宅地建物取引士の設置義務では、どの場所に何人の専任宅建士が必要なのかを正確に判断する必要があります。事務所では従業者の5人に1人以上ですが、案内所等では契約行為等を行うかによって設置義務そのものが変わります。本記事では令和3年12月問41を中心に、1/5、1人以上、2週間、未成年者の扱いを整理します。
専任宅建士の問題では、場所を確認せず人数だけを暗記すると誤答しやすくなります。特に案内所等では、「契約を締結する」「契約の申込みを受ける」という行為があるかどうかが最初の判断ポイントです。本試験では、場所→契約行為等→必要人数→不足後の措置という順番を固定してください。
問題文を読んだら最初に何を見るか
専任宅建士の設置義務では、最初に事務所なのか案内所等なのかを確認します。場所によって必要人数の基準が異なり、案内所等では契約行為等の有無によって設置義務そのものが変わるからです。この章では、場所、業務内容、人数、例外という順番で判断します。
令和3年12月問41では、第1肢と第3肢が案内所等、第2肢が法定数不足後の措置、第4肢が未成年者の専任宅建士を扱っています。四肢とも専任宅建士に関する問題ですが、同じ数字だけで処理することはできません。まず各肢を「場所」「不足」「年齢」のどれかに分類してください。
特に案内所等では、広告や説明だけを行う場所と、契約を締結したり契約の申込みを受けたりする場所を区別します。契約行為等を行わない案内所等には、専任宅建士を設置する必要はありません。案内所という名称だけを見て1人必要と判断しないことが重要です。
問題文で注目する語句を次の表に整理します。表を見る目的は、どの条件が専任宅建士の設置義務を発生させるのかを早く判断することです。令和3年12月問41では、「契約を締結しない」「申込みを受ける」「唯一の専任宅建士」「未成年者」が決め手になります。
| 問題文の語句 | 判断ポイント |
|---|---|
| 事務所 | 専任宅建士1/5以上 |
| 案内所等 | 契約行為等の有無を確認 |
| 契約を締結する | 専任宅建士が必要 |
| 契約の申込みを受ける | 専任宅建士が必要 |
| 契約を締結しない | 申込み受領の有無も確認 |
| 物件所在地 | 契約行為等がなければ設置不要 |
| 1/5以上 | 事務所の設置基準 |
| 1人以上 | 契約行為等を行う案内所等 |
| 唯一の専任宅建士 | 法定数不足を確認 |
| 退職 | 2週間以内の措置 |
| 未成年者 | 原則として専任宅建士になれない |
| 法人の役員 | 未成年者の特例を確認 |
この表では、「案内所等=1人」と機械的に覚えないことがポイントです。契約行為等を行う案内所等なら1人以上ですが、契約行為等を行わない場所では設置義務がありません。最初に業務内容を確認してから人数へ進みます。
本試験では次の順番で処理します。最初に場所を確定し、案内所等なら契約行為等の有無を確認してから必要人数を判断します。最後に法定数を下回った場合の2週間や、未成年者の例外を確認してください。
・① 事務所か案内所等かを確認する
・② 案内所等なら契約行為等の有無を確認する
・③ 事務所なら1/5以上か確認する
・④ 契約行為等を行う案内所等なら1人以上か確認する
・⑤ 契約行為等を行わない案内所等なら設置不要と判断する
・⑥ 法定数不足なら2週間以内の措置を確認する
・⑦ 未成年者なら原則と特例を確認する
この順番を使えば、「案内所だから専任宅建士1人が必要」という短絡を防げます。また、「契約を締結しない」と書かれていても、契約の申込みを受けるなら契約行為等に含まれるため注意が必要です。問題文では契約締結と申込み受領を別々に確認してください。
宅建試験ではここが狙われやすい
専任宅建士の設置義務では、場所と必要人数の入れ替えが最も作りやすいひっかけです。事務所の1/5以上を案内所等へ移したり、案内所等の1人以上を事務所へ適用したりすれば、数字自体は正しいため迷いやすくなります。数字を見る前に場所を固定してください。
