宅建業法の損害賠償額の予定では、損害賠償額の予定と違約金を合計して代金の20%以内かを確認します。20%を超える定めをした場合でも、定め全体が無効になるのではなく20%を超える部分だけが無効になります。平成24年問38では、この20%制限、業者間取引、手付金等の保全措置を切り分けることが正解へのポイントです。
損害賠償額の予定で失点しやすいのは、20%という数字を知っていても誰との取引に使う数字なのかを確認しないことです。宅建業者が自ら売主となっても、買主も宅建業者なら8種制限は適用されないため、20%を超える定めもこの規制には違反しません。したがって数字を計算する前に、売主と買主の属性を確認する必要があります。
平成24年問38は個数問題であり、ア・イ・ウをそれぞれ独立して判断します。アは業者間取引、イは20%超過部分の効力、ウは完成物件における手付金等の保全措置が問題です。👉 対象者→20%の対象→超過部分の効力→似た数字との混同の順番で処理すると、個数問題でも安定して判断できます。
問題文を読んだら最初に何を見るか
損害賠償額の予定では、最初に宅建業者が自ら売主となっているか、買主も宅建業者かを確認します。一般買主との売買なら8種制限を適用しますが、業者間取引なら損害賠償額の予定に関する20%制限を適用しません。この章では、数字を計算する前に問題文から拾うべき語句を整理します。
次に確認するのは、「損害賠償額の予定」「違約金」「手付金」のどれが問われているかという点です。損害賠償額の予定と違約金は合算して20%を確認しますが、手付金についての20%上限は別の規制です。同じ20%が登場しても、何についての20%なのかを必ず確認してください。
さらに、20%を超えている場合は、その定めが全部無効なのか、一部だけ無効なのかを確認します。平成24年問38イでは900万円という定め全体を無効にするのではなく、600万円まで有効で300万円の超過部分だけが無効です。20%超過=全部無効という短絡的な判断をしないことが重要です。
問題文で注目する語句を整理します。この表を見る目的は、数字を計算する前に対象者と制度を分類することです。20%という数字だけを見つけて、すぐに違反と判断しないでください。
| 問題文の語句 | 判断ポイント |
|---|---|
| 宅建業者が自ら売主 | 8種制限を確認 |
| 買主も宅建業者 | 業者間取引として適用除外を確認 |
| 損害賠償額の予定 | 違約金と合算して20%を確認 |
| 違約金 | 損害賠償額の予定と合算 |
| 売買代金3,000万円 | 20%=600万円 |
| 900万円と定める | 600万円超の部分を確認 |
| 全部無効 | 誤りを疑う |
| 超える部分のみ無効 | 正しい処理を確認 |
| 完成物件 | 手付金等の保全基準を確認 |
| 手付金300万円 | 代金10%との関係を確認 |
この表では、ア・イ・ウで同じ3,000万円という数字が出ても、使い方が違うことがポイントです。アでは業者間取引なので20%計算自体を使わず、イでは20%=600万円を使い、ウでは10%=300万円を使います。一つの問題の中で割合が変わるため、制度名を確認してから数字を計算してください。
本試験では次の順番で処理します。個数問題でも一肢ずつ同じ順序で処理すれば、最後の個数計算だけに集中できます。数字を先に計算するより、対象者と制度を先に確定した方が誤答を減らせます。
・① 宅建業者が自ら売主か確認する
・② 買主も宅建業者か確認する
・③ 損害賠償・違約金・手付金のどれか分類する
・④ 一般買主なら20%制限を確認する
・⑤ 損害賠償額の予定と違約金を合算する
・⑥ 20%を超えた場合は超過部分だけ無効と判断する
・⑦ 手付金等なら保全措置の数字へ切り替える
この順番では、同じ「20%」という数字が別の規制へ使われていないかを確認できます。特に損害賠償額の予定では、20%を超えたら定め全体を無効とするのではなく、超過部分だけを切り離します。制度→対象→数字→効果の順番を維持してください。
宅建試験ではここが狙われやすい
この論点では、20%という正しい数字を業者間取引へ適用するひっかけが最も狙われます。売買代金3,000万円なら600万円という計算自体は正しいため、数字が合っているだけで○にしやすくなります。本試験では20%を計算する前に、買主が宅建業者ではないかを確認してください。
