した宅建業者がすでに締結した契約に基づく取引を結了するための特則が示されています。免許承継と取引結了を別々に確認してください。

相続人は既存取引を結了できる

指定資料では、相続人は死亡した宅建業者が締結した契約に基づく取引を結了する目的の範囲内で宅建業者とみなされます。したがって、死亡前に成立していた取引を終了させるために必要な宅建業上の行為まで一律に禁止されるわけではありません。この特則は、取引相手を途中で放置しないための処理として問題になります。

ただし、この取扱いは相続人が元の免許を承継したことを意味しません。認められるのは、死亡した宅建業者が締結済みの契約に基づく取引を終える目的の範囲です。新たな契約を次々と締結して通常の宅建業を続けられるという意味へ広げてはいけません。

問題文に「取引を結了する目的の範囲内」とあれば、その限定部分を必ず確認します。「相続人は宅建業を行える」という途中だけを取り出すと、免許承継と誤解しやすくなります。本試験では、何のために宅建業者とみなされるのかまで読み切ってください。

死亡届は取引終了後まで待たない

相続人には、死亡した宅建業者について廃業等の届出をする義務もあります。指定資料では、相続人はその事実を知った日から30日以内に免許権者へ届け出る必要があります。既存取引をすべて終えてから届け出ればよいわけではありません。

この点は、取引結了の特則と死亡届を混同すると誤答しやすくなります。相続人が一定範囲で取引を続けられるため、「業務が全部終わった後に死亡届を出せばよい」と考えるのは誤りです。取引結了と届出期限は互いに独立して判断します。

つまり、相続人には「知った日から30日以内の届出」と「既存取引を終えるための限定的な取扱い」が同時に存在します。どちらか一方が終わってから他方が始まるという時系列ではありません。本試験では二つの制度を別々に処理してください。

相続で確認する三つの論点を表で整理します。この表を見る目的は、免許・取引・届出を一つの「相続後の処理」にまとめないことです。各行を別の正誤判断として使ってください。

論点判断試験での注意
元の免許死亡で失効相続対象としない
相続人の免許承継できない財産相続と混同しない
既存取引の結了限定的に可能新規営業へ広げない
死亡届知った日から30日以内業務終了後まで待たない

この表では、免許が失効しても取引結了のための特則が残る点が最も重要です。「免許がない=一切行為できない」という二択で処理すると、指定過去問のひっかけに対応できません。免許の有無と既存取引の処理権限を分けてください。

例題1

個人である宅建業者Aが死亡した場合、Aの相続人はAの宅建業免許を相続によって当然に承継する。

解答・判断ポイント

正解:×

指定資料では、宅建業免許は相続の対象外であり、個人業者の免許は死亡によって効力を失います。したがって、相続人が元の免許をそのまま承継することはできません。誤りは財産相続と免許承継を同じものとして扱っている点です。

誤肢分析

誤っている語句
「宅建業免許を相続によって当然に承継する」

正しい修正
「宅建業免許は相続の対象外であり、相続人は当然には承継できない」

この誤肢は、「相続」という日常的な財産承継のイメージを免許へ広げています。宅建試験では、免許は誰に与えられていたのかという主体へ戻って判断する必要があります。相続財産と宅建業免許を分けてください。

例題2

個人業者Aが死亡した場合、相続人はAが締結済みの契約に基づく取引を結了する目的の範囲内でも宅建業を行うことができない。

解答・判断ポイント

正解:×

指定資料では、相続人は既存契約に基づく取引を結了する目的の範囲内で宅建業者とみなされます。免許そのものを承継できないことと、既存取引を終える行為まで禁止されることは同じではありません。誤りは免許失効の効果を広げすぎている点です。

誤肢分析

誤っている語句
「取引を結了する目的の範囲内でも宅建業を行うことができない」

正しい修正
「既存契約に基づく取引を結了する目的の範囲内では宅建業者とみなされる」

この問題は、免許承継できないという正しい知識から誤った結論を導かせています。宅建試験では、正しい前提が書かれていても、その後の法律効果まで正しいとは限りません。「したがって」の後を必ず独立して確認してください。

宅建試験ではここが狙われやすい

相続では、「免許を承継できない」と「取引を結了できない」を同じ意味にする誤肢が作られます。指定資料では、免許そのものは相続できない一方、死亡前に成立した契約を結了する目的の範囲では相続人が宅建業者とみなされます。この原則と限定的な特則を区別できるかが正誤判断のポイントです。

