【宅建】宅建業法 報酬額の制限とは? |頻出ポイント・ひっかけ問題・過去問攻略・一問一答

宅建業者が媒介や代理を行って受領できる報酬には上限があり、依頼者が承諾しても限度額を超えることはできません。さらに、実際に受領していなくても不当に高額な報酬を要求する行為は禁止され、貸借では物件の用途や依頼者の承諾によって判断方法が変わります。この記事では令和2年12月問34を正解するために、報酬上限、要求行為、貸借の負担割合、広告料金の例外を整理します。

報酬額の制限では、単に計算式を覚えるだけでは本試験の誤肢を見抜けません。誰から受領するのか、居住用か事業用か、依頼者の承諾が何に対するものか、報酬以外の費用を請求できる条件があるかまで確認する必要があります。特に「依頼者が承諾した」「まだ受領していない」「広告に費用がかかった」というもっともらしい事情を、法律上の例外と混同しないことが得点につながります。

令和2年12月問34では、第1肢は依頼者の承諾、第2肢は要求と受領の違い、第3肢は事業用建物の貸借、第4肢は広告料金が問題になっています。四つの肢はすべて報酬に関係しますが、正誤を決める規制は同じではありません。問題文を読んだら金額計算へ進む前に、上限・要求行為・貸借・特別費用のどれが問われているかを分類してください。

目次

問題文を読んだら最初に何を見るか

報酬額の問題では、最初に媒介か代理か、売買か貸借か、誰が依頼者かを確認します。取引の種類によって報酬の計算方法や負担方法が異なり、同じ「報酬」という言葉でも適用する基準が変わるためです。この章では令和2年12月問34を処理するために、問題文から最初に拾う語句と判断順序を整理します。

次に確認するのは、問題文が「報酬を受領した」のか、それとも「報酬を要求した」だけなのかという違いです。不当に高額な報酬については、実際に受け取っていないから違反しないという判断はできません。第2肢のように要求段階を問う問題では、受領額の計算だけをしていると正誤を取り違えます。

さらに、報酬とは別に広告料金などを請求している場合は、依頼者から特別な依頼があったかを確認します。宅建業者が通常の営業活動として自ら行った広告の費用を、後から当然に依頼者へ請求できるわけではありません。第4肢では「広告をした」という事実より、「依頼に基づく広告か」が正誤を分けています。

問題文で注目する語句を整理します。この表は、語句を見た瞬間にどの規制を使うかを分類するためのものです。数字だけでなく、承諾・要求・依頼といった条件を拾ってください。

問題文の語句判断ポイント
宅建業者報酬額の制限を受ける主体か
媒介・代理報酬計算の前提を確認
売買・交換・貸借どの報酬基準を使うか
居住用建物0.55か月分の原則を確認
事業用建物居住用の個別上限と混同しない
依頼者の承諾何について承諾したのか
不当に高額な報酬を要求受領前でも禁止されるか
広告料金報酬とは別に請求できるか
依頼による広告別途請求の条件を満たすか
特別の依頼通常業務の費用との違いを確認

この表で特に注意したいのは、「承諾」と「依頼」は同じではないという点です。報酬上限を超えることへの承諾があっても上限は変わりませんが、依頼者から特別に広告を依頼された場合には、その広告料金を別途請求できる場合があります。本試験では、依頼者の意思があるという共通点だけを使って二つを混同させます。

判断するときは、次の順番で問題文を処理します。最初から報酬額を計算するのではなく、取引と問題になっている行為を確定させます。この順番を使えば、令和2年12月問34のように異なる規制を一問へ混在させた問題にも対応できます。

・① 宅建業者が何を行ったか確認する
・② 売買・交換・貸借のどれかを確認する
・③ 媒介か代理かを確認する
・④ 報酬の要求か受領かを確認する
・⑤ 報酬上限に関する問題なら限度額を確認する
・⑥ 承諾や依頼などの例外条件を確認する
・⑦ 報酬以外の費用なら別途請求できる条件を確認する

この処理で重要なのは、問題文に「依頼者」という言葉があっても直ちに例外と判断しないことです。依頼者の承諾があっても報酬限度額を超えることはできず、依頼者の特別な依頼がある広告料金とは効果が異なります。誰が何について承諾・依頼したのかまで確認してから結論を出してください。

宅建試験ではここが狙われやすい

報酬額の制限では、依頼者の意思を万能な例外として見せる誤肢が狙われます。「本人が承諾しているのだからよい」「本人が納得しているのだから違反しない」と考えやすいですが、報酬上限そのものを承諾によって引き上げることはできません。反対に、特別に依頼された広告料金では依頼の存在が重要になるため、同じ「依頼者の意思」でも法律上の効果を分けて判断します。

もう一つのひっかけは、要求と受領の時期を入れ替えることです。不当に高額な報酬については「まだ受け取っていない」という事情で適法になるわけではなく、要求行為自体が問題になります。👉 取引種類→報酬か別費用か→要求・受領→承諾・依頼の内容の順番で確認すると、もっともらしい例外条件に引っ張られにくくなります。

報酬額の上限|依頼者が承諾しても超えられない

宅建業者が受領できる報酬額には上限があり、依頼者の承諾があっても上限を超える報酬を受領することはできません。令和2年12月問34第1肢では、この「承諾があれば上限を超えてよいのか」が判断ポイントになっています。この章では報酬上限の性質と、承諾を使ったひっかけを整理します。

宅建業者が受領できる報酬の額は、国土交通大臣が定める額によって制限されています。依頼者と宅建業者が自由に合意すれば、法定の限度額を超えてよいという仕組みではありません。したがって、問題文に「依頼者が十分説明を受けて承諾した」と書かれていても、上限超過を正当化する理由にはなりません。