もう一つは、20%を超えた場合の効果を「全部無効」へ変更するひっかけです。正しくは20%を超える部分だけが無効となるため、900万円の定めなら600万円まで有効として残ります。👉 業者間か→20%か→超過部分だけ無効かの順番で確認することが得点ポイントです。
損害賠償額の予定|代金の20%が上限
宅建業者が自ら売主となり、買主が宅建業者ではない場合、損害賠償額の予定等には代金の20%という上限があります。損害賠償額の予定と違約金の両方を定めている場合は、それぞれ別々に20%までではなく合算して20%以内でなければなりません。この章では、平成24年問38イで使う600万円の求め方を整理します。
売買代金が3,000万円なら、3,000万円×20%=600万円です。したがって、一般買主との売買で損害賠償額の予定と違約金を合わせて600万円まで定めることができます。900万円と定めた場合は300万円分だけ上限を超えています。
ここで注意したいのは、損害賠償額の予定と違約金を別々の枠として計算しないことです。例えば損害賠償額の予定400万円、違約金400万円なら、それぞれ600万円以下でも合計800万円なので上限を超えます。一つ一つの金額ではなく合算額を見ることが重要です。
20%の計算方法を整理します。この表を見る目的は、600万円という数字を何の上限として使うかを明確にすることです。手付金の20%と混同しないよう、制度名まで一緒に確認してください。
| 項目 | 金額 |
| 売買代金 | 3,000万円 |
| 20% | 600万円 |
| 損害賠償額の予定+違約金 | 600万円まで |
| 900万円の定め | 300万円超過 |
この表では、900万円という定めがあるから契約自体まで無効になるわけではありません。無効となるのは600万円を超える300万円部分です。上限計算と無効範囲を二段階で確認してください。
例題1
売買代金3,000万円の一般買主との売買で、損害賠償額の予定と違約金の合計上限は600万円である。
解答・判断ポイント
正解:○
3,000万円×20%=600万円です。損害賠償額の予定と違約金を合算して判断します。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
20%の対象を確認する基本問題です。
例題2
売買代金3,000万円の場合、損害賠償額の予定600万円とは別に、違約金600万円も定めることができる。
解答・判断ポイント
正解:×
損害賠償額の予定と違約金は合算して20%以内にする必要があります。
誤肢分析
誤っている語句
「別に、違約金600万円も」
正しい修正
「損害賠償額の予定と違約金を合算して600万円以内」
二つの20%枠があるように見せる誤肢です。
例題3
損害賠償額の予定400万円、違約金400万円なら、どちらも600万円以下なので有効である。
解答・判断ポイント
正解:×
合計800万円となり、600万円を超える200万円部分が無効です。
誤肢分析
誤っている語句
「どちらも600万円以下なので有効」
正しい修正
「合算して600万円を超える部分は無効」
個別金額だけを見せるひっかけです。
例題4
損害賠償額の予定と違約金について20%を判断するときは、それぞれの金額ではなく合算額を見る。
解答・判断ポイント
正解:○
二つの定めを別々の上限として扱いません。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
本試験での処理方法を確認する問題です。
宅建試験ではここが狙われやすい
20%制限では、損害賠償額と違約金を別枠へ分ける誤肢が狙われます。「各20%まで」と書かれていると、二つとも法律上認められる金額のように見えますが、確認するのは合算額です。問題文で二種類の金銭が書かれていたら、まず足し算をしてください。
さらに、20%という数字を手付金の上限と混同させる方法にも注意します。損害賠償では予定額・違約金の合算が対象であり、手付金では受領する手付そのものが対象です。👉 何の20%か→何と何を合算するかまで確認してください。
20%を超えた場合|超過部分だけが無効
損害賠償額の予定等が代金の20%を超えた場合、定め全体が無効になるのではなく、20%を超える部分だけが無効です。平成24年問38イでは代金3,000万円の20%が600万円なので、900万円と定めても600万円まで有効として残ります。この章では、全部無効と一部無効の違いを整理します。