また、取引を結了できることを理由に死亡届の提出を業務終了後まで遅らせる誤肢にも注意が必要です。相続人はその事実を知った日から30日以内に届け出る必要があり、取引結了の終了時点とは連動しません。「何ができるか」と「いつ届けるか」を別々の時計で判断してください。

合併で宅建業免許は承継できるか

法人が合併によって消滅した場合も、消滅法人の宅建業免許は存続法人へ当然には承継されません。指定資料では、消滅法人の免許は合併によって効力を失う一方、既存契約に基づく取引結了について別の取扱いが示されています。この章では、合併時の免許失効・廃業届・取引結了を整理します。

消滅法人の免許は合併で失効する

宅建業免許を受けている法人が合併によって消滅した場合、指定資料ではその免許も効力を失います。存続する法人が事業や資産を引き継ぐとしても、宅建業免許まで当然に承継することはできません。「包括承継」という会社法上のイメージだけで免許まで移ると判断しないことが必要です。

本試験では、「B社がC社に吸収合併されたため、C社はB社の免許を承継した」といった文章に注意します。合併という事実と免許承継を直接つないでいる場合は、指定資料の判断と一致しません。免許が誰に与えられていたのかへ戻って考えてください。

相続と合併の共通点は、元の免許主体が消滅する点です。個人なら死亡、法人なら合併による法人格消滅によって、元の免許が効力を失います。「主体消滅→免許失効」という流れを共通軸として整理できます。

合併後も既存取引は結了できる

指定資料では、存続法人は消滅法人が締結した契約に基づく取引を結了する目的の範囲内で、なお宅建業者とみなされるとされています。したがって、消滅法人の免許を承継できないことを理由に、既存契約の処理まで一切できないとするのは誤りです。相続と同じく、取引結了のための限定的な処理を確認します。

この場合も、存続法人が消滅法人の宅建業免許を取得したわけではありません。認められているのは、消滅法人がすでに締結した契約を終える目的の範囲内です。新たな契約を自由に締結できる一般的な営業権限へ広げないようにします。

問題文では、「宅建業者とみなされる」という語句だけを切り取らないことが重要です。その前後に「取引を結了する目的の範囲内」という限定があるかを確認します。限定条件が削られていれば誤肢を疑ってください。

合併時の届出義務者は元の代表役員

法人が合併によって消滅した場合、指定資料では消滅法人を代表する役員であった者が届出義務者となります。その者は、合併の日から30日以内に廃業等の届出をする必要があります。存続法人が当然に届出義務者になると判断しないことが重要です。

ここでは「代表役員であった者」という過去形にも注目します。合併によって法人自体が消滅しているため、現在の役員としてではなく、消滅前に代表していた者として届出義務を負います。主体消滅後の手続であることを意識してください。

相続では相続人、合併では代表役員であった者という違いがあります。どちらも30日以内ですが、届出義務者と起算点は同じではありません。「30日だけ共通」と整理し、人物と原因を別に覚えてください。

相続と合併を比較すると、免許承継と取引結了の構造が見えやすくなります。この表では、共通点と相違点を本試験で使う判断軸だけに絞ります。選択肢に別場面の人物や時点が移されていないか確認してください。

比較項目相続合併
元の免許主体個人法人
失効原因死亡合併による消滅
免許承継できないできない
取引結了相続人が限定的に可能存続法人が限定的に可能
届出義務者相続人代表役員であった者
30日の起算知った日合併の日

この表で最も重要なのは、免許承継は否定されても取引結了は認められるという共通構造です。届出については人物と起算点が異なるため、相続のルールを合併へそのまま移さないようにします。共通点と差分を分けて確認してください。

例題3

宅建業者B社がC社に吸収合併されて消滅した場合、C社はB社の宅建業免許を当然に承継する。

解答・判断ポイント

正解:×

指定資料では、合併により消滅した法人の免許は効力を失い、存続法人がその免許を承継することはできません。事業や契約上の地位を引き継ぐことと、宅建業免許を引き継ぐことは別問題です。誤りは合併による承継を免許まで広げている点です。

誤肢分析

誤っている語句
「宅建業免許を当然に承継する」

正しい修正
「消滅法人の宅建業免許は合併で失効し、存続法人へ当然には承継されない」

この誤肢は、合併の一般的な承継イメージを利用しています。宅建業法では、行政上の免許について別の判断が必要です。「何を承継するのか」という目的語まで確認してください。

例題4

合併で消滅した宅建業者B社が締結した契約について、存続法人C社は取引を結了する目的の範囲内でも宅建業者として扱われない。

解答・判断ポイント

正解:×

指定資料では、存続法人C社は消滅法人B社が締結した契約に基づく取引を結了する目的の範囲内で宅建業者とみなされます。免許承継できないことと、既存取引を処理できないことは同じではありません。限定的な取引結了の特則を見落としている点が誤りです。