さらに、案内所等では「契約を締結しない」という一文だけを強調し、その後に「契約の申込みを受ける」と書く誤肢が作れます。契約行為等には契約締結だけでなく申込みの受領も含まれるため、両方を確認する必要があります。👉 場所→契約締結・申込み→人数→不足・例外という順番が本試験での基本です。
専任宅建士の設置義務の基本
専任宅建士の設置義務では、事務所と案内所等で必要人数が異なります。事務所では業務に従事する者の5人に1人以上、契約行為等を行う案内所等では1人以上の専任宅建士が必要です。この章では、場所ごとの基準を比較して判断方法を整理します。
事務所では、従業者数に対する割合で専任宅建士の必要人数を計算します。5人なら1人以上、6人なら1人では1/5を下回るため2人必要というように判断します。単に「各事務所に1人」と覚えると人数問題で誤答します。
一方、契約行為等を行う案内所等では、従業者数に対する1/5という割合は使いません。必要なのは1人以上の専任宅建士です。事務所の割合基準と案内所等の人数基準を必ず分けてください。
場所ごとの基本ルールを比較します。表を見る目的は、専任宅建士の設置義務と必要人数を一度に確認することです。標識や届出とは別の規制なので、ここでは専任宅建士だけに注目します。
| 場所 | 専任宅建士 | 判断ポイント |
| 事務所 | 1/5以上 | 従業者数で計算 |
| 契約行為等を行う案内所等 | 1人以上 | 割合ではない |
| 契約行為等を行わない案内所等 | 不要 | 契約内容を確認 |
| 物件所在地のみ | 不要 | 契約行為等がなければ不要 |
この表では、案内所等について契約行為等の有無を確認することが最優先です。案内所という名称だけで専任宅建士1人以上と決めると、令和3年12月問41第1肢のような問題に対応できません。業務内容が設置義務を決めると理解してください。
事務所は5人に1人以上
事務所では、業務に従事する者の5人に1人以上の割合で専任宅建士を設置します。人数を固定しているのではなく割合基準なので、従業者数の増減に応じて必要人数が変わるからです。この章では、1/5という数字を何について使うかを整理します。
例えば事務所の従業者が5人なら、専任宅建士は1人以上必要です。従業者が10人なら2人以上必要となり、人数が増えれば必要な専任宅建士も増えます。「事務所には1人」という覚え方では処理できません。
本試験では、1/5という数字を案内所等へ移す誤肢に注意してください。契約行為等を行う案内所等では1人以上であり、従業者数の1/5という割合ではありません。数字の前に「事務所の」と付けて覚える方法が有効です。
例題1
宅建業者の事務所では、業務に従事する者の5人に1人以上の割合で専任宅建士を設置する。
解答・判断ポイント
正解:○
事務所では1/5以上が基本です。従業者数に応じて必要人数を判断します。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
1/5という数字が何についての数字かを確認する問題です。
例題2
宅建業者の事務所には、従業者数にかかわらず専任宅建士を1人置けば足りる。
解答・判断ポイント
正解:×
事務所は1/5以上という割合で判断します。従業者数によっては1人では不足します。
誤肢分析
誤っている語句
「従業者数にかかわらず1人」
正しい修正
「業務に従事する者の5人に1人以上」
案内所等の1人以上と混同させる誤肢です。
宅建試験ではここが狙われやすい
事務所の設置義務では、1/5という割合を1人という人数へ変える誤肢が狙われます。事務所の従業者が少ない設定なら結果として1人で足りる場合もあるため、「1人」という記述が常に誤りとは限りません。割合を満たしているかを計算する必要があります。
また、1/5の計算では「専任宅建士が何人必要か」だけでなく、問題文の従業者数を正確に読むことが必要です。人数が増えた場合に法定数を下回ることもあるため、現在の専任宅建士数との比較まで確認します。👉 事務所→従業者数→1/5以上→現在人数の順番で処理してください。
案内所等の設置義務|契約行為等の有無が決め手
