建築基準法の高さ制限では、最初にどの用途地域にある建築物かを確認します。絶対的高さ制限はすべての住居系用途地域に適用されるのではなく、対象地域が限定されているためです。この記事では令和4年問18を中心に、10m・12m、総合設計制度、用途地域のひっかけを整理します。
高さ制限では、数字だけでなくどの規制についての高さなのかを区別する必要があります。絶対的高さ制限、斜線制限、総合設計制度による緩和は、高さに関係していても適用条件と判断方法が異なります。本試験では用途地域→高さ規制の種類→数字→緩和・例外の順番を固定してください。
問題文を読んだら最初に何を見るか
高さ制限の問題では、最初に用途地域と規制の種類を確認します。同じ10m・12mという数字でも、絶対的高さ制限を適用する地域が違えば選択肢の結論も変わるからです。この章では、問題文で最初に確認する語句と判断順序を整理します。
次に、問題文が通常の高さ制限を聞いているのか、総合設計制度などによる緩和を聞いているのかを確認します。特定行政庁の許可という語句があれば、通常の高さ上限をそのまま適用する問題ではない可能性があります。原則の高さ→緩和制度の有無という順番で処理してください。
令和4年問18では、高さ制限以外に用途制限と2項道路も同じ問題に含まれています。そのため四肢すべてを高さの知識だけで解こうとせず、肢ごとに用途・総合設計・道路・絶対的高さ制限へ分類する必要があります。問題全体のテーマ名より、各選択肢が何条の論点なのかを先に見抜いてください。
問題文で注目する語句を次の表で整理します。この表を見る目的は、選択肢のどこへ線を引けば正誤を判断できるかを明確にすることです。地域名・数字・許可・規制対象を分けて確認します。
| 問題文の語句 | 判断ポイント |
|---|---|
| 第一種低層住居専用地域 | 絶対的高さ制限を確認 |
| 第二種低層住居専用地域 | 絶対的高さ制限を確認 |
| 田園住居地域 | 絶対的高さ制限を確認 |
| 第一種住居地域 | 絶対的高さ制限の対象外 |
| 10m・12m | 絶対的高さ制限の数字 |
| 都市計画 | 10m又は12mの上限を確認 |
| 総合設計制度 | 容積率・高さ制限の緩和 |
| 特定行政庁の許可 | 総合設計制度の条件 |
| 一定の空地 | 総合設計制度の前提 |
| 建蔽率 | 総合設計で割増しする対象か確認 |
| 容積率 | 総合設計による緩和対象 |
| 各部分の高さ | 総合設計による緩和対象 |
| 幅員1.8m未満 | 2項道路の特殊な指定を確認 |
| 建築審査会の同意 | 1.8m未満の道で確認 |
| 神社・寺院・教会 | 用途制限の対象地域を確認 |
この表では、10m・12mだけを見て高さ制限と判断しないことがポイントです。第一種住居地域と書かれていれば、数字が10m又は12mで正しくても絶対的高さ制限の適用地域が誤っています。数字より先に地域を確認してください。
本試験では、次の順番で高さ制限の肢を処理します。高さの数字へ進む前に対象用途地域を確定し、緩和制度が出ていれば通常規制と分離して判断します。令和4年問18の各肢もこの分類から始めると処理しやすくなります。
・①どの用途地域か確認する
・②何の高さ制限を問うか確認する
・③絶対的高さ制限なら対象地域を確認する
・④10m又は12mという数字を確認する
・⑤総合設計制度の記載があるか確認する
・⑥特定行政庁の許可条件を確認する
・⑦何の制限を緩和できるか確認する
・⑧建蔽率と容積率を混同していないか確認する
・⑨道路や用途制限など別論点なら分離して判断する
この順番なら、肢2は総合設計制度、肢4は絶対的高さ制限として即座に分類できます。肢1・3は高さ制限ではないため、無理に高さ規制の知識へ当てはめず用途制限と道路の知識で処理します。問題全体ではなく肢ごとに論点を確定することが実戦的です。
宅建試験ではここが狙われやすい