誤肢分析

誤っている語句
「取引を結了する目的の範囲内でも宅建業者として扱われない」

正しい修正
「取引を結了する目的の範囲内では宅建業者とみなされる」

この問題は、相続の例題と同じ構造で判断できます。元の免許は失効しても、既存契約の相手方保護のため取引結了が認められるという二段構造です。「免許失効」と「取引結了」を分けることがポイントです。

宅建試験ではここが狙われやすい

合併では、「会社の権利義務を引き継ぐ」という一般的な理解を宅建業免許へまで広げる誤肢が作られます。指定資料では、消滅法人の免許は合併で効力を失い、存続法人へそのまま承継されません。選択肢に「当然に承継」「そのまま使用」「免許も移転」とあれば、行政上の免許まで移るのかを確認してください。

一方で、免許を承継できないことを強調しすぎて、既存契約の取引結了まで否定する誤肢にも注意が必要です。存続法人は指定された範囲で宅建業者とみなされるため、「一切できない」「直ちにすべて終了」といった断定は慎重に判断します。原則の免許失効と、例外的な取引結了をセットで整理してください。

分割は指定過去問でどう扱うか

今回の指定資料では、記事テーマに「合併・分割・相続」とありますが、会社分割について具体的な正誤基準は示されていません。したがって、本記事では資料にない免許承継や届出義務者を推測して断定せず、指定過去問で使える共通の判断方法だけを確認します。この章では、分割問題へ応用するときに何を先に見るかという処理手順を整理します。

会社分割という語句が出た場合も、最初に確認すべきなのは誰が免許を受けているかという点です。次に、分割によって免許主体そのものがどうなるのか、事業や契約の移転と免許の扱いが同じなのかを区別して検討する必要があります。ただし、今回の提供資料から具体的な結論までは示せません。

指定過去問から確実に使える知識は、「事業や契約の承継と宅建業免許の承継を同一視しない」という判断方法です。相続でも合併でも、この一括判断を否定することで正誤を見抜いています。分割を含む選択肢でも、まず何を承継すると書かれているのかを確認するという読み方は共通して使えます。

分割を含む問題文を読む場合の確認項目を整理します。この表は具体的な分割ルールを示すものではなく、指定資料から導ける問題文の読み方だけを示しています。結論を出すには、その問題で示された法的条件を別途確認する必要があります。

確認項目見るポイント
免許主体誰が免許を受けているか
承継対象事業・契約・免許のどれか
主体の変化同一主体か別主体か
取引結了既存契約の処理か
届出誰が・いつまでに行うか

分割については、今回の資料だけで「必ず承継できる」「絶対に承継できない」といった結論を作らないことが適切です。試験では、資料で確認できた相続・合併のルールと、別制度のルールを機械的に同じにしないようにします。「似ているから同じ」と判断しないこと自体がひっかけ対策になります。

宅建試験ではここが狙われやすい

似た企業再編制度が並ぶと、受験生は合併で学習した知識を分割にもそのまま適用しやすくなります。しかし、今回の指定資料は分割について具体的な効果や届出主体を示していないため、相続・合併と同じだと断定することはできません。本試験では制度名が似ていても、対象者・承継対象・届出手続を個別に確認する姿勢が必要です。

今回の過去問から応用できるのは、「承継」という言葉の目的語を確認する方法です。事業を承継するのか、契約上の地位を引き継ぐのか、宅建業免許を引き継ぐと書かれているのかによって判断すべき論点は変わります。「承継できる」という言葉だけを見て正誤を決めないようにしてください。

名義貸しと免許承継を混同しない

指定過去問では、免許承継とは別に名義貸しの禁止も出題されています。宅建業者は自己の名義をもって他人に宅建業を営ませることができず、相手方が無免許業者か免許業者かによって禁止の有無が変わるわけではありません。この章では、免許を「引き継ぐ」問題と免許名義を「使わせる」問題を区別します。

名義貸しは相手が免許業者でも禁止

指定資料では、宅建業者Dが宅建業者Eに自らの名義を使わせる場合でも名義貸しの禁止に違反するとされています。相手が無免許の者だけでなく、すでに宅建業免許を有する者であっても同じです。「相手も免許を持っているから問題ない」という判断はできません。

この論点で見るべきなのは、相手の免許の有無より「自己の名義をもって他人に宅建業を営ませているか」です。免許を有する者同士であっても、他人の名義を使って営業すること自体が問題になります。主体の入れ替えに惑わされないようにします。

