宅建 虚偽表示とは?ひっかけと第三者の過去問攻略法

虚偽表示は、宅建の権利関係で第三者の範囲を判断できるかが得点を分ける重要論点です。単に「虚偽表示は無効」「善意の第三者は保護される」と暗記するだけでは、建物賃借人や差押債権者を問う問題には対応できません。この記事では、問題文を読む順番、第三者の判断基準、平成27年問2のひっかけを中心に整理します。

虚偽表示の細かな判例をすべて暗記することが目的ではなく、宅建本試験で「誰が第三者に当たるのか」を判定できることを優先します。心裡留保や錯誤など意思表示全体の詳細は専門記事で整理し、本記事では通謀虚偽表示の判断に集中します。

目次

虚偽表示とは何か

虚偽表示とは、相手方と通じて、本当ではない意思表示をすることです。当事者双方が実際には契約する意思がないのに、外形上だけ売買などが存在するように見せるため、当事者間では無効となります。この章では、虚偽表示の基本構造と問題文で最初に確認すべき語句を整理します。

例えばAが債権者から財産を隠す目的で、実際には土地を売るつもりがないにもかかわらず、Bと相談して売買契約を仮装した場合が典型です。AもBも「本当の売買ではない」と分かっているため、AB間の売買は通謀虚偽表示となります。

民法94条1項は、相手方と通じてした虚偽の意思表示を無効としています。一方、同条2項では、その無効を善意の第三者に対抗できないと定めており、ここが宅建で最も多く問われる部分です。

問題文を読んだら最初に何を見るか

虚偽表示では、最初にAとBが通じていたかを確認することが結論です。本人だけが本心と違う表示をした心裡留保とは異なり、相手方も事情を理解している点が虚偽表示の特徴だからです。この確認後に、法律効果と第三者の存在を順番に見ていきます。

基本的な処理順は、①登場人物、②通謀の有無、③当事者間の法律効果、④第三者関係です。最初から「善意か悪意か」だけを見ると、その人物がそもそも民法94条2項の第三者なのかという重要な判断を飛ばしてしまいます。

問題文では、次の語句を見つけたら虚偽表示の判断へ切り替えます。特に「仮装」「通謀」「善意」「第三者」は、正誤を決める直接的な手掛かりです。

問題文の語句判断ポイント
通謀して虚偽表示を疑う
仮装売買当事者間は無効
譲渡する意思がない本当に通謀しているか確認
善意第三者なら保護される可能性
悪意虚偽表示を知っている
土地を譲り受けた第三者の典型
建物を賃借した土地について第三者か確認
差し押さえた法律上の利害関係を確認
転得者善意・悪意と取得経路を確認
登記を備えていない登記が保護要件か確認

この表で特に重要なのは、「善意」と書かれているから直ちに保護されるわけではない点です。まず民法94条2項の第三者に当たり、そのうえで善意であることが必要になります。

虚偽表示の基本的な法律効果

虚偽表示は、当事者間では無効になります。AとBが相談して架空の売買を作った場合、AB間では実際の売買としての効力を認める必要がないためです。この「当事者間は無効」が判断の出発点になります。

ただし、その外観を信頼して取引関係へ入った第三者まで一律に不利益を受けると、取引の安全が害されます。そのため、民法94条2項は善意の第三者に対して虚偽表示の無効を対抗できないとしています。

ここでいう「対抗できない」とは、Aが「AB間の売買は最初から無効だから、土地は自分のものだ」と善意の第三者へ主張できないという意味です。虚偽表示そのものが第三者との関係で有効になると丸暗記するより、「Aが無効を主張できない」と処理した方が過去問では判断しやすくなります。

宅建試験ではここが狙われやすい

宅建では、「虚偽表示=無効」という前半だけを知っている受験生を狙い、第三者が登場する選択肢を作ります。出題者は、AB間では無効という正しい知識を前半に置き、その後に善意の第三者Cを登場させて「AはCにも無効を主張できる」と続けることで誤肢を作れます。

さらに、「善意なら誰でも第三者である」と思わせる問題にも注意が必要です。平成27年問2では、建物賃借人Cが善意であるにもかかわらず民法94条2項の第三者に当たらないという形で、この点が正面から問われました。