ここでは契約自由の原則と混同しないことが重要です。依頼者本人が納得して報酬額を決めたという事情は一見有効に見えますが、宅建業法上の報酬限度額は当事者の合意によって自由に変更できる上限ではありません。選択肢では「承諾」「合意」「納得」などの語句を追加し、上限を超えられるように見せる方法が使われます。

報酬上限と依頼者の意思の関係を整理します。この表では、依頼者の意思がある場合でも何が変わり、何が変わらないのかを確認します。特に「承諾があれば例外」という思い込みを避けてください。

状況判断
法定上限内の報酬受領可能
上限を超える報酬受領不可
上限超過について依頼者が承諾上限は変わらない
当事者双方が合意上限超過はできない
報酬とは別の特別費用別途要件を確認

この表から分かるように、「依頼者の意思があるか」だけでは結論を出せません。報酬額そのものについては上限を超えられませんが、後で扱う特別な広告料金では依頼者の依頼が別途請求の条件になります。本試験ではこの二つを同じ「依頼者の了承」として処理しないことが必要です。

例題1
宅建業者は、依頼者が報酬限度額を超えることについて事前に承諾していれば、その承諾した範囲で上限を超える報酬を受領できる。
解答・判断ポイント
正解:×
依頼者の承諾があっても、報酬額の上限を超えて受領することはできません。
誤肢分析
誤っている語句
「事前に承諾していれば」
正しい修正
「依頼者が承諾していても」
依頼者の承諾を報酬上限の例外条件へ変えた誤肢です。

例題2
宅建業者と依頼者が報酬額について合意していても、その額が法定の限度額を超えていれば、宅建業者は超過額を受領できない。
解答・判断ポイント
正解:○
当事者間の合意によって報酬限度額を引き上げることはできません。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
「合意がある=適法」という一般的な感覚に引っ張られないための問題です。

例題3
依頼者が宅建業者の業務内容を高く評価し、通常より多く支払いたいと申し出た場合は、報酬限度額を超えて受領してもよい。
解答・判断ポイント
正解:×
依頼者側から申し出た場合でも、報酬として受領する以上は限度額を超えることはできません。
誤肢分析
誤っている語句
「報酬限度額を超えて受領してもよい」
正しい修正
「報酬限度額を超えて受領することはできない」
誰が上限超過を提案したかによって結論が変わるように見せる誤肢です。

例題4
宅建業者が報酬限度額を超える金額を提示し、依頼者が書面で承諾した場合でも、その承諾によって超過部分の受領が適法になるわけではない。
解答・判断ポイント
正解:○
口頭か書面かによって報酬上限が変化するわけではありません。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
「書面による承諾」という強い条件を付けても結論は変わらないことを確認する問題です。

例題5
報酬額の上限は宅建業者と依頼者の利益調整を目的とするため、依頼者が不利益を理解して承諾すれば適用しなくてもよい。
解答・判断ポイント
正解:×
依頼者が理解して承諾したことを理由に、報酬限度額の適用を外すことはできません。
誤肢分析
誤っている語句
「承諾すれば適用しなくてもよい」
正しい修正
「承諾があっても報酬限度額を超えることはできない」
制度趣旨らしい説明を加えて誤った例外を作るパターンです。

宅建試験ではここが狙われやすい

この論点では、「承諾」という正しい法律行為を別の場面へ移して、報酬上限の解除条件に見せるひっかけが使われます。特に居住用建物の貸借では依頼者の承諾が報酬負担の判断に関係するため、その知識を報酬総額の上限へ流用すると誤答します。承諾という語句を見たら、承諾の有無だけでなく何について承諾したのかを確認してください。

また、「依頼者から申し出た」「書面で承諾した」「十分な説明を受けた」など、承諾の有効性を強く見せる事情が追加される場合があります。しかし、それらは報酬限度額そのものを引き上げる事情ではありません。👉 報酬額そのものの上限か→負担割合の承諾か→特別費用の依頼かを分けると、依頼者の意思を利用した誤肢を見抜きやすくなります。

不当に高額な報酬|受領しなくても要求自体が禁止

宅建業者は、不当に高額な報酬を要求する行為自体が禁止されており、実際にその金銭を受領したかどうかだけで判断しません。令和2年12月問34第2肢では、高額な報酬を要求したものの実際には受領していない場面が問題になっています。この章では「要求」と「受領」を分け、本試験で時期を入れ替えられた場合の判断方法を整理します。

報酬額の問題を見ると、多くの受験生は最初に「いくら受け取ったか」を確認します。しかし不当に高額な報酬については、要求という行為そのものが禁止対象になるため、最終的な受領額だけでは判断できません。「結局受け取らなかったから違反ではない」という文章があれば、要求段階の規制を確認する必要があります。

この論点では、行為の完成時期を意識することが重要です。問題文に「要求したが支払われなかった」「依頼者が拒否した」「後から請求を撤回した」などと書かれていても、要求した事実が消えるわけではありません。受領の有無を後半へ置き、前半の要求行為から注意をそらす文章に警戒してください。

要求と受領の違いを整理します。この表では、問題文の動詞を確認して、どの段階が問われているかを判定します。金額だけでなく「要求した」「受領した」という表現そのものを拾ってください。

問題文の表現確認する規制
不当に高額な報酬を要求要求行為自体を確認
実際には受領していない要求の違法性は消えない
依頼者が支払いを拒否要求した事実を確認
上限超過額を受領報酬限度額も確認
後から請求を撤回先行する要求を確認

この表を使うと、「結果的にお金が移動したか」だけを見る誤りを防げます。宅建業法では、受領という結果だけでなく、その前段階の行為そのものが禁止される場合があります。令和2年12月問34第2肢では、まさにこの視点が正誤を分けています。

