国土利用計画法の事後届出では、最初に土地売買等の契約に該当するかを確認します。面積基準を満たしていても競売などの届出不要取引や、対価性のない権利設定なら事後届出が不要になるからです。この記事では令和7年問22を中心に、一団の土地、区域別面積、2週間、競売、対価性を整理します。
事後届出は「とにかく面積を見る」という解き方では安定しません。令和7年問22でも、12,000㎡の競売や一団2,500㎡の設定がありながら、面積以外の条件で結論が変わる肢が含まれています。
本試験では、契約の種類→届出不要取引→権利取得者→区域→面積→一団の土地→届出期限の順番で処理します。この順序なら、面積を計算してから例外に気付く無駄を減らし、売主側の土地まで誤って合算する失点も防げます。令和7年問22は、この判断手順を確認するのに適した問題です。
問題文を読んだら最初に何を見るか
事後届出では、最初に誰が何によって土地の権利を取得したかを確認します。売買、競売、無償の賃借権設定では、同じ土地取得でも土地売買等の契約に該当するか、届出不要の例外かという入口が異なるからです。この章では、問題文で最初に拾う語句と処理順を整理します。
次に、届出対象となる取引であれば土地の区域を確認します。市街化区域なら2,000㎡以上、市街化区域以外の都市計画区域なら5,000㎡以上、都市計画区域外なら10,000㎡以上という基準を使うためです。
最後に、一団の土地と届出期限を確認します。通常の事後届出では権利取得者側の買いの一団を基準にし、届出期限は土地売買等の契約締結日から起算して2週間以内です。
問題文で注目する語句を表で整理します。この表を見る目的は、面積計算の前に正誤を決められる条件を発見することです。令和7年問22では特に「分割して購入」「競売」「1か月」「対価を伴わず」へ線を引きます。
| 問題文の語句 | 判断ポイント |
|---|---|
| 市街化区域 | 2,000㎡以上を確認 |
| 市街化調整区域 | 5,000㎡以上を確認 |
| 都市計画区域外 | 10,000㎡以上を確認 |
| 分割して購入 | 買いの一団か確認 |
| 売主が分割 | 売りの一団だけで合算しない |
| 権利取得者 | 一団の土地・届出義務者の基準 |
| 担保権の実行による競売 | 届出不要の例外を確認 |
| 売買契約 | 土地売買等の契約 |
| 賃借権の設定 | 対価性を確認 |
| 対価の授受を伴わず | 土地売買等の契約に該当しない |
| 契約締結日 | 期限の起算点 |
| 2週間以内 | 通常の事後届出期限 |
| 1か月以内 | 期限の数字変更を疑う |
| 以上 | 境界値を含む |
| 未満 | 境界値を含まない |
この表では、数字を単独で見ないことが重要です。例えば2,000㎡という数字は市街化区域の事後届出基準であり、1,500㎡なら届出対象面積に達しません。令和7年問22の肢1では、Bの2,000㎡とCの1,500㎡を別々に判定する必要があります。
本試験では次の順番で処理します。先に土地売買等の契約と例外を確定し、対象となる取引だけ面積へ進むことがポイントです。面積から始める方法より、不要な検討を減らせます。
・①権利の移転・設定があるか確認する
・②契約による取引か確認する
・③対価性があるか確認する
・④競売など届出不要取引ではないか確認する
・⑤権利取得者が誰か確認する
・⑥土地の区域を確認する
・⑦区域別面積基準を確認する
・⑧買いの一団なら面積を合算する
・⑨契約締結日から2週間以内か確認する
・⑩事前届出制や許可制との混同がないか確認する
この順番なら、肢2は競売の段階で不要、肢4は対価性の有無で乙土地を対象外とできます。肢1と肢3だけ区域・面積や期限まで進めばよく、四肢すべてを同じ計算方法で処理する必要はありません。問題文の短い決定語句を先に拾ってください。
宅建試験ではここが狙われやすい
事後届出では、面積基準を満たす大きな土地を出しながら、届出不要取引を混ぜる方法が狙われます。令和7年問22の肢2は都市計画区域外12,000㎡なので面積だけなら1万㎡以上ですが、担保権実行による競売という例外があるため届出不要です。
さらに、正しい面積を使いながら一団の土地の主体を売主側へ入れ替える方法にも注意します。通常の事後届出では権利取得者を基準とするため、売主Aが3,500㎡を二人へ分割して売っても、BとCの取得面積を自動的に合算しません。誰の取得面積を見るのかを数字より先に確認することが必要です。
国土利用計画法の事後届出の基本判断
通常の事後届出では、法定面積以上の土地について土地売買等の契約を締結したかを確認します。対象となれば、権利取得者が契約締結日から起算して2週間以内に、市町村長を経由して都道府県知事等へ届け出ます。
区域別面積は2,000・5,000・10,000㎡