例えば900万円の損害賠償額を予定した場合、600万円までの部分は有効です。超過する300万円だけが無効となるため、最終的には600万円の定めとして扱われます。「20%を超えた」という事実だけで定めをゼロにしないでください。
この規定は、計算問題より文章問題として狙われやすい部分です。選択肢に「その定めはすべて無効」「損害賠償額を一切請求できない」と書かれていれば、超過部分のみ無効という原則と比較します。上限違反と無効範囲を別々に確認することが必要です。
無効となる範囲を比較します。この表を見る目的は、900万円のどこまでが残るのかを確認することです。20%を超えた後の法的効果まで覚えてください。
| 定めた額 | 上限 | 有効となる額 | 無効部分 |
| 500万円 | 600万円 | 500万円 | なし |
| 600万円 | 600万円 | 600万円 | なし |
| 900万円 | 600万円 | 600万円 | 300万円 |
この表では、600万円ちょうどなら超えていないため全部有効です。900万円なら600万円まで残り、300万円だけ切り落とされます。選択肢では「超える」と「以上」を入れ替える形にも注意してください。
例題5
売買代金3,000万円で損害賠償額を900万円と予定した場合、その定めは全部無効となる。
解答・判断ポイント
正解:×
600万円を超える300万円部分だけが無効です。
誤肢分析
誤っている語句
「全部無効」
正しい修正
「600万円を超える部分だけ無効」
平成24年問38イの中心的なひっかけです。
例題6
売買代金3,000万円で900万円の予定をした場合、600万円の定めとして扱われる。
解答・判断ポイント
正解:○
20%を超える300万円部分だけが無効となります。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
超過部分だけ無効という効果を確認する問題です。
例題7
20%を1円でも超えれば、損害賠償額の予定を定めなかったことになる。
解答・判断ポイント
正解:×
定め全部ではなく超過部分だけが無効です。
誤肢分析
誤っている語句
「定めなかったことになる」
正しい修正
「20%を超える部分のみ無効となる」
一部無効を全部無効へ広げた誤肢です。
宅建試験ではここが狙われやすい
この論点では、「超える部分だけ」を「定め全部」へ変更する一語のひっかけが頻出します。20%という数字を正確に計算できても、その後の効果を全部無効と判断すれば誤答します。本試験では「無効」という語句が出たら、その直前に「全部」「超過部分」とどちらが書かれているかを確認してください。
また、上限ちょうどの600万円まで無効にする文章にも注意します。無効になるのは20%を超える部分なので、20%ちょうどは残ります。👉 20%計算→超過額計算→超過部分だけ無効の三段階で処理してください。
業者間取引|20%制限は適用されない
損害賠償額の予定に関する制限は8種制限の一つなので、売主と買主がともに宅建業者である業者間取引には適用されません。平成24年問38アではAもBも宅建業者であるため、代金3,000万円の20%である600万円を超える額を予定しても、この規制には違反しません。この章では、数字を使う前の対象者判断を整理します。
アでは「3,000万円」「20%」という計算可能な数字が目に入ります。しかし買主も宅建業者なので、そもそも20%制限を適用する必要がありません。600万円を計算して超えているから誤りと判断すると、業者間特例を見落とします。
宅建試験では、正しい数字をあえて問題文へ入れて計算させた後、その数字が不要だったと気付かせる問題が多くあります。8種制限では特に、買主が宅建業者か一般買主かという対象者の違いが最初の分岐です。数字より人物の属性を先に見る方法を固定してください。
一般買主と業者間を比較します。この表を見る目的は、同じ損害賠償額でも取引相手によって20%制限の適用が変わることを確認することです。金額より先に相手方を見てください。
| 取引 | 損害賠償額の予定等の20%制限 |
| 宅建業者→一般買主 | 適用 |
| 宅建業者→宅建業者 | 適用されない |
| 代金3,000万円・一般買主 | 600万円まで |
