【宅建】宅建業法 35条(重要事項説明)の書面交付とは? |頻出ポイント・ひっかけ問題・過去問攻略・一問一答

宅建業法35条では、重要事項説明書を物件を取得し、または借りようとする者へ交付し、宅建士が重要事項を説明します。売買なら買主、貸借なら借主が中心であり、売主や貸主まで同じように説明対象とするわけではありません。本記事では平成27年問29を中心に、相手方、場所、代理取引、説明者と記名者を整理します。

35条書面の問題では、「誰が説明するか」だけでなく「誰に説明するか」を最初に確認する必要があります。さらに、宅建業者の事務所以外では説明できない、専任宅建士だけが説明できるなど、法律にない条件を加えた誤肢も頻出します。本試験では誰に→どこで→誰が→どの資格でという順番を固定してください。

目次

問題文を読んだら最初に何を見るか

35条書面の交付では、最初に重要事項説明を受ける相手方が誰なのかを確認します。売主・買主・貸主・借主が同時に登場すると、契約当事者全員へ説明する制度のように見えやすいからです。この章では、相手方、取引関係、説明場所、説明者という順番で判断します。

売買では、物件を取得しようとする買主が35条の説明・書面交付を受ける側です。貸借では、物件を借りようとする借主が対象となり、売主や貸主は同じ立場ではありません。まず「誰が物件を取得・利用する側か」を確認してください。

平成27年問29では、代理を依頼した者についても説明対象かどうかが問われています。宅建業者へ代理を依頼していても、その依頼者自身が建物の買主になろうとしているのであれば、取得者として重要事項説明を受ける側です。代理人が介在することだけを理由に説明不要とは判断しません。

問題文で注目する語句を次の表に整理します。この表を見る目的は、35条の交付対象と説明方法を選択肢から早く抽出することです。平成27年問29では、特に「買主」「貸主」「代理」「事務所以外」「専任」が判断語句になります。

問題文の語句判断ポイント
買主35条説明・書面交付の対象
借主35条説明・書面交付の対象
売主原則として説明対象ではない
貸主原則として説明対象ではない
物件を取得する者説明対象を確認
物件を借りる者説明対象を確認
代理を依頼依頼者が取得者か確認
宅建業者の事務所場所的制限ではない
自宅・勤務先35条説明可能
宅建士説明・記名を担当
専任宅建士35条では専任性不要
記名宅建士であればよい
重要事項説明宅建士が行う
35条書面契約判断のために交付

この表では、「契約の当事者か」という基準だけで判断しないことが重要です。35条では物件を取得・利用しようとする側へ情報を提供するという方向で整理すると、売主や貸主との違いが見えます。取引の矢印を簡単に書く方法も有効です。

本試験では次の順番で処理します。最初に取得者・借主を確定し、代理が介在している場合でも最終的に誰が物件を取得するのかを確認します。最後に説明場所と説明者の資格へ進んでください。

・① 誰が宅建業者なのか確認する
・② 誰が物件を取得・賃借するのか確認する
・③ 35条の説明・交付対象を確定する
・④ 代理人がいる場合は本人の立場を確認する
・⑤ 説明場所が不当に限定されていないか確認する
・⑥ 説明者が宅建士か確認する
・⑦ 専任宅建士に限定されていないか確認する
・⑧ 書面へ記名する者の資格を確認する

この順番なら、「売主にも重要事項説明が必要」「代理人を立てれば本人への説明不要」という誤肢を切りやすくなります。また、事務所以外という場所や専任でないという事情だけで×にするミスも防げます。35条が実際に要求する要件だけを残して判断してください。

宅建試験ではここが狙われやすい

35条書面の交付では、説明対象者の入れ替えが最も典型的なひっかけです。買主と売主、借主と貸主を交換するだけで、契約当事者だからどちらにも説明するように見える誤肢を作れます。問題文を読んだら「取得する側・借りる側」という矢印を先に固定してください。