相続・合併では免許が別主体へ当然に移るかが問題でしたが、名義貸しでは別主体が他人の名義を使うことが問題です。どちらも免許主体を確認する点では共通しますが、適用する制度は異なります。「誰の免許・名義で営業しているか」という問いから出発してください。

相続・合併と名義貸しを比較します。この表を見る目的は、「別人が宅建業を行う」という表面的な共通点で制度を混同しないことです。問題文の動詞が「承継」か「名義を使う」かを確認してください。

論点問題となること判断ポイント
相続免許を相続できるか免許は相続対象外
合併存続法人へ免許が移るか当然承継しない
名義貸し他人に自己名義を使わせるか相手が免許業者でも禁止

この表では、すべて「免許主体」が判断の中心です。別人・別法人が登場したら、元の免許が移ったのか、それとも元の名義を利用しているだけなのかを確認します。似た文章でも適用する規制が違うため、一肢ごとに制度を確定してください。

例題5

宅建業者Dが、同じく宅建業免許を有するEにDの名義を使わせて宅建業を営ませても、Eが免許業者である以上、名義貸しの禁止には違反しない。

解答・判断ポイント

正解:×

指定資料では、名義貸しが禁止される相手は無免許者に限られません。相手方Eも宅建業免許を有していても、Dが自己の名義をもってEに宅建業を営ませることは禁止されています。誤りは相手の免許保有を例外条件としている点です。

誤肢分析

誤っている語句
「Eが免許業者である以上、名義貸しの禁止には違反しない」

正しい修正
「相手が宅建業免許を有していても名義貸しは禁止される」

この誤肢は、「無免許営業を防ぐ制度だから免許業者ならよい」という連想を利用しています。指定資料では相手の免許の有無による区別はありません。「誰の名義で営業しているか」を優先して判断してください。

宅建試験ではここが狙われやすい

名義貸しでは、相手方が宅建業者であることを例外のように見せる誤肢が作られます。「相手も免許を持っている」「専門業者同士である」という事実を置けば問題がないように見えますが、指定資料では免許保有者同士でも名義貸しは禁止です。相手の属性より、自己名義で他人に営業させているかを確認してください。

相続・合併との比較では、「別人が営業する」という表面的な共通点に惑わされないことが必要です。相続・合併では免許承継の有無、名義貸しでは他人に自己名義を使わせる行為そのものが問題となります。問題文に「承継」「名義」「営ませる」のどの語句があるかで制度を切り替えてください。

営業保証金の届出と無免許営業を区別する

指定過去問では、営業保証金の供託後の届出と広告の可否についても出題されています。保証協会の社員でない宅建業者は、営業保証金を供託してその旨を免許権者へ届け出た後でなければ事業を開始できず、この事業には広告も含まれるとされています。この章では、事業開始制限と無免許営業を混同しない判断方法を確認します。

宅建業免許をすでに受けている者でも、営業保証金について必要な手続きを終える前には事業を開始できません。したがって、指定資料では供託の届出前に広告をすることはできないと整理されています。「免許を持っているからすぐ広告できる」と考えないことが必要です。

一方で、すでに宅建業免許を受けている者が届出前に広告をした場合、それを無免許事業と呼ぶことも適切ではありません。問題となるのは必要な事業開始手続を終える前に営業行為をしたことであり、免許自体が存在しないわけではないからです。「違反がある=無免許営業」と一括処理しないようにします。

この肢は、合併・相続の免許承継問題とは別論点です。指定過去問では一問の中に異なる制度が並んでいるため、前の肢で免許の有無を考えた直後に同じ基準で処理すると混乱します。一肢ごとに「免許の承継か」「事業開始の条件か」をリセットしてください。

宅建試験ではここが狙われやすい

営業保証金では、「事業を開始できない」という正しい知識から「無免許営業である」という誤った結論へ進ませるひっかけがあります。指定資料では、すでに免許を受けている者について、営業保証金の届出前の広告はできない一方、それを無免許事業とすることも誤りです。違反の内容と違反の名称を分けて確認してください。

この考え方は合併・相続の記事でも有効です。宅建業法では、行為が禁止されていることと、免許そのものがないことは必ずしも同じではなく、同様に免許が失効したことと既存取引を結了できないことも同じではありません。本試験では一つの事実から法律効果を広げすぎていないかを確認してください。