高さ制限では、出題者が正しい数字を対象外の用途地域へ移すことで自然な誤肢を作れます。10m・12mという絶対的高さ制限の数字が正しくても、「第一種住居地域」に適用すると書けば地域の入れ替えによって誤りになります。数字を覚えているだけでは切れないため、必ず用途地域と一組で確認してください。
また、総合設計制度では「容積率・高さ」を「建蔽率・高さ」へ変更するだけで誤肢を作れます。一定の空地を確保する制度なのに建蔽率まで割増しできるとすると、制度の仕組みと逆方向になる点も判断材料です。何を緩和できる制度かを確認してから選択肢を判定してください。
建築基準法の高さ制限の基本判断
高さ制限では、用途地域と高さ規制の種類を組み合わせることが基本です。建築基準法には絶対的高さ制限、斜線制限、日影規制などがあり、すべての地域へ同じ高さ上限が一律に適用されるわけではありません。この章では令和4年問18に直結する絶対的高さ制限を中心に、他の高さ規制との区別を整理します。
絶対的高さ制限は低層住宅地を守る規制
絶対的高さ制限は、低層住宅地の環境を守るため建築物そのものの高さへ上限を設ける規制です。対象地域では都市計画により10m又は12mのいずれかが定められ、その上限を超える建築を原則として制限します。令和4年問18では、この数字より適用される用途地域が正誤の中心です。
「住宅系用途地域だから全部10mか12m」と覚えるのは誤りです。第一種住居地域や第二種住居地域は住居系ですが、絶対的高さ制限の対象となる低層住居専用グループには含まれません。地域名称の「住居」という共通部分だけで判断しないでください。
高さ規制を本試験で区別するため、必要な範囲だけを比較します。この表を見る目的は、絶対的高さ制限と他の高さ規制を同じ数字で処理しないことです。まず規制名を確定してから数字へ進んでください。
| 高さ規制 | 主な判断材料 | 本試験で見る点 |
| 絶対的高さ制限 | 用途地域・10m又は12m | 対象地域か |
| 道路斜線制限 | 前面道路 | 道路との関係 |
| 隣地斜線制限 | 隣地境界線 | 対象用途地域 |
| 北側斜線制限 | 北側境界 | 対象用途地域 |
| 日影規制 | 用途地域・高さ等 | 対象建築物か |
この表では、絶対的高さ制限だけが一律の高さ数値を覚える問題だと整理すると判断しやすくなります。斜線制限は道路や境界線との位置関係で各部分の高さを制限するため、単純に「建物は12mまで」とする規制ではありません。上限数字か位置関係かを区別してください。
例題1
住居系用途地域では、すべての建築物について高さ10m又は12mの絶対的高さ制限が適用される。
解答・判断ポイント
正解:×
絶対的高さ制限が適用される用途地域は限定されています。第一種住居地域など住居系用途地域すべてに適用されるわけではありません。地域範囲を広げた誤肢です。
誤肢分析
誤っている語句
「住居系用途地域では、すべて」
正しい修正
「第一種・第二種低層住居専用地域及び田園住居地域で確認する」
この誤肢は、「住居」という共通名称を使って適用範囲を広げています。宅建では似た用途地域をまとめ過ぎると正誤を切れなくなるため、低層住居専用という語句まで正確に確認してください。低層グループ限定と整理します。
例題2
絶対的高さ制限は、建築物の高さを都市計画で10m又は12mに制限する制度である。
解答・判断ポイント
正解:○
対象用途地域では都市計画により10m又は12mの上限を定めます。ただし、その数字を使う前に対象地域へ該当するか確認する必要があります。数字だけを独立して使わないでください。
宅建試験ではここが狙われやすい
高さ制限の基本では、規制の対象地域を一段広げる方法が狙われます。第一種低層住居専用地域を第一種住居地域へ変更しても名称の大部分が似ているため、流し読みでは「第一種」と「住居」だけを拾って誤答しやすくなります。正式な用途地域名を最後まで読んでください。
また、絶対的高さ制限を斜線制限と混同させる肢にも注意します。絶対的高さ制限は10m又は12mという建築物全体の上限を問題にしますが、斜線制限は道路や隣地境界との関係から建築物の各部分の高さを制限します。高さ制限という大分類だけで同じ制度と考えないことが必要です。