案内所等では、契約行為等を行う場合に限って専任宅建士の設置が必要です。ここでいう契約行為等とは、契約を締結することだけでなく、契約の申込みを受けることも含みます。この章では、令和3年12月問41第1肢・第3肢を中心に判断方法を整理します。
案内所等で物件説明や広告活動をしていても、契約締結も申込み受領も行わないなら専任宅建士の設置義務はありません。逆に、その場所で契約を締結しなくても、契約の申込みを受けるなら設置義務があります。「契約を締結するか」だけで判断しないことが重要です。
令和3年12月問41第1肢では、「契約を締結することなく、かつ、契約の申込みを受けることがない」とされています。この案内所では契約行為等を行わないため、専任宅建士を設置する必要はありません。設置が必要とする記述が誤りになります。
契約行為等と設置義務を比較します。表を見る目的は、「契約締結」と「申込み受領」を別々に確認することです。どちらか一つでも行えば契約行為等を行う案内所等として処理します。
| 案内所等で行う行為 | 専任宅建士 | 判断 |
| 契約を締結する | 1人以上必要 | 契約行為等あり |
| 契約の申込みを受ける | 1人以上必要 | 契約行為等あり |
| 両方行う | 1人以上必要 | 契約行為等あり |
| どちらも行わない | 不要 | 契約行為等なし |
この表では、「申込みを受けるだけ」という場面を見落とさないことがポイントです。契約そのものを締結していなくても、申込み受領があれば専任宅建士の設置義務が生じます。問題文の動詞を一つずつ確認してください。
例題3
案内所等で契約を締結せず、契約の申込みも受けない場合、その案内所等に専任宅建士を設置する必要はない。
解答・判断ポイント
正解:○
契約行為等を行わない案内所等なので設置義務はありません。令和3年12月問41第1肢の判断に使う基本ルールです。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
案内所という名称ではなく業務内容を見る問題です。
例題4
案内所等で契約を締結しない場合は、契約の申込みを受けても専任宅建士を設置する必要はない。
解答・判断ポイント
正解:×
契約の申込みを受ける行為も契約行為等に含まれます。そのため専任宅建士1人以上が必要です。
誤肢分析
誤っている語句
「契約の申込みを受けても設置する必要はない」
正しい修正
「契約の申込みを受ける場合は1人以上必要」
契約締結だけに注目させる典型的なひっかけです。
例題5
契約の申込みを受ける案内所等では、従業者の5人に1人以上の専任宅建士を設置する。
解答・判断ポイント
正解:×
契約行為等を行う案内所等では1人以上です。1/5以上は事務所の設置基準です。
誤肢分析
誤っている語句
「5人に1人以上」
正しい修正
「1人以上」
事務所と案内所等の人数基準を交換した誤肢です。
宅建試験ではここが狙われやすい
案内所等では、「契約を締結しない」という一部分だけを読ませるひっかけが狙われます。その後に「契約の申込みを受ける」と書かれていれば、契約行為等を行っているため専任宅建士1人以上が必要です。契約締結と申込み受領を必ず二項目で確認してください。
逆に、契約締結も申込み受領も行わない案内所等について、案内所だから当然に1人必要とする誤肢も作れます。令和3年12月問41第1肢は、この設置義務そのものの有無を問う問題です。👉 案内所等→契約締結?→申込み受領?→どちらか○なら1人以上と処理してください。
専任宅建士が不足した場合|2週間以内
専任宅建士が法定数を下回った場合は、宅建業者が2週間以内に必要な措置を執らなければなりません。これは専任宅建士本人の義務ではなく、設置義務を負う宅建業者側の義務だからです。この章では、令和3年12月問41第2肢を中心に不足後の対応を整理します。
例えば事務所の唯一の専任宅建士が退職した場合、その事務所の専任宅建士数が0人になります。もともと1人以上必要な事務所なら法定数不足となるため、宅建業者が後任を雇うなどの措置を行う必要があります。その期限が2週間以内です。