| 代金3,000万円・業者間 | 8種制限の20%を使わない |
この表では、業者間だから宅建業法の規制がすべて適用されないと考えないことも必要です。適用されないのは8種制限であり、別の規制は個別に確認します。問題文では「業者間」という語句と「何の規制か」をセットにしてください。
例題8
宅建業者Aが宅建業者Bへ3,000万円で宅地を売却する場合、損害賠償額の予定は600万円以下でなければならない。
解答・判断ポイント
正解:×
業者間取引なので8種制限の20%上限は適用されません。
誤肢分析
誤っている語句
「600万円以下でなければならない」
正しい修正
「業者間取引では8種制限の20%制限は適用されない」
正しい600万円を対象外の取引へ使用した誤肢です。
例題9
損害賠償額の予定に関する問題では、20%を計算する前に買主が宅建業者か確認する。
解答・判断ポイント
正解:○
買主も宅建業者なら20%制限を適用しないためです。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
判断順序を確認する問題です。
宅建試験ではここが狙われやすい
業者間取引では、600万円という正しい計算結果を使わせることで対象者確認を忘れさせるひっかけが狙われます。計算問題に見えても、最初の一語で計算不要になるケースがあります。本試験ではA・Bの肩書きを読み、両者が宅建業者なら8種制限を外してください。
逆に、業者間特例を8種制限以外へ広げる文章にも注意します。👉 売主が宅建業者→買主も宅建業者か→8種制限かという順番で確認してください。20%を知っていることより、20%を使わない場面を見抜くことが重要です。
手付金等との違い|同じ数字に惑わされない
平成24年問38ウでは、損害賠償額の予定ではなく完成物件の手付金等の保全措置が問われています。資料では完成物件について、代金の10%または1,000万円を超える手付金等を受領する場合に保全措置が必要とされています。この章では、損害賠償の20%と手付金等の10%を混同しないための比較を行います。
本問の代金は3,000万円なので、その10%は300万円です。ウで受領している手付金は300万円であり、10%ちょうどで「10%を超える」ものではありません。そのため資料では、保全措置を講じなくても問題ないと判断されています。
ここで20%を使うと、3,000万円×20%=600万円となり、300万円なら当然問題ないという結論だけは偶然同じになります。しかし判断理由が間違っているため、金額を変更された類似問題では対応できません。損害賠償=20%、完成物件の保全基準=10%または1,000万円と制度ごとに切り替えてください。
比較表で整理します。この表を見る目的は、平成24年問38の中で割合が切り替わることを確認することです。同じ3,000万円でも制度によって計算する割合が異なります。
| 論点 | 確認する数字 |
| 損害賠償額の予定+違約金 | 20% |
| 代金3,000万円の20% | 600万円 |
| 完成物件の手付金等の保全 | 10%または1,000万円 |
| 代金3,000万円の10% | 300万円 |
この表では、300万円が「10%ちょうど」である点も重要です。資料では10%を超える場合に保全措置が必要なので、10%ちょうどはこの基準によっては保全措置不要です。「以上」と「超える」の入れ替えに注意してください。
例題10
完成物件で代金3,000万円、手付金300万円の場合、300万円は10%ちょうどなので資料上この基準による保全措置は不要である。
解答・判断ポイント
正解:○
300万円は3,000万円の10%であり、10%を超えていません。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
平成24年問38ウの判断です。
例題11
完成物件の手付金等についても、損害賠償額の予定と同じ20%を超えた場合に初めて保全措置が必要となる。
解答・判断ポイント
正解:×
資料では完成物件の保全基準は10%または1,000万円です。
誤肢分析
誤っている語句
「20%」
正しい修正
「10%または1,000万円」
損害賠償額の20%を保全措置へ移した誤肢です。
例題12
完成物件で手付金が代金の10%ちょうどなら、「10%を超える」には当たらない。
解答・判断ポイント
正解:○
10%ちょうどと10%超は区別します。