絶対的高さ制限はどの用途地域に適用されるか
絶対的高さ制限が適用されるのは、第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・田園住居地域です。低層の良好な住環境を維持する必要が強い地域へ適用する規制であり、第一種住居地域には適用されません。この章では令和4年問18の肢4を解くため、地域の入れ替えを中心に整理します。
第一種住居地域には適用されない
令和4年問18の肢4では、第一種住居地域内の建築物に絶対的高さ制限を適用する内容が誤りとなっています。10m又は12mという数字そのものは絶対的高さ制限として正しいため、第一種住居地域という区域名を見抜けるかが決定点です。添付資料でも、この地域の誤りが肢4の判定理由とされています。
第一種低層住居専用地域と第一種住居地域は名称が似ていますが、別の用途地域です。「低層住居専用」が入っているかどうかによって絶対的高さ制限の適用が変わるので、省略して覚えてはいけません。問題文では地域名の中央部分まで確認してください。
対象地域を比較表で整理します。この表を見る目的は、住居系用途地域を丸ごと一つのグループとして判断しないことです。絶対的高さ制限の対象か否かだけに絞って確認します。
| 用途地域 | 絶対的高さ制限 |
| 第一種低層住居専用地域 | 適用 |
| 第二種低層住居専用地域 | 適用 |
| 田園住居地域 | 適用 |
| 第一種中高層住居専用地域 | 適用しない |
| 第二種中高層住居専用地域 | 適用しない |
| 第一種住居地域 | 適用しない |
| 第二種住居地域 | 適用しない |
この表では、「低層」という言葉が判断の中心になります。中高層住居専用地域は住宅環境を保護する地域でも絶対的高さ制限の対象ではなく、別の高さ規制を確認します。低層専用・田園だけという線引きを固定してください。
10mと12mはどちらか一方が定められる
絶対的高さ制限では、都市計画によって10m又は12mのいずれかを定めます。「10mか12mを建築主が自由に選べる」という意味ではなく、その区域について定められた上限へ従う規制です。選択肢に「建築主が選択」とあれば主体を確認してください。
また、「10m及び12m」という二重の上限を同時に適用するわけでもありません。都市計画で定めた数値がその区域の基本的な最高限度となるため、問題文ではどちらが指定されているかを読み取ります。又はという接続語にも注意してください。
例題3
第一種住居地域では、都市計画により建築物の高さを10m又は12mに制限しなければならない。
解答・判断ポイント
正解:×
第一種住居地域は絶対的高さ制限の対象地域ではありません。10m又は12mという数字が正しくても、適用地域が誤っています。令和4年問18の肢4型です。
誤肢分析
誤っている語句
「第一種住居地域」
正しい修正
「第一種・第二種低層住居専用地域又は田園住居地域」
この誤肢は、数字を正しくして地域だけを変更しています。数字暗記型の受験生ほど10m・12mを見た瞬間に正しいと判断しやすいため、最初に用途地域へ線を引いてください。数字より地域を先に見るのが対策です。
例題4
第一種低層住居専用地域では、建築主が10m又は12mのどちらを適用するか自由に選択できる。
解答・判断ポイント
正解:×
10m又は12mは都市計画で定められる数値です。建築主が建築計画ごとに有利な方を選択する仕組みではありません。決定主体を入れ替えた誤肢です。
誤肢分析
誤っている語句
「建築主が自由に選択」
正しい修正
「都市計画で10m又は12mの最高限度を定める」
この誤肢は数字も対象地域も正しくして、誰が数値を決めるのかだけを変更しています。法令上の制限では主体交換も典型なので、「誰が定めるか」を数字と一緒に確認してください。都市計画という語句まで含めて整理します。
宅建試験ではここが狙われやすい