例題6
宅建業者が不当に高額な報酬を要求した場合でも、依頼者が支払いを拒否し、実際に報酬を受領しなければ宅建業法上問題とならない。
解答・判断ポイント
正解:×
不当に高額な報酬は要求する行為自体が禁止されています。
誤肢分析
誤っている語句
「実際に報酬を受領しなければ」
正しい修正
「実際に受領しなくても要求行為自体が禁止される」
受領という結果を禁止成立の条件へ変えた誤肢です。

例題7
宅建業者が不当に高額な報酬を要求したものの、その後に請求を撤回した場合、要求した事実がある以上、受領していないことだけを理由に適法とは判断できない。
解答・判断ポイント
正解:○
判断対象は実際の受領だけではなく、不当に高額な報酬を要求した行為にも及びます。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
後から撤回したという事情に引っ張られないための問題です。

例題8
不当に高額な報酬に関する規制では、宅建業者が実際に受領した金額だけを確認すればよく、請求した金額を確認する必要はない。
解答・判断ポイント
正解:×
要求行為自体が禁止されるため、請求した内容も確認する必要があります。
誤肢分析
誤っている語句
「実際に受領した金額だけ」
正しい修正
「要求した報酬の内容も確認する」
受領額だけを判断対象に限定する誤肢です。

例題9
依頼者が不当に高額な報酬の支払いを拒否したため宅建業者に利益が生じなかった場合でも、要求行為についての規制は別に判断する。
解答・判断ポイント
正解:○
宅建業者が利益を得たかどうかだけで、要求行為の適法性を決めることはできません。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
利益の発生と禁止行為の成立を分けて判断する問題です。

宅建試験ではここが狙われやすい

この論点では、違反の成立時期を「要求」から「受領」へ後ろ倒しする誤肢が狙われます。「まだ受け取っていない」「相手が拒否した」「請求を撤回した」という後発事情を付け、要求時点の問題を消したように見せるのが典型です。問題文では金額の後に続く結末より、宅建業者が最初にどの行為をしたのかを確認してください。

報酬額の上限超過と不当に高額な報酬の要求も、完全に同じ文章として処理しないことが必要です。前者では受領できる報酬額の限度が問題となり、後者では要求という行為自体が禁止されています。👉 「受領した」なら上限を確認、「不当に高額な報酬を要求した」なら要求時点を確認と動詞で分類すると、時期をずらした誤肢に対応できます。

貸借の報酬|居住用と事業用を混同しない

建物貸借の媒介報酬では、居住用建物か、それ以外の建物かを最初に確認する必要があります。令和2年12月問34第3肢では事業用建物の貸借が扱われ、居住用建物に適用される一方の依頼者から受領できる額の原則と混同しないことがポイントです。この章では貸借の報酬について、合計上限と負担割合を分けて整理します。

資料では、事業用建物など居住用建物以外の貸借について、報酬の上限は借賃の1.1か月分とされています。この合計額の範囲で、貸主と借主のどちらにどれだけ負担させるかについて、居住用建物と同じ個別の0.55か月分という制限はありません。したがって、一方から全額を受領する形でも、合計上限を超えないかを確認することになります。

これに対して居住用建物の貸借では、依頼者から承諾を得ている場合を除き、貸主・借主それぞれから受領できる報酬は借賃の0.55か月分が限度です。ここで使われる「承諾」が、先ほどの報酬総額の上限を超える承諾とは意味が異なります。承諾という同じ語句でも、居住用建物で一方から受ける額の例外として使われている点を区別してください。

貸借の報酬を比較します。この表では、居住用とそれ以外で「合計上限」と「一方から受けられる額」を分けて確認します。第3肢では事業用建物であることを最初に拾うのがポイントです。

貸借の種類合計上限一方から受ける額のポイント
居住用建物借賃1.1か月分原則0.55か月分まで
居住用・承諾あり借賃1.1か月分承諾した依頼者から1.1か月分も可能
居住用以外借賃1.1か月分負担割合の個別制限なし
事業用建物借賃1.1か月分一方から全額でも合計上限を確認

この比較で最も重要なのは、合計上限と個別上限を同じものとして扱わないことです。居住用建物でも承諾によって合計1.1か月分という上限自体が増えるわけではなく、誰からどれだけ受領できるかという配分が変わります。事業用建物では、この居住用の0.55か月分という原則をそのまま当てはめないでください。

例題10
事業用建物の貸借の媒介では、貸主と借主から受領する報酬の合計が借賃1.1か月分以内であれば、その全額を一方の依頼者から受領することもできる。
解答・判断ポイント
正解:○
資料では居住用建物以外の貸借について、貸主と借主の負担割合に制限はないとされています。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
令和2年12月問34第3肢の中心となる判断です。

例題11
事業用建物の貸借でも、貸主と借主の一方から受領できる報酬は必ず借賃0.55か月分までである。
解答・判断ポイント
正解:×
0.55か月分という個別の原則は居住用建物の貸借と混同しています。
誤肢分析
誤っている語句
「事業用建物の貸借でも」「必ず借賃0.55か月分まで」
正しい修正
「居住用建物以外では合計上限内で負担割合は問われない」
居住用建物の個別制限を事業用建物へ移した誤肢です。

例題12
居住用建物の貸借では、依頼者の承諾がなくても貸主または借主の一方から当然に借賃1.1か月分の報酬を受領できる。
解答・判断ポイント
正解:×
居住用建物では、承諾がない限り一方から受領できる額は原則0.55か月分です。
誤肢分析
誤っている語句
「承諾がなくても」「当然に借賃1.1か月分」
正しい修正
「承諾がない限り一方からは原則0.55か月分まで」
事業用建物の負担方法を居住用建物へ移した誤肢です。

例題13
居住用建物の貸借で依頼者の承諾を得た場合でも、貸主と借主から受領する報酬の合計上限そのものが2.2か月分になるわけではない。
解答・判断ポイント
正解:○
承諾によって変わるのは一方から受領できる額であり、合計上限を倍にするものではありません。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
承諾の効果を合計上限の引上げへ拡張しないための問題です。