市街化区域では2,000㎡以上、市街化区域以外の都市計画区域では5,000㎡以上、都市計画区域外では10,000㎡以上が基準です。都市利用が集中している区域ほど小さい面積から届出対象となる並びになっています。この三段階を区域名とセットで整理します。
「2・5・10」と数字だけを覚えると、区域を交換した誤肢に対応できません。市街化2千・その他都市計画区域5千・区域外1万という完全な形で確認します。また、いずれも「以上」なので境界値そのものを含みます。
区域別面積を比較します。この表を見る目的は、問題文の面積を区域ごとの基準へ機械的に当てられるようにすることです。特に2,000㎡ちょうどの扱いを確認してください。
| 区域 | 事後届出の対象面積 | 境界 |
| 市街化区域 | 2,000㎡以上 | 2,000㎡を含む |
| その他の都市計画区域 | 5,000㎡以上 | 5,000㎡を含む |
| 都市計画区域外 | 10,000㎡以上 | 10,000㎡を含む |
令和7年問22の肢1では、市街化区域内でBが2,000㎡、Cが1,500㎡を取得しています。Bは2,000㎡以上なので届出対象ですが、Cは2,000㎡未満なので面積要件を満たしません。したがって「B及びCともに必要」とする内容は誤りです。
届出義務者は権利取得者
通常の事後届出をするのは、土地に関する権利を取得する者です。売買であれば原則として買主が届出義務者となり、売主と買主の双方が届け出る制度ではありません。
この違いは一団の土地にも影響します。届出義務者が権利取得者であるため、通常の事後届出における一団の土地は買主側の取得計画を基準に考えます。売主が大きな土地を分割して売ったという事実だけでは、買主同士の面積を合算しません。
例題1
市街化区域内で2,000㎡ちょうどの土地を売買により取得した場合、面積要件を満たす。
解答・判断ポイント
正解:○
市街化区域の基準は2,000㎡以上なので、2,000㎡ちょうども含まれます。「2,000㎡を超える」ではない点を確認してください。ほかに届出不要事情がなければ事後届出を検討します。
例題2
市街化調整区域では、5,000㎡を超える土地だけが事後届出の面積要件に該当する。
解答・判断ポイント
正解:×
市街化調整区域は市街化区域以外の都市計画区域なので、基準は5,000㎡以上です。5,000㎡ちょうども面積要件を満たします。「以上」を「超える」に変更した誤肢です。
誤肢分析
誤っている語句
「5,000㎡を超える」
正しい修正
「市街化区域以外の都市計画区域では5,000㎡以上」
この誤肢は数字自体を正しくし、境界表現だけを変更しています。法令上の制限では数字を覚えていても「以上・超える」の違いで失点するため、比較語までセットにしてください。
宅建試験ではここが狙われやすい
基本面積では、2,000㎡・5,000㎡・10,000㎡を区域間で交換する方法が典型です。市街化区域を5,000㎡以上としたり、市街化調整区域を2,000㎡以上としたりすれば、数字は実在するためもっともらしい誤肢になります。区域名を確認してから数字を当ててください。
また「以上」を「超える」へ変える境界問題にも注意します。令和7年問22ではBが2,000㎡ジャストであるため、この一語の違いを正確に理解していなければ肢1を処理できません。
一団の土地は権利取得者を基準に判断する
通常の事後届出では、買いの一団を権利取得者側から判断します。同じ売主が一つの土地を複数人へ分割して売っても、買主が別人なら売主側の総面積をそのまま各買主の取得面積として扱わないからです。この章では令和7年問22の肢1を中心に、一団の土地を整理します。
売りの一団だけでは合算しない
令和7年問22では、A所有の3,500㎡をBが2,000㎡、Cが1,500㎡に分けて購入しています。Aから見れば3,500㎡を分割して売却する「売りの一団」に見えますが、通常の事後届出は権利取得者であるBとCをそれぞれ基準に判断します。
そのためBは2,000㎡以上で届出対象となり、Cは1,500㎡なので届出対象外です。「元の土地が3,500㎡だから二人とも届出」とは判断しません。令和7年問22の肢1は、Cまで届出義務があるとした点が誤りです。
買いの一団と売りの一団を比較します。この表を見る目的は、一団という言葉だけで面積を合算しないことです。誰が届出義務者になる制度かを基準に判断してください。
| 状況 | 通常の事後届出 |
| 同じ買主が複数土地を一体取得 | 買いの一団として合算を確認 |
| 同じ売主が複数人へ分割売却 | 買主ごとに判断 |
| 各買主の取得面積が基準未満 | 原則として届出不要 |
| 一人の買主の合計が基準以上 | 届出対象になり得る |
通常の事後届出では買いの一団だけが問題となるのに対し、注視区域の事前届出では買いの一団に加えて売りの一団も届出対象になります。 この違いを使って、事前届出のルールを事後届出へ移す誤肢が作られます。
別契約でも一団なら合算する