問題文では、「30日以内」「1か月以内」など別の期間へ変更される可能性があります。宅建業法では30日という数字も頻出するため、数字だけを覚えていると混同しやすくなります。「専任宅建士不足=2週間」と対象までセットで確認してください。
不足後の判断を表で整理します。表を見る目的は、法定数不足を確認してから2週間を使うことです。退職したという事実だけで自動的に2週間と判断せず、現在の人数を確認します。
| 状況 | 判断 | 期間 |
| 法定数を満たしている | 措置不要 | ― |
| 唯一の専任宅建士が退職 | 不足を確認 | 2週間以内 |
| 人数減少でも法定数維持 | 不足なし | 措置不要 |
| 法定数不足 | 宅建業者が措置 | 2週間以内 |
この表では、「退職」という出来事より、その結果として法定数を下回ったかを確認してください。複数の専任宅建士がいる事務所では、一人退職しても1/5以上を維持している場合があります。現在人数と必要人数の比較が先です。
例題6
事務所の唯一の専任宅建士が退職して法定数を下回った場合、宅建業者は2週間以内に必要な措置を執る。
解答・判断ポイント
正解:○
法定数不足後は宅建業者が2週間以内に対応します。令和3年12月問41第2肢の中心知識です。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
「唯一」という語句から不足を判断できます。
例題7
専任宅建士が法定数を下回った場合、宅建業者は30日以内に必要な措置を執ればよい。
解答・判断ポイント
正解:×
法定数不足後の期間は2週間以内です。30日は別の届出制度などと混同した数字です。
誤肢分析
誤っている語句
「30日以内」
正しい修正
「2週間以内」
期間だけを変更した典型的な誤肢です。
例題8
専任宅建士が1人退職した場合は、残った人数が法定数を満たしていても2週間以内に補充しなければならない。
解答・判断ポイント
正解:×
2週間以内の措置が必要なのは、法定数を下回った場合です。退職者が出たという事実だけで補充義務を判断しません。
誤肢分析
誤っている語句
「法定数を満たしていても」
正しい修正
「法定数を下回った場合」
原因と法律効果の条件をずらした問題です。
宅建試験ではここが狙われやすい
不足後の措置では、2週間という数字だけでなく不足の有無を判断させる問題が狙われます。「専任宅建士が退職した」という事実だけでは足りず、その結果として1/5以上などの法定数を下回ったかを確認する必要があります。人数設定を読み飛ばさないでください。
また、義務者を退職した宅建士本人と宅建業者で入れ替えることもできます。設置義務を負っているのは宅建業者なので、法定数不足後に措置を執る主体も宅建業者です。👉 退職等→必要人数を再計算→不足なら宅建業者が2週間以内と処理してください。
未成年者と専任宅建士|原則と特例
事務所や契約行為等を行う案内所等には、成年者である専任宅建士を設置することが原則です。宅建業の営業に関して成年者と同一の行為能力を有する未成年者でも、原則として専任宅建士にはなれません。この章では、令和3年12月問41第4肢で問われた原則と特例を整理します。
未成年者でも、宅建業に関し営業を許された場合などには宅建士登録を受けられる場合があります。しかし、宅建士登録を受けられることと、成年者である専任宅建士になれることは別の問題です。「宅建士になれる=専任宅建士になれる」と考えないでください。
例外として、宅建業者本人が宅建士である場合や、法人宅建業者の役員が宅建士である場合には特例があります。この場合、未成年者でも成年者である専任宅建士とみなされる場合があります。問題文に「役員であるときを除き」などの条件があるかを確認してください。
未成年者の扱いを比較します。表を見る目的は、資格登録と専任宅建士を別の制度として判断することです。特例の有無まで確認してから○×を決めます。
| 未成年者の状況 | 宅建士登録 | 専任宅建士 |
| 営業に関し成年者と同一の行為能力あり | 可能な場合あり | 原則不可 |
| その他の未成年者 | 原則不可 | 不可 |
| 宅建業者本人が宅建士 | 特例あり | みなし規定を確認 |