例題14
貸借の媒介報酬を判断するときは、借賃の何か月分かだけでなく、居住用か事業用か、誰からいくら受領するかを確認する。
解答・判断ポイント
正解:○
同じ1.1か月分でも、物件用途によって一方から受領できる額の判断が異なります。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
数字と対象をセットで確認するための問題です。

宅建試験ではここが狙われやすい

貸借では、「合計1.1か月分」と「一方0.55か月分」を入れ替える誤肢が狙われます。さらに居住用建物のルールを事業用建物へ移したり、事業用建物の負担方法を居住用へ移したりすることで、数字自体は正しいまま対象だけを変更できます。問題文で建物の用途が示されていたら、金額計算より先に居住用かそれ以外かを確定してください。

また、ここでも「承諾」の意味を取り違えやすくなります。居住用建物では承諾が一方から受領できる額に関係しますが、報酬の合計上限そのものを自由に引き上げる制度ではありません。👉 用途→合計上限→一方からの上限→承諾の有無の順番で確認すると、第1肢の承諾と第3肢周辺の承諾を混同しにくくなります。

広告料金と特別費用|報酬とは別に請求できる条件

宅建業者が通常の報酬とは別に費用を請求できる場合がありますが、宅建業者が支出した費用なら何でも別途請求できるわけではありません。令和2年12月問34第4肢では、依頼者の依頼に基づかず宅建業者が行った広告の料金を、報酬とは別に請求できるかが問題になっています。この章では報酬と別途費用の境界を整理します。

資料では、報酬限度額を超えて受領できるものとして、依頼者の依頼によって行う広告料金が示されています。さらに、依頼者の特別の依頼による特別の費用として、遠隔地での現地調査費用や空家の特別な調査費用などが挙げられています。共通するのは、宅建業者が勝手に支出した通常費用ではなく、依頼者の依頼に基づく特別な支出であることです。

したがって、広告が実際に成約へ役立ったか、広告料金が相場どおりだったかという事情だけでは判断できません。まず確認するのは、その広告が依頼者からの依頼に基づいて行われたものかという点です。第4肢では依頼に基づかず広告しているため、その料金を当然に報酬とは別に請求することはできません。

報酬と別途費用の違いを整理します。この表では、費用の名称ではなく「誰の依頼で発生したか」を中心に確認します。広告費という名前だけを見て別途請求可能と判断しないでください。

金銭・費用判断ポイント
通常の媒介報酬報酬限度額を確認
依頼による広告料金別途請求できる場合がある
宅建業者が自主的に行った広告原則として別途請求不可
特別の依頼による特別費用別途請求できる場合がある
通常業務で生じる費用名称だけで別料金にしない

ここでの「依頼」は、第1肢で扱った「上限超過への承諾」と役割が異なります。依頼者が上限超過を承諾しても報酬上限は変わりませんが、特別な広告を依頼した場合にはその広告料金を報酬とは別に扱える場合があります。依頼者の意思がどの行為に向けられているのかを必ず確認してください。

例題15
宅建業者が依頼者から特別に依頼を受けて広告を行った場合、その広告料金は一定の場合に通常の報酬とは別に請求できる。
解答・判断ポイント
正解:○
資料では、依頼者の依頼によって行う広告料金は報酬とは別に受領できるものとして整理されています。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
広告費なら何でもよいのではなく、依頼がある点が判断ポイントです。

例題16
宅建業者が成約のために必要と判断して広告を行った場合、依頼者から広告の依頼を受けていなくても、その料金を当然に報酬とは別に請求できる。
解答・判断ポイント
正解:×
宅建業者が自主的に行った広告であることだけでは、別途請求の条件を満たしません。
誤肢分析
誤っている語句
「依頼を受けていなくても」「当然に」
正しい修正
「依頼者の依頼によって行った広告料金であれば」
令和2年12月問34第4肢と同じひっかけです。

例題17
広告によって実際に買主が見つかった場合は、依頼者から広告の依頼を受けていなくても広告料金を別途請求できる。
解答・判断ポイント
正解:×
広告の成果があったことを、依頼の代わりにすることはできません。
誤肢分析
誤っている語句
「買主が見つかった場合は」
正しい修正
「依頼者の依頼によって行った場合は」
広告の成果と別途請求の要件を入れ替えた誤肢です。

例題18
依頼者の特別の依頼によって遠隔地で現地調査を行い特別な費用が生じた場合は、通常の報酬とは別に扱える場合がある。
解答・判断ポイント
正解:○
資料では、依頼者の特別の依頼による特別費用の例として遠隔地での現地調査費用が挙げられています。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
通常業務の費用と特別依頼による費用を分けるための問題です。

例題19
宅建業者が通常の媒介業務を行うために負担したすべての費用は、報酬限度額とは無関係に依頼者へ別途請求できる。
解答・判断ポイント
正解:×
通常業務で生じる費用まで、すべて別途請求できるわけではありません。
誤肢分析
誤っている語句
「すべての費用」「別途請求できる」
正しい修正
「依頼者の依頼による広告料金など、認められる特別費用を確認する」
「費用」という名称だけで報酬規制の外へ出す誤肢です。

宅建試験ではここが狙われやすい

この論点では、実際に費用が発生したことと、依頼者へ別途請求できることを同一視させる誤肢が狙われます。広告費を宅建業者が現実に支払っていても、それだけで依頼者へ転嫁できるとは限りません。「広告した」「費用が発生した」の後に、依頼者からの依頼が書かれているかを確認してください。

さらに、「承諾」「依頼」「必要性」「成果」という似た事情を入れ替える問題にも注意します。広告が必要だったことや成果を上げたことではなく、資料上の判断では依頼者の依頼が重要です。👉 報酬か費用か→特別な支出か→依頼者の依頼があるかの順番で確認すると、第4肢型のひっかけを切りやすくなります。