買主が同一で、一連の計画のもと一体利用する土地を複数契約で取得する場合は、契約ごとの面積だけで判断しません。一団の土地として全体面積を確認し、法定面積以上なら事後届出の対象となり得ます。
したがって、市街化区域で同じ買主が1,200㎡と1,300㎡を有償売買で取得するなら、原則として合計2,500㎡を確認します。ただし、令和7年問22の肢4では乙土地の賃借権設定に対価性がないため、乙土地自体が土地売買等の契約に入りません。
例題3
市街化区域でAが3,500㎡をBに2,000㎡、Cに1,500㎡と分割して売却した場合、BとCの面積を合算して双方に届出義務が生じる。
解答・判断ポイント
正解:×
通常の事後届出では権利取得者であるBとCを別々に判断します。Bは2,000㎡なので届出対象ですが、Cは1,500㎡なので面積要件を満たしません。売主側の3,500㎡を基準にしないことがポイントです。
誤肢分析
誤っている語句
「BとCの面積を合算して双方」
正しい修正
「通常の事後届出では権利取得者ごとに取得面積を判断する」
この誤肢は「一団の土地」という正しい知識を売主側へ適用しています。一団かどうかを見る前に、誰が届出義務者なのかを確認してください。
例題4
同じ買主が市街化区域で1,100㎡と1,000㎡を一連の計画で有償購入する場合、別契約なら面積を合算しない。
解答・判断ポイント
正解:×
同一の権利取得者が一団として取得する場合は、別契約でも合算を確認します。合計2,100㎡なら市街化区域2,000㎡以上の面積要件を満たします。契約書の枚数ではなく取得計画を見ます。
宅建試験ではここが狙われやすい
一団の土地では、売りの一団と買いの一団を交換する誤肢が最も狙われます。令和7年問22の肢1は、売主Aの土地が合計3,500㎡であることに目を向けさせ、権利取得者B・Cを別々に見る原則を忘れさせる構造です。
さらに、別契約なら一団にならないという誤りにも注意します。通常の事後届出では契約の形式より権利取得者の一連の取得計画と一体性を見るため、誰が取得するか→一団として利用するか→合計面積の順番で処理してください。
競売など事後届出が不要な取引
事後届出では、面積基準を満たしていても法令上の例外に該当する取引は届出不要です。令和7年問22では、担保権の実行による競売で12,000㎡を取得するケースが出題され、面積より先に例外を確認できるかが問われています。この章では競売と他の公的手続による例外を整理します。
担保権の実行による競売は届出不要
担保権の実行による競売は裁判所が関与する手続であり、国土利用計画法上の事後届出を要しない場合に含まれます。令和7年問22では都市計画区域外12,000㎡なので通常の面積基準10,000㎡以上を満たしますが、競売という理由で届出不要です。
この肢では面積から判断すると誤ります。12,000㎡が1万㎡以上であること自体は正しいため、数字知識に自信がある受験生ほど「必要」としやすい構造です。届出不要取引→面積の順に確認してください。
資料では、他の公的機関による審査を尊重する代表例として複数の取引が整理されています。これらは面積が基準以上でも、通常の事後届出を重ねて要求しない場面として比較できます。
・民事調停法による調停に基づく場合
・農地法3条の許可を要する場合
・滞納処分による換価
・強制執行による換価
・担保権の実行としての競売
この箇条書きは「土地取引なら何でも届出」という短縮暗記を防ぐために使います。ただし本試験では例外を網羅するより、問題文に競売・農地法の許可などが出たときに届出不要を疑う判断が重要です。面積計算の前に特殊な取得原因へ線を引いてください。
例題5
都市計画区域外で12,000㎡の土地を担保権実行による競売で取得した場合、1万㎡以上なので必ず事後届出が必要である。
解答・判断ポイント
正解:×
競売は事後届出が不要となる例外を確認する取引です。12,000㎡という面積は基準以上ですが、その前段階で届出不要と判断します。令和7年問22の肢2と同じひっかけです。
誤肢分析
誤っている語句
「1万㎡以上なので必ず」
正しい修正
「競売など届出不要取引に該当しないかを先に確認する」
この誤肢は、正しい面積基準を使って例外を消しています。法令上の制限では「正しい原則+例外削除」が典型的な誤肢なので、「必ず」という断定にも注意してください。
宅建試験ではここが狙われやすい
届出不要取引では、面積を基準より明確に大きくして例外を隠す方法が狙われます。12,000㎡なら都市計画区域外10,000㎡以上という数字へ意識が向きますが、競売を見つければ面積を検討する必要はありません。
また、「競売なら必ず不要」という言葉だけを丸暗記するのではなく、問題文で取得原因を正確に確認してください。通常の任意売買と担保権実行による競売を交換されるだけでも結論は変わるため、何を原因として権利を取得したかを見ることが重要です。
届出期限は契約締結日から2週間以内