過去問分析

この過去問は、相続・合併による免許承継、取引結了、名義貸し、営業保証金の届出という四つの論点を一問で判断させる問題です。正解するには、すべてを「宅建業免許の問題」とまとめず、各肢が承継・名義貸し・事業開始のどれを問うか分類する必要があります。この章では、指定された一問だけを使い、各肢の正誤を分ける語句まで分析します。

最初に確認する語句

問題文では、相続人、免許承継、取引結了、合併、代表役員、30日以内、名義貸し、営業保証金、広告、無免許を最初に確認します。肢1は相続、肢2は合併、肢3は名義貸し、肢4は営業保証金と分類すると処理しやすくなります。同じ「免許」という言葉が出ても、一肢ごとに適用するルールを切り替えてください。

平成22年(2010年)問28

問28

次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 免許を受けている個人Aが死亡した場合、相続人にAの免許は承継されないが、相続人は、Aが生前に締結した契約に基づく取引を結了するための業務を行うことができるので、当該業務が終了した後に廃業届を提出すればよい。
  2. 免許を受けている法人Bが免許を受けていない法人Cとの合併により消滅した場合、Cは、Bが消滅した日から30日以内に、Bを合併した旨の届出を行えば、Bが受けていた免許を承継することができる。
  3. 免許を受けている個人Dが、自己の名義をもって個人Eに宅地建物取引業を営ませる行為は、Eが免許を受けているとしても、法第13条で禁止する名義貸しに該当する。
  4. 免許を受けている法人Fが、宅地建物取引業保証協会の社員でない場合は、営業保証金を供託し、その旨を免許権者に届け出た後でなければ事業を開始してはならないので、当該届出前に宅地建物取引業を営む目的で広告をした行為は、法第12条で禁止する無免許事業に該当する。

正解:3

解説

正解肢は、宅建業者が別の宅建業者へ名義貸しをする場合でも禁止に違反するとする肢です。肢1・2では免許を承継できないことと取引結了・届出を混同し、肢4では営業保証金の届出前の広告と無免許事業を混同しています。4肢の制度を最初に分類すれば、それぞれの誤りを判断しやすくなります。

各肢の正誤理由

肢1 誤り

個人である宅建業者Aが死亡した場合、その免許は死亡によって効力を失います。指定資料では宅建業免許は相続の対象外なので、相続人がAの免許を承継することはできません。しかし、相続人はAが締結した契約に基づく取引を結了する目的の範囲内で宅建業者とみなされます。

この特則があるからといって、死亡届を既存取引の終了後まで待ってよいわけではありません。指定資料では、相続人は死亡の事実を知った日から30日以内に免許権者へ届け出る必要があります。「業務終了後に届け出る」とする処理は遅過ぎるとされています。

この肢で正誤を分けるのは、「取引を結了できる」と「届出を後回しにできる」を結び付けている部分です。前者は正しくても、後者は別の届出期限に従って判断する必要があります。一つの正しい知識から別の法律効果を導いていないか確認してください。

肢2 誤り

免許を受けている法人Bが合併により消滅した場合、指定資料ではBの免許も効力を失います。存続する法人Cが、消滅法人Bの宅建業免許を当然に承継することはできません。会社の権利義務が移ることと、宅建業免許が移ることを分けて判断します。

また、消滅した法人Bを代表する役員であった者は、合併の日から30日以内に廃業等の届出をする義務があります。さらにCは、Bが締結した契約に基づく取引を結了する目的の範囲内で宅建業者とみなされます。免許承継・届出・取引結了という三つの効果を別々に確認してください。

この肢で狙われているのは、「合併で事業が移るなら免許も移る」という連想です。指定資料では免許承継は否定される一方、既存取引を終えるための特則は認められています。「承継できない=何もできない」という極端な判断も避けてください。

肢3 正しい

宅建業者は、自己の名義をもって他人に宅建業を営ませることができません。指定資料では、名義を貸す相手が無免許の者である場合だけでなく、宅建業免許を有する者である場合も同様に禁止されます。したがって、宅建業者Dが宅建業者Eへ名義貸しをする行為も宅建業法に違反します。

この肢では「Eも宅建業者である」という条件に惑わされないことがポイントです。相手が適法な免許を持っていても、Dの名義を使わせて営業させること自体が名義貸しに当たります。相手方の免許の有無を例外条件として扱わないようにします。

正解を見抜くときは、誰が免許を持っているかより「誰の名義で誰が営業しているか」を確認します。Dの名義でEに宅建業を営ませている以上、相手が免許業者でも結論は変わりません。この主体関係を整理すれば正解を選べます。