過去問分析

この過去問では、報酬額の制限について上限・要求・貸借・広告料金という四つの判断が組み合わされています。各肢に「依頼者」「報酬」「金銭」という共通語が登場しても、同じルールだけで処理することはできません。この章では各肢のどの語句が正誤を分けているかを中心に、令和2年12月問34を分析します。

本問で特に重要なのは、依頼者の意思が異なる意味で登場する点です。第1肢では上限超過への承諾があっても結論は変わらず、第4肢では広告について依頼者から依頼があるかどうかが結論を左右します。「依頼者が認めたか」という一つの基準へまとめず、何について意思表示したのかを確認してください。

また、第2肢では要求と受領、第3肢では居住用と事業用という別の入れ替えが使われます。正しい数字や法律用語を知っているだけではなく、対象・行為・用途を問題文から正確に拾う必要があります。四肢を一つずつ論点分類してから判断すると、個別知識の混同を防げます。

最初に確認する語句
問題文では、依頼者の承諾、不当に高額な報酬を要求、事業用建物、広告の依頼を最初に確認します。

令和2年(2020年)12月 問34

問34

宅地建物取引業者(消費税課税事業者)が受けることができる報酬に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。

  1. 宅地建物取引業者が受けることのできる報酬は、依頼者が承諾していたとしても、国土交通大臣の定める報酬額の上限を超えてはならない。
  2. 宅地建物取引業者は、その業務に関し、相手方に不当に高額の報酬を要求した場合、たとえ受領していなくても宅地建物取引業法違反となる。
  3. 宅地建物取引業者が、長期の空家等に該当しない事業用建物の貸借(権利金の授受はないものとする。)の媒介に関する報酬について、依頼者の双方から受けることのできる報酬の合計額は、借賃(消費税等相当額を含まない。)1か月分の1.1倍に相当する金額が上限であり、貸主と借主の負担の割合については特段の規制はない。
  4. 宅地建物取引業者は、依頼者の依頼によらない広告の料金に相当する額を報酬額に合算する場合は、代理又は媒介に係る報酬の限度額を超える額の報酬を依頼者から受けることができる


正解:4
解説
本問は、宅建業者が受領できる報酬と、それに関連する禁止行為や別途費用を問う問題です。第1肢から第3肢は正しく、第4肢が誤っているため、正解は4となります。各肢で同じ「報酬額の計算」をするのではなく、どの規制が問われているかを先に分類してください。

各肢の正誤理由
各肢では、依頼者の承諾が及ぼす効果、不当に高額な報酬の要求、事業用建物の貸借における負担割合、広告料金を別途請求できる条件が問われています。正誤を決める語句はそれぞれ異なるため、一つの原則だけを四肢へ当てはめると判断を誤ります。特に第1肢と第4肢はどちらも依頼者の意思が登場するため、その意思の対象を区別する必要があります。

第1肢(正しい)
宅建業者が受領できる報酬額には上限があり、依頼者が承諾してもその上限を超えることはできません。本肢では、依頼者の承諾がある場合でも限度額を超えて報酬を受領できないとしているため正しい内容です。正誤を分けるのは、**「依頼者が承諾しても上限を超えられない」**という部分です。

ここで迷いやすいのは、当事者間の合意があれば契約内容を自由に決められるという一般的な感覚です。しかし報酬限度額については、依頼者の承諾を上限解除の条件として扱うことはできません。「承諾」という語句が出たら、その存在だけで○方向へ判断しないことが必要です。

第2肢(正しい)
宅建業者による不当に高額な報酬の要求自体が禁止されています。そのため、実際には報酬を受領しなかった場合でも、要求した行為が問題になるという本肢は正しい内容です。正誤を分けるのは「受領しなかった」という結果ではなく、その前に「要求した」という事実です。

問題文では、後半に「実際には受領していない」という事情を置くことで、違反が成立しないように感じさせることがあります。しかし判断すべき行為が要求段階で禁止されているなら、後から金銭を受け取らなかったことだけで結論は変わりません。動詞が「要求」なのか「受領」なのかを最初に確認してください。

第3肢(正しい)
事業用建物の貸借では、資料上、報酬の合計上限は借賃の1.1か月分です。その範囲内であれば、貸主と借主のどちらがどの割合で負担するかについて、居住用建物と同じ個別の0.55か月分という制限はありません。したがって、一方の依頼者から全額を受領する内容であっても、合計上限内であれば本肢は正しいと判断します。

この肢では「一方から全額」という表現が強く見えるため、0.55か月分を超えているとして×にしたくなります。しかし0.55か月分の原則は居住用建物の貸借と区別する必要があります。**「事業用建物」**という対象を最初に拾えるかが正誤を分けるポイントです。

第4肢(誤り)
報酬限度額とは別に広告料金を請求できる場合がありますが、資料では依頼者の依頼によって行う広告料金であることが必要とされています。本肢では依頼者の依頼に基づくことなく広告をしているため、その広告料金を当然に報酬とは別に請求することはできません。したがって、この肢が誤りとなり本問の正解です。

この肢で注意するのは、広告が実際に行われ費用が発生したという事実だけでは足りないことです。宅建業者が成約のために必要と判断して自主的に広告したとしても、それだけで別途請求できる費用になるわけではありません。正誤を分ける語句は、**「依頼者の依頼に基づくことなく」**という部分です。

問題作成者のひっかけポイント
第1肢では、「依頼者の承諾」というもっともらしい例外条件を使っています。居住用建物の貸借など、承諾が実際に判断へ影響する論点を知っている受験生ほど、承諾があれば報酬上限も超えられると混同しやすくなります。出題者は正しい知識に登場する条件を、別の規制へ移して誤答を誘っています。