絶対的高さ制限では、第一種低層住居専用地域と第一種住居地域の交換が最も狙われやすい形です。どちらも第一種・住居という語を含むため、「低層」「専用」の部分を読み飛ばすと同じ地域のように感じます。地域名は省略せず一続きで確認してください。
さらに、10m・12mの決定主体を都市計画から建築主や特定行政庁へ変更する誤肢も作れます。数字が完全に正しくても、どこで誰が定める数値かが違えば選択肢全体は誤りです。対象地域+都市計画+10m又は12mを正しい基準文として使ってください。
総合設計制度と高さ制限の緩和
総合設計制度では、一定の要件を満たす建築物について容積率や各部分の高さの制限を緩和できます。一定規模の敷地と空地を確保し、市街地環境の整備改善に資すると特定行政庁が認めて許可することが前提だからです。この章では令和4年問18の肢2を中心に、何を緩和できて何を割増しできないかを整理します。
容積率と高さは緩和対象
総合設計制度は、敷地内に一定割合以上の空地を確保した良好な建築計画に対して規制を緩和する制度です。現行制度でも、国土交通省は容積率制限や道路斜線制限、絶対高さ制限などの高さ制限を特定行政庁の許可により緩和できると整理しています。
この制度では、土地を建物でいっぱいに使わせることが目的ではありません。むしろ一定の空地を設け、市街地環境を改善することと引換えに容積率や高さの自由度を高める制度です。空地を確保して高さ・容積を緩和という構造で理解してください。
総合設計制度で混同しやすい規制を表で整理します。この表を見る目的は、「建蔽率」と「容積率」を交換した誤肢を切ることです。似た割合規制でも制度上の扱いは同じではありません。
| 規制 | 総合設計制度での基本判断 |
| 容積率 | 許可の範囲で緩和可能 |
| 絶対的高さ制限 | 許可の範囲で緩和可能 |
| 斜線制限 | 高さ制限として緩和可能 |
| 建蔽率 | 上限を超える割増し対象ではない |
| 空地 | 制度利用の重要な前提 |
この表では、建蔽率を緩和しない理由を制度の仕組みから確認できます。空地を一定割合確保することが前提なのに建築面積を広げる方向へ建蔽率を上乗せすると、空地確保と逆方向になります。数字暗記だけでなく制度の構造も誤肢判断に利用してください。
特定行政庁の許可が必要
総合設計制度は、空地を確保しただけで自動的に高さ制限が緩和される制度ではありません。特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がなく、市街地環境の整備改善に資すると認めて許可することが必要です。国土交通省の現行資料でも、この許可を前提とする制度として説明されています。
したがって「公開空地を設ければ当然に容積率を増やせる」という肢は条件を削っています。宅建では許可を届出へ変えたり、特定行政庁の判断を不要としたりする形にも注意が必要です。空地+特定行政庁の許可を一組として確認してください。
例題5
総合設計制度では、一定の要件を満たして特定行政庁の許可を受ければ、容積率や高さ制限を緩和できる場合がある。
解答・判断ポイント
正解:○
総合設計制度の基本的な法律効果です。容積率と各部分の高さを許可の範囲で緩和することができます。空地と許可の条件も確認してください。
例題6
総合設計制度では、公開空地を設ける代わりに建蔽率の最高限度を超えることができる。
解答・判断ポイント
正解:×
総合設計制度で緩和対象となる中心は容積率と高さ制限です。建蔽率の最高限度そのものを割り増す制度ではありません。令和4年問18の肢2型の誤りです。
誤肢分析
誤っている語句
「建蔽率の最高限度を超える」
正しい修正
「容積率や各部分の高さについて許可の範囲で限度を超えることができる」
この誤肢は、建蔽率と容積率という似た割合規制を交換しています。敷地内に空地を確保する制度趣旨を考えても、建蔽率を増やす方向は不自然だと判断できます。空地と建蔽率の関係も補助的な切り方になります。
例題7