通常の事後届出では、権利取得者が土地売買等の契約を締結した日から起算して2週間以内に届け出ます。令和7年問22の肢3は、市街化調整区域7,000㎡という面積要件は正しい一方、期限を「1か月以内」と変更しているため誤りです。
市街化調整区域7,000㎡は面積要件を満たす
市街化調整区域は、市街化区域以外の都市計画区域に含まれます。したがって事後届出の面積基準は5,000㎡以上であり、7,000㎡の土地売買は面積要件を満たします。
令和7年問22の肢3では、この区域と面積の部分は正しい設定です。誤っているのは「契約を締結した日から1か月以内」という期限だけで、正しくは契約締結日から起算して2週間以内です。
期限について確認する項目を表で整理します。この表を見る目的は、2週間という数字だけでなく、起算点・届出者・時点まで一緒に覚えることです。期限だけ正しい別制度との混同を防ぎます。
| 確認項目 | 通常の事後届出 |
| 届出者 | 権利取得者 |
| 起算点 | 契約締結日 |
| 期限 | 2週間以内 |
| 時点 | 契約後 |
| 経由 | 土地所在の市町村長 |
| 届出先 | 都道府県知事等 |
この表では、所有権移転登記の日や代金支払日から2週間ではない点も確認します。起算点は土地売買等の契約締結日であり、契約後いつ登記したかで期限をずらせません。
例題6
市街化調整区域内の7,000㎡の土地を売買した権利取得者は、届出不要事情がなければ事後届出を検討する。
解答・判断ポイント
正解:○
市街化調整区域では5,000㎡以上が面積基準なので、7,000㎡は対象です。次に届出義務者と契約後2週間以内という期限を確認します。区域・面積の組合せとして正しい文章です。
例題7
通常の事後届出は、契約締結日から1か月以内に行えばよい。
解答・判断ポイント
正解:×
期限は契約締結日から起算して2週間以内です。1か月という数字へ変更した点が誤りです。令和7年問22の肢3と同じ誤肢パターンです。
誤肢分析
誤っている語句
「1か月以内」
正しい修正
「契約締結日から起算して2週間以内」
この誤肢では区域・面積・取引がすべて正しく、期限だけが変更されています。法令上の制限では一つの数字だけを差し替える問題が多いため、最後まで文章を読んでください。
宅建試験ではここが狙われやすい
届出期限では、2週間を1か月や30日に変更する単純な数字ひっかけが狙われます。さらに2週間を正しく残したまま、起算点を契約締結日から登記日や代金支払日へ変更すれば、見抜きにくい誤肢になります。期限は日数だけでなく起算点まで確認してください。
また、通常の事後届出を「契約前2週間」とする事前・事後の交換にも注意します。通常の事後届出は権利取得者が契約後に行い、注視区域・監視区域の事前届出は契約前に当事者双方が行う制度です。 誰が・いつの組合せを固定してください。
対価性がなければ土地売買等の契約にならない
事後届出の対象となる土地売買等の契約では、対価を得て権利の移転または設定をする契約であることが必要です。売買なら通常は対価性がありますが、賃借権や地上権の設定では権利金などの対価の有無によって結論が変わります。この章では令和7年問22の正解肢4を中心に整理します。
無償の賃借権設定は対象外
令和7年問22の肢4では、Hが乙土地1,300㎡について「対価の授受を伴わず」賃借権の設定を受けています。この取引は対価性がないため土地売買等の契約に該当せず、乙土地について通常の事後届出は必要ありません。
一方、甲土地1,200㎡は売買による所有権取得なので土地売買等の契約に該当します。しかし市街化区域の面積基準2,000㎡に達していないため、甲土地単独でも届出不要です。
甲土地と乙土地は一団の土地として合計2,500㎡ですが、乙土地の取得は土地売買等の契約ではありません。そのため対象取引である甲土地1,200㎡へ乙土地1,300㎡を当然に加えて2,500㎡として届出対象にすることはできません。これが肢4を正しいと判断する中心です。
対価性の有無を表で整理します。この表を見る目的は、権利の移転・設定があるだけで事後届出対象と判断しないことです。契約と対価をセットで確認してください。
| 取引 | 対価性 | 土地売買等の契約 |
| 売買 | あり | 該当 |
| 交換 | あり | 該当 |
| 賃借権設定+権利金あり | あり | 該当し得る |
| 地上権設定+対価あり | あり | 該当し得る |
| 賃借権設定+権利金なし | なし | 該当しない |
| 贈与 | なし | 該当しない |
この表では、賃料の有無だけを機械的に見るのではなく、国土利用計画法上の土地に関する権利設定についての対価性を確認します。令和7年問22では資料が明確に「対価の授受を伴わず」としているため、そこが決定語句です。
例題8
市街化区域内で、対価を伴わず1,300㎡の土地について賃借権の設定を受けた場合、その面積を有償売買した別の土地と必ず合算する。
解答・判断ポイント
正解:×