第2肢では、違反の成立時期をずらす方法が使われています。「要求した」という前半より「受領しなかった」という後半を強く意識させ、金銭を受け取っていないなら問題ないと判断させる構成です。禁止されている動詞が何かを確認すれば、このひっかけを避けられます。

第3肢では、居住用建物の0.55か月分という頻出数字を事業用建物へ当てはめさせることが狙われています。「一方から全額」という表現は不公平に見えますが、事業用建物では負担割合について居住用と同じ制限を当てはめません。数字を思い出す前に、物件用途を確定する必要があります。

第4肢では、「広告費は報酬とは別に請求できる」という知識を不完全な形で使わせます。正しい知識から「依頼者の依頼による」という条件だけを削除し、広告料金であればすべて別途請求できるように変更しています。例外規定では、何ができるかだけでなく例外になるための条件まで確認してください。

受験生が迷う理由
本問が難しく感じられる理由は、四肢すべてに報酬や依頼者が登場しながら、正誤を判断する基準が異なることです。報酬額の制限を一つの公式として覚えていると、第2肢の要求行為や第4肢の広告料金を同じ計算問題として処理してしまいます。まず肢ごとに論点を分類する必要があります。

また、「承諾」「依頼」という似た言葉が別の効果を持つことも混乱の原因です。依頼者が上限超過を承諾しても報酬上限は変わりませんが、特別な広告を依頼した場合には別途費用の判断に影響します。誰が意思表示したかだけでなく、何について意思表示したのかまで読む必要があります。

数字についても、1.1か月分と0.55か月分を単独で暗記すると誤答しやすくなります。1.1か月分は合計額、0.55か月分は居住用建物で一方の依頼者から受領する原則的な限度というように、数字へ対象を付ける必要があります。数字を見た瞬間に、その数字の対象を言える状態にしておくことが有効です。

正しい判断手順
第1肢では、まず報酬額の上限そのものが問題になっていると分類します。次に依頼者の承諾が書かれていても、上限を超える例外にはならないことを確認します。承諾の有無ではなく、法定限度額を超えているかを基準に判断してください。

第2肢では、問題文の動詞を確認します。「不当に高額な報酬を要求した」とあれば、実際に受領したかを確認する前に要求行為自体の禁止を当てはめます。後半の「受領していない」という事情で前半の要求を消さないことがポイントです。

第3肢では、最初に建物用途を確認します。「事業用建物」であれば居住用建物の一方0.55か月分という原則をそのまま使わず、合計1.1か月分の範囲内かを確認します。誰が全額を負担しているかだけで×にしないでください。

第4肢では、まず請求している金銭が通常の報酬ではなく広告料金であることを確認します。次に、その広告が依頼者からの依頼に基づくものかを確認し、依頼がなければ別途請求できる例外へ当てはめません。この二段階で処理すれば、広告費という名称だけに惑わされません。

類似問題で使える知識
類似問題では、依頼者の「承諾」と「特別な依頼」を分けてください。承諾が登場したら何の承諾か、依頼が登場したら何を依頼したのかを確認します。同じ依頼者の意思でも、報酬上限、居住用建物の負担、広告料金では効果が異なります。

要求と受領の違いも、他の業務上の規制を処理するときに使える考え方です。禁止規定では「最終的に結果が発生したか」だけではなく、どの行為自体が禁止されているかを確認します。問題文の動詞へ線を引くと、違反成立の時期をずらした誤肢を見抜きやすくなります。

貸借の報酬では、数字と対象をセットにしてください。1.1か月分という数字だけではなく「合計」、0.55か月分なら「居住用・一方から・原則」という情報まで一組にします。数字だけを別の対象へ移した選択肢にも対応できるようになります。

宅建試験ではここが狙われやすい

令和2年12月問34では、正しい条件を別の規制へ移す方法が複数使われています。承諾は居住用貸借で意味を持つ場面がありますが報酬総額の上限解除にはならず、広告料金は別途請求できる場合がありますが依頼という条件を外せません。正しい単語や数字が含まれているだけで、その肢全体を正しいと判断しないことが必要です。

さらに、第2肢では時期、第3肢では対象、第4肢では条件の削除というように、誤肢の作り方が異なります。四肢をまとめて「報酬はいくらか」と考えるのではなく、それぞれ上限・要求・用途・特別費用へ分類してください。👉 何の規制か→対象は誰か→数字や条件は何か→例外条件が正しいかの順番で確認すると、類似問題にも対応できます。

一問一答|過去問の肢レベルで確認

ここでは報酬額の制限について、依頼者の承諾、不当に高額な報酬の要求、居住用・事業用建物の違い、広告料金などを組み合わせて確認します。単純な数字問題ではなく、正しい条件を別の規制へ移した本試験型の誤肢を中心にしています。この章では、誤っている場合にどの語句を直せば正しい文章になるのかまで確認してください。

問題1
宅建業者は、依頼者が十分に説明を受けたうえで承諾していれば、国土交通大臣が定める報酬額の上限を超えて報酬を受領できる。
正解:×
依頼者が承諾しても、報酬限度額を超えることはできません。
誤っている語句
「承諾していれば」「上限を超えて報酬を受領できる」
正しい修正
「承諾していても上限を超えて受領できない」

問題2
宅建業者と依頼者が書面で報酬額を合意していても、その合意によって法定の報酬限度額を引き上げることはできない。
正解:○
書面による合意であっても、報酬限度額そのものを変更することはできません。

問題3
不当に高額な報酬を要求しても、実際には一円も受領しなかった場合は宅建業法上禁止される行為には当たらない。
正解:×
不当に高額な報酬は、要求する行為自体が禁止されています。
誤っている語句
「一円も受領しなかった場合は」「禁止される行為には当たらない」
正しい修正
「受領しなかった場合でも要求行為自体が禁止される」