👉 虚偽表示では「無効か」だけで終わらず、「誰に対して無効を主張するのか」まで確認することが得点ポイントです。

虚偽表示の「第三者」とは

虚偽表示で最も難しいのは、日常語の第三者と民法94条2項の第三者が同じではないことです。当事者A・B以外の人物が登場しただけでは、法律上保護される第三者とは限りません。この章では、第三者になる者とならない者を、平成27年問2に直結する形で比較します。

判例上、虚偽表示における第三者とは、虚偽表示の当事者やその一般承継人以外で、その表示の目的について法律上の利害関係を有するに至った者と整理されています。平成27年問2では、この「表示の目的について法律上の利害関係があるか」が最大の判断ポイントになっています。

比較ポイント

第三者を判定するときは、虚偽表示の目的物そのものについて権利関係へ入ったかを見ることが基本です。土地の仮装売買なら、その土地の所有権や担保関係などについて法律上の利害関係を持ったかを確認します。この視点があれば、人物の肩書だけを暗記せずに判断できます。

平成27年問2に登場する人物を比較すると、次のように整理できます。試験では「Cだから第三者」と判断せず、Cが何についてどのような権利を持ったのかまで見てください。

人物94条2項の第三者判断理由
仮装譲受人から土地を買った者該当する土地所有権に直接利害
土地上の建物を借りた者該当しない土地所有権に直接利害なし
土地を差し押さえた債権者該当する土地について法律上の利害
転得者該当する土地所有権を取得する立場

平成27年問2で最も間違えやすいのは、建物賃借人です。Bが甲土地上に建てた乙建物をCが借りても、Cが持つ賃借権の対象は乙建物であり、仮装譲渡された甲土地そのものではありません。

土地の譲受人は第三者になる

仮装譲受人Bから土地を買ったCは、第三者の典型例です。AB間の虚偽表示が有効か無効かによって、Cが土地の所有権を取得できるかという法律上の利害が直接左右されるためです。この場合は、Cが善意か悪意かへ判断を進めます。

例題

AとBが甲土地について仮装売買を行い、その後、CがBから甲土地を買い受けた。CはAB間の虚偽表示について善意であった。

解答・判断ポイント

正解:Cは保護される

最初に見るのは、Cが甲土地そのものを取得している点です。Cは民法94条2項の第三者に当たり、虚偽表示について善意であれば、AはAB間の売買の無効をCへ対抗できません。

誤肢分析

誤っている語句として出やすいのは「Cに対しても当然に無効を主張できる」です。正しくは「善意のCには無効を対抗できない」と修正し、当事者間の無効と第三者への対抗を区別します。

建物賃借人は土地について第三者にならない

土地の仮装譲受人Bが土地上に建物を建て、その建物をCへ賃貸した場合、Cは土地の虚偽表示について第三者に当たりません。Cが法律上の利害関係を持っている対象は建物の賃貸借であり、仮装譲渡された土地の所有権そのものではないからです。この区別が平成27年問2の正解を決めています。

例題

AとBが甲土地について仮装売買をし、Bが甲土地上に乙建物を建てた。善意のCがBから乙建物を借りた場合、AはAB間の売買の無効をCに主張できない。

解答・判断ポイント

正解:×

注目する語句は「甲土地」と「乙建物を借りた」です。Cが取引した対象は乙建物であり、AB間の虚偽表示の目的である甲土地について法律上の利害関係を持つ第三者とは扱われません。

誤肢分析

誤っている部分は「善意だから保護される」という処理です。正しくは「そもそも94条2項の第三者に当たらないため、善意かどうかを検討する前に保護を否定する」と判断します。

差押債権者は第三者になる

仮装譲受人Bの債権者が土地を差し押さえた場合、その債権者は第三者に当たると判断します。単なる一般債権者の状態ではなく、虚偽表示の目的物を差し押さえることで、その土地について法律上の利害関係を持つ立場になるためです。この「差押え」が第三者性を判断する鍵になります。

例題

AとBの間で甲土地の仮装売買が行われた後、Bの債権者Cが甲土地を差し押さえた。Cが虚偽表示について善意であった場合、AはCにAB間の売買の無効を主張できる。

解答・判断ポイント

正解:×

Cは甲土地を差し押さえることによって、その土地について法律上の利害関係を持つ第三者となります。Cが善意なら、Aは虚偽表示の無効をCへ対抗できません。平成27年問2の肢3もこの考え方で正しい記述とされています。