対価を伴わない賃借権設定は土地売買等の契約に該当しません。届出対象となる取引の一団面積へ当然に加えることはできません。まず各取引が届出対象契約かを確認します。
誤肢分析
誤っている語句
「必ず合算する」
正しい修正
「一団の土地を計算する前に、各取得が土地売買等の契約か確認する」
この誤肢は、一団の土地という正しい知識を対象外取引まで広げています。合算する前に契約の種類と対価性を確定することが必要です。
例題9
市街化区域で1,200㎡を売買により取得し、別の1,300㎡について対価なく賃借権設定を受けた場合、合計2,500㎡だから必ず事後届出が必要である。
解答・判断ポイント
正解:×
1,300㎡の無償賃借権設定は土地売買等の契約に該当しません。対象となる甲土地は1,200㎡だけなので、市街化区域2,000㎡以上の面積要件に達しません。令和7年問22の肢4と同じ判断です。
宅建試験ではここが狙われやすい
対価性では、売買と賃借権設定を同じ「土地の権利取得」としてまとめさせるひっかけが狙われます。賃借権・地上権の設定でも対価を伴えば対象になり得る一方、無償なら土地売買等の契約に該当しないため、権利名だけで正誤を決められません。対価の有無へ線を引いてください。
さらに、一団の土地の合計面積だけを見せて対象外取引まで合算させる方法にも注意します。令和7年問22の肢4は1,200㎡+1,300㎡=2,500㎡と計算できるため、市街化区域2,000㎡以上へ反射的に進むと誤ります。契約該当性を確認してから面積を合算することが正しい順序です。
事後届出と事前届出・許可制を比較する
国土利用計画法には通常の事後届出だけでなく、注視区域・監視区域の事前届出と規制区域の許可制があります。これらは主体・時期・法律効果が異なるため、別制度のルールを通常の事後届出へ移した誤肢に注意が必要です。この章では事後届出を解くために必要な差だけを整理します。
通常の事後届出は権利取得者が契約後
通常の事後届出では、権利取得者が契約締結後2週間以内に届け出ます。注視区域・監視区域では契約前の事前届出となり、当事者双方が届出を行う点が大きな違いです。
規制区域ではさらに強い規制となり、土地取引について許可制が採られます。許可を受けないで締結した契約は効力を生じないため、単なる届出制と法律効果まで異なります。
三つの制度を比較します。この表を見る目的は、誰が・いつ・どの手続をするかを交換した誤肢を切ることです。通常の事後届出の記事では、細かな制度説明よりこの差を優先してください。
| 制度 | 主体 | 時期 | 手続 |
| 通常の事後届出 | 権利取得者 | 契約後2週間以内 | 届出 |
| 注視・監視区域 | 当事者双方 | 契約前 | 事前届出 |
| 規制区域 | 当事者 | 契約前 | 許可 |
通常の事後届出を「双方が契約前」とすれば事前届出のルールとの交換です。逆に注視区域で「買主だけが契約後2週間」とすれば通常の事後届出を移しています。制度名→主体→時期を順番に確認してください。
例題10
通常の事後届出では、土地売買等の契約当事者双方が契約締結前に届け出る。
解答・判断ポイント
正解:×
通常の事後届出では権利取得者が契約締結後2週間以内に届け出ます。当事者双方・契約前は事前届出制度との混同です。主体と時期の二か所が誤っています。
誤肢分析
誤っている語句
「当事者双方」「契約締結前」
正しい修正
「権利取得者が契約締結後2週間以内」
この誤肢は、存在しないルールではなく別制度の正しいルールを移しています。宅建では似た制度間の横移動が多いため、制度名と手続を分離して覚えないでください。
宅建試験ではここが狙われやすい
比較論点では、事前と事後、買主と双方、届出と許可の交換が狙われます。すべて国土利用計画法に実在する制度なので、一つ一つの単語だけを見ると誤りに気付きにくくなります。制度ごとの組合せを完全な文章として整理してください。
さらに、一団の土地についても通常の事後届出と事前届出で範囲が異なります。通常の事後届出は買いの一団を中心に判断しますが、注視区域の事前届出では売りの一団も対象になるため、令和7年問22の肢1型の問題で混同しないことが必要です。
過去問分析
令和7年問22は、売りの一団、競売、届出期限、対価性という異なる判断条件を一問で確認する問題です。正解4は、市街化区域内の一団の土地が合計2,500㎡でも、乙土地の無償賃借権設定が土地売買等の契約に該当しない点を見抜く問題です。
最初に確認する語句
問題文では、B2,000㎡・C1,500㎡、競売、7,000㎡、1か月以内、対価を伴わず、賃借権を最初に確認します。肢1は一団の土地、肢2は届出不要取引、肢3は面積と期限、肢4は土地売買等の契約として分類します。各肢で判断軸が違うため、すべて面積問題として処理しないことが重要です。
令和7年(2025年)問22
正解:4