問題4
宅建業者が不当に高額な報酬を要求した後、依頼者が支払いを拒否したとしても、要求した行為についての判断は必要である。
正解:○
依頼者が支払ったかどうかだけで要求行為の適法性を判断しません。

問題5
不当に高額な報酬に関する問題では、最終的な受領額だけを確認すればよく、宅建業者が要求した金額は正誤判断に影響しない。
正解:×
要求行為自体が禁止されるため、要求した内容を確認する必要があります。
誤っている語句
「最終的な受領額だけ」
正しい修正
「要求した報酬の内容も確認する」

問題6
居住用建物の貸借の媒介では、依頼者の承諾がない場合、一方から受領できる報酬は原則として借賃0.55か月分までである。
正解:○
資料に示された居住用建物の貸借における原則です。

問題7
居住用建物の貸借で依頼者の承諾を得れば、貸主と借主から受領する報酬の合計を借賃2.2か月分まで増額できる。
正解:×
承諾によって合計上限そのものが倍になるわけではありません。
誤っている語句
「合計を借賃2.2か月分まで増額できる」
正しい修正
「合計上限は借賃1.1か月分である」

問題8
事業用建物の貸借では、報酬の合計が借賃1.1か月分以内であれば、一方の依頼者から全額を受領することもできる。
正解:○
居住用建物以外では、資料上、貸主と借主の負担割合は問われません。

問題9
事業用建物の貸借でも、一方の依頼者から受領できる額は例外なく借賃0.55か月分までである。
正解:×
居住用建物の原則を事業用建物へ移しています。
誤っている語句
「事業用建物の貸借でも」「例外なく借賃0.55か月分」
正しい修正
「居住用建物以外では合計上限内で負担割合は問われない」

問題10
貸借の媒介報酬では、1.1か月分という数字だけで判断せず、居住用か事業用か、誰からいくら受領するかも確認する。
正解:○
同じ合計上限でも、一方から受領できる額の判断が異なるためです。

問題11
宅建業者が自ら必要と判断して広告を行えば、依頼者から依頼されていなくても広告料金を報酬とは別に請求できる。
正解:×
宅建業者が自主的に行ったというだけでは、別途請求の条件を満たしません。
誤っている語句
「依頼されていなくても」
正しい修正
「依頼者の依頼によって行った場合は」

問題12
依頼者から特別に広告を依頼され、その依頼に基づいて広告を行った場合、その広告料金は通常の報酬とは別に扱える場合がある。
正解:○
広告費という名称ではなく、依頼者からの依頼があるかを確認します。

問題13
宅建業者が行った広告によって実際に契約が成立した場合は、依頼者から広告の依頼がなくても広告料金を別途請求できる。
正解:×
広告の成果を依頼者の依頼に置き換えることはできません。
誤っている語句
「実際に契約が成立した場合は」
正しい修正
「依頼者の依頼によって広告を行った場合は」

問題14
依頼者が報酬限度額を超えることを承諾した場合と、依頼者が特別な広告を依頼した場合では、依頼者の意思が法律上持つ意味は異なる。
正解:○
前者は報酬上限を引き上げませんが、後者は広告料金を別途請求できるかの判断に関係します。

問題15
依頼者から特別の依頼を受けて遠隔地で現地調査を行った場合、その特別な費用を通常の報酬とは別に扱える場合がある。
正解:○
資料では特別の依頼による特別費用の例として示されています。

問題16
宅建業者が媒介業務のために支出した費用は、その名称が広告費や調査費であれば、すべて報酬限度額とは別に請求できる。
正解:×
費用の名称だけでは判断できず、依頼者からの依頼など必要な条件を確認します。
誤っている語句
「すべて」「別に請求できる」
正しい修正
「依頼者の依頼による広告料金など、認められる費用かを確認する」

問題17
報酬額の問題で「依頼者が承諾した」と書かれていた場合、その承諾が報酬総額、居住用貸借の負担、特別費用のどれに関係するかを確認する。
正解:○
依頼者の意思が登場しただけで例外と判断しないことが重要です。

問題18
事業用建物の貸借で一方から借賃1.1か月分を受領することと、居住用建物で承諾なく一方から借賃1.1か月分を受領することは同じ扱いになる。
正解:×
物件用途によって一方から受領できる額の判断が異なります。
誤っている語句
「同じ扱いになる」
正しい修正
「居住用か事業用かによって判断が異なる」

問題19
不当に高額な報酬を要求したかを問う問題では、「受領しなかった」という後半の事情だけを見て適法と判断してはいけない。
正解:○
要求という行為自体が禁止されている点を先に確認します。

問題20
広告料金を別途請求できるかを判断するときは、広告の金額より先に、依頼者から広告の依頼があったかを確認する。
正解:○
令和2年12月問34第4肢を処理するときの基本的な読み方です。

一問一答で共通するのは、正しい数字や条件が書かれていても、対象が変われば結論も変わるという点です。0.55か月分は居住用建物の一方からの原則、1.1か月分は合計上限として確認し、承諾と依頼も同じ意味として扱いません。数字・条件・対象を一組にして判断してください。

宅建試験ではここが狙われやすい

本試験レベルでは、明らかに間違った数字よりも、正しい数字を別の対象へ付け替える誤肢に注意が必要です。0.55か月分という数字自体を知っていても、それを事業用建物へ適用すれば誤答し、1.1か月分を居住用で一方から無条件に受領できる額と考えても誤答します。数字を見たら「誰から・何について・どの条件で」という情報を補ってください。

また、依頼者の意思も「承諾があるから○」という単純な処理はできません。上限超過への承諾、居住用貸借での承諾、特別広告の依頼では、それぞれ効果が異なります。👉 数字には対象、承諾には対象行為、費用には依頼の有無をセットで確認することが、複合的な誤肢への対策になります。