もう一つは、代理・説明場所・専任性という余計な条件を利用する方法です。代理人がいるから本人は対象外、事務所以外だから禁止、専任宅建士でなければ説明不可とすると、法律より狭い文章になります。👉 相手方→代理関係→場所→宅建士資格の順番で確認すると判断が安定します。

35条書面は誰に交付するのか

35条書面は、宅地や建物を取得し、または借りようとする者へ交付するのが基本です。買主や借主が契約するかどうかを判断するための情報提供なので、取得・利用する側が保護対象になります。この章では、売買・貸借・交換を通じて説明対象を整理します。

売買契約なら、物件を購入する買主が重要事項説明を受けます。売主は物件を手放す側であり、その売主へ同じ35条説明をする制度ではありません。売主も契約当事者だから必要という判断をしないでください。

貸借でも考え方は同じです。建物や宅地を利用する借主が説明を受け、貸主は原則として35条の説明対象ではありません。契約類型が変わっても「取得・利用する側」という軸は共通しています。

相手方を比較すると次のようになります。表を見る目的は、契約当事者という広い概念から35条の説明対象を絞り込むことです。問題文の人物がどちら側なのかを先に確認してください。

契約類型説明を受ける側原則として説明対象外
売買買主売主
貸借借主貸主
交換宅建業者から物件を取得する相手方手放す物件のみの側面
代理取引最終的に取得・賃借する本人代理人の存在だけで除外しない

この表では、交換や代理のように人物関係が複雑な場合でも取得者を確認します。形式的に誰が契約書へ署名するかだけでなく、最終的に誰が物件を取得・利用するのかを見ることが必要です。判断の入口を「物件の行き先」にしてください。

例題1

売買契約では、宅建業者は買主に35条書面を交付し、重要事項を説明する。

解答・判断ポイント

正解:○

物件を取得する買主が35条説明の対象です。売主と買主を入れ替えないようにします。

誤肢分析

誤っている語句

なし

正しい修正

なし

35条の説明対象者を確認する基本問題です。

例題2

売買契約では、宅建業者は買主だけでなく売主にも35条書面を交付して重要事項を説明しなければならない。

解答・判断ポイント

正解:×

35条説明の対象は物件を取得する買主です。売主まで同じように対象とする部分が誤りです。

誤肢分析

誤っている語句

「売主にも」

正しい修正

「買主に」

契約当事者全員が対象だと思わせるひっかけです。

例題3

賃貸借契約では、物件を借りようとする借主が35条の重要事項説明を受ける。

解答・判断ポイント

正解:○

貸借では借主が利用者として契約判断を行います。貸主へ説明する制度と混同しないでください。

誤肢分析

誤っている語句

なし

正しい修正

なし

売買と貸借を同じ判断軸で処理できます。

宅建試験ではここが狙われやすい

相手方の問題では、売主・買主、貸主・借主という対になる人物を交換する誤肢が狙われます。35条は契約当事者全員へ公平に説明する制度ではなく、取得・利用する側の契約判断を支える制度です。人物名ではなく「受け取る側か、手放す側か」で整理してください。

さらに、交換契約では双方が物件を取得するため人物関係が複雑になります。宅建業者との関係で誰が何を取得するのかを確認し、必要な相手方へ説明するという基本へ戻ります。👉 契約名より物件の移動を見ることが、複雑な35条問題で有効です。

代理を依頼した者への重要事項説明

宅建業者へ代理を依頼していても、依頼者自身が物件を取得しようとしているなら重要事項説明の対象です。代理人が契約手続を担当することと、誰が最終的に買主・借主になるかは別の問題だからです。この章では平成27年問29第3肢の判断方法を整理します。

例えば、ある者が宅建業者へ建物購入の代理を依頼した場合を考えます。代理人が相手方との交渉や契約手続を行っていても、その依頼者が建物の買主になるなら取得者という立場は変わりません。したがって35条の説明対象となります。

本試験では、「宅建業者へ代理を依頼した」という事情を強調して説明不要に見せることがあります。代理という言葉に反応する前に、依頼者が売る側なのか買う側なのかを確認してください。本人の最終的な取引上の立場が決め手です。