国土利用計画法第23条の届出(以下この問において「事後届出」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 市街化区域内においてAが所有する面積3,500㎡の土地について、Bが2,000㎡、Cが1,500㎡とそれぞれ分割して購入した場合、B及びCはともに事後届出を行わなければならない。
- 都市計画区域外においてDが所有する面積12,000㎡の土地について、Eが担保権の実行による競売を通じて所有権を取得した場合、Eは事後届出を行わなければならない。
- Fが、自ら所有する市街化調整区域内の7,000㎡の土地について、宅地建物取引業者Gと売買契約を締結した場合には、Gは契約を締結した日から1か月以内に事後届出を行う必要がある。
- 市街化区域内に所在する一団の土地である甲土地(面積1,200㎡)と乙土地(面積1,300㎡)について、甲土地については売買によって所有権を取得し、乙土地については対価の授受を伴わず賃借権の設定を受けたHは、事後届出を行う必要はない。
解説
肢4では、甲土地1,200㎡は売買なので土地売買等の契約ですが、市街化区域2,000㎡以上の面積基準に達しません。乙土地1,300㎡は対価を伴わない賃借権設定なので土地売買等の契約に該当せず、両者を単純合算して2,500㎡の届出対象とすることはできません。
各肢の正誤理由
肢1 誤り
通常の事後届出では権利取得者を基準に一団の土地を判断するため、BとCを別々に見ます。Bの2,000㎡は届出対象ですが、Cの1,500㎡は基準未満なので「双方必要」は誤りです。
肢2 誤り
担保権の実行による競売は事後届出不要の例外です。都市計画区域外12,000㎡は面積基準を超えますが、競売という取得原因を先に確認します。
肢3 誤り
市街化調整区域7,000㎡は5,000㎡以上なので、面積要件は満たしています。しかし届出期限は契約締結日から起算して2週間以内であり、「1か月以内」とする点が誤りです。
肢4 正しい
乙土地の賃借権設定には対価性がないため、土地売買等の契約には該当しません。甲土地は売買ですが1,200㎡なので、市街化区域2,000㎡以上の面積要件に達せず、事後届出は不要です。
問題作成者のひっかけポイント
この問題では、四肢すべてに面積が出ていますが、面積だけで正誤が決まる肢はありません。肢1は一団の主体、肢2は例外、肢3は期限、肢4は対価性が決定語句であり、「まず面積」という解き方を崩す構成になっています。資料も面積要件から始めることによる無駄な考察を避ける趣旨を示しています。
肢1では正しい2,000㎡基準を使いながらCまで届出対象に広げ、肢3では正しい7,000㎡設定の後に期限だけを1か月へ変更しています。肢4では合計2,500㎡という一見届出対象に見える数字を置き、無償取引を混ぜて合算を崩しています。正しい数字+別条件の誤りが全体を通じたひっかけです。
受験生が迷う理由
国土利用計画法は2,000㎡・5,000㎡・10,000㎡という数字問題の印象が強く、面積だけで解こうとしやすい分野です。しかし土地売買等の契約、届出不要取引、一団の土地、主体、期限が面積より先に結論を決めることがあります。令和7年問22はこの弱点を正面から突いています。
また、「一団の土地なら全部足す」と覚えていると肢1と肢4の双方で迷います。肢1では権利取得者が異なり、肢4では乙土地がそもそも土地売買等の契約ではないため、どちらも単純合算できません。合算の前提条件を確認することが必要です。
正しい判断手順
本試験では、まず対象取引かどうかを確定します。次に届出不要取引を除外し、対象となった取得だけを権利取得者ごとに区域・面積へ当てます。最後に届出期限を確認してください。
・①土地に関する権利の移転・設定か確認する
・②契約か確認する
・③対価性があるか確認する
・④競売等の届出不要取引を除く
・⑤権利取得者を特定する
・⑥買いの一団を確認する
・⑦区域別面積を当てる
・⑧2,000・5,000・10,000㎡以上を確認する
・⑨契約締結日から2週間以内を確認する
この順番なら、肢2と肢4は面積計算を簡略化できます。肢1では権利取得者B・Cを分け、肢3だけ期限まで進めれば判定できます。面積を使う前の条件を固定することが令和7年問22攻略の核心です。
類似問題で使える知識
肢1でBが1,200㎡と1,000㎡を一人で取得する設定なら、買いの一団として2,200㎡を確認する問題へ変わります。肢2で競売を通常の売買に変更すれば、都市計画区域外12,000㎡なので面積要件を満たす方向へ結論が変わります。条件を一つ変えた場合の正誤を考えてください。
肢3の1か月を2週間へ直せば期限は正しくなり、肢4の無償賃借権を権利金付きの有償設定へ変えれば乙土地も土地売買等の契約に該当し得ます。このように誤肢を正しい文章へ修正すると、何を入れ替えて問題が作られているかが見えます。過去問は正解番号だけでなく修正箇所まで確認してください。
宅建試験ではここが狙われやすい