総合設計制度では、一定の空地さえ確保すれば特定行政庁の許可を受けずに高さ制限を超えることができる。
解答・判断ポイント
正解:×
一定の空地だけで自動的に緩和される制度ではありません。特定行政庁の許可を含む法定要件を満たす必要があります。手続条件を削った誤肢です。
誤肢分析
誤っている語句
「許可を受けずに」
正しい修正
「特定行政庁が所定の要件を確認して許可した場合」
この誤肢は総合設計制度の物理的条件だけを残し、行政上の手続を削っています。法令上の制限では「条件は満たすが許可不要」という形が頻出するので、最後まで許可主体を確認してください。許可と自動適用を区別します。
宅建試験ではここが狙われやすい
総合設計制度では、建蔽率と容積率の交換が最も典型的なひっかけです。どちらも敷地面積に関係する割合規制なので名称だけを覚えていると混同しますが、制度が緩和する中心は容積率や高さ制限です。空地を確保する制度であることからも建蔽率の割増しには注意できます。
さらに、特定行政庁の許可を不要としたり、公開空地の確保だけで当然に緩和されるとする肢にも注意します。総合設計制度は建築主が自由に選択して規制を外せる制度ではなく、環境改善への寄与を行政が審査する許可制度です。対象規制・許可主体・空地条件の三点を確認してください。
過去問分析
令和4年問18は、用途制限、総合設計制度、2項道路、絶対的高さ制限という異なる論点を一問で横断する問題です。正解3は幅員1.8m未満の2項道路に関する建築審査会の同意を正しく示し、他の肢は用途・緩和対象・高さ制限の地域を誤っています。この章では解説を簡潔にしつつ、どの語句で正誤を切るかを整理します。
最初に確認する語句
問題文では、神社・寺院・教会、総合設計制度、建蔽率、幅員1.8m未満、建築審査会、第一種住居地域、10m又は12mを最初に確認します。肢1は用途制限、肢2は総合設計制度、肢3は2項道路、肢4は絶対的高さ制限として分類します。各肢の論点を分ければ、不要な高さ計算をする必要はありません。
令和4年(2022年)問18
次の記述のうち、建築基準法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
- 第一種低層住居専用地域内においては、神社、寺院、教会を建築することはできない。
- その敷地内に一定の空地を有し、かつ、その敷地面積が一定規模以上である建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がなく、かつ、その建蔽率、容積率及び各部分の高さについて総合的な配慮がなされていることにより市街地の環境の整備改善に資すると認めて許可したものの建蔽率、容積率又は各部分の高さは、その許可の範囲内において、関係規定による限度を超えるものとすることができる。
- 法第3章の規定が適用されるに至った際、現に建築物が立ち並んでいる幅員1.8m未満の道で、あらかじめ、建築審査会の同意を得て特定行政庁が指定したものは、同章の規定における道路とみなされる。
- 第一種住居地域内においては、建築物の高さは、10m又は12mのうち当該地域に関する都市計画において定められた建築物の高さの限度を超えてはならない。
正解:3
解説
正しい肢3は、幅員1.8m未満の道を2項道路として指定する特殊な場合に、特定行政庁があらかじめ建築審査会の同意を得る必要があるという内容です。肢1は神社等の用途制限、肢2は総合設計制度で緩和できる規制、肢4は絶対的高さ制限の適用地域を誤っています。
各肢の正誤理由
肢1 誤り
神社、寺院、教会は用途制限上、各用途地域で建築することができます。特定の用途地域では建築できないとする内容が誤りです。
肢2 誤り
総合設計制度では、一定の空地等の要件を満たして特定行政庁の許可を受けることで、容積率や高さ制限を緩和できます。建蔽率の最高限度を超えられるとする点が誤りです。
肢3 正しい
幅員4m未満の一定の道は特定行政庁の指定により2項道路となり、幅員1.8m未満の特殊な場合にはあらかじめ建築審査会の同意が必要です。指定主体と同意機関の両方が正しく示されています。