肢4 誤り

保証協会の社員でない宅建業者は、営業保証金を供託し、その旨を免許権者に届け出た後でなければ事業を開始できません。指定資料では、この事業には広告も含まれるため、届出前に広告をすることも認められません。したがって、広告が可能であるとする部分には注意が必要です。

ただし、本肢のFはすでに宅建業免許を受けています。営業保証金の届出前に広告をしたとしても、それを無免許事業とすることはできないと指定資料では整理されています。手続違反があることと、無免許であることを同一視しないことが必要です。

この肢のひっかけは、「事業をしてはいけない=無免許事業」という飛躍です。免許そのものは存在しており、問題は営業保証金に関する事業開始条件を満たしていない点にあります。違反の原因と法律上の名称を区別してください。

問題作成者のひっかけポイント

この問題では、一つの正しい知識から過剰な結論を導かせる方法が使われています。肢1は「取引結了できる→届出を後回しにできる」、肢2は「合併で事業承継→免許も承継」、肢4は「届出前に事業できない→無免許事業」という飛躍です。正しい前提が含まれていても、その後の結論が本当に導かれるかを確認してください。

肢3では逆に、相手が免許業者という事情を例外のように見せています。名義貸しの禁止では相手の免許保有によって結論が変わらないため、余計な条件を追加して迷わせる構造です。本試験では「この条件は本当に法律効果を変える条件か」と確認することが必要です。

受験生が迷う理由

この問題で迷う最大の理由は、すべての肢に宅建業免許が関係しているため、一つの免許ルールで処理できるように見えることです。しかし、相続・合併では免許承継、名義貸しでは名義使用、営業保証金では事業開始条件が中心となり、判断基準は異なります。肢ごとに制度を分類することが必要です。

もう一つは、「できない」という結論を広げすぎることです。免許を承継できないから既存取引もできない、広告できないから無免許営業である、というように一つの禁止から別の禁止まで導くと誤答します。法律効果の範囲を選択肢の文言どおり一つずつ確認してください。

正しい判断手順

この問題では、まず各肢を相続・合併・名義貸し・営業保証金へ分類します。次に、免許承継・取引結了・届出・名義使用・事業開始のどれが問題かを確定します。最後に、正しい前提から誤った結論を導いていないかを確認してください。

・①各肢の制度を分類する
・②免許主体が誰か確認する
・③免許承継の可否を確認する
・④既存取引の結了か新規営業か確認する
・⑤届出義務者と30日を確認する
・⑥名義貸しなら誰の名義で営業するか確認する
・⑦営業保証金なら事業開始条件と無免許を分ける

この順番なら、相続・合併の免許承継問題を名義貸しへ誤用することを防げます。正しい語句を見つけただけで肢全体を正しいと判断せず、その後の法律効果まで読み切ってください。「前提→効果」が正しくつながっているかを毎回確認します。

類似問題で使える知識

類似問題では、個人事業の法人化や別法人への事業承継などを使って免許を引き継げるか問う形に応用できます。その場合も、誰が免許を受けた主体なのかを最初に確認する判断方法は変わりません。「事業が同じ」「代表者が同じ」といった事情より、免許主体を優先します。

また、取引結了の特則について、新規契約まで自由に締結できるように範囲を広げた肢にも対応できます。「既に締結された契約」「取引を結了する目的の範囲内」という限定を確認することが必要です。限定語を削除した選択肢は慎重に判断してください。

宅建試験ではここが狙われやすい

この指定過去問では、「正しい制度+誤った法律効果」という組合せが多く使われています。相続人が取引を結了できること、合併で事業が承継されること、営業保証金の届出前に事業開始できないこと自体から、別の結論を導かせるのがひっかけです。選択肢を前半と後半へ分け、それぞれ正しいかを確認してください。

また、宅建業法では主体の違いが正誤を大きく左右します。相続人・存続法人・名義を貸す宅建業者・広告をする免許業者など、誰がどの立場で行為しているかを整理すると各制度を切り分けやすくなります。「誰が→何を→どの範囲でできるか」という順番を固定することが過去問攻略につながります。

一問一答|過去問の肢レベルで確認

ここでは、相続・合併・取引結了・名義貸しを本試験の肢に近い形で確認します。単純な定義問題ではなく、正しい前提から誤った結論を導くひっかけや、限定条件を削った肢を中心にしています。各問題では、誤っている語句をどこへ直せば正しい文章になるかまで確認してください。

問題1
個人である宅建業者が死亡した場合、その宅建業免許は相続財産として相続人へ承継される。
正解:×
指定資料では宅建業免許は相続の対象外であり、個人業者の死亡によって効力を失います。相続財産と免許を同じように扱っている点が誤りです。
誤っている語句
「相続財産として相続人へ承継される」
正しい修正
「宅建業免許は相続の対象外であり、相続人は当然には承継できない」