令和7年問22では、面積の前提条件を崩すひっかけが中心です。一団の土地は権利取得者を基準にし、競売なら届出不要、無償の賃借権設定なら土地売買等の契約に該当しないため、面積が大きいことだけでは届出義務を導けません。数字から解き始めないことが最大の対策です。
さらに、正しい制度の一部分だけを変更する方法にも注意します。市街化調整区域7,000㎡という面積は正しくても「1か月以内」で誤りとなり、市街化区域2,000㎡という数字は正しくてもC1,500㎡まで届出対象にすれば誤りです。正しい部分が多い肢ほど違う一語を探すことが必要です。
一問一答|過去問の肢レベルで確認
ここでは、令和7年問22で問われた一団の土地、届出不要取引、期限、対価性を中心に確認します。単純な数字問題ではなく、正しい数字へ誤った主体・期限・取引条件を組み合わせた肢を中心にしています。誤りの場合は、どこを直せば正しい文章になるかまで確認してください。
問題1
市街化区域で2,000㎡ちょうどの土地を有償で購入した場合、面積要件上は事後届出の対象となる。
正解:○
2,000㎡以上が基準なので、2,000㎡ちょうども含まれます。
問題2
市街化区域で1,999㎡の土地を通常の売買で取得した場合、面積要件だけを見れば事後届出対象外である。
正解:○
2,000㎡未満なので、市街化区域の面積基準には達しません。
問題3
Aが市街化区域の3,500㎡をBへ2,000㎡、Cへ1,500㎡と分割して売却した場合、Aの売却総面積が2,000㎡以上なのでBとCの双方に届出義務が生じる。
正解:×
通常の事後届出では権利取得者B・Cを別々に判断します。
誤っている語句
「BとCの双方」
正しい修正
「Bは2,000㎡で対象、Cは1,500㎡で面積要件未達」
問題4
同じ買主が市街化区域で1,100㎡と1,000㎡を一連の計画で有償購入する場合、一団の土地として合計2,100㎡を確認する。
正解:○
通常の事後届出では買いの一団を確認します。
問題5
都市計画区域外で12,000㎡の土地を担保権実行による競売で取得した場合、面積基準を満たすので必ず事後届出が必要である。
正解:×
競売は届出不要取引を確認します。
誤っている語句
「必ず事後届出が必要」
正しい修正
「競売による取得は届出不要の例外を確認する」
問題6
市街化調整区域で7,000㎡を通常の売買で取得した場合、面積要件上は事後届出の対象となる。
正解:○
市街化調整区域は5,000㎡以上が基準です。
問題7
通常の事後届出は土地売買等の契約締結日から1か月以内に行えばよい。
正解:×
期限は契約締結日から起算して2週間以内です。
誤っている語句
「1か月以内」
正しい修正
「契約締結日から起算して2週間以内」
問題8
通常の事後届出の2週間は、所有権移転登記の日から起算する。
正解:×
起算点は土地売買等の契約締結日です。
誤っている語句
「所有権移転登記の日」
正しい修正
「契約締結日」
問題9
対価を伴わない賃借権設定は、土地に関する権利設定なので必ず土地売買等の契約に該当する。
正解:×
土地売買等の契約には対価性が必要です。
誤っている語句
「必ず該当する」
正しい修正
「対価を伴わない設定は土地売買等の契約に該当しない」
問題10
市街化区域で1,200㎡を売買し、1,300㎡について無償で賃借権設定を受けた場合、必ず2,500㎡として事後届出を判断する。
正解:×
無償賃借権設定は土地売買等の契約に該当しないため、当然には合算しません。
誤っている語句
「必ず2,500㎡として」
正しい修正
「各取得が土地売買等の契約かを先に確認する」
問題11
通常の事後届出では権利取得者が届出を行う。
正解:○
売買であれば原則として買主が届出義務者です。
問題12
注視区域の事前届出でも通常の事後届出と同じく、権利取得者だけが契約後2週間以内に届け出る。
正解:×
注視区域では当事者双方による契約前の事前届出を確認します。
誤っている語句
「権利取得者だけ」「契約後2週間以内」
正しい修正
「当事者双方が契約前に事前届出」
宅建試験ではここが狙われやすい
一問一答で確認したように、事後届出は数字を正しく残して主体・取引・期限だけを交換する問題が危険です。2,000㎡や5,000㎡を正しく覚えていても、売りの一団を合算したり、競売を通常売買と同じ扱いにしたりすれば誤答します。数字へ進む前の条件を固定してください。
また、一団の土地では「合計が基準以上なら全部足す」という短縮暗記を避けます。権利取得者が誰か、各取得が土地売買等の契約に該当するかを確認してから合算するため、対象取引→取得者→一団→面積という順番が必要です。
FAQ
事後届出では、別契約の一団性、無償取引との組合せ、2,000㎡ちょうど、競売などの境界事例で迷いやすくなります。ここでは本文の単純な繰り返しではなく、複数条件が重なった場合の判断を整理します。迷った場合は契約該当性→例外→取得者→区域→面積へ戻ってください。
Q1.同じ売主が市街化区域の4,000㎡を1,000㎡ずつ4人へ売れば、4人とも一団の土地として届出が必要ですか?