誤肢分析

誤っている語句は「主張できる」です。正しくは「善意の差押債権者には無効を主張できない」と修正し、単なる債権者と差押債権者を混同しないようにします。

宅建試験ではここが狙われやすい

第三者問題では、「A・B以外のCだから第三者」という日常的な感覚を利用したひっかけが作られます。実際には、その人物が虚偽表示の目的について法律上の利害関係を持つかを確認しなければならず、善意・悪意の検討はその後です。

平成27年問2の肢2では、Cが善意という情報がわざわざ与えられています。しかし、Cは土地について94条2項の第三者ではないため、善意という条件自体が結論を変えません。このように、問題文には正解判断に不要な条件も混ぜられます。

👉 「善意か」を見る前に「そもそも94条2項の第三者か」を確認することが、平成27年問2を解く最大のポイントです。

善意・無過失・登記をどう判断するか

虚偽表示の第三者が保護されるためには、基本的に善意であることが必要です。一方、民法94条2項は無過失や登記まで条文上の保護要件として要求していません。この章では、宅建で頻繁に入れ替えられる善意・無過失・登記を比較します。

善意だけでよい

虚偽表示における第三者保護では、第三者が善意であれば足りることが基本です。ここでいう善意とは、AB間の取引が虚偽表示であることを知らなかったという意味であり、性格が善良という意味ではありません。平成27年問2でもこの善意が各肢の判断条件として使われています。

比較すると、次のようになります。宅建では錯誤や詐欺など他の意思表示制度と混同させて、虚偽表示にも「善意無過失」が必要であるように書く誤肢が作られます。

条件虚偽表示の第三者保護本試験の判断
善意必要知らなかったか確認
無過失原則不要付け足されていないか確認
登記保護要件ではない未登記でも第三者になり得る
法律上の利害関係必要善意より先に確認

平成27年問2の肢1では、Cがまだ登記を備えていないという条件が入っています。それでもCは土地の譲受人として第三者に当たり、善意であればAは虚偽表示の無効をCへ対抗できません。

登記がなくても保護される

虚偽表示について善意の第三者が保護されるために、登記を備えていることは必須ではありません。民法94条2項の問題と、不動産物権変動における民法177条の対抗問題を混同しないことが必要です。この違いも平成27年問2の肢1で直接問われています。

例題

AとBが甲土地について仮装売買を行い、善意のCがBから甲土地を買い受けた。ただし、Cはまだ所有権移転登記を備えていない。

解答・判断ポイント

正解:AはCに無効を対抗できない

Cが民法94条2項の第三者として保護されるために、登記を得ている必要はありません。問題文に「未登記」と書かれていても、それだけでCの保護を否定しないことが必要です。

誤肢分析

誤っている語句として出やすいのは「登記がないため保護されない」です。正しくは「94条2項の第三者保護について登記は必要ではない」と修正します。

善意と善意無過失を混同しない

虚偽表示では「善意」が基本であり、善意無過失まで要求しない点が頻出です。錯誤など、善意かつ無過失が第三者保護の条件となる制度と混ぜて出題されやすいからです。この違いは意思表示を横断して比較すると判断しやすくなります。

例題

AB間の土地売買が通謀虚偽表示であり、CがBから土地を取得した。Cは虚偽表示を知らなかったものの、知らなかったことについて過失があったため、AはCに無効を対抗できる。

解答・判断ポイント

正解:×

虚偽表示では、第三者について善意であることが要求されますが、民法94条2項は無過失まで要求していません。したがって、Cに過失があるという理由だけでAが無効を対抗できることにはなりません。

誤肢分析

誤っている部分は「過失があれば保護されない」です。これは善意無過失を要求する別の制度と混同させる典型的なひっかけになります。

宅建試験ではここが狙われやすい

虚偽表示の第三者問題では、「善意」「無過失」「登記」という似た条件のうち、どこまで必要かを問う誤肢が作られます。出題者は、法律にありそうな条件を一つ加えるだけで自然な誤肢を作れるため、受験者は文章の雰囲気ではなく要件を正確に確認する必要があります。