FAQ

報酬額の制限では、上限額そのものよりも、依頼者の承諾がある場合や費用が実際に発生した場合など、境界的な条件で迷いやすくなります。FAQでは本文の基本ルールを繰り返さず、選択肢で条件を少し変更された場合にどう判断するかを確認します。この章では、承諾・要求・用途・広告費の境界を中心に整理します。

Q1.依頼者の方から「もっと報酬を払いたい」と申し出た場合は上限を超えられますか?
超えられません。依頼者側からの申し出であることを、報酬限度額の例外として扱わないでください。

Q2.上限を超える報酬について書面で承諾を得れば結論は変わりますか?
資料では、承諾が書面か口頭かによって報酬上限を超えられるとはされていません。承諾の形式より、報酬限度額を超えているかを確認します。

Q3.高額な報酬を提示しただけで、依頼者が断った場合はどう考えますか?
不当に高額な報酬の要求に当たるかを確認します。依頼者が実際に支払ったかどうかだけで判断しません。

Q4.高額な報酬を要求した後、宅建業者が自主的に撤回すれば問題はなくなりますか?
後から撤回したことだけで、先に行った要求をなかったものとして判断しません。問題文では禁止対象となる行為がいつ行われたかを確認してください。

Q5.事務所として借りる建物でも0.55か月分の原則を使いますか?
令和2年12月問34の資料では、事業用建物は居住用建物以外として扱われています。居住用建物の一方0.55か月分という原則をそのまま適用しないでください。

Q6.居住用建物で貸主から0.55か月分、借主から0.55か月分ならどう考えますか?
資料に示された原則の範囲です。合計では借賃1.1か月分となるため、「一方からの額」と「合計額」を分けて確認してください。

Q7.居住用建物で借主が承諾すれば、借主から1.1か月分を受領できますか?
資料では、依頼者の承諾がある場合には一方から1.1か月分を受領できる扱いが示されています。ただし、承諾によって貸主・借主からの合計上限まで増えると考えてはいけません。

Q8.事業用建物で貸主から1.1か月分を受領したら、借主からも1.1か月分を受領できますか?
資料では報酬の合計上限が借賃1.1か月分とされています。一方から全額を受領したなら、さらに同額を他方から受領できるという意味ではありません。

Q9.宅建業者が新聞広告を出して実費を支払った場合、その実費なら必ず請求できますか?
実費であることだけでは判断できません。依頼者からの依頼によって行われた広告かを確認してください。

Q10.依頼者が広告を見た後に「広告してくれてよかった」と承認した場合はどうなりますか?
今回の資料は、依頼者の依頼によって行う広告料金を別途請求できるものとして示しています。事後的な評価を、当然に事前の依頼と同じものとして扱わないことが安全です。

Q11.広告によって高額な成約ができた場合は、広告料金を別途請求できますか?
成約額や広告の成果だけでは判断しません。別途請求の判断では、依頼者の依頼によって広告を行ったかを確認します。

Q12.通常より遠い場所へ調査に行った場合は、交通費を必ず別途請求できますか?
距離だけで当然に別途請求できるとは資料に示されていません。依頼者の特別の依頼による特別な費用かを確認する必要があります。

Q13.「依頼者の承諾」と「依頼者の依頼」は試験では同じ意味として処理できますか?
できません。何について承諾・依頼したのかによって法律上の効果が異なるため、対象となる行為まで確認します。

Q14.報酬問題で金額が書かれていなければ計算問題ではないと考えてよいですか?
金額がなくても、不当に高額な報酬の要求や広告料金の別途請求などが問われる場合があります。報酬額の制限を計算問題だけだと考えないことが重要です。

Q15.「依頼者が納得している」という表現があれば○になりやすいですか?
そのようには判断できません。報酬上限では承諾があっても超過できないため、納得や合意という語句だけで○にしないでください。

Q16.報酬とは別に請求している金銭が出たら、最初に何を確認しますか?
その金銭が依頼者の依頼による広告料金や特別の依頼による費用に当たるかを確認します。「報酬ではなく実費」と書かれているだけで別途請求可能とは判断しません。

FAQで迷いやすい条件には、共通して「一見すると合理的」という特徴があります。本人が承諾している、実費が発生している、広告が成功した、後から請求を撤回したという事情は自然に見えますが、それが法律上の判断条件と一致するとは限りません。選択肢では、合理的に見える事情と法定の条件を区別してください。

宅建試験ではここが狙われやすい

境界事例では、事後承諾を事前の依頼へ変える、実費を当然の別途請求費用へ変える、結果的な未受領を要求行為の免責条件へ変えるといったひっかけに注意します。どれも日常感覚では正しそうに見えるため、条文上どの事実が判断条件なのかを固定しておく必要があります。特に「実際には」「本人も承諾」「必要だった」という補足事情が出たら、それが本当に正誤を変える条件かを確認してください。

貸借では、用途を一語変更するだけでも結論が変わります。「居住用」を「事業用」へ変えながら0.55か月分の数字を残すなど、数字ではなく対象だけを変更する誤肢が作れます。👉 もっともらしい事情ではなく、対象・行為・条件・数字の対応関係を見ることが、境界問題を処理する基本になります。

まとめ

この論点では、承諾と依頼、要求と受領、居住用と事業用の入れ替えが狙われます。特に正しい「0.55か月分」「1.1か月分」を別の対象へ移した選択肢や、依頼のない広告料金を別途請求できるとする文章に注意してください。本試験では、まず何についての報酬・費用なのかを確認します。

令和2年12月問34では、上限への承諾ではなく法定限度額、未受領ではなく要求行為、貸借では建物用途、広告料金では依頼の有無が判断の決め手です。👉 取引種類→行為→対象→承諾・依頼→数字の順番で確認すれば、似た誤肢にも対応できます。正しい数字や条件が書かれていても、別の対象へすり替えられていないかを最後に確認してください。

 

 ここが出る突破ポイント  権利関係  宅建業法  法令上の制限  税・その他
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