肢4 誤り
10m又は12mの絶対的高さ制限は、第一種・第二種低層住居専用地域と田園住居地域で確認します。第一種住居地域へ適用するとした点が誤りです。
問題作成者のひっかけポイント
この問題は、四肢すべてで正しい専門用語を残しながら一部分だけを変更する構造になっています。肢2では総合設計制度や特定行政庁という枠組みを正しく残し、容積率を建蔽率へ置き換えることで誤肢を作っています。肢4も10m・12mを正しく残し、用途地域だけを交換しています。
肢3では、従来の2項道路の基本知識から一段深い幅員1.8m未満という条件が出題されています。数字だけではなく、その場合に誰の同意が必要になるかまで問うことで、特定行政庁と建築審査会の役割を確認しています。数字+主体という法令上の制限らしい出題です。
受験生が迷う理由
令和4年問18は一つのテーマに統一された四肢ではないため、最初から高さ制限だけを思い出そうとすると処理が崩れます。用途制限、総合設計、道路、高さという四分野を短時間で切り替える必要があり、知識量より論点分類が重要になります。肢を読んだ瞬間に法令上のどの論点かを決めてください。
また、肢2と肢4は正しい語句が多いため、文章全体がもっともらしく見えます。総合設計制度の「建蔽率」、絶対的高さ制限の「第一種住居地域」という一語だけを見抜かなければなりません。正しい部分が多い肢ほど違う一語を探すことが必要です。
正しい判断手順
本試験では、最初に各肢の論点を分類します。次に数字・区域・規制対象・行政主体のどれが正誤を決めているかを探し、判定に必要な知識だけを使います。令和4年問18では条文全体を思い出す必要はありません。
・①神社等なら用途制限を確認する
・②総合設計制度なら緩和対象を確認する
・③建蔽率と容積率を区別する
・④2項道路なら幅員を確認する
・⑤1.8m未満なら建築審査会の同意を確認する
・⑥高さ制限なら用途地域を確認する
・⑦絶対的高さ制限なら低層住居専用グループか確認する
・⑧10m又は12mの数字を確認する
・⑨正しい用語の中に一語だけ交換がないか確認する
この順番なら、肢2は「建蔽率」、肢4は「第一種住居地域」という決定語句を早く発見できます。肢3も1.8m未満という特殊条件から建築審査会の同意へつなげれば正しいと判断できます。肢ごとの決定語句を探すことが最短ルートです。
類似問題で使える知識
類似問題では、第一種住居地域を第一種低層住居専用地域へ変更すれば、絶対的高さ制限の適用地域という点は正しい方向になります。さらに10m又は12mを15mへ変更すれば数字の誤りとなるため、区域と数値を別々に確認できます。一条件ずつ変えて正誤を反転させる練習が有効です。
総合設計制度では「容積率」を「建蔽率」へ交換するほか、「特定行政庁の許可」を「届出」に変更する誤肢も考えられます。2項道路では1.8mを2mへ変える、建築審査会を都市計画審議会へ変えるなど主体・数字の交換にも同じ判断方法を使えます。どこを直せば正しい文章になるかまで確認してください。
宅建試験ではここが狙われやすい
令和4年問18では、対象用途の交換、建蔽率と容積率の交換、行政主体、用途地域の交換という異なるひっかけが一問に集められています。共通するのは完全に架空の制度を作るのではなく、実在する制度・数字・名称を別の場所へ移して誤肢にしている点です。正しい単語があるから○とは判断できません。
高さ制限の記事として特に押さえるべきなのは肢2と肢4です。総合設計制度では高さを緩和できるが建蔽率の割増しではなく、絶対的高さ制限は10m又は12mだが第一種住居地域には適用しません。正しい数字や効果と正しい対象地域を結び付けることが得点につながります。
一問一答|過去問の肢レベルで確認
ここでは、絶対的高さ制限と総合設計制度を中心に、令和4年問18型のひっかけを確認します。単純な定義問題だけではなく、用途地域・数字・規制対象・許可主体を入れ替えた肢を作成しています。誤りの場合はどの語句を直せば正しい文章になるかまで確認してください。