誤肢分析
誤っている語句
なし
正しい修正
なし
「超える」と「以上」の違いを確認する問題です。
宅建試験ではここが狙われやすい
似た数字では、20%を10%へ、10%を20%へ入れ替えるひっかけが狙われます。数字だけを暗記すると、どちらも8種制限に関連するため混同しやすくなります。本試験では数字の横に「損害賠償」「完成物件の保全」と制度名を付けてください。
さらに、「10%を超える」を「10%以上」に変更する文章にも注意します。300万円は10%ちょうどなので、本問では保全措置不要と判断されます。👉 制度名→割合→超えるか・以上かまで確認することが、ウのような数字問題を切るポイントです。
過去問分析
平成24年問38は、同じ8種制限の中で対象者・割合・法的効果を切り替えられるかを確認する個数問題です。アは業者間取引、イは損害賠償額の予定と違約金、ウは完成物件の手付金等の保全措置を問います。三肢を一つの20%ルールで処理せず、各肢を制度へ分類する必要があります。
本問ではア・イ・ウの三つすべてが誤りです。アは業者間なのに20%制限を適用する点、イは超過部分だけでなく定め全部を無効とする点、ウは10%ちょうどなのに保全措置が必要とする点が誤りです。したがって誤っているものは三つで、正解は3となります。
最初に確認する語句
問題文では、**AもBも宅建業者、20%、900万円、全部無効、完成物件、手付金300万円、10%**を最初に確認します。
平成24年(2012年)問38
宅地建物取引業者A社が、自ら売主として締結する建築工事完了後の新築分譲マンション(代金3,000万円)の売買契約に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはいくつあるか。
- ア A社は、宅地建物取引業者である買主Bとの当該売買契約の締結に際して、当事者の債務不履行を理由とする契約解除に伴う損害賠償の予定額を1,000万円とする特約を定めることができない。
- イ A社は、宅地建物取引業者でない買主Cとの当該売買契約の締結に際して、当事者の債務不履行を理由とする契約解除に伴う損害賠償の予定額300万円に加え、違約金を600万円とする特約を定めたが、違約金についてはすべて無効である。
- ウ A社は、宅地建物取引業者でない買主Dとの当該売買契約の締結に際して、宅地建物取引業法第41条の2の規定による手付金等の保全措置を講じた後でなければ、Dから300万円の手付金を受領することができない。
1.一つ
2. 二つ
3.三つ
4.なし
正解:3
解説
ア・イ・ウを独立して判断します。アは業者間取引、イは600万円を超える部分だけ無効、ウは300万円が10%ちょうどなので保全措置不要です。誤っているものは三つです。
各肢の正誤理由
各肢では同じ3,000万円を使いますが、確認する制度と割合が異なります。アとイは損害賠償額の予定、ウは手付金等の保全措置なので、数字だけを共通処理しないことが重要です。特にアは計算そのものが不要となります。
◆ア(誤り)
AもBも宅建業者であり、業者間取引です。損害賠償額の予定等に関する20%制限は8種制限なので、この取引には適用されません。したがって20%を超える予定額でも、そのことだけで違反とはなりません。
◆イ(誤り)
代金3,000万円の20%は600万円です。900万円と定めた場合でも定め全部が無効となるのではなく、600万円を超える300万円部分だけが無効となります。結果として600万円の定めとして扱います。
◆ウ(誤り)
完成物件なので、資料では代金の10%または1,000万円を超える手付金等について保全措置を確認します。3,000万円の10%は300万円であり、本肢の手付金も300万円なので10%を超えていません。したがってこの基準では保全措置を講じなくても問題ありません。
問題作成者のひっかけポイント
アでは、3,000万円という具体的な代金を見せて20%計算へ誘導しています。しかし正誤を分けるのは計算ではなく、AもBも宅建業者という対象者です。計算できる数字をあえて置いて、不要な計算をさせるタイプのひっかけです。
イでは900万円という明確な上限超過を示したうえで、「全部無効」という強い結論へ誘導します。20%を超える定めは禁止されると覚えている受験生ほど、定め全体が無効だと考えやすくなります。実際に変更されているのは上限ではなく、超過した場合の効果です。