| 法人業者の役員が宅建士 | 特例あり | みなし規定を確認 |
この表では、宅建士登録が可能という結論を専任宅建士まで広げないことが重要です。令和3年12月問41第4肢では、役員である場合を除いて特例がないことが明示されていました。そのため原則どおり、未成年者は専任宅建士にはなれないと判断します。
例題9
宅建業に関し成年者と同一の行為能力を有する未成年者は、宅建士登録を受けられる場合がある。
解答・判断ポイント
正解:○
営業に関する行為能力の特例によって、登録可能な場合があります。専任宅建士になれるかは別に判断します。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
登録と専任設置を分ける入口の問題です。
例題10
宅建士登録を受けることができる未成年者は、当然に成年者である専任宅建士になることができる。
解答・判断ポイント
正解:×
宅建士登録の可否と専任宅建士の要件は別です。未成年者は原則として成年者である専任宅建士にはなれません。
誤肢分析
誤っている語句
「当然に」
正しい修正
「原則として専任宅建士にはなれない」
資格登録と設置要件を混同させる誤肢です。
例題11
法人宅建業者の役員である未成年の宅建士については、成年者である専任宅建士とみなされる場合がある。
解答・判断ポイント
正解:○
役員である場合には特例を確認します。原則と例外を分けることが必要です。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
令和3年12月問41第4肢の例外部分に対応する知識です。
宅建試験ではここが狙われやすい
未成年者の問題では、宅建士登録と専任宅建士の資格を同じものとして扱わせる誤肢が狙われます。宅建士登録を受けられる未成年者が存在しても、それだけで成年者である専任宅建士になれるわけではありません。二段階で判断することが必要です。
さらに、法人業者の役員などに関する特例を削除したり、逆にすべての未成年者へ広げたりする問題にも注意します。原則だけではなく、問題文に特例を発生させる立場が書かれているかを確認してください。👉 未成年者→登録可能か→専任は原則不可→本人・役員なら特例確認という順番が有効です。
過去問分析
この過去問では、専任宅建士について案内所等の設置義務、法定数不足、申込み受領、未成年者の特例を横断して判断します。正解するには、1/5や1人という数字だけではなく、契約行為等の有無と人物の立場まで確認する必要があります。この章では、令和3年12月問41の各肢を簡潔に分析します。
提供された模範解答では、第1肢が誤りで、第2肢・第3肢・第4肢が正しい内容です。第1肢は契約行為等を行わない案内所等に専任宅建士を要求している点が誤りです。したがって、誤っているものを選ぶ本問の正解は1となります。
本問は、案内所等なら必ず専任宅建士が必要だと暗記している受験生ほど迷いやすい問題です。契約を締結するかだけでなく、契約の申込みを受けるかまで確認することが必要です。場所の名称より実際に行う業務を優先してください。
最初に確認する語句
問題文では、案内所、契約締結、契約の申込み、唯一の専任宅建士、2週間、未成年者、役員を最初に確認します。
令和3年(2021年)12月 問41
宅地建物取引士に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。
- 宅地建物取引業者Aは、一団の宅地建物の分譲をするため設置した案内所には、契約を締結することなく、かつ、契約の申込みを受けることがないときでも、1名以上の専任の宅地建物取引士を置かなければならない。
- 宅地建物取引業者Bは、その主たる事務所に従事する唯一の専任の宅地建物取引士が退職したときは、2週間以内に、宅地建物取引業法第31条の3第1項の規定に適合させるため必要な措置を執らなければならない。
- 宅地建物取引業者Cが、20戸の一団の分譲建物の売買契約の申込みのみを受ける案内所甲を設置した場合、売買契約の締結は事務所乙で行うとしても、甲にも専任の宅地建物取引士を置かなければならない。