特に「未登記だから保護されない」は、不動産問題に慣れた受験者ほど引っかかりやすい表現です。虚偽表示の第三者保護を問われているのか、第三者同士の対抗関係を問われているのかを区別してください。

👉 94条2項では「第三者に該当するか→善意か」の順に確認し、無過失や登記を勝手に追加しないことが得点ポイントです。

転得者が出てきた場合の判断

虚偽表示では、仮装譲受人からさらに土地が転売される転得者の問題も頻出です。途中の人物が悪意であっても、その後の転得者が善意なら保護される場合があるため、登場人物を順番に整理する必要があります。この章では、平成27年問2の肢4を中心に判断方法を整理します。

悪意者から善意の転得者

AとBが仮装売買をし、その後Bから悪意のCへ、さらにCから善意のDへ土地が移った場合、Dは94条2項の善意の第三者として保護されます。途中のCが虚偽表示を知っていたからといって、Dまで当然に保護されなくなるわけではありません。平成27年問2の肢4は、この転得者の扱いを問う正しい記述です。

登場人物が増えた場合は、A→B→C→Dという図を頭の中で作ります。そのうえで、最終的にAが誰へ無効を主張しようとしているのか、その人物自身が善意か悪意かを確認します。

例題

AとBが甲土地について仮装売買をし、Bが虚偽表示について悪意のCへ土地を売却した。その後、Cが虚偽表示について善意のDへ土地を売却した。

解答・判断ポイント

正解:AはDに無効を対抗できない

Dは虚偽表示の目的である甲土地について権利を取得した転得者であり、かつ善意です。したがって、途中のCが悪意であっても、Dは民法94条2項の善意の第三者として保護されます。

誤肢分析

誤っている語句として出やすいのは「Cが悪意なのでDも保護されない」です。正しくは「D自身が第三者に当たり善意であれば保護される」と修正します。

善意者の後の悪意転得者

反対に、一度善意の第三者が権利を取得した後、その者から悪意の転得者へ権利が移った場合も注意が必要です。判例上、いったん善意者が保護され完全な権利を取得した以上、その後の転得者が悪意でも権利取得を否定されないと整理されます。平成27年問2の学習から派生して押さえておきたい判断です。

ここでは、悪意という一語だけで判断しないことが重要です。転得者問題では「誰から権利を取得したか」という取得経路まで確認しなければ、正しい結論へ到達できません。

宅建試験ではここが狙われやすい

転得者問題では、出題者が途中のCの善意・悪意を強調して判断を誘導することがあります。しかし、本当に問われているのがDに対するAの主張であるなら、D自身の第三者性と善意を中心に確認する必要があります。

また、善意者が途中に入った後の悪意転得者では、「悪意だから絶対に保護されない」という単純な暗記が通用しません。人物が3人以上になったら、必ず取得の順番を確認してください。

👉 転得者が出たら「最後の人物だけを見る」のでも「途中の人物だけを見る」のでもなく、取得経路と各人の善意・悪意を順番に整理します。

平成27年問2を過去問分析

問2

Aは、その所有する甲土地を譲渡する意思がないのに、Bと通謀して、Aを売主、Bを買主とする甲土地の仮装の売買契約を締結した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。なお、この問において「善意」又は「悪意」とは、虚偽表示の事実についての善意又は悪意とする。

  1. 善意のCがBから甲土地を買い受けた場合、Cがいまだ登記を備えていなくても、AはAB間の売買契約の無効をCに主張することができない。
  2. 善意のCが、Bとの間で、Bが甲土地上に建てた乙建物の賃貸借契約(貸主B、借主C)を締結した場合、AはAB間の売買契約の無効をCに主張することができない。
  3. Bの債権者である善意のCが、甲土地を差し押さえた場合、AはAB間の売買契約の無効をCに主張することができない。
  4. 甲土地がBから悪意のCへ、Cから善意のDへと譲渡された場合、AはAB間の売買契約の無効をDに主張することができない。

平成27年問2は、虚偽表示における第三者の範囲を見抜けるかを中心にした問題です。正解は2であり、土地の譲受人、建物賃借人、差押債権者、転得者という異なる立場を比較させています。問題文を丸暗記せず、「虚偽表示の目的について法律上の利害関係があるか」で各肢を処理することが重要です。