通常の事後届出では権利取得者ごとに判断するため、売主の4,000㎡だけで4人を一団として扱いません。各買主の取得計画と面積を確認します。
Q2.同じ買主が市街化区域で1,000㎡を2回に分けて契約すれば、各契約は2,000㎡未満なので届出不要ですか?
一連の計画で一体利用する買いの一団なら、合計2,000㎡として面積基準を確認します。契約を分けただけで面積基準を回避できるとは判断しません。
Q3.市街化区域2,000㎡ちょうどは「2,000㎡を超えていない」ので不要ですか?
不要ではありません。基準は2,000㎡以上なので2,000㎡ちょうども面積要件に含まれます。
Q4.都市計画区域外の50,000㎡でも競売なら面積を見なくてよいですか?
指定過去問で扱う担保権実行による競売は届出不要の例外なので、通常の面積要件だけで届出必要とは判断しません。まず取得原因を確認してください。
Q5.無償の賃借権設定と有償売買を同時に行った場合、一団なら必ず両方を合算しますか?
各取得が土地売買等の契約に該当するかを先に確認します。無償の賃借権設定は対価性を欠くため、対象取引として当然に合算するものではありません。
Q6.契約後14日なら届出期限内ですが、15日目ならどうなりますか?
通常の事後届出は契約締結日から起算して2週間以内なので、期限を過ぎないよう日数を確認します。本試験では「1か月以内」など別の期間への変更が正誤判断の中心になります。
宅建試験ではここが狙われやすい
境界事例では、一団だから何でも合算するという誤りに注意します。同じ売主から出た土地でも買主が別なら通常の事後届出では各権利取得者を基準にし、同じ買主でも無償取引など土地売買等の契約に該当しない取得を当然に合算することはできません。合算の前提条件を確認してください。
また、面積と期限では境界表現が狙われます。2,000㎡以上なら2,000㎡ちょうどを含み、届出期限は「おおむね2週間」ではなく契約締結日から2週間以内なので、以上・未満・以内を曖昧に処理しないことが必要です。
まとめ
国土利用計画法の事後届出では、最初に土地売買等の契約か、届出不要取引ではないかを確認します。次に権利取得者を特定し、市街化区域2,000㎡以上、その他の都市計画区域5,000㎡以上、都市計画区域外10,000㎡以上という面積基準を当てます。最後に契約締結日から2週間以内という期限を確認します。
令和7年問22のひっかけは、売りの一団を買いの一団と同じように扱うこと、競売でも面積だけで届出必要とすること、2週間を1か月へ変えること、無償賃借権まで一団へ合算することです。
過去問攻略では、契約該当性→例外→権利取得者→買いの一団→区域→面積→2週間以内という順番を固定します。面積は重要ですが、面積より先に正誤が決まる条件が多いため「とにかく面積」から始めないことがポイントです。問題文のどこを見るかを固定すれば、事後届出のひっかけを安定して処理できます。
宅建試験ではここが狙われやすい
試験直前には、市街化2,000㎡・その他5,000㎡・区域外10,000㎡、通常の事後届出は権利取得者が契約締結日から2週間以内という基本形を確認します。ただし、競売などの届出不要取引、対価のない権利設定、権利取得者が異なる売りの一団では、面積基準へ進む前に別の判断が必要です。最終的には何の契約か・誰が取得するか・どの面積を合算するかを先に固定することが得点につながります。