代理関係を次の表で整理します。表を見る目的は、代理人の存在と35条の説明対象を別々に考えることです。代理人がいるという事実だけでは結論を出しません。

状況本人の立場35条の判断
購入の代理を依頼買主になる説明対象
賃借の代理を依頼借主になる説明対象
売却の代理を依頼売主になる原則対象外
貸付けの代理を依頼貸主になる原則対象外

この表では、代理の有無より本人が取得・利用する側かを確認します。買主や借主である本人を、代理人がいるという理由だけで保護対象から外すとは考えません。問題文では依頼内容の動詞を確認してください。

例題4

宅建業者に建物購入の代理を依頼した者が最終的に買主となる場合、その者は重要事項説明の対象となる。

解答・判断ポイント

正解:○

代理人が介在していても、本人が建物を取得する側なら35条の対象です。平成27年問29第3肢の判断に使う知識です。

誤肢分析

誤っている語句

なし

正しい修正

なし

代理関係と取得者を分ける問題です。

例題5

買主が宅建業者に購入の代理を依頼している場合、代理人が契約手続を行うため本人への重要事項説明は不要である。

解答・判断ポイント

正解:×

本人が物件を取得する買主である以上、代理の存在だけで説明対象から外れません。最終的な取得者を確認します。

誤肢分析

誤っている語句

「本人への重要事項説明は不要」

正しい修正

「買主となる本人は重要事項説明の対象となる」

代理制度と35条の保護対象を混同させています。

宅建試験ではここが狙われやすい

代理の問題では、契約手続をする者と物件を取得する者を同じものとして扱わせるひっかけが狙われます。代理人が前面に出て契約手続を行うため、本人が35条の説明対象から消えたように感じやすくなります。しかし取得者としての立場は代理によって変わりません。

逆に、売却や貸付けを代理させる本人であれば、取得・利用する側ではありません。代理という一語から結論を出さず、「何の代理を依頼したのか」を確認してください。👉 代理→依頼内容→本人の最終的な立場→35条対象かという順番が有効です。

重要事項説明と書面交付の場所

重要事項説明や35条書面の交付には、宅建業者の事務所だけという場所的制限はありません。相手方の自宅や勤務先などでも、35条で要求される手続を満たせば説明・交付できます。この章では平成27年問29第2肢を中心に場所の判断を整理します。

宅建業法には、事務所や案内所について標識や専任宅建士など多くの場所規制があります。そのため、重要事項説明も事務所内でなければならないように感じやすくなります。しかし35条の説明・交付について、そのような場所限定はありません。

平成27年問29では、事務所以外で重要事項説明を行うことができるという内容が正しい肢となっています。資料でも、相手方の自宅や勤務先などで行うことが可能と整理されています。場所だけを理由に35条違反と判断しないでください。

説明場所を比較します。表を見る目的は、場所の可否と35条の手続要件を分けることです。場所が自由でも説明方法まで自由になるわけではありません。

場所35条説明・交付判断ポイント
宅建業者の事務所可能一般的な場所
相手方の自宅可能場所的制限なし
相手方の勤務先可能場所的制限なし
事務所以外可能他の35条要件は必要

この表では、「事務所以外でも可能」と「どんな方法でもよい」を混同しないでください。説明する者は宅建士でなければならず、必要な35条書面を交付するという基本要件は変わりません。場所と手続を分けて判断します。

例題6

35条の重要事項説明は、宅建業者の事務所でなければ行うことができない。

解答・判断ポイント

正解:×

35条の説明・交付に事務所だけという場所的制限はありません。相手方の自宅や勤務先でも可能です。

誤肢分析

誤っている語句

「事務所でなければ」

正しい修正

「場所的な制限はない」

別の事務所規制を35条へ持ち込んだ誤肢です。

例題7

宅建士が相手方の自宅で35条書面を交付して重要事項説明を行うことは可能である。

解答・判断ポイント

正解:○

35条には説明場所の限定がありません。必要な説明・交付手続を満たしているかを確認します。

誤肢分析

誤っている語句

なし

正しい修正

なし

平成27年問29第2肢の判断に対応します。

宅建試験ではここが狙われやすい

説明場所では、宅建業法に存在する別の場所規制を35条へ流用する誤肢が作られます。事務所には標識や専任宅建士などの規制があるため、重要事項説明も事務所でしかできないように感じます。しかし35条の場所については別に判断する必要があります。