【平成27年】問2

この問題では、Aが甲土地を本当に売る意思がないにもかかわらず、Bと通謀して仮装売買をしたことが前提です。したがってAB間の売買は虚偽表示として無効となり、その後に登場するCやDが94条2項の第三者として保護されるかを一肢ずつ確認します。正誤を分けるのは、善意という単語だけではなく、各人物が甲土地について法律上の利害関係を持つかどうかです。

最初に確認する語句

平成27年問2では、最初に誰が甲土地そのものについて権利関係へ入ったかを確認します。すべての肢に第三者候補が登場するため、人物がA・B以外というだけでは判定できません。この問題では次の語句に反応すると処理しやすくなります。

・甲土地を買い受けた
・甲土地上の建物を賃借した
・甲土地を差し押さえた
・悪意のCから善意のDへ譲渡
・登記を備えていない
・善意である

特に肢2では、「善意のC」という言葉よりも「土地上の建物の賃借人」という立場が重要です。Cは善意でも、甲土地の虚偽表示について第三者に当たらないため保護されません。

正解

正解:2

平成27年問2は「誤っているもの」を一つ選ぶ問題であり、肢2が誤りです。肢1・3・4は、それぞれ民法94条2項の第三者保護に沿った正しい記述となっています。

解説

◆1(正しい)
CはBから甲土地そのものを買い受けているため、虚偽表示の目的について法律上の利害関係を有する第三者です。さらにCは善意であり、94条2項の第三者として保護されます。

ここでのひっかけは「Cがまだ登記を備えていない」という部分です。しかし、虚偽表示の無効を善意の第三者へ対抗できないという94条2項の保護を受けるために、登記は必要とされていません。したがって、AはCへAB間売買の無効を主張できません。

◆2(誤り)
CはBから甲土地を買ったのではなく、Bが甲土地上に建てた乙建物を借りています。したがってCが法律上の利害関係を持つ直接の対象は乙建物の賃貸借であり、AB間の虚偽表示の目的である甲土地ではありません。

このため、Cは甲土地の虚偽表示について民法94条2項の第三者には当たりません。Cが善意であっても第三者保護の対象にならないため、AはAB間売買の無効をCへ主張できます。平成27年問2の正解が2となる理由はここです。

◆3(正しい)
Bの債権者Cが甲土地を差し押さえた場合、Cは甲土地について法律上の利害関係を取得する第三者に当たります。単にBへ金銭債権を持っているだけではなく、甲土地を差し押さえた点が判断の鍵です。

Cは善意であるため、AはAB間の虚偽表示による無効をCへ主張できません。債権者という肩書だけを見るのではなく、「目的物を差し押さえたか」まで確認してください。

◆4(正しい)
甲土地がBから悪意のCへ譲渡され、さらにCから善意のDへ譲渡されています。Dは甲土地を取得した転得者として第三者に当たり、虚偽表示について善意であるため保護されます。

途中のCが悪意であっても、善意のDが当然に保護対象から外れるわけではありません。したがって、AはDに対してAB間売買の無効を主張できず、肢4は正しい記述となります。

問題作成者のひっかけポイント

この問題の最大のひっかけは、4つの肢すべてに「第三者らしい人物」を登場させていることです。受験者が「AとB以外なら第三者」と考えてしまうと、肢2の建物賃借人も保護されると誤判定してしまいます。

さらに肢1では「未登記」、肢3では「債権者」、肢4では「途中のCが悪意」という余計に迷いやすい条件が加えられています。しかし、基本となる判断軸は一貫しており、「虚偽表示の目的である甲土地について法律上の利害関係を持つか」を先に見れば整理できます。

受験生が迷う理由

受験生が最も迷いやすいのは、日常語の第三者と民法94条2項の第三者を同じ意味で考えてしまうことです。一般的な感覚ではCはすべて「第三者」ですが、民法94条2項では法律上の利害関係という追加条件があります。

また、「善意なら保護される」という知識が先行すると、肢2でもCが善意だから保護されると思いやすくなります。しかし、善意かどうかは第三者性を確認した後に検討する条件であり、順番を逆にすると誤答につながります。