問題1
第一種低層住居専用地域では、都市計画により建築物の高さの最高限度を10m又は12mと定める。
正解:○
絶対的高さ制限の対象地域と数字の組合せとして判断します。
問題2
第一種住居地域では、建築物の高さを10m又は12mに制限する絶対的高さ制限が適用される。
正解:×
第一種住居地域は絶対的高さ制限の対象ではありません。
誤っている語句
「第一種住居地域」
正しい修正
「第一種・第二種低層住居専用地域又は田園住居地域」
問題3
第二種低層住居専用地域では、絶対的高さ制限の対象となる。
正解:○
第一種だけでなく第二種低層住居専用地域も対象です。
問題4
第一種中高層住居専用地域も住宅地なので、10m又は12mの絶対的高さ制限が適用される。
正解:×
中高層住居専用地域は絶対的高さ制限の対象ではありません。
誤っている語句
「第一種中高層住居専用地域も」
正しい修正
「低層住居専用地域と田園住居地域で確認する」
問題5
絶対的高さ制限の10m又は12mは、建築主が建築計画ごとに選択できる。
正解:×
都市計画で定める数値であり、建築主が自由に選択するものではありません。
誤っている語句
「建築主が選択」
正しい修正
「都市計画で10m又は12mと定める」
問題6
総合設計制度では、一定の要件を満たして特定行政庁の許可を受ければ、容積率や高さ制限を緩和できる場合がある。
正解:○
空地を確保した良好な計画について認められる制度です。
問題7
総合設計制度では、建蔽率の最高限度を超えることを主要な緩和内容としている。
正解:×
建蔽率の上限を割り増す制度ではありません。
誤っている語句
「建蔽率の最高限度を超える」
正しい修正
「容積率や各部分の高さについて緩和を確認する」
問題8
総合設計制度では、一定の空地を確保すれば特定行政庁の許可は不要である。
正解:×
空地だけで自動的に規制緩和を受けられるわけではありません。
誤っている語句
「許可は不要」
正しい修正
「特定行政庁の許可を受ける」
問題9
絶対的高さ制限と道路斜線制限は、いずれも建築物全体を10m又は12m以下にする規制である。
正解:×
道路斜線制限は前面道路との関係で建築物の各部分の高さを制限します。
誤っている語句
「いずれも10m又は12m以下」
正しい修正
「10m又は12mは絶対的高さ制限で確認する」
問題10
田園住居地域は、絶対的高さ制限を確認する用途地域である。
正解:○
低層住居専用地域だけでなく田園住居地域も対象です。
問題11
幅員1.8m未満の一定の道を2項道路として指定する場合、特定行政庁はあらかじめ建築審査会の同意を得る。
正解:○
令和4年問18の正解肢で確認する判断です。
問題12
神社、寺院、教会は、第一種低層住居専用地域では用途制限により一律に建築できない。
正解:×
神社、寺院、教会は用途制限上建築できる用途です。
誤っている語句
「一律に建築できない」
正しい修正
「用途地域ごとの規定上、建築可能として判断する」
宅建試験ではここが狙われやすい
一問一答で確認したように、高さ制限では数字が正しいのに地域が違う肢が最も危険です。10m・12mを知っている受験生ほど数字を見た瞬間に正しいと感じますが、第一種住居地域や中高層住居専用地域へ適用されていれば誤りになります。最初に地域名を確認してください。
総合設計制度では、容積率と建蔽率の交換に加え、許可を届出へ変更する方法にも注意します。制度名・空地・特定行政庁という多くの正しい語句が並んでいても、緩和する対象や手続が一つ違えば全体は誤りです。制度名ではなく法律効果まで読むことが必要です。
FAQ
高さ制限では、10m・12mの選択方法、対象用途地域、総合設計制度による緩和との関係で迷いやすくなります。ここでは本文の定義を繰り返さず、二つ以上の条件が重なった場合の判断を整理します。迷った場合は用途地域→高さ規制→緩和制度の順番へ戻ってください。
Q1.第一種低層住居専用地域なら必ず高さ10mまでですか?