一方、場所制限がないという知識を使って、宅建士でない者でも外部で説明できると広げるのも誤りです。場所の自由と説明者の資格は独立した要件なので、一つが自由でも他方は省略できません。👉 場所は限定なし、説明者は宅建士と二つを分けてください。

説明する者・記名する者|専任宅建士でなくてよい

35条の重要事項説明を行う者は、宅建士であればよく、専任宅建士である必要はありません。専任宅建士は事務所等へ一定数設置する制度であり、35条の説明資格そのものとは別だからです。この章では説明者と書面へ記名する者の資格を整理します。

重要事項説明は宅建士が行わなければなりません。営業担当者や宅建業者の代表者であっても、宅建士資格がなければ説明者にはなれません。一方、その宅建士が事務所の専任宅建士として登録されている必要まではありません。

35条書面へ記名する者についても同様です。資料では、宅建士でありさえすればよく、専任宅建士であることまでは要求されないと整理されています。説明と記名の双方で「宅建士」と「専任宅建士」を区別してください。

役割と資格を比較します。表を見る目的は、35条で専任性が必要かどうかを固定することです。事務所設置義務との混同を防ぎます。

行為必要な者専任性
重要事項説明宅建士不要
35条書面への記名宅建士不要
事務所への配置専任宅建士必要
一定の案内所等への配置専任宅建士必要

この表では、「専任宅建士が説明した」という文章自体は誤りではないことにも注意してください。専任宅建士も宅建士なので説明できますが、「専任宅建士でなければならない」と限定すると誤りです。条件を必須としているかを確認します。

例題8

35条の重要事項説明は宅建士が行わなければならない。

解答・判断ポイント

正解:○

説明者には宅建士資格が必要です。営業担当者であれば誰でも説明できるわけではありません。

誤肢分析

誤っている語句

なし

正しい修正

なし

説明者の資格を確認する基本問題です。

例題9

35条の重要事項説明を行うことができるのは、事務所の専任宅建士に限られる。

解答・判断ポイント

正解:×

説明する者は宅建士であれば足ります。「専任宅建士に限る」という限定が誤りです。

誤肢分析

誤っている語句

「専任宅建士に限られる」

正しい修正

「宅建士であればよい」

平成27年問29第4肢の判断ポイントです。

例題10

35条書面へ記名する宅建士についても、専任宅建士である必要はない。

解答・判断ポイント

正解:○

記名者も宅建士であれば足ります。説明者と同様に専任性は要求されません。

誤肢分析

誤っている語句

なし

正しい修正

なし

記名と専任性の違いを確認します。

宅建試験ではここが狙われやすい

説明者の問題では、宅建士へ「専任」という余計な条件を追加する誤肢が頻出します。専任宅建士は宅建業法で重要な制度なので、重要事項説明のような重要業務も専任者しかできないと考えやすくなります。しかし35条が要求する資格は宅建士です。

同じひっかけは記名者にも使えます。「説明する宅建士と記名する宅建士はいずれも専任でなければならない」と書けば、資格と配置義務を同一視した誤肢になります。👉 行為資格=宅建士、配置義務=専任宅建士という区別を固定してください。

35条書面の交付と37条書面を混同しない

35条書面は、契約をするかどうか判断するために契約成立前に交付・説明する書面です。37条書面は成立した契約内容を明確にする書面であり、35条と同じ重要事項説明を行う制度ではありません。この章では書面交付という共通語から生じる混同を整理します。

35条では、宅建士による重要事項説明が必要です。相手方はその内容を理解したうえで契約するかどうかを決めるため、交付と説明が一体の制度として問題になります。37条では同じ説明義務を当然に要求するわけではありません。