正しい判断手順

本試験では、各肢を同じ処理順で確認すると判断が安定します。平成27年問2では、次の5段階で処理すれば正解2まで到達できます。

① AB間が通謀虚偽表示であることを確認する
② AB間の売買は無効と確認する
③ CやDが甲土地について法律上の利害関係を持つか確認する
④ 第三者に該当するなら善意・悪意を確認する
⑤ 登記や途中の取得者など追加条件を確認する

肢2では③の時点でCが第三者に当たらないため、そこで誤りと判断できます。他の肢については④や⑤まで進み、善意の第三者として保護されるか確認します。

類似問題で使える知識

平成27年問2から持ち帰るべき知識は、人物名や判例の文章ではなく第三者を判定する順番です。この順番を固定すれば、土地の買主以外の抵当権者、差押債権者、転得者などが登場しても同じ方法で処理できます。

「善意」「未登記」「悪意の中間者」という強い言葉が出ても、最初の基準を変えないことが必要です。虚偽表示の目的物と、その人物が取得した権利の対象を照合することで、第三者性を判断します。

宅建試験ではここが狙われやすい

平成27年問2では、単なる条文暗記ではなく、誰が第三者に該当するのかという判例知識を事例へ当てはめる力が問われています。特に肢2は、善意という保護されそうな条件を置きながら、そもそもの第三者性を否定させる構造になっています。

このタイプでは、選択肢の最後に書かれた「主張できる・できない」だけを見るのではなく、その前提となる人物の立場を確定することが必要です。第三者性→善意→結論の順番を崩さなければ、複雑な事例でも処理できます。

👉 平成27年問2は「善意か」より先に「甲土地について法律上の利害関係があるか」を見る問題です。

虚偽表示のひっかけパターンを整理

虚偽表示の誤肢は、第三者・善意・登記・取得経路の条件を入れ替えて作られることが多くあります。制度そのものを知らない受験生だけでなく、基本を知っている受験生も一語の違いで迷わせる構造です。この章では、平成27年問2から応用できる代表的なひっかけを整理します。

「AとB以外=第三者」とするひっかけ

最も注意したいのは、当事者以外の人物をすべて94条2項の第三者として扱う誤肢です。第三者に該当するためには、虚偽表示の目的について法律上の利害関係を持つ必要があります。平成27年問2の建物賃借人が代表例です。

例題

AとBが甲土地を仮装売買し、Bが甲土地上に建築した建物を善意のCへ賃貸した。CはA・B以外の者であるため、当然に94条2項の第三者となる。

解答・判断ポイント

正解:×

誤っている語句は「A・B以外の者であるため、当然に」です。正しくは「虚偽表示の目的について法律上の利害関係を持つかを確認する」と修正します。

「未登記だから保護されない」というひっかけ

不動産問題では登記が頻繁に出るため、未登記というだけで不利だと思わせる誤肢も作りやすくなります。しかし、94条2項の善意の第三者として保護されるために、登記自体は要求されません。平成27年問2の肢1で確認できます。

例題

善意のCが仮装譲受人Bから土地を買ったが、まだ登記を得ていないため、AはCへ虚偽表示の無効を対抗できる。

解答・判断ポイント

正解:×

誤っている語句は「登記を得ていないため」です。正しい修正は「Cが第三者に当たり善意なら、未登記でもAは無効を対抗できない」となります。

「善意無過失」が必要というひっかけ

法律問題では善意無過失という表現が多く登場するため、虚偽表示にもそのまま当てはめたくなります。しかし、94条2項では善意の第三者と規定されており、無過失まで要求していません。

例題

Cが虚偽表示について善意であっても、知らなかったことについて過失があれば、Aは無効をCへ対抗できる。

解答・判断ポイント

正解:×

誤っている語句は「過失があれば」です。正しい修正は「第三者に該当し善意であれば、過失があることだけを理由に保護を否定できない」となります。

「途中の人物が悪意なら全員保護されない」というひっかけ

転得者問題では、途中の人物が悪意であることを強調して、その後の善意者まで保護されないと思わせます。しかし、善意の転得者自身が94条2項の第三者として保護される場合があります。平成27年問2の肢4がこのパターンです。