問題2
相続人は、死亡した宅建業者が締結した契約に基づく取引を結了する目的の範囲内で宅建業者とみなされる。
正解:○
指定資料で示されている取引結了の特則です。免許承継そのものとは別の制度として判断します。

問題3
相続人が既存契約を結了できる場合、死亡届はそのすべての取引が終了した後30日以内に提出すればよい。
正解:×
死亡届は取引終了時からではなく、相続人が死亡の事実を知った日から30日以内に行います。取引結了の特則と届出期限を連動させている点が誤りです。
誤っている語句
「すべての取引が終了した後30日以内」
正しい修正
「死亡の事実を知った日から30日以内」

問題4
法人である宅建業者が合併で消滅した場合、存続法人は消滅法人の宅建業免許を当然に承継する。
正解:×
指定資料では、消滅法人の免許は合併により効力を失い、存続法人へ当然には承継されません。事業承継と免許承継を同じものとしている点が誤りです。
誤っている語句
「宅建業免許を当然に承継する」
正しい修正
「消滅法人の免許は合併で失効する」

問題5
合併で消滅した法人が締結していた契約について、存続法人は取引結了の目的の範囲内で宅建業者とみなされる。
正解:○
指定資料では、この範囲で既存取引を処理できるとされています。免許承継ではなく取引結了の特則です。

問題6
合併で法人が消滅した場合、存続法人が30日以内に消滅法人の廃業等の届出をする。
正解:×
指定資料では、消滅法人を代表する役員であった者が届出義務者です。存続法人へ主体を入れ替えている点が誤りです。
誤っている語句
「存続法人が」
正しい修正
「消滅法人を代表する役員であった者が」

問題7
宅建業者が別の宅建業者へ自己の名義を貸して宅建業を営ませる場合、相手も免許業者であるため名義貸しの禁止には違反しない。
正解:×
指定資料では、名義貸しの禁止は相手が宅建業免許を持っている場合にも適用されます。相手の免許保有を例外条件としている点が誤りです。
誤っている語句
「相手も免許業者であるため違反しない」
正しい修正
「相手が免許業者でも名義貸しは禁止される」

問題8
免許を承継できない相続人は、死亡前に締結された契約についても一切の取引行為を行うことができない。
正解:×
指定資料では、既存契約の取引結了目的の範囲で相続人は宅建業者とみなされます。免許承継不可という原則を広げすぎています。
誤っている語句
「一切の取引行為を行うことができない」
正しい修正
「既存契約の取引結了目的の範囲では行える」

問題9
免許を承継できない存続法人は、消滅法人が締結した契約についても取引を結了できない。
正解:×
指定資料では、取引結了の目的の範囲で存続法人が宅建業者とみなされます。免許承継と既存取引処理を混同している点が誤りです。
誤っている語句
「取引を結了できない」
正しい修正
「取引結了の目的の範囲では宅建業者とみなされる」

問題10
保証協会の社員でない宅建業者は、営業保証金を供託しただけで直ちに広告を開始できる。
正解:×
指定資料では、供託後にその旨を免許権者へ届け出た後でなければ事業を開始できず、広告も事業に含まれます。供託だけで足りるとしている点が誤りです。
誤っている語句
「供託しただけで直ちに広告を開始できる」
正しい修正
「供託し、その旨を届け出た後に事業を開始できる」

問題11
営業保証金の届出前に広告をした免許業者は、当然に無免許営業をしたことになる。
正解:×
指定資料では、その者はすでに宅建業免許を受けています。事業開始条件に違反していても、直ちに無免許事業とはなりません。
誤っている語句
「当然に無免許営業をしたことになる」
正しい修正
「届出前の事業開始の問題であり、無免許事業とは別に判断する」

問題12
相続・合併では、事業や契約を引き継ぐ者がいる以上、宅建業免許も同じ者へ移ると判断する。
正解:×
指定資料では相続・合併のいずれも免許の当然承継は否定されています。事業・契約の承継と免許承継を同一視している点が誤りです。
誤っている語句
「宅建業免許も同じ者へ移る」
正しい修正
「事業・契約と宅建業免許は別に承継可否を判断する」

宅建試験ではここが狙われやすい

一問一答で確認したように、合併・相続では「免許承継不可」という原則と「取引結了可能」という限定的な取扱いを入れ替える誤肢が狙われます。どちらか一つだけを暗記すると、「免許がないから何もできない」「取引できるから免許も承継した」という両極端の誤りに進みます。免許・既存取引・届出を三つに分けて判断してください。