また、35条と37条には宅建士の記名という共通部分があります。共通点があるため、交付時期や説明者まで同じだと考えると誤答します。書面ごとに目的・時期・説明の有無を確認してください。

両書面を比較します。表を見る目的は、書面交付という共通点の中から試験で問われる差を見つけることです。35条の記事なので必要な範囲に絞って確認します。

比較35条書面37条書面
目的契約判断契約内容の明確化
時期契約成立まで契約成立後
宅建士の説明必要同じ説明義務なし
宅建士の記名必要必要
主なひっかけ相手方・説明者時期・記載事項

この表では、「どちらも書面を渡す」という共通点だけで判断しないことが重要です。35条では誰に交付し誰が説明するかが強く問われ、37条では成立した契約について交付することが中心になります。契約成立という時点を境に制度を切り替えてください。

例題11

35条書面は、相手方が契約するか判断するために契約成立前に交付・説明する。

解答・判断ポイント

正解:○

35条は契約判断のための制度です。契約成立後の37条書面と区別してください。

誤肢分析

誤っている語句

なし

正しい修正

なし

35条書面の目的を確認します。

例題12

37条書面についても、35条書面と同じように宅建士が相手方へ内容を説明しなければならない。

解答・判断ポイント

正解:×

35条の重要事項説明義務を37条へ移しています。書面の記名という共通点だけで制度全体を同じにしません。

誤肢分析

誤っている語句

「宅建士が相手方へ内容を説明しなければならない」

正しい修正

「35条では宅建士による重要事項説明が必要」

35条と37条の説明義務を交換した誤肢です。

宅建試験ではここが狙われやすい

35条と37条では、共通する「書面」「宅建士の記名」を利用して相違点まで同じにするひっかけが狙われます。両方に宅建士が関係するため、35条の説明義務を37条へそのまま移す文章が自然に見えます。契約前後と説明義務の有無を確認してください。

35条の記事では、37条を細かく網羅する必要はありません。35条の交付対象・説明者・説明場所を判断する際に、契約後の37条書面と混同しないことが目的です。👉 35条=契約前+説明、37条=契約後という最小限の比較を使ってください。

過去問分析

この過去問では、35条書面について説明対象者、説明場所、代理関係、宅建士の専任性が横断的に問われています。四肢はすべて重要事項説明に関係しますが、相手方・場所・人物資格という異なる条件を判断する必要があります。この章では、指定された平成27年問29だけを分析します。

資料では、第1肢・第3肢・第4肢が誤りで、第2肢が正しい内容です。第1肢では説明対象者、第2肢では場所的制限、第3肢では代理依頼者、第4肢では宅建士と専任宅建士の違いが決め手です。したがって正解は2となります。

本問では35条の細かな説明内容ではなく、「誰に・どこで・誰が」という外形的な手続が中心です。これらを一つの35条ルールとしてまとめず、三つの判断軸へ分けると処理が速くなります。特に人物の立場を最初に整理してください。

最初に確認する語句

問題文では、買主・借主、売主・貸主、事務所以外、代理を依頼した者、宅建士、専任宅建士を最初に確認します。

平成27年(2015年)問29

問29

宅地建物取引業者が行う宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明及び書面の交付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、説明の相手方は宅地建物取引業者ではないものとする。

  1. 売主に対しては、買主に対してと同様に、宅地建物取引士をして、契約締結時までに重要事項を記載した書面を交付して、その説明をさせなければならない。
  2. 重要事項の説明及び書面の交付は、取引の相手方の自宅又は勤務する場所等、宅地建物取引業者の事務所以外の場所において行うことができる。
  3. 宅地建物取引業者が代理人として売買契約を締結し、建物の購入を行う場合は、代理を依頼した者に対して重要事項の説明をする必要はない。
  4. 重要事項の説明を行う宅地建物取引士は専任の宅地建物取引士でなくてもよいが、書面に記名する宅地建物取引士は専任の宅地建物取引士でなければならない。