例題

Bから土地を取得したCが悪意である場合、Cから土地を取得したDが善意でも、Dは94条2項の第三者として保護されない。

解答・判断ポイント

正解:×

誤っている部分は「Cが悪意だからDも保護されない」です。正しくは、D自身の第三者性と善意を確認して判断します。

宅建試験ではここが狙われやすい

虚偽表示の誤肢は、条文を全面的に変えるのではなく、もっともらしい条件を一つ追加する方法で作られます。「登記が必要」「無過失が必要」「当事者以外なら第三者」といった表現は、法律らしく見えるため特に注意が必要です。

誤肢を見抜くには、文章全体の雰囲気ではなく、第三者の定義と保護要件を分けて確認してください。「第三者か」「善意か」「追加条件は本当に必要か」の三段階で処理すると判断が安定します。

👉 虚偽表示では、条件が多い選択肢ほど「その条件は本当に94条2項で必要か」を一つずつ確認します。

一問一答|過去問の肢レベルで確認

ここでは、平成27年問2で問われた第三者性を中心に、本試験レベルの誤肢を確認します。単純な定義問題ではなく、土地・建物・差押え・転得者・登記を組み合わせて判断してください。正解だけでなく、誤っている語句を修正できるところまで確認します。

問題1
AとBが甲土地について仮装売買をし、善意のCがBから甲土地を買い受けた場合、Cは94条2項の第三者に当たる。
正解:○
Cは虚偽表示の目的である甲土地そのものを取得する立場であり、法律上の利害関係を持ちます。土地の譲受人は第三者の典型です。

問題2
善意のCが仮装譲受人Bから甲土地を買った場合でも、Cが未登記ならAは虚偽表示の無効をCへ対抗できる。
正解:×
94条2項による第三者保護に登記は要求されていません。誤っている語句は「未登記なら」で、正しくは「善意の第三者なら未登記でも無効を対抗できない」です。

問題3
Bが仮装譲渡された甲土地上に建物を建て、その建物を善意のCへ賃貸した場合、Cは甲土地について94条2項の第三者となる。
正解:×
Cの法律関係は建物の賃貸借であり、甲土地の所有権について法律上の利害関係を持つ第三者ではありません。誤っている部分は「甲土地について第三者となる」です。

問題4
虚偽表示について善意であっても過失がある土地譲受人には、Aは虚偽表示の無効を対抗できる。
正解:×
94条2項は第三者について善意を要求しますが、無過失までは要求していません。誤っている語句は「過失があるため対抗できる」です。

問題5
仮装譲受人Bの一般債権者Cが甲土地を差し押さえ、虚偽表示について善意である場合、Cは第三者として保護され得る。
正解:○
Cは甲土地を差し押さえたことで、その目的物について法律上の利害関係を持つ立場となります。単なる債権者という言葉だけでなく、差押えの有無を確認します。

問題6
Bから甲土地を取得したCが悪意なら、その後Cから甲土地を取得した善意のDも必ず保護されない。
正解:×
D自身が94条2項の第三者に当たり善意であれば保護されます。誤っている語句は「必ず保護されない」です。

問題7
通謀虚偽表示によるAB間の売買は、当事者間でも原則として有効である。
正解:×
AB間の虚偽表示は無効です。誤っている語句は「有効」で、正しくは「無効」です。

問題8
AB間の仮装売買が無効である以上、その無効は善意の第三者に対しても当然に主張できる。
正解:×
民法94条2項により、虚偽表示の無効は善意の第三者へ対抗できません。誤っている部分は「善意の第三者にも当然に」です。

問題9
94条2項の第三者かを判断するときは、まずその者がA・B以外であるかだけを確認すればよい。
正解:×
当事者以外というだけでは足りず、虚偽表示の目的について法律上の利害関係を持つ必要があります。誤っている語句は「だけ」です。

問題10
虚偽表示問題でCが善意と書かれていても、Cが94条2項の第三者に当たらなければ、善意という事情だけで保護されることはない。
正解:○
平成27年問2の建物賃借人がまさにこのパターンです。第三者性を確認した後に善意・悪意を検討する順番が重要です。

宅建試験ではここが狙われやすい

一問一答では、○×を当てるだけでなくどの語句を変えれば正しい文章になるかまで確認してください。「未登記」「無過失」「建物賃借人」「悪意の中間者」など、選択肢の一部分だけを変更することで本試験レベルの誤肢が作られます。

特に虚偽表示では、善意という言葉を見ると反射的に保護されると考えがちです。しかし、本試験では第三者に該当しない善意者を登場させることもできるため、必ず第三者性から確認します。