ウでは、損害賠償の20%から手付金等の保全措置の10%へ数字を切り替えています。さらに300万円が10%ちょうどであるため、「10%以上」と「10%を超える」の違いも確認させています。同じ問題で制度・数字・比較語句を連続して変更する構成です。
受験生が迷う理由
個数問題では、一つの肢を間違えると最終的な個数まで変わるため、曖昧な知識で処理しにくい点があります。平成24年問38では三肢すべてが誤りなので、一つでも○と判断すると正解3へ到達できません。各肢を○×ではなく、誤っている具体的な語句まで確認する方法が有効です。
また、20%・10%・600万円・300万円という数字が短い問題文へ集中しています。数字だけを暗記していると、どの制度にどの割合を使うのか分からなくなります。数字の前に制度名、数字の後に法的効果を付けて判断してください。
正しい判断手順
アでは最初にA・B双方が宅建業者と確認し、8種制限を適用しないと判断します。したがって20%計算をせず、アを誤りとします。この時点で「業者間→20%制限なし」と短く処理できます。
イでは一般買主との取引として3,000万円×20%=600万円を計算します。次に900万円との差額300万円を求め、超過部分だけが無効と判断します。「全部無効」とするイは誤りです。
ウでは論点を完成物件の手付金等へ切り替えます。3,000万円×10%=300万円で、受領額も300万円なので「10%を超える」には当たりません。ア・イ・ウすべて誤りとなり、個数は三つです。
類似問題で使える知識
類似問題では、損害賠償額の予定と違約金が別々に提示されても必ず合算します。20%を超えた場合は超過部分だけ無効となるため、「全部無効」「契約全体無効」という強い表現を疑ってください。対象者が宅建業者なら、さらにその前に8種制限の適用除外を確認します。
手付金等が同じ問題へ入った場合は、20%という数字をそのまま使わないことが重要です。完成物件の保全措置では資料上10%または1,000万円という別の基準へ切り替えます。同じ代金額でも、制度が変われば使う割合も変わると考えてください。
宅建試験ではここが狙われやすい
平成24年問38では、対象者・数字・法的効果を一肢ごとに入れ替える方法が使われています。アは一般買主を業者間へ、イは超過部分無効を全部無効へ、ウは20%から10%へ判断軸が切り替わります。文章の一部分だけを見るのではなく、その肢で何を問うているかを最初に分類してください。
個数問題では、正しい肢を探すより各肢の「誤っている語句」を具体的に特定すると安定します。👉 ア=業者間、イ=超過部分だけ無効、ウ=10%ちょうどと短く整理すれば、三つとも誤りと判断できます。最後に誤りの個数を数え、正解3を選んでください。
一問一答|過去問の肢レベルで確認
ここでは損害賠償額の予定について、20%、違約金、超過部分の効力、業者間取引、手付金等との混同を本試験型で確認します。単純な数字問題だけでなく、正しい20%を誤った対象へ使った肢や、超過後の効果を変更した肢を含めます。誤りの場合は、どの語句を直せば正しい文章になるかまで確認してください。
問題1
一般買主との売買では、損害賠償額の予定と違約金を合算した額は代金の20%を超えることができない。
正解:○
損害賠償額の予定と違約金は別々ではなく合算して判断します。
問題2
売買代金3,000万円の場合、損害賠償額の予定等の上限は600万円である。
正解:○
3,000万円×20%=600万円です。
問題3
損害賠償額600万円と違約金600万円をそれぞれ定めても、各金額が20%以内なので有効である。
正解:×
二つを合算するため1,200万円となります。
誤っている語句
「各金額が20%以内なので」
正しい修正
「損害賠償額の予定と違約金を合算して20%以内」
問題4
代金3,000万円で900万円の損害賠償額を予定した場合、900万円の定め全部が無効となる。
正解:×
600万円を超える300万円部分だけが無効です。
誤っている語句
「定め全部が無効」
正しい修正
「600万円を超える300万円部分だけが無効」
問題5
代金3,000万円で900万円と定めた場合、結果として600万円の定めとして扱われる。
正解:○
20%を超える部分だけが無効となるためです。
問題6
20%を少しでも超える定めをした場合、損害賠償額を一切請求できなくなる。
正解:×