必ず10mとは限らず、都市計画で10m又は12mのいずれかが定められます。問題文にどちらが指定されているかを確認してください。
Q2.第一種住居地域に高さ12mの建物を建てるなら、絶対的高さ制限違反ですか?
第一種住居地域には法55条1項の絶対的高さ制限をそのまま適用しません。別の高さ規制に適合するかは別途判断します。
Q3.田園住居地域は農地に関係する地域なので、絶対的高さ制限はありませんか?
田園住居地域も絶対的高さ制限の対象です。名称の印象ではなく法定の対象用途地域として判断します。
Q4.総合設計制度の許可を受ければ、どんな高さ制限でも無制限に超えられますか?
無制限に建築できる制度ではありません。特定行政庁が計画を審査し、許可した範囲内で対象となる規制を緩和します。
Q5.総合設計制度で空地を広く取れば、その分だけ建蔽率も上げられますか?
総合設計制度の基本的な緩和対象は容積率や高さ制限です。空地確保と引換えに建蔽率上限を割り増す制度とは整理しません。
Q6.絶対的高さ制限と総合設計制度が同時に出たら、どちらを先に見ますか?
最初に通常適用される絶対的高さ制限を確認し、その後に総合設計制度による許可・緩和があるかを確認します。原則を確定してから特例へ進むと混乱しません。
宅建試験ではここが狙われやすい
FAQの境界事例では、絶対的高さ制限がないことを高さ規制が一切ないことへ広げる誤りに注意します。第一種住居地域に10m・12mの絶対的高さ制限はありませんが、道路斜線制限など別の高さ規制までなくなるわけではありません。何の高さ制限を聞かれているかを確認してください。
また、総合設計制度の緩和を「規制そのものが消える」と考えるのも危険です。許可された範囲内で特定の容積率・高さ制限について特例を受ける制度なので、建築基準法上のすべての規制を自由に超えられるわけではありません。原則→緩和対象→許可範囲という順番を守ってください。
まとめ
建築基準法の高さ制限では、最初に用途地域と高さ規制の種類を確認します。絶対的高さ制限は第一種・第二種低層住居専用地域と田園住居地域で確認し、都市計画で10m又は12mの上限が定められます。第一種住居地域と低層住居専用地域を混同しないことが基本です。
ひっかけでは、10m・12mという数字を正しく残して用途地域だけを交換する方法に注意します。総合設計制度では、容積率を建蔽率へ交換する、特定行政庁の許可を不要にするなど、法律効果や手続の一部だけを変える誤肢が作られます。正しい用語が多い肢ほど違う一語を探してください。
過去問攻略では、用途地域→高さ規制の種類→10m・12m→総合設計等の緩和→許可条件という順番を固定します。令和4年問18では肢4の第一種住居地域、肢2の建蔽率という語句を見抜き、肢3の幅員1.8m未満と建築審査会の同意を正しく判断できれば正解へ到達します。問題文のどこを見るかを固定することが、高さ制限のひっかけを安定して処理する方法です。
宅建試験ではここが狙われやすい
試験直前には、絶対的高さ制限=低層住居専用グループ・田園住居地域+10m又は12m、総合設計制度=容積率・高さの緩和+特定行政庁の許可という対応を確認します。特に第一種住居地域と第一種低層住居専用地域、建蔽率と容積率は名称が似ているため入れ替え問題へ注意してください。高さの数字だけではなく、どの地域の何の規制かを一組で判断することが得点ポイントです。