名義貸しや営業保証金では、選択肢に追加された条件が本当に結論を変えるかを確認することが必要です。「相手も免許業者」「本人はすでに免許を受けている」といった条件は、それぞれ別の法律効果に関係します。本試験では条件を見つけたら、その条件がどの規制の判断要素なのかを対応させてください。

FAQ

合併・相続では、免許を承継できないという知識と、取引を結了できるという特則の関係で迷いやすくなります。ここでは本文の単純な言い換えではなく、二つの知識が同時に出た場合の判断方法を整理します。問題文では「何を引き継ぐのか」「何の目的で行為するのか」を確認してください。

Q1.相続人が取引を続けられるなら、免許を相続したと考えてよいですか?
いいえ、指定資料では免許承継と取引結了は別の制度です。相続人は既存契約の取引結了目的の範囲で宅建業者とみなされます。

Q2.合併後の存続法人が既存契約を処理できるなら、免許も承継したことになりますか?
いいえ、指定資料では消滅法人の免許は合併で失効します。存続法人の取引結了は限定的な特則として判断します。

Q3.相続人は既存取引が終わるまで死亡届を出さなくてもよいですか?
いいえ、指定資料では死亡の事実を知った日から30日以内に届け出ます。取引結了の終了時点とは無関係です。

Q4.合併なら消滅法人の届出は存続法人が行うと考えてよいですか?
指定資料では、消滅法人を代表する役員であった者が届出義務者です。事業を引き継ぐ者と届出義務者を分けてください。

Q5.名義貸しは無免許者へ貸す場合だけ禁止ですか?
いいえ、指定資料では相手方も宅建業免許を有している場合でも禁止されます。相手の免許の有無を例外条件として扱いません。

Q6.会社分割についても合併とまったく同じように判断できますか?
今回の指定資料には、会社分割について具体的な免許承継や届出の結論は示されていません。したがって、合併と同じと決めつけず、免許主体と承継対象を個別に確認する必要があります。

宅建試験ではここが狙われやすい

合併・相続の境界問題では、「免許を承継できない」という正しい原則から、既存契約の処理まで否定する誤肢が作られます。逆に、取引結了の特則から免許承継や新規営業まで認められるように広げる誤肢も作れます。「何の目的の範囲内か」という限定語を必ず確認してください。

また、合併・分割・相続のように似た承継制度を並べ、同じ法律効果が生じるように見せる方法にも注意が必要です。今回の資料で具体的に確認できるのは相続・合併なので、資料にない分割の結論まで機械的に同一視しないことが必要です。本試験では制度名ではなく、誰の免許・何の承継・どの手続なのかを確認してください。

まとめ

宅建業法の合併・相続では、事業や契約の承継と宅建業免許の承継を分けて判断することが最重要です。個人業者の免許は死亡により失効し、相続人はその免許を当然に承継できず、法人が合併で消滅した場合も存続法人へ免許が当然に移るわけではありません。最初に「誰が免許を受けているか」を確認してください。

一方で、免許が承継されないからといって既存取引まで処理できなくなるわけではありません。相続人や存続法人は、すでに締結された契約に基づく取引を結了する目的の範囲内で宅建業者とみなされます。「免許承継」と「取引結了」を別の論点として処理してください。

本試験での判断順序は、「免許主体→死亡・合併→免許失効→承継可否→取引結了→届出」の順に固定すると整理できます。名義貸しが出たら誰の名義で営業しているか、営業保証金が出たら事業開始条件と無免許営業を分けて確認します。一つの問題内に複数制度が並んでも、肢ごとに判断基準を切り替えることが必要です。

宅建試験ではここが狙われやすい

このテーマで最も狙われやすいのは、「事業を引き継ぐから免許も引き継ぐ」「免許を承継できないから何もできない」という二つの極端な誤肢です。指定過去問では、免許承継は否定しながら既存取引の結了を限定的に認めるという中間的な処理が重要になります。選択肢では承継の対象と、認められる行為の範囲を必ず確認してください。

最終的には、「誰の免許か」「何を承継するのか」「既存取引か新規営業か」を固定して読むことが合併・相続問題の基本です。さらに届出が出たら誰が30日以内に届けるのか、名義貸しなら相手の免許の有無に左右されるかを個別に確認します。知っている単語の数ではなく、主体と法律効果の組合せが正しいかで判断してください。

 ここが出る突破ポイント  権利関係  宅建業法  法令上の制限  税・その他
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