正解:2

解説

本問は35条書面の交付・説明に関する手続を問う問題です。第1肢・第3肢・第4肢が誤りで、第2肢だけが正しい内容です。相手方・場所・説明者を別々に確認すると判断できます。

各肢の正誤理由

◆1(誤り)
35条書面の交付・説明を受けるのは、物件を取得したり借りたりしようとする者です。売買なら買主、貸借なら借主が対象であり、売主や貸主まで同様に説明する必要はありません。

◆2(正しい)
重要事項説明と35条書面の交付について、宅建業者の事務所だけという場所的制限はありません。相手方の自宅や勤務先などでも行うことができます。

◆3(誤り)
宅建業者へ代理を依頼した者が建物の買主になろうとしている場合、その者は物件を取得する側です。代理人がいることを理由に重要事項説明の対象から外れるわけではありません。

◆4(誤り)
重要事項説明を行う者は宅建士であれば足ります。専任宅建士である必要はなく、35条書面へ記名する宅建士についても同様です。

問題作成者のひっかけポイント

第1肢では、「契約当事者なら全員に説明する」という感覚を利用しています。実際には35条は取得・賃借する側の契約判断を支える制度なので、買主・借主を中心に判断します。契約当事者という広い分類を使わせる誤肢です。

第3肢では、代理という制度を使って本人の立場を見えにくくしています。代理人が契約手続をしていても、本人が最終的に建物を取得する買主なら35条の保護対象です。「誰が手続するか」と「誰が取得するか」を入れ替えています。

第4肢では宅建士に「専任」という条件を追加しています。専任宅建士は事務所等で重要な役割を持つため、35条説明も専任者だけができるように見えます。しかし説明・記名に必要なのは宅建士資格です。

受験生が迷う理由

35条では宅建業者、宅建士、買主、売主、代理人など複数の人物が登場します。そのため、説明する側と説明を受ける側を同時に考えると人物関係が混乱しやすくなります。まず相手方を確定し、その後に説明者へ進む方法が安全です。

説明場所についても、宅建業法に事務所規制が多いことが迷う原因です。標識や専任宅建士などの知識が強く残っていると、35条も事務所限定だと考えやすくなります。別の規制を持ち込まないでください。

専任宅建士については、重要な仕事をする人物という印象が強いため説明資格と混同しやすくなります。しかし35条の説明は宅建士であれば可能です。資格要件と配置上の専任性を切り離してください。

正しい判断手順

第1肢では、物件を取得・借りる側が誰かを確認します。買主・借主が35条の対象なので、売主・貸主まで同じように説明対象とする内容なら×です。最初に相手方を処理します。

第2肢では、説明場所に法律上の限定があるかを確認します。事務所以外でも可能なので○と判断できます。場所だけで決まるため短時間で処理できます。

第3肢では代理依頼者が最終的に買主かを確認し、第4肢では説明者が宅建士かを確認します。代理依頼者が買主なら説明対象であり、説明者は専任でなくても宅建士なら足ります。最後に1×・2○・3×・4×として正解2を確定します。

類似問題で使える知識

相手方の問題では、売買なら買主、貸借なら借主という基本を使います。交換や代理など人物関係が複雑な場合も、誰が最終的に物件を取得・利用するのかへ戻ります。この方法は35条全般で利用できます。

説明場所では、事務所・案内所の別規制と切り離します。自宅や勤務先という言葉が出ても、場所だけを理由に×にしません。その代わり宅建士による説明など35条の他要件を確認します。

説明者では、宅建士と専任宅建士を比較します。35条の説明・記名は宅建士、事務所等の設置義務では専任宅建士という違いを使います。役割ごとに資格を分ける方法が類似問題にも有効です。

宅建試験ではここが狙われやすい

平成27年問29では、35条が要求していない条件を加えたり、対象者を入れ替えたりする方法が使われています。売主・貸主まで説明対象とする、代理があれば本人を外す、専任宅建士だけに限定するという変更は、いずれも制度の範囲をずらした誤肢です。第2肢だけは場所的制限がないという35条のルールを正しく述べています。