- 法人である宅地建物取引業者D社の従業者であり、宅地建物取引業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有する18歳未満の宅地建物取引士Eは、D社の役員であるときを除き、D社の専任の宅地建物取引士となることができない。
正解:1
解説
本問は専任宅建士の設置義務について誤っているものを選ぶ問題です。第1肢が誤りで、第2肢・第3肢・第4肢は正しい内容です。場所と契約行為等の有無を最初に確認します。
各肢の正誤理由
◆1(誤り)
契約締結も契約の申込み受領も行わない案内所等には、専任宅建士を設置する必要はありません。案内所だから当然に1人必要とする内容が誤りです。
◆2(正しい)
専任宅建士が法定数を下回った場合、宅建業者は2週間以内に必要な措置を執ります。唯一の専任宅建士が退職したため不足すると判断できます。
◆3(正しい)
契約の申込みを受ける行為は契約行為等に含まれます。そのため、その案内所等には専任宅建士1人以上が必要です。
◆4(正しい)
未成年者は、宅建士登録を受けられる場合でも原則として成年者である専任宅建士にはなれません。法人宅建業者の役員である場合などには特例があります。
問題作成者のひっかけポイント
第1肢では、「案内所」という場所だけを見て1人以上必要と思わせています。しかし専任宅建士を設置する案内所等は、契約締結または契約の申込みを受ける場所です。契約行為等を行わないことを問題文から読み取る必要があります。
第2肢では、「唯一の専任宅建士」という表現から法定数不足を判断させています。単に退職したという事実ではなく、不足した結果に対して2週間以内という期間を適用します。数字の前提条件を確認する問題です。
第3肢では、「契約締結をしない」という情報があったとしても、契約の申込みを受けるなら設置義務が生じます。第4肢では宅建士登録の可否と成年者である専任宅建士の要件を分けています。似た制度や行為の一部分だけを見ると誤答しやすい構成です。
受験生が迷う理由
専任宅建士について「事務所は1/5、案内所は1人」とだけ暗記していると、第1肢を誤って○にしやすくなります。案内所等については、専任宅建士を置く必要がある場所かどうかを先に確認しなければなりません。人数は設置義務があると分かってから使う知識です。
また、「契約を締結する」と「契約の申込みを受ける」を別の重要度で考えることも迷う原因です。専任宅建士設置義務では、どちらも契約行為等として扱います。「まだ契約していないから不要」という感覚を使わないでください。
未成年者についても、宅建士登録を受けられる場合があるという知識が強く残ると、専任宅建士にもなれると考えやすくなります。しかし成年者である専任宅建士という別の要件があります。資格登録と設置義務を別に判断してください。
正しい判断手順
第1肢では、①案内所等、②契約締結なし、③申込み受領なし、と確認します。契約行為等を行わない場所なので専任宅建士の設置義務はありません。したがって設置が必要とする第1肢を×とします。
第2肢では、唯一の専任宅建士が退職したため法定数不足と判断します。その後に宅建業者が2週間以内に必要な措置を執るというルールを当てはめます。これで第2肢は○です。
第3肢では契約の申込みを受けるため設置義務あり、第4肢では未成年者の原則と役員特例を確認します。第3肢・第4肢はいずれも正しい内容です。最後に1×・2○・3○・4○として正解1を確定します。
類似問題で使える知識
案内所等の類似問題では、契約締結と申込み受領の二つを確認する方法が使えます。どちらか一方でも行うなら専任宅建士1人以上が必要です。どちらも行わなければ設置義務はありません。
人数問題では、事務所の1/5以上と案内所等の1人以上を比較できます。法定数不足後には2週間以内という別の数字も追加されるため、「場所」「人数」「期間」を分けて整理します。数字だけを横並びにしないことがポイントです。
未成年者では、宅建士登録と成年者である専任宅建士の違いを利用できます。登録できる場合でも原則として専任宅建士にはなれず、宅建業者本人や法人業者の役員などの特例を確認します。同じ判断方法で原則・例外問題へ対応できます。