超過部分のみ無効となります。
誤っている語句
「一切請求できなくなる」
正しい修正
「20%までの部分は有効となる」
問題7
買主も宅建業者である場合、損害賠償額の予定に関する8種制限の20%上限は適用されない。
正解:○
業者間取引には8種制限を適用しません。
問題8
業者間取引でも、代金3,000万円なら損害賠償額の予定は600万円以下でなければならない。
正解:×
業者間にはこの8種制限を適用しません。
誤っている語句
「業者間取引でも」
正しい修正
「一般買主との取引では」
問題9
損害賠償額の予定の20%は、買主の属性を確認した後に使う数字である。
正解:○
買主も宅建業者なら20%制限を使わないためです。
問題10
完成物件の手付金等の保全措置では、損害賠償額と同じ20%を基準にする。
正解:×
資料では10%または1,000万円を基準にします。
誤っている語句
「20%」
正しい修正
「10%または1,000万円」
問題11
完成物件で代金3,000万円、手付金300万円なら、300万円は代金の10%ちょうどである。
正解:○
10%を超えていないため、本問の資料では保全措置不要と判断します。
問題12
完成物件では手付金等が代金の10%以上なら保全措置が必要であるため、10%ちょうども保全措置が必要である。
正解:×
資料では10%を「超える」場合です。
誤っている語句
「10%以上」
正しい修正
「10%を超える」
問題13
損害賠償額の予定400万円と違約金200万円なら、代金3,000万円の売買では合計600万円となる。
正解:○
20%ちょうどなので上限を超えていません。
問題14
損害賠償額の予定400万円と違約金300万円なら、700万円の定め全体が無効となる。
正解:×
600万円を超える100万円だけが無効です。
誤っている語句
「700万円の定め全体」
正しい修正
「600万円を超える100万円部分」
問題15
20%という数字が出たら、手付金・損害賠償・違約金のどの制度かを確認する。
正解:○
同じ割合でも規制対象が異なるためです。
問題16
平成24年問38アでは、600万円という上限計算より先にA・Bが宅建業者かを確認する。
正解:○
業者間なので20%制限を適用しません。
問題17
平成24年問38イでは、900万円が600万円を超えているため、その定めは全部無効となる。
正解:×
超過部分だけが無効です。
誤っている語句
「全部無効」
正しい修正
「600万円を超える部分だけ無効」
問題18
平成24年問38ウでは、損害賠償額と同じ20%を使って判断する。
正解:×
完成物件の手付金等の保全措置として10%基準を確認します。
誤っている語句
「同じ20%」
正しい修正
「完成物件の保全基準である10%または1,000万円」
問題19
個数問題では、各肢の誤っている語句を特定してから最後に個数を数える。
正解:○
一肢の曖昧な判断が最終解答へ影響するためです。
問題20
平成24年問38では、ア・イ・ウの三つが誤りである。
正解:○
誤っているものは三つなので正解は3です。
一問一答では、20%という数字を見つけてもすぐ計算しないことが重要です。業者間なら20%制限を使わず、違約金があれば損害賠償額の予定と合算し、超過した場合は超過部分だけを無効にします。数字・対象者・法的効果を一組として判断してください。
宅建試験ではここが狙われやすい
本試験では、正しい20%を残したまま**「各20%」「業者間でも20%」「全部無効」**と周辺条件だけを変更できます。そのため数字が正しい選択肢ほど、誰に対する規制なのか、何を合算するのか、超過後に何が無効になるのかを確認してください。割合だけを暗記しても安定して得点できません。
さらに、同じ問題の途中で10%へ数字を切り替える形にも注意します。👉 アは対象者、イは20%と超過部分、ウは10%ちょうどと独立して処理してください。個数問題では各肢を短い判断語句へ変換すると、最後の数え間違いも防ぎやすくなります。
FAQ
損害賠償額の予定では、違約金との合算方法、20%超過時の効力、実際の損害が大きい場合などで迷いやすくなります。FAQでは本文の単純な繰り返しではなく、正誤判断で境界になりやすい場面を整理します。判断に迷った場合は「予定を定めているか」「誰との取引か」へ戻ってください。
Q1.損害賠償額の予定と違約金は別の名称なので別々に20%まで認められますか?