👉 復習では、1=買主・借主が対象、2=場所制限なし、3=代理でも買主本人は対象、4=宅建士ならよく専任不要と圧縮してください。正しい文章を丸暗記するより、誰・どこ・資格のどの条件が変更されているかを見抜く方が類似問題に強くなります。選択肢を短い論点名へ変換する習慣が有効です。

一問一答|過去問の肢レベルで確認

ここでは、35条書面の交付について本試験レベルの誤肢を確認します。相手方、代理、説明場所、宅建士・専任宅建士を組み合わせ、単純な定義問題だけにならないよう構成します。誤りの場合は、変更された語句を正しい内容へ修正してください。

問題1
売買契約では、宅建業者は物件を取得しようとする買主に35条書面を交付して重要事項を説明する。
正解:○
物件を取得する買主が35条の説明対象です。

問題2
売買契約では、宅建業者は買主だけでなく売主にも35条書面を交付して重要事項を説明しなければならない。
正解:×
35条の説明対象は取得する側の買主です。
誤っている語句
「売主にも」
正しい修正
「買主に」

問題3
賃貸借契約では、宅建業者は借主に重要事項を説明する。
正解:○
物件を利用する借主が35条の説明対象となります。

問題4
建物の貸主は契約当事者であるため、借主と同じく必ず35条の重要事項説明を受ける。
正解:×
契約当事者全員が説明対象になるわけではありません。
誤っている語句
「貸主は」「借主と同じく」
正しい修正
「借主が重要事項説明を受ける」

問題5
宅建業者へ建物購入の代理を依頼した者が買主になる場合、その本人は35条の説明対象となる。
正解:○
代理人がいても、最終的な取得者が買主であることは変わりません。

問題6
買主が宅建業者に購入の代理を依頼していれば、代理人がいるため本人への重要事項説明は不要である。
正解:×
本人が買主なら35条の説明対象です。
誤っている語句
「本人への重要事項説明は不要」
正しい修正
「買主となる本人は説明対象となる」

問題7
重要事項説明は、宅建業者の事務所以外の場所でも行うことができる。
正解:○
35条には事務所だけという場所的制限はありません。

問題8
相手方の自宅では35条書面を交付できるが、重要事項の説明は宅建業者の事務所で行わなければならない。
正解:×
説明についても場所的制限はありません。
誤っている語句
「事務所で行わなければならない」
正しい修正
「場所的制限はない」

問題9
35条の重要事項説明は宅建士が行わなければならない。
正解:○
宅建士資格を持つ者が説明します。

問題10
重要事項説明を行える者は、その事務所の専任宅建士に限られる。
正解:×
宅建士であればよく、専任性は要求されません。
誤っている語句
「専任宅建士に限られる」
正しい修正
「宅建士であればよい」

問題11
35条書面へ記名する宅建士については、専任宅建士でなくてもよい。
正解:○
記名についても宅建士であれば足ります。

問題12
35条書面へ記名できるのは、重要事項説明を行う事務所の専任宅建士だけである。
正解:×
専任宅建士だけに限定する規定ではありません。
誤っている語句
「専任宅建士だけ」
正しい修正
「宅建士」

問題13
35条書面の交付対象を判断するときは、契約当事者全員ではなく、誰が物件を取得・利用する側かを確認する。
正解:○
買主・借主を見つけるための判断方法として有効です。

問題14
35条の説明場所に制限がないため、宅建士でない従業者でも相手方の自宅なら重要事項説明を行える。
正解:×
場所の自由と説明者資格は別の要件です。
誤っている語句
「宅建士でない従業者でも」
正しい修正
「宅建士が」

一問一答では、「相手方」「場所」「説明者」の三つを別々に確認してください。場所的制限がないから説明者も自由、代理人がいるから本人は対象外というように、一つの条件から別の要件まで広げると誤ります。35条では各要件を独立して処理します。

宅建試験ではここが狙われやすい

一問一答では、買主・売主、借主・貸主、宅建士・専任宅建士という対になる語句の入れ替えが中心です。どちらも宅建業法で頻繁に登場する正しい用語なので、文章の一部分だけを読むと違和感がありません。誰に対する規定か、どの行為に必要な資格かを確認してください。