宅建試験ではここが狙われやすい
令和3年12月問41では、正しい数字を使う前段階の条件確認が強く問われています。第1肢では「案内所なら1人」という知識を使う前に、そもそも契約行為等を行う案内所等なのかを確認しなければなりません。数字の暗記だけでは正解しにくい問題です。
第2肢では2週間、第3肢では1人以上、第4肢では未成年者の原則・特例が正しく使われています。👉 復習では、1=契約行為等なしなら不要、2=不足後2週間、3=申込み受領なら1人、4=未成年者は原則不可・役員等は特例と圧縮してください。判断条件を説明できれば類似問題にも対応できます。
一問一答|過去問の肢レベルで確認
ここでは、専任宅建士の設置義務について本試験レベルの誤肢を確認します。事務所、案内所等、契約行為等、1/5、1人、2週間、未成年者を組み合わせて判断します。正誤だけでなく、誤っている語句を正しい内容へ修正できるか確認してください。
問題1
宅建業者の事務所では、業務に従事する者の5人に1人以上の割合で専任宅建士を設置する必要がある。
正解:○
事務所では1/5以上という割合で必要人数を判断します。
問題2
宅建業者の事務所には、従業者数にかかわらず専任宅建士が1人いれば足りる。
正解:×
事務所は1/5以上が基準です。
誤っている語句
「従業者数にかかわらず1人」
正しい修正
「業務に従事する者の5人に1人以上」
問題3
契約を締結し、又は契約の申込みを受ける案内所等には、専任宅建士を1人以上設置する必要がある。
正解:○
契約行為等を行う案内所等は1人以上が基準です。
問題4
契約を締結せず、契約の申込みも受けない案内所等にも、専任宅建士を1人以上置かなければならない。
正解:×
契約行為等を行わない案内所等には設置義務がありません。
誤っている語句
「1人以上置かなければならない」
正しい修正
「専任宅建士を設置する必要はない」
問題5
案内所等で契約の締結は行わないが、契約の申込みを受ける場合は専任宅建士を設置する必要がある。
正解:○
申込み受領も契約行為等に含まれます。
問題6
契約の申込みを受けるだけの案内所等では、契約そのものを締結しないため専任宅建士は不要である。
正解:×
申込みを受けるだけでも設置義務があります。
誤っている語句
「専任宅建士は不要」
正しい修正
「専任宅建士1人以上が必要」
問題7
契約行為等を行う案内所等では、従業者の5人に1人以上の専任宅建士を置かなければならない。
正解:×
案内所等では1人以上です。
誤っている語句
「5人に1人以上」
正しい修正
「1人以上」
問題8
事務所の専任宅建士が法定数を下回った場合、宅建業者は2週間以内に必要な措置を執る。
正解:○
2週間は法定数不足後の措置期間です。
問題9
専任宅建士が1人退職した場合は、残る人数が法定数を満たしていても2週間以内に補充しなければならない。
正解:×
法定数を下回った場合に措置が必要です。
誤っている語句
「法定数を満たしていても」
正しい修正
「法定数を下回った場合」
問題10
専任宅建士が法定数に不足した場合、宅建業者は30日以内に必要な措置を執ればよい。
正解:×
期間は2週間以内です。
誤っている語句
「30日以内」
正しい修正
「2週間以内」
問題11
宅建業に関し成年者と同一の行為能力を有する未成年者は、宅建士登録を受けられる場合がある。
正解:○
登録の可否と専任宅建士の要件は別に判断します。
問題12
宅建士登録を受けることができる未成年者は、当然に成年者である専任宅建士になることができる。
正解:×
未成年者は原則として成年者である専任宅建士にはなれません。
誤っている語句
「当然に」
正しい修正
「原則として専任宅建士にはなれない」
問題13
法人宅建業者の役員である未成年の宅建士については、成年者である専任宅建士とみなされる場合がある。
正解:○
法人業者の役員などについては特例を確認します。