認められません。平成24年問38の資料では、損害賠償の予定額と違約金の額を合算して代金の20%を確認します。
Q2.600万円の損害賠償額と1万円の違約金なら全部無効ですか?
全部無効とは判断しません。20%である600万円を超える部分だけが無効になるため、超過部分を切り分けます。
Q3.900万円と書かれた契約書そのものが無効になるのですか?
今回の資料では、そのようには整理されていません。損害賠償額等の定めについて20%を超える部分だけが無効です。
Q4.買主本人が900万円でよいと同意していれば有効ですか?
今回の資料では、一般買主との8種制限について買主の同意を上限解除条件とはしていません。20%を超える部分について無効と判断します。
Q5.買主が宅建業者なら600万円を超えた瞬間に違反ですか?
違反とは判断しません。業者間取引には損害賠償額の予定に関する8種制限が適用されません。
Q6.売主だけが宅建業者ならどう判断しますか?
買主が宅建業者ではないことを確認し、宅建業者が自ら売主であれば8種制限を確認します。売主だけを見て業者間と判断しないでください。
Q7.損害賠償額の予定を定めていない場合も必ず20%までですか?
平成24年問38の中心は「予定した額・違約金の定め」の上限です。実際の損害額についてまで機械的に同じ20%を当てはめないようにしてください。
Q8.違約金という名称なら損害賠償額の予定とは関係ありませんか?
関係します。資料では損害賠償の予定額と違約金を合算して20%を確認します。
Q9.20%ちょうどの600万円は「20%を超える」に当たりますか?
当たりません。20%ちょうどと20%超は区別してください。
Q10.600万円を超えた部分だけ無効なら、900万円と定めても違反ではないという意味ですか?
正誤判断では「900万円全部が有効」とはできません。法律上の効果として600万円を超える部分が無効になることを確認してください。
Q11.手付金等の保全措置でも20%を使えば安全ですか?
使いません。平成24年問38ウの資料では、完成物件について10%または1,000万円という別の基準を確認します。
Q12.代金3,000万円、手付金300万円なら10%以上なので保全措置が必要ではありませんか?
資料では「10%を超える」場合です。300万円は10%ちょうどなので、この基準では保全措置不要と判断します。
Q13.同じ問題に20%と10%が出た場合、どちらを優先しますか?
優先関係ではなく制度を分けます。損害賠償額の予定なら20%、完成物件の手付金等の保全措置なら10%基準を確認します。
Q14.平成24年問38の個数問題では何を最後に確認しますか?
ア・イ・ウの正誤を確定した後、誤っている肢の個数を数えます。本問は三つすべて誤りなので正解は3です。
FAQで共通するポイントは、同じ金額でも制度が違えば計算方法や効果が変わることです。20%を超えたから全部無効、300万円だから保全措置必要というように、数字だけで結論を決めないでください。対象者・制度名・比較語句をセットで確認します。
宅建試験ではここが狙われやすい
境界問題では、20%ちょうどと20%超、10%ちょうどと10%超の違いが狙われます。また、損害賠償額と違約金を別枠にしたり、業者間にも20%を適用したりすることで、正しい数字を使った誤肢を作れます。本試験では数字の前後にある「合算」「超える」「業者間」という語句を確認してください。
個数問題では、一つの判断ミスが最終的な個数を変えるため、感覚的な○×を避ける必要があります。👉 ア=業者間なので20%なし、イ=600万円超だけ無効、ウ=300万円は10%ちょうどと短く置き換えてください。各肢の誤りを具体的な一語へ変換すると、三つという個数を正確に出せます。
まとめ
この論点のひっかけは、「20%」という正しい数字を、適用されない業者間取引にも使わせることです。また、20%を超えた場合に「超過部分だけ無効」を「全部無効」へ変える肢にも注意してください。数字が正しくても、対象者と無効になる範囲まで確認します。
さらに、同じ問題で手付金等が出ると、**損害賠償の20%と完成物件の保全基準10%**を入れ替えてきます。👉 **業者間なのに20%/超過したら全部無効/手付金でも20%**という表現を見たら、まずひっかけを疑ってください。