さらに、「事務所以外でも説明可能」という正しい知識を利用し、宅建士資格まで不要にする誤肢も作れます。👉 一つの条件が緩いから他の条件も緩いとは判断しないことがポイントです。相手方・場所・資格を三つの別チェック項目として処理してください。

FAQ

35条書面の交付では、「代理人がいる場合は誰へ説明するのか」「場所が自由ならどこまで自由なのか」という境界で迷いやすくなります。FAQでは本文の単純な繰り返しではなく、条件を少し変更した場合の判断方法を確認します。迷ったときは、誰が最終的に物件を取得・利用するのかへ戻ってください。

また、宅建士と専任宅建士は同じ資格者であっても、試験で問われる役割が異なります。説明・記名という行為資格と、事務所等へ配置される専任性を分けることが必要です。用語の強さではなく法律上の役割を確認してください。

Q1.売主が「説明を受けたい」と希望したら35条の法定説明対象になりますか?
希望の有無だけで35条の法定対象を判断しません。試験では、物件を取得する買主や借りる借主が説明対象という基本を確認します。

Q2.買主の代理人だけに説明すれば、本人について考えなくてもよいですか?
代理人の存在だけで本人の立場を消さないでください。本人が最終的な買主・借主かを確認します。

Q3.売却の代理を宅建業者へ依頼した本人も35条の説明対象ですか?
本人が売主側なら、買主のように物件を取得する側ではありません。何の代理を依頼したのかを確認してください。

Q4.相手方の勤務先で重要事項説明をすると35条違反ですか?
勤務先という場所だけでは違反になりません。場所的制限はありませんが、宅建士による説明など他の要件は必要です。

Q5.事務所以外なら専任宅建士が出向かなければなりませんか?
専任性は35条の説明者要件ではありません。説明する者が宅建士であるかを確認します。

Q6.専任宅建士が説明した場合は問題がありますか?
問題ありません。専任宅建士も宅建士なので説明できますが、「専任でなければならない」という限定が誤りです。

Q7.説明する宅建士と書面へ記名する宅建士は必ず専任者ですか?
資料では、いずれも宅建士であればよく、専任宅建士であることは要求されていません。資格と専任性を分けてください。

Q8.35条の相手方で迷ったら何を最初に確認しますか?
誰が物件を取得・利用するのかを確認します。売買なら買主、貸借なら借主という基本から処理してください。

FAQで共通するのは、契約形式や肩書きより実際の立場と行為を見ることです。代理なら本人の取得者としての立場、専任なら35条に専任性が必要か、場所なら35条に場所制限があるかを確認します。強い言葉だけで○×を判断しないことが必要です。

宅建試験ではここが狙われやすい

境界事例では、「代理人がいるから本人は不要」「専任宅建士の方が資格要件を満たす」「事務所外だから禁止」という常識的に見える推測が使われます。しかし35条は、それぞれの要件を個別に定めているため、受験生側で条件を追加してはいけません。法律が要求している範囲と一致するかを確認してください。

また、「〜に限る」「必ず専任」「事務所以外ではできない」のような強い限定表現は狙われやすくなります。👉 限定語句を見つけたら、本当に35条にその制限があるかを確認してください。存在しない条件を削れば正しい文章になる誤肢が多くあります。

まとめ

35条書面の交付では、最初に誰が物件を取得・利用する側なのかを確認します。売買なら買主、貸借なら借主が基本で、代理が介在しても本人が取得者なら説明対象です。説明場所には事務所だけという制限はなく、説明・記名は宅建士であればよく専任性は不要です。

平成27年問29は1×・2○・3×・4×で正解2です。👉 本試験では相手方→代理関係→場所→宅建士資格の順番で確認し、売主と買主、宅建士と専任宅建士の入れ替えに注意してください。問題文のどこを見るかを固定することが、35条書面の交付問題を安定して解く基準になります。

 ここが出る突破ポイント  権利関係  宅建業法  法令上の制限  税・その他
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