一問一答では、問題文に数字が出たら最初に場所を確認してください。1/5は事務所、1人以上は契約行為等を行う案内所等、2週間は法定数不足後の措置です。数字に制度名を付けて判断すると入れ替え問題に対応できます。
宅建試験ではここが狙われやすい
一問一答で最も狙われやすいのは、1/5・1人・2週間を別の場面へ移す誤肢です。数字そのものはすべて正しいため、何についての数字かを確認せず暗記していると誤答します。場所や状況を確定してから数字を当てはめてください。
もう一つのポイントは、契約締結と申込み受領を別々に確認することです。「契約を締結しない」という語句があっても、その後に申込み受領があれば専任宅建士1人以上が必要です。👉 場所・行為・人数・期間・例外の五点を最後に見直してください。
FAQ
専任宅建士の設置義務では、「案内所なら必ず1人必要なのか」「退職したら必ず補充するのか」という境界で迷いやすくなります。FAQでは本文をそのまま繰り返すのではなく、条件が少し変化した場合の判断方法を確認します。迷った場合は、場所と契約行為等の有無へ戻ってください。
また、専任宅建士の設置義務では人数だけでなく、その人物が専任宅建士になれるかも問題になります。未成年者については宅建士登録の可否と専任要件を分ける必要があります。複数の制度を一つの資格要件として処理しないでください。
Q1.案内所を設けたら必ず専任宅建士が必要ですか?
必ずではありません。契約締結または契約の申込みを受ける案内所等かを最初に確認します。
Q2.物件の説明だけをする案内所にも専任宅建士が必要ですか?
契約締結も申込み受領も行わないなら、専任宅建士の設置義務はありません。案内所という名称だけでは判断しません。
Q3.契約書を作らない案内所なら専任宅建士は不要ですか?
契約の申込みを受けるかを確認してください。申込みを受けるなら契約行為等を行う案内所等として1人以上必要です。
Q4.事務所に専任宅建士が1人いれば必ず足りますか?
従業者数によります。事務所では5人に1人以上という割合を満たしているかを確認します。
Q5.専任宅建士が退職したら必ず2週間以内に補充しますか?
退職後に法定数を下回った場合に必要な措置を確認します。残った人数で法定数を満たしていれば同じ結論にはなりません。
Q6.2週間以内に行うのは退職した宅建士本人ですか?
違います。専任宅建士の設置義務を負う宅建業者が必要な措置を執ります。
Q7.未成年でも宅建士登録を受けられれば専任宅建士になれますか?
登録の可否と専任宅建士の要件は別です。未成年者は原則として成年者である専任宅建士にはなれません。
Q8.未成年者は絶対に専任宅建士になれませんか?
絶対ではありません。宅建業者本人や法人宅建業者の役員である場合など、特例が問題になる場合があります。
FAQでは、「必ず」「絶対」「〜だけなら不要」という限定表現に注意してください。専任宅建士の設置義務は、場所、契約行為等、人数、人物の立場によって結論が変わります。強い断定があれば例外や追加条件がないか確認します。
宅建試験ではここが狙われやすい
境界事例では、設置義務があるかどうかと必要人数を同時に考えないことが重要です。案内所等については、まず契約行為等を行う場所かを確認し、設置義務があると分かってから1人以上という人数を使います。順番を逆にすると第1肢のような問題で誤ります。
さらに、未成年者では「宅建士になれる」と「専任宅建士になれる」が入れ替えられます。資格登録の可否と、成年者である専任宅建士の設置要件は別制度です。👉 資格を持つかではなく、その場所で専任者として設置できるかまで確認してください。
まとめ
専任宅建士の設置義務では、最初に事務所か案内所等かを確認します。事務所は5人に1人以上、契約行為等を行う案内所等は1人以上、契約行為等を行わない案内所等は設置不要です。法定数を下回った場合は、宅建業者が2週間以内に必要な措置を執ります。
令和3年12月問41は1×・2○・3○・4○で正解1です。👉 本試験では「場所→契約締結・申込み→必要人数→不足後2週間→未成年者の例外」という順番を固定してください。特に1/5・1人以上・2週間を何についての数字かまで説明できる状態が得点につながります。