👉 一問一答でも「第三者性→善意→登記など追加条件」の順番を崩さないことが、本試験への応用につながります。

FAQ

虚偽表示では、条文そのものよりも第三者の範囲について疑問が生じやすくなります。特に「なぜ建物賃借人は第三者ではないのか」「登記がなくてもよいのか」は平成27年問2を解くうえで重要です。ここでは、過去問演習中に判断が止まりやすいポイントを整理します。

Q1.AとB以外の人物なら、すべて「第三者」ですか?
いいえ。民法94条2項の第三者になるためには、単に当事者以外というだけでなく、虚偽表示の目的について法律上の利害関係を持つ必要があります。

Q2.なぜ土地上の建物を借りたCは第三者にならないのですか?
AB間の虚偽表示の目的は甲土地の所有権ですが、Cが直接持つ権利は乙建物についての賃借権だからです。土地の所有権そのものについて法律上の利害関係を取得した者とは扱われません。

Q3.善意なら必ず保護されますか?
いいえ。最初に94条2項の第三者に該当する必要があります。第三者でない者は、虚偽表示について善意だったという理由だけでは94条2項による保護を受けません。

Q4.善意の第三者には無過失も必要ですか?
民法94条2項では、善意の第三者と規定されており、無過失までは要求されていません。錯誤など別の意思表示制度と混同しないようにします。

Q5.土地の買主Cに登記がなくても保護されますか?
94条2項の第三者として保護されるために登記は必要ではありません。平成27年問2の肢1では、未登記の善意の土地譲受人が保護されることが確認されています。

Q6.債権者なら全員第三者になりますか?
肩書だけでは判断できません。平成27年問2のように目的物を差し押さえ、その土地について法律上の利害関係を取得した場合は第三者に当たります。

Q7.途中の買主が悪意なら、その後の善意者も保護されませんか?
そのようには限りません。悪意のCから土地を取得したD自身が善意の第三者であれば、Dが保護される場合があります。

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FAQに共通する判断ポイントは、人物の肩書だけで結論を決めないことです。「買主」「賃借人」「債権者」という名前を覚えるだけでは、目的物や取引内容を少し変更されたときに対応できなくなります。

虚偽表示の目的が何か、その人物が何について権利を取得したのかを照合してください。その後に善意・悪意や登記などの条件を確認すれば、問題文が変わっても同じ判断手順を使えます。

👉 虚偽表示のFAQで迷う問題も、結局は「何について法律上の利害関係を持つか」へ戻ると整理できます。

まとめ

虚偽表示を攻略するには、「虚偽表示は無効」という一行だけで問題を解かないことが重要です。平成27年問2では、民法94条2項の第三者が誰なのかを判断できるかが正解を左右しました。最後に、本試験で使う確認順序とひっかけを整理します。

最初に見るのは、AとBが通じて本当ではない意思表示をしたかどうかです。通謀虚偽表示であればAB間は無効と確認し、その後にCやDとの第三者関係へ進みます。

本試験では、次の順番で処理します。

・AとBが通謀しているか確認する
・AB間では虚偽表示が無効になると確認する
・CやDが虚偽表示の目的について法律上の利害関係を持つか確認する
・第三者に該当する場合は善意か悪意かを確認する
・無過失や登記など不要な条件が追加されていないか確認する
・転得者がいる場合は取得の順番と各人物の認識を確認する

平成27年問2では、肢1の土地譲受人は第三者、肢3の差押債権者も第三者、肢4の善意の転得者も第三者として保護されます。一方、肢2の建物賃借人は甲土地について法律上の利害関係を持つ第三者ではないため、誤っている肢は2となります。

最も注意したいひっかけは、「善意なら保護される」「AとB以外なら第三者」「未登記なら保護されない」「過失があれば保護されない」という判断です。どれも条件を一つ飛ばしたり、別制度の要件を混ぜたりした誤りにつながります。

虚偽表示の問題文を見たら、①通謀→②当事者間は無効→③第三者性→④善意・悪意→⑤登記など追加条件の順番を固定してください。第三者という言葉を暗記するのではなく、「虚偽表示の目的について法律上の利害関係があるか」を見ることが、平成27年問2だけでなく類似問題にも使える判断基準です